ウクライナ軍は電力システムを守るため奮戦しているが「残念ながらロシアは制裁を回避して1ヶ月間にKh-101とKalibrを計40発補充し続けている」と明かし、ウクライナの電力事情も悪化するばかりで厳しい状況が続いている。
参考:Враг повредил ракетами все украинские ТЭС – Галущенко
参考:Более 1,5 миллиона человек сейчас без света только в Одесской области – Зеленский
参考:В энергосистеме сохраняется дефицит мощности, непогода усложняет ремонтные работы – Укрэнерго
参考:В Одесской области 300 тысяч абонентов пока без света – глава ОВА
参考:Russia Is Using Old Ukrainian Missiles Against Ukraine, General Says
数機のShahed-136がすり抜けただけで電力システムに甚大な被害を発生させるため防御側はやはり相当不利だ
ウクライナ軍は6日にロシア軍が発射したミサイル70発の内60発以上を撃墜、電力システムへの被害を最小限に留めることに成功したが、10日にオデーサを襲ったShahed-136の内10機を撃墜したものの5機が防空シールドを貫通して電力システムに甚大な被害を発生させた。
被害の詳細は伏せられているもののオデーサ地域に住む150万人の市民が電力を使用できない状況(11日時点で電力喪失の影響を受ける市民の数は30万人まで減少)で、ゼレンスキー大統領もエネルギー部門の関係者も「この状況を直ぐに復旧させるのは難しい=最悪のケースだと復旧に2ヶ月間~3ヶ月間かかるかもしれない」と明かし、可能な限りオデーサの市民は街を離れるよう呼びかけている。
ウクライナの火力発電と水力発電所の全てがロシア軍の攻撃で損傷(復旧しているのか損傷したままなのかは機密なので公表されていない)しているため、電力の送電設備が復旧しても電力需要に対して供給量が絶望的に少ない状況は改善しておらず、特にウクライナ南部や東部では榴弾砲やロケット砲による攻撃でも送電設備が損傷するため「黒海に面したオデーサ市民は比較的攻撃が届かない中央や西部に非難した方がいい」という意味だが、どこに逃げたとしても電力を必要なだけ自由に消費できる訳では無い。
さらに「もうすぐロシア軍が精密誘導兵器の備蓄を使い果たす」という見込みは複数の研究機関やメディアが否定、ウクライナ軍も「残念ながらロシアは制裁を回避する方法を見つけてミサイルの生産を維持している」と言及、ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ准将もニューヨーク・タイムズ紙に「ロシアは9ヶ月間に空中発射型のKh-101を240発、艦艇発射型のKalibrを120発を生産しており、1ヶ月に約40発のミサイルを生産しつづけている」と明かして注目を集めている。
ロシア軍が旧式のKh-55から核弾頭を取り除いて使用しているため「ロシア軍の精密誘導兵器は危機的な水準に落ち込んでいる」と指摘されることも多いが、これは防空シールドを貫通させるための囮と使用されているとウクライナ軍が認めており、徐々に天候が回復してきたため補充したShahed-136の使用機会が増える可能性が高く、もうウクライナの電力システムは大部分が破壊されているため復旧してきた部分を1ヶ月に1回攻撃すれば十分=1ヶ月に約40発程度の補充分とShahed-136で事足りるのかもしれない。
因みにウクライナ軍の防空シールドは迎撃効果(迎撃率72%→85%以上)を向上させており、ロシア軍の攻撃はミサイルや無人機の発射から着弾までに約1時間かかるため、ここに希望を見出すしかないもののロシア軍も侵入パターンを常に工夫しているため次も85%以上の迎撃効果を発揮できるかは謎で、数機のShahed-136がすり抜けただけで電力システムに甚大な被害を発生させるため防御側はやはり相当不利だ。
追記:ゼレンスキー大統領は12日「ウクライナから電力が奪うのがロシアに残された最後の希望で新たな攻撃を準備している」と国民に警告、英国は「ロシア軍がインフラ攻撃を続けるなら方針を変更して長射程攻撃兵器をウクライナに供給する」と明かした。
関連記事:ロシア、制裁の影響下で弾道ミサイルや精密誘導ミサイルを288発製造
関連記事:米メディア、ロシアはマイクロチップの備蓄を大量に持っている可能性
関連記事:ゼレンスキー大統領、ウクライナ軍が大半のミサイルを撃墜したと発表
※アイキャッチ画像の出典:IMA Media 演習に登場したShahed-136
発射された数に対する迎撃失敗率はミサイルより徘徊型無人機の方が高いんですかね
迎撃難易度そのものは
超音速ミサイル>>亜音速ミサイル≧ジェット推進ドローン>>プロペラ推進ドローン
なのでShahed-136の迎撃率は低くありません
問題はShahed-136は安価で一度に大量に飛ばしてくること、防空部隊の配備されていない民間施設がターゲットにされていることです
