ウォレス国防相は英Express紙が報じた「ウクライナへのAS90提供」を否定、陸軍が保有する105mm榴弾砲「L118」を提供するか検討中だと明かした。
参考:‘The race is on’: Britain moves to get heavy artillery to Ukraine
ウクライナの戦場では安価な商用ドローンによって大型の装備は直ぐに発見される
ウォレス国防相は先月末「戦いが進軍阻止から領土の奪還に変化したウクライナ軍を支援するため長距離砲と弾薬を供給する」と表明、Times紙も「陸軍が保有するAS90供与もオプションの一つになる」と報じていたが、英Express紙は「政府はウクライナに4万5,000発の砲弾と共にAS90を提供する予定だ」と報じて注目を集めていた。
Express紙は「AS90×20輌と砲弾×4万5,000発を今週中にポーランドへ送り、ウクライナ軍兵士にAS-90の使用方法を教える」と報じていたが、ウォレス国防相は「AS90のような大型の装備ではなく、より機動的なを大砲を検討している。ウクライナの戦場では安価な商用ドローンによって大型の装備は直ぐに発見される」と述べて、陸軍が保有する105mm榴弾砲「L118」を提供するか検討中だと明かした。
L118は米陸軍も採用している軽量の105mm榴弾砲で英陸軍は約120門保有しているが、戦場への展開には牽引車輌かヘリが必要になる。
機種 | 数量 | |
米国 | M777 | 90門 |
米国 | 詳細不明なMLRS | 不明 |
英国 | L118提供を検討中 | 不明 |
フランス | Caesar | 12輌 |
オランダ | PzH2000 | 非常に少数 |
カナダ | M777 | 4門 |
チェコ | Gvozdika | 正式発表なし |
イタリア | PzH2000かM109 | 不明 |
ベルギー | M109? | 不明 |
因みにウォレス国防相は25日、噂されていたウクライナへのストーマー装甲車(スターストリークを搭載したストーマー HVM)提供を正式に発表、但し提供する規模は少量だと述べている。
関連記事:英国、ウクライナに自走砲AS90×20輌と砲弾×4.5万発を提供か
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Spc. Jessica Scott
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AS90の砲塔をポーランドの未改修のT-72の車体に載せて送るのはどうかな?
そんな簡単にポン付けできるもんでも無いと思いますよ?
元々、AS90は、GBT155という旧型戦車車体にポン付する155mm榴弾砲塔として開発された物に、後から新造車体を組み合わせた物です。
実際に、AS90の砲塔をT-72の車体に載せた試作車が、インドに提出されています。
イギリスは軍事支援に前のめりだから自走砲出すと思ったがデマだったか
今はドイツがレオパルト2を供与すると発表したニュースが熱いな
まあ誤報で送るのはレオ1だったみたいなオチが付きそうだが
ブルームバーグによると、提供するのは開戦間もない頃にメーカーから提案のあったゲパルトを50輌とのことです。
まさかとは思うけど、今からオーバーホール始めるとかじゃないよね…
ブルームバーグによると、提供するのは開戦間もない頃にメーカーから提案のあったゲパルトを50輌とのことです。
まさかとは思うけど、今からオーバーホール始めるとかじゃないよね…
すみません、大事な事なので2回言った…訳ではなく、単なるミスです。
155ミリの弾薬あげたいよねぇ。
うちには、自分で撃つ分もありません。
被発見性が高いからL118ということだけど、牽引にトラックを使うならシルエット的にはAS90と大差ないのでは?
重装備を送るのが難しくなったかな。
L118なら、ランドローバーでも牽けるし。
L118ならウクライナ中央部までヘリで運べるので早く実戦配備できるし、地面掘って内径3000mmの大型のヒューム管(コンクリート製の土管みたいなもので下水管に使われる)5本つないで埋めて簡易トンネルにして上に土かぶせて隠せるかも。ただし、ウクライナに内径3000mmの大型のヒューム管があるか否か不明だけど。
AS90の供与自体がデマだったとは思わない。何故なら弾薬の数を公表していたし、今週中にウクライナへ送って訓練をやると具体的な事を言っていたからね。
それに、AS90の供与を止めてL118にした理由が「ドローンで直ぐに発見される」と言うのも怪しい。
それだったら自走砲のAS90の方がドローンに見付かっても直ぐ移動出来るから余り問題にならないはずだし、ウクライナはそろそろ泥濘の季節が終わって機動戦に適した季節になるから牽引式のL118では逆に不利になる。
以上の事から考えると「如何やらドンバス方面の戦況がロシア軍有利の方向に進み出したので、(ウクライナが負けた時の事を考えて)兵器供与の規模を絞らざるを得なくなった」と見るのが良いのかも知れないぞ?
