米保守系メディアのWashington Examinerは20日、米軍はモガディシュの戦闘・Part2に発展する可能性を秘めた英仏の救出作戦を真似しないほうが懸命だと訴えた。
参考:US military operations outside of Kabul airport would entail high risks
米国に対するタリバンの敵意は英国やフランスの比ではないので交渉による現状打開が最も優れたアプローチ
米軍はタリバンを刺激して状況を悪化させたくないと考えているため自国民や協力関係にあったアフガニスタン人に「カーブル空港まで自力で辿りつけ」と言っているが、タリバンが空港へのアクセスを妨害しているため身動きの取れない脱出希望者が急増、フランスや英国といった欧州諸国は自軍の兵士を空港外に派遣して身動きの取れない脱出希望者の救出や誘導を行っており一定の成果(数百人の救出に成功)を挙げている。
そのため米軍にも同じ作戦を実施して脱出希望者を救出するべきだという圧力に晒されているが、米保守系メディアのWashington Examinerは「欧州と同じ作戦実施を米軍に期待するのは空港外での活動リスクを過小評価しているためで、モガディシュの戦闘の悪夢を引き起こすリスクが高い作戦は実施すべきではない」と興味深い主張を披露した。

出典:Public Domain モガディシュ上空を飛行する海兵隊のヘリコプター
Washington Examinerの主張を要約すると米軍も特殊部隊を投入してカーブル市内から密かに諜報員など価値の高い人間の救出作戦を実施しているが、これを欧州のように自国民や協力関係にあったアフガニスタン人の救出作戦に拡張するのは安全を確保するための戦力が足りないと言っており、仮に作戦を実施している米軍の部隊に気付いたカーブル市民(カーブル市の人口は450万人と推定されている)が助けを求めて群がれば身動きが取れなく恐れがある。
さらに米国に対するタリバンの敵意は英国やフランスの比ではないので米軍が派遣した救出部隊(地上部隊)が市内で攻撃を受けたり、救出部隊を空から援護するガンシップがタリバンに撃墜されれば追加の救援部隊を派遣しなければならなくなり、モガディシュの戦闘・Part2に発展する可能性があるので「国外脱出資格を備えた自国民とアフガニスタン人の通行を妨害しないと約束させるか、8月31日以降もカーブル空港への米軍駐留=撤退作戦の延長を認めるかをバイデン大統領はタリバン側に提示して選ばせることだ」と言っているのだが、タリバンが2つの提案を拒否した場合どうするのかには言及していないので管理人的には不完全なロジックではないかと思う。

出典:出典:British Army / OGL v1.0 自国民保護のためアフガニスタンに向かう第16空中強襲旅団の兵士
確かに英仏の作戦は空からの援護もなく派遣兵力が両軍合わせて2,000人程度なので救出部隊が市内で身動きが取れなくなると米軍に迷惑をかけるかもしれないリスクを抱えているが、撤退期限が迫っていて目の前で助けを求めている自国民を救うため知恵を絞っており、英仏軍は市民やタリバンに気づかれるリスクを最小限にするため軍事車輌ではなく一般車輌で夜間にこっそりと救出作戦を実施している。
つまり米国の考える救出作戦は万が一の事態にも対応できる大掛かりな作戦なので現状実行が不可能(タリバンとの関係も含めて)だが、英仏軍の実行している救出作戦は限られた時間の中で対応するためリスク覚悟の作戦なので、正直どちらが正解なのかは分からない。
ただ市内で身動きが取れなくなっている脱出希望者からすれば後者の方が有り難いのは間違いないだろう。
関連記事:米国はカーブル空港までの安全を保証しない、英仏は自国民保護のため空港外に兵士を派遣
※アイキャッチ画像の出典:Department of Defense 米中央軍のケネス・マッケンジー海兵隊大将がカーブル空港を視察
大統領も大統領なら、メディアもメディアだな…今更タリバンが交渉に乗る訳無いだろうに
英仏だって救出部隊が捕まるリスクが高いのを承知の上で作戦を遂行しているんだから、メディアならもう正直打つ手が無くなったのを報じれば良い
今回のアフガンの一件でハッキリした事は、最早米国と民主主義は機能不全に陥っていて、このままだと後十年以内に、民主主義が1991年のソ連崩壊と運命を共にした共産主義と同じ様に崩壊する可能性が生じた事かな?