民間施設すべてに防空部隊を配備することは非現実的であるためドローンの飛行経路上で撃墜する必要があるものの、いつ何機くるか分からないドローンすべての予想進路上に十分な迎撃部隊を配置することは難しく(想定目標が多すぎ、土地の広さと相まってカバーしきれない)であり、少数でもうち漏らせば(撃墜率100%でない限り)少なくない被害を受けること、迎撃コストが高くついていることが問題になっています
>英国は「ロシア軍がインフラ攻撃を続けるなら方針を変更して長射程攻撃兵器をウクライナに供給する」と明かした。
政治家や市民が勇ましいことを言っていてもWWII以降の戦争は、結局は(広義での)勢力均衡なんだろうなと思います。核攻撃などの大量破壊リスク増大を避けるために、政治経済的な交渉や調整をしたり、武器を出したり引っ込めたりと。
ウクライナ側としては溜まったもんじゃないでしょうが、西側諸国としてはウクライナは、中露的全体主義に対する便利な盾かつ矛なんだろうなと思います。
インフラ攻撃に対する一番有効な対策は
北朝鮮のように地下に重要設備を避難させる事だと思います。
実は日本にはビルや地下で発電できる中型発電機のメーカーがあるのですが、規模が小さいし現地まで設営できるスタッフが必要なので。
実現出来ればいい支援になるのですけどね。
”ロシア軍も侵入パターンを常に工夫している”
思うのですが、重要拠点(政府施設、軍需品工場、インフラ施設、etc)は、
動けないでしょうから、対空火器で囲むことでしょうか。
そして、移転の可能なものは、順次地下施設に移転することで。
あと、電源車、ポンプ車(水道用)をと復旧用部品類を送ることでしょうか。
小規模な変電設備も仮復旧には必要では。
既存設備が復旧するまでと、空襲避けに頻繁な移動が必要かなと。
用意の良かったウクライナも、ここまでは無理だったみたいですね。
日本に今、何台の電源車があるか知らないのですが、多分、地域別に配備をしているのでしょう。
例えば、その地域を全国に広げれば、余剰分を生み出せるのかなと思います。
国は、素人の予想などを上回るような援助をしてほしいです。
今は、お金だけがあっても足りないのですから。
シャヘド136を見てると、対空火器もあるに越した事はないですが、
ボロいラジコンなんで重要施設の周囲を金網で囲むだけで、それが爆発の緩衝材になっていけそうに感じますね。
80kgぐらいの爆薬積んでるレベルでは大きい飛行体なんで、駐車場の囲いみたいな金網は流石に弱いかもしれませんが
建物に寄りかかるように長い鉄パイプを無数に並べて固定してるだけで建物自体に衝突する前に爆破出来るようになりそうですけどね。
あとは対空機器はミニガンとレーダーを連動させたお子ちゃま用のCIWSみたいなものを安価で作れたら
それを4器ぐらい建物の屋上に配置してたらまずいけそうな感じがしますけど
とにかくこの手の対抗策は金をかけてはいけませんからね。しゃへど136よりも安価に対応できないといけませんからね。
ウクライナ軍もメリトポリ方面へのHIMARS攻撃で兵舎やHQを吹き飛ばして南部のロシア軍にかなりの損害を与えたようで、どちらが先に音を上げるかの我慢比べになってきた感がある。
制裁による電子機器輸入途絶の影響が来年になるとカバーしきれなくなるので、ロシアの通信/ITインフラが綻び出したときに厭戦感情がどうなるか注目している。
月に40発のミサイルとShahed-136(数十機?)で85%の迎撃率。
実質ミサイル6発と数機の無人機での攻撃になるわけだが、コスト的にどうなんだろう?
結局のところ、お互いの我慢比べってことか?
ミサイルも含めた弾薬の数には如何ともし難い差がありそうですね。
セベロドネツクで交戦していた頃にウクライナ側からロシアは現在の火力で1年戦争出来ると発言があった覚えがあります。
発電所等の設備は動かす事が出来ない以上、西側からの防空装備の供与だけが頼りですね。
日本からは兵器の支援は難しいでしょうけど、厳しい冬を乗り切るための衣類の提供くらいなら出来ないものでしょうか。
キーウ市民の生活は困りそうですが、発電機の場合世界中が小型発電機を生産してウクライナに燃料ごと送っているの考えると、インフラ攻撃効果あるのは、あと数ヵ月の気がする。
日本が送る千台の火力発電一基分の発電機は国連通すから数ヵ月到着にかかるが欧米各国の送っている万をこす発電機とこれからヨーロッパ中で生産されている大量の発電機がウクライナに到着するの考えると、インフラ攻撃は、今だけしか効果はあげなそう。兵器支援と違い発電機支援だとスイスとかも積極的にしていますからね。
コソボ紛争のときにNATOが使ったやつ、網状のカーボンが送電線に絡みついてショートさせる兵器(停電爆弾)をふと思い出したんですが、あれウクライナに供与できないんですかねえ?
インフラ破壊攻撃に対抗するのはインフラ破壊攻撃しか無いでしょう。いつまでも守勢のやせ我慢では…。
供与するかは置いておいて、
それをどこに使用するか&投射手段どうするが問題ですね。
国境沿いの都市に対して使用するのは、それこそ嫌がらせ以上の効果は見込めませんし。
だいぶ前にシャヘド撃墜中破片を受けて墜落したMigのパイロットが脱出し生還した話が日本でニュースになってますね
リンク
今頃出してきたのは膠着状態でネタ切れだけどウクライナ戦争報道したいということでしょうか ?
マイクロウェーブ送電施設がいるかもね。