前の記事でもドンバス方面でのウクライナ軍の苦戦ぶりが伝わり出したし、もしかするとロシア軍の大逆転が遂に…あるのかなあ?(自信が無い)
105mm榴弾砲だと、弾薬の補給の心配が出てくるのでは。
ウクライナが前にほしがっていたのはNATO規格の155mm砲と弾薬。ソ連規格の152mmの弾薬。
他の国は155mmだけど、105mm砲を提供というのは「弾薬はイギリスから提供する」「いつまでも援助する」という意味?
より「自国に要らないもの」を選んで送ってるのでは。(小声)
ロシアの核攻撃の可能性の恫喝で、155mmのAS-90自走砲から105mm牽引砲に大幅にレベルダウンしたのかなという疑いもあるが、L118は105mm砲ながら射程は一昔前の155mm砲に匹敵する。
気になる点は、二つあって、仰角60度程度でトップアタックした場合にT-72戦車を破壊できるかという事と、撤収時間。
L118に似たL119の撤収時間は3分らしいので、3分なら牽引式の野戦砲でも残存性があり使い勝手もあるかもしれない。
本体も弾丸も155mm榴弾砲に比べ軽量・小型なので前線に運びやすく敵に発見されにくい利点はあるので、仰角60度でトップアタックした場合にT-72戦車を破壊できて撤収時間が3分なら155mmのAS-90自走砲でなく牽引105mmもありかもしれない。
英国以外の各国が軒並み155mmか旧ソ連規格の152mm榴弾砲を送る中、今まで割とウクライナへの武器供与に積極的だった英国だけがロシアの核恫喝で105mmにスケールダウンしたと言うのは説得力が無いと思いますよ。
それに到着する時期を考えるとウクライナは泥濘の時期が終わり始める頃で自走砲の方が便利なはずなのに今更牽引砲を送るのも変です。
これはやはり英国が自らの諜報網で「ウクライナに勝ち目は無いのかも知れない」と思ったから送る装備を変更した可能性が有ると思います。
実際、先日英首相がインド訪問の際に「ロシア勝利の可能性」を示唆しているのですから。
たしかにウクライナが完全敗北して消滅する可能性も少しはあると英国政府は認識してるでしょうが、ウクライナ軍が今後3週間持ちこたえれば西側諸国の軍事支援が届きウクライナが有利になり、逆にロシア側は物資不足と履帯・砲身交換で劣勢になるので、勝てる可能性もあると予想してます。
ただ、ウクライナ東部戦線ではロシアがイジュームを押さえたため、東部戦線の最前線のウクライナ軍が三方囲まれています。AS-90自走砲の乗員の睡眠時や弾丸補給・給油時には安全のため最前線から30km以上後方に引くべきですが、その後退余地が無くなりかけており、AS-90自走砲より小さくて発見されにくい小型のL118野戦砲の方が純粋に軍事的に有利な面もあります。
判らないのだけれども。
D30-122mm榴弾砲の弾薬が枯渇し始めた、という事だろうか。
L118のスペックをみると、標準弾で射程17200m、BB弾で射程20600mだし、
射程がD30と近い。
元々、D30を使っていた部隊の、装備更新の可能性はないかな。
例えば、空挺兵とか、山岳兵とか。
なぜなのか私も考え、以下の結論を出しました。
L118-105mm榴弾砲:標準弾で射程17200m、BB弾で射程20600m
D-30-122mm榴弾砲:標準弾で射程15400m、RAP弾で射程21900m
で、射程が似ているように感じられてるみたいですが、問題はBB弾とRAP弾の命中精度です。
RAP弾では命中精度が大幅に落ちるのです。
リンク
仰角60度程度で(45度の85%程度の射程)でロシア軍の戦車・歩兵戦闘車・自走砲を攻撃するには命中精度が大幅に低いRAP弾では無理なので、L118榴弾砲BB弾の射程20600mの85%の17500m程度とD-30榴弾砲の標準弾の射程15400mの85%の13100m程度で比較すべきです。
ウクライナ東部の平原の見通し距離は約10kmでT-72の2A46 125mm滑腔砲の榴弾の射程距離も10kmなので10km以内に戦車に追いつかれると危険です。
どちらも1分半射撃・3分半撤収と仮定し射撃開始から5分で撤収できると仮定し、砲撃開始直後に2階以上の建物にいる見張りが気付いて1分後にT-72が発進して追いかけて来ると仮定すると、D-30榴弾砲では危険な10km以内に追いつかれますがL118榴弾砲では危険な10km以内にには追い付かれず生存可能性が大きく異なると私は考えます。
L118-105mm榴弾砲支援がAS-90自走砲支援より優れている最大の長所は直感的に容易に操作でき、すぐに実戦に投入できる事。
それゆえ、L118-105mm榴弾砲を支援するならウクライナに早く送って欲しい。
ただし、支援するとプーチンが英国本土や北海油田の掘削プラットフォームを攻撃する可能性もあるので用心せねばならない。