後、自由と民主主義は「秩序」の無い国家や集団には受け入れられないと言う事も重要かも知れない
何だかんだ言ってもタリバンがアフガンの勝者になったのは、厳格過ぎるとは言えイスラム教の教義には忠実だったので、それなりの「秩序」があり、それを多くのアフガンの人達が支持したと言う点が大きいと思う
と言う事は今後、反民主主義的な国家や組織が「自由よりも秩序を!」と言うスローガンを持ち出して自由と民主主義を攻撃した時、もしかするとそれを受け入れて自由と民主主義を本気で破壊する人々が世界中に沢山出るかも知れない
誰もが自由と民主主義を求めていると言う錯覚から目覚める時期が来たんですかね
前世紀のように本気で民主主義を守るための闘争が再開されるのだろうか
自由と民主主義に至るには段階が必要。
なんだかんだで、西側先進国は似たような経緯を経て自由主義になってる
中性で止まってるような集団にいきなり自由主義は無理
その文脈、「最終的には共産主義が勝利する」の思い込みに近い香りがする。
古代ギリシャで民主政が生まれ、古代ローマで議会制が倒れ、その後、ずっと王とかいう部族の頭領が支配する時代が続いていたんだから、
別に民主政が一番優れていて、民主政なら政治形態的に勝利する、という訳ではない気がする。
日本語わからない人かな?
段階をすっ飛ばして押し付けるのは無理ってことなんだが
交渉の余地はゼロじゃないと思うよ。
現状タリバンは外国軍兵士も攻撃対象にしていない(米軍の駐留拠点を包囲しているにも関わらず迫撃砲の一発も撃ち込んでない。タリバン兵の間を通って市内を移動している英仏兵もまだ無事=組織的に外国軍と交戦しないよう命令されている可能性)。問題はこれがいつまで続くかだけど短期的には、タリバンは交戦相手をアフガン政府軍に限定することで見境なく欧米諸国と敵対して滅ぼされてきた過去のイスラム運動の轍を避ける意図は見える。国際社会とイスラム原理主義勢力が本質的に相容れないのは間違いないけど、お互いわずかの間だけ戦闘を避けていたいという利害は一致している。
米大統領は外国人と旧政府に与した現地人を全員出国させると言っているが、本当にその気があるならタリバン兵の顔色を伺いながら首都圏の外国人だけ救出する英仏のやり方では絶対に不足で(それどころか偶発的な銃撃戦になってタリバン兵が外国人も粛清対象にし始めたら全てが崩壊する)、短期的でもタリバンと休戦協定なりを妥結する必要がある。ひょっとしたら今水面下で交渉中かもしれないし、だからこそ米政府が欧州諸国の抜け駆けを批判しているのじゃないか。
アフガンの場合、一度クーデター前の立憲君主制に戻さないとどうにもならないな
(前のタリバン崩壊後にも復位の話はあったが国王かま断った)
結局、「住民が認める歴史的、文化的、民族的に正統な政府」を壊してしまったら、いくら自由だ民主だとか言っても統治は成り立たんのじゃ…
アフガニスタンは装輪装甲車だけでも1000両導入しててそれを鹵獲されてる時点で、AKとRPGにハイラックスのブラックホークダウンより甚大な被害が出るでしょうね
それはあくまで米軍がBHDと同じ対応したらって話しね。BHDみたいに事態がだんだんとエスカレートしたのとは違い最初から酷い戦闘前提で部隊を派遣するなら支援マシマシにして最低限徘徊+偵察UAVを活用すると思う。表だってタリバンとの対立煽るような攻撃する事は考えられないけど。輸送機で空港ハズレにパレット投下で武器供給するとかオスプレイで運ぶとかして空港の敷地内からGPS/レーザー誘導M395精密誘導迫撃砲弾120mmうってバリケードや建物吹っ飛ばすとか、スイッチブレードとかで邪魔な車両潰すとかはすると思うけど。後、BHDの頃は敵状環視するのもP-3C経由でラグ有りだったけど最近は違うし、一概に被害が増えるとは言えないんじゃないかな。
「ブラックホーク・ダウン Part2」
モガディシュ・マラソンはっじまっるよー
イギリスがやるとマーケット・ガーデン作戦に
初めてコメントします。
連日アフガニスタン情勢の情報更新ありがとうございます。
更新回数が多くて感謝しているのですが管理人様の負担が大きいのではないかと心配なので、くれぐれも無理なさらぬよう願います。
みんなが君みたいな人だったら戦争もなくなりそう
米軍撤退どころか一週間すら待てずに処刑を開始したみたいだね
結局の所何も変わっちゃいない、タリバンはタリバンだ
リンク
日本がイギリスやフランスと同じ事をやるのは・・・法的に不可能か。
仮に法をクリア出来ても実戦経験の無い自衛隊が僅かに残った日本人や協力関係にあるアフガニスタン人、家族も含めて数百人近くはいる人間を救出する前に全滅する可能性が高いか。
いつも口だけのネトウヨくん、君が助けに行けば?
またお前か
いつもの言葉が不自由な荒らし屋アナニスト
いちいち反応するアホ
アフガニスタンを日本、タリバンを中国に置き換えたら恐ろしいな…
違う違うというが、アメリカ人が危険に晒されるのに違いはないよな
どんだけ金を積もうと所詮ATMでおしまいだな
というか報道によっては再結成した北部同盟のせいで逆にタリバンがピンチになってるみたいな話があるがそっちはどうなんだろ?
