米海軍は次世代戦闘機「F/A-XX」開発プログラムに資金を回すため、F/A-18E/Fスーパーホーネットの新規調達を中止することを発表した。
参考:Navy Cuts Super Hornet Production to Develop Next-Generation Fighter
次世代戦闘機「F/A-XX」の研究開発を確保するためF/A-18E/Fを切る
米海軍が発表した2021会計年度予算案にはF/A-18E/Fスーパーホーネット BlockⅢを24機調達するための予算が含まれているが、2021年以降の調達分は中止し、その資金を次世代戦闘機「F/A-XX」開発プログラムに回すと明らかにした。
要するにボーイングは米海軍から昨年受注したF/A-18E/F BlockⅢに関する約40億ドル分(最大78機)の契約を打ち切られるという意味だ。

出典:ボーイング
米海軍は空母で運用する次世代戦闘機「F/A-XX」を単独で開発することを目指しており、米空軍も次世代戦闘機「F-X(現在はデジタル・センチュリーシリーズ構想)」の開発を単独で進めているが、両プロジェクトは研究開発にかける予算の規模で大きな差がついている。
米空軍は次世代戦闘機「F-X」の研究開発に約10億ドル(約1,100億円)もの資金を投じているが、米海軍が2019年に次世代戦闘機「F/A-XX」の研究開発に割り当てた資金は500万ドル(約5億5,000万円)に過ぎす、2020年も700万ドル(約7億6,000万円)止まりだ。
これは米海軍が次世代戦闘機「F/A-XX」プロジェクトを軽視しているという意味ではなく、研究開発費として2,070万ドル(約23億円)を米議会に要求したが拒否されてしまったため、既存の予算を組み替えることで何とか次世代戦闘機「F/A-XX」の研究開発費を捻出するためF/A-18E/Fの新規調達を諦めたのだ。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Rebekah M. Rinckey
本来なら米議会を説得して、既存のプロジェクトを犠牲にすることなく研究開発費を獲得すれば良いのだが、中露の極超音速ミサイルに脆弱な空母維持に懐疑的な見解を示す議員が多く、空母での運用が前提の次世代戦闘機「F/A-XX」開発にも否定的な見方が多いため、F/A-18E/Fの新規調達を諦める代わりに浮いた予算を次世代戦闘機「F/A-XX」に使わせて欲しいと言い出したのだが、これも米議会の承認が必要なので本当に実行できるのか未知数だ。
米空軍も既存の爆撃機B-1B、攻撃機A-10、無人偵察機RQ-4、無人機MQ-9、空中給油機KC-135、KC-10、輸送機C-130Hの一部を退役させ、浮いた予算をステルス戦闘機F-35A調達や第6世代機と言われる次期戦闘機FXなど将来へのプログラムに再投資すると発表した。
将来への投資を行う原資確保に苦労しているという点では、米空軍も米海軍も同じだ。
※アイキャッチ画像の出典:pixabay
ボーイングへの死体蹴りが止まらないな
最近ボーイング散々だな…可哀想に
米海軍、空軍は予算獲得に苦しんだ結果中露に一時的に追い付き追い越される事があっても将来的に逆転できるよう布石を打つ方向にシフトしたのかな
なんにせよボーイングの冬の時代は続きそう
もうやめて!ボーイングちゃんのライフはゼロよ!
どんな航空機が欲しいのか、固まっていないのが問題なんだろう。
F-35にしても、AとCを別タイプにする必要性があったのか?
空軍が折れれば、共通化できたのではないか。
F-4のように、ほぼ同じ機体ではだめだったのか?
レーダーなどの電子装備は何が必要なのか?
オプションを一通り揃えて、必要に応じて組み合わせれはいいのではないか?
それより前に海軍は、F-35Cの配備を急ぐ必要があるだろう。
結果的にF-35Cの調達拡大に繋がりそうで明るいニュースですね。
もう、ボーイングは大規模なリストラをやらないと、本業の旅客機さえどうにもならなくなるのが確定したな。
特に戦闘機部門は撤退も有り得るが、それが嫌なら、本気で日本のNGF(F-3)の共同開発相手にならないと生き残れないと思う。
事態の内容は異なるが、今のボーイングはゴーン会長の一件でボロボロになった日産自動車に似ている。
>米海軍、空軍は予算獲得に苦しんだ結果中露に一時的に追い付き追い越される事があっても将来的に逆転できるよう布石を打つ方向にシフトしたのかな
→その通りだが、結果として軍事バランスを崩した結果、近未来に「今ならやれる」と考えた中露に短期決戦を挑まれて敗北するフラグが立ったとも言える。
これは、自由主義陣営にとって非常に危険な時代の到来を意味するので、この後、米議会でも紛糾する可能性がある(米国の議員は日、本以上に軍事的知識の高い人が多いので、中短期的に軍事バランスが崩れる事を知ったら掌返しする議員が出るかも知れない為)。
>結果的にF-35Cの調達拡大に繋がりそうで明るいニュースですね。
→米海軍は次世代戦闘機「F/A-XX」開発プログラムに予算を回すので、F-35Cに予算が回る可能性は低い。それどころかF/A-XXの開発状況次第ではF-35Cの調達も削減される恐れすらある。正に現状は「博打」そのもの。
まぁ”ライノ(犀)”ですから。
空母の時代の終わりか~
一方、米国と対立する中国とロシアは粛々と国産空母&艦上戦闘機の開発に邁進している件。
元々米国議会が新兵器への予算について厳しいうえに、
ここのところ米空軍も海軍も、他国を圧倒する先進的な兵器を開発しようと高望みし過ぎて、高額の開発費を投入しては計画中止の失敗続きなので、議会がうんざりしている。
米国は個人の能力主義が行き過ぎて、技術の継承が出来ずに、全体の開発や生産力が落ち上手く行かなくなってきてるから、もっと堅実な路線にシフトした兵器を揃える方向で、しっかり議会に提案して行くべくでしょう。