曰くタリバンは全兵力を首都へと終結させたせいで逆に各所の支配がずたずたになり、元正規軍たちの合流を許してしまって逆襲されかねないんだと
なんでここまでアフガニスタン政府軍があっけなく負けたかを考えると北部同盟ageのニュースは信じがたい
そのニュースの言うところの元正規軍とやらは今までどこにいたのかを触れているのかね
ピンチって言うのは初耳だけど逃亡した大統領の代わりに副大統領が臨時で就任して北部同盟と合流したとは聞いた、ホントかどうかは分からないけど
あれはまだ、旗揚げしたくらいの話じゃないかと思いますけどね。
既に攻勢に出てるみたいだよ
現地民にとっては、現地に兵隊送って、その陸戦隊を使って、救助者を誘導するという手法が有難いのは間違いないんだろうけど、
自衛隊にそんなことできるのかと言われると…
自衛隊自身が敵地で活動するような軍隊として組織されてないし、あくまでも自国領の防衛としての戦力としてか組織されてない。
その中で、どれだけ孤立した敵地と言っても差し支えないカヴールという土地で活動できる部隊があるのかというと、
可能性があるのは特殊作戦群とか空挺部隊とかぐらいかなぁ…
仮にこれらの隊を派遣するとなっても、携行火器どうするかで揉めそうでどうなるか。
一応、邦人救出の範囲なら、小銃程度は持っていけるようにはなったけども、対戦車砲は持っていけるようになったんだっけ?
タリバンによる防弾仕様のアメリカ製車両から一方的に銃撃されて終わってしまいそう
日本の特殊部隊の方々も厳しい訓練をなしとげている優れた人たちだとは思うけど、いくらなんでも人数も装備も土地勘も実戦経験も差がありすぎる状況ではさすがに・・・
まあ、ブラックホークダウン(モガディシュの戦闘)は、数年で映画の武装指導者を始末して、指導者も税金もない地域として安定?したんで、アメリカの勝利ですけどね。
その結果、近海では海賊が蔓延って海路上の安全保障のため各国が艦隊派遣しているんですがそれは…
現実に100点の回答はないよ
それを言うなら「現実に100点の解答は無いが、0点の回答なら腐るほど有る」と言うべきだ(白目)
ソマリアが安定したとか笑えない冗談だな
ICUやアル・シャバブとの戦闘&テロで大量の死傷者を出したし
アル・シャバブは今もソマリアで活動中だ
5万人の脱出となると、タリバンの協力は必要でしょうけど、今までさんざんタリバンとの交渉がまともに進まなかったのに。
もう、タリバンって、協力者に報復する気満々みたいですしね。
ちょっと、選択肢が思いつかず、協力者には気の毒な結果しか見えません。
気の重いことで。
タリバン指導部に強襲をかけて人質にして、その上で交換条件で
協力者の海外脱出を妨害せず、彼らの脱出が済み次第開放する、という交渉をする方法もあるが
タリバン指導部の全容や指揮系統を解明できていない米諜報機関には困難な仕事だろうな。
>タリバン指導部に強襲をかけて人質にして、その上で交換条件で協力者の海外脱出を妨害せず、彼らの脱出が済み次第開放する、という交渉をする方法
それを少数の部隊でやろうとして失敗したのが「モガディッシュの戦闘」なんですが……
しかも、あの戦いでは近くに友軍が居て、装甲車両を伴って救援に来てくれましたが、今回は居ません。救援が欲しければ、まずは増援を送るところから始めなければなりません
なお間接的とは言えタリバンはアメリカ製兵器や装甲車を大量に手に入れたから、自軍が危険になった時かけつけてくるのは友軍ではなくさらなる敵の増援になるという
アフガン国籍でドイツ公共放送記者の家族1人がタリバンに殺害された。
偶発的なものではなく、標的として記者を探していた模様・・・
各国とも出来る範囲で救出作戦やってて、いいじゃないか。
かたや、日本は何やってるの。中東に輸送機スタンバイさせるとか、給油機送るとか、出来ることやれよ。他国におんぶにだっこして、恥を知れ。
各国救援機ぼイラン領空通過を認めさせることができれば金星では?
外務省にはそのくらいのことをやってほしい。
日本「もうずっとイラン相手に交渉に交渉を重ねているのですが、いまだイランからの合意が取りつけられません(>_<)」
一方、他国はわずかに航路を修正してパキスタン上空を飛び続け、現時点では救助作戦の一旦の完了宣言をしていた。
こうですね。分かります。
アフガンは帝国の墓場と言われている
イギリス、ソ連、そして今回、アメリカも撤退に追い込んだ。
バイデン政権がこれで崩壊すれば、まさに帝国の墓場となってしまう。アメリカの場合は国の形がどの国とも違うから大統領が任期中に辞任し、副大統領も引き継がないなんて事態になったら、それは国の崩壊に近い
どうせ、トランプが復権するだけだろうけどwww