ウクライナ戦況

ウクライナ軍、プーチンがドネツィク州を9月15日までに占領するよう命令

ウクライナ軍参謀本部は「プーチン大統領がロシア軍にドネツィク州全域を9月15日までに占領するよう命じた」と明かし、新たに投入した第3軍団のドネツィク州配備を進めているらしい。

参考:Путин приказал оккупантам захватить Донецкую область до 15 сентября – Генштаб
参考:Россия хотела захватить Донецкую область до осени, не смогла – Зеленский

もし本当にプーチン大統領が「9月15日」を指定しているならロシア軍にのしかかる重圧は相当だ

ウクライナ軍参謀本部は1日の会見で「敵はハルキウ、ルハーンシク、ドネツィク、ザポリージャ、ヘルソン、ムィコラーイウの占領地域を保持しながら攻撃再開の準備を進めており、9月15日までにドネツィク州の行政境界に到達するというプーチン大統領の命令に従い計画を再調整中だ」と明かした。

出典:Conflict Intelligence Team

さらにウクライナに向かっていると報告されていた第3軍団(15,500人)についても「第3軍団の占領地配備はドネツィク州における攻撃再開の条件を整えるためだ」との認識を示し、ウクライナ軍の反撃が始まったヘルソンに予備戦力として第3軍団が投入されるという見方を否定、飽くまで第2段階作戦の主要目標=ドンバス地域の解放達成のため第3軍団はドネツィク州に投入されるという意味だ。

ロシア軍が西部軍管区で新たに編成された第3軍団は新兵中心で構成されたにも関わらず、保管状態だった旧式装備(T-64MやT-72Aなど)ではなくT-90M、T-80BV、Bukといった最新装備が配備されており、ウクライナ方面に移動を開始した第3軍団が何処に配備されるのか注目を集めていた。

出典:Conflict Intelligence Team

英国防省は「ウクライナ軍の反撃で防衛ラインに出来た穴をロシア軍は予備戦力で埋めてくるはずで、移動中の第3軍団が予備戦力としてヘルソンに投入されるかもしれない」と言及していたが、やはりドンバス解放を優先してロシア軍はドネツィク州に第3軍団を投入しているのだろう。

9月15日にまでにドネツィク州の行政境界に到達するという目標は、まだ手も届いていないスラビャンスク、クラマトルスク、ポクロウシクを占領する必要があるため2週間程度でどうにかなる話ではなく、問題の命令は「過去に出されたもの」ではないかと疑いたくなるが、ゼレンスキー大統領は先月30日「ロシア軍司令部は8月末までにドネツィク州の占領するよう命じられていたが達成できそうにない」と言及している。

出典:President Of Ukraine

つまり参謀本部の発表はゼレンスキー大統領の発表と合わせて見ると「ドンバス解放の期限が8月末から9月15日に再設定された」と示唆しており、ウクライナ側の情報戦=ドンバス解放期限を到底実現できない9月15日だと流布して最終的に「ロシア軍の作戦は上手く行っていない」と印象付けたいのかもしれないが、もし本当にプーチン大統領が「9月15日」を指定しているならロシア軍にのしかかる重圧は相当だ。

因みにロシア連邦議会のマトヴィエンコ議長は「ウクライナに勝利するのに十分な資源をロシアは保持している、これは物質的な資源だけを指しているのではなく知的・道徳的な資源も含めての話だ」と述べて、装備・弾薬・兵士の不足に対する疑念を否定した。

関連記事:ロシア軍、ウクライナにT-90MやT-80BVを装備する第3軍団を投入か
関連記事:ウクライナ軍の反撃を支える米国、21番目の支援パッケージを間もなく発表

 

※アイキャッチ画像の出典:Telegram経由

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コメント

    • aa
    • 2022年 9月 02日

    またしても、ロシア軍側は何も言ってないニュース。

    15
    • K(大文字)
    • 2022年 9月 02日

    >これは物質的な資源だけを指しているのではなく知的・道徳的な資源も含めての話だ

    ““道徳は最小の国””がよく言うよ。
    しかし、虎の子の第3軍団を回したとしてもあとたった2週間でドネツクを盗るなんて出来るのか?
    仮にウクライナの南部攻勢が成功すれば、ドンバスを獲得しても今度はクリミアが保たないのではないか。
    スケジュールありきの時点でお察しだが、どうも軍事的に非合理な判断になっているように見える。
    まぁ与し易い分には、構わないのだけど。

    32
      • 7743
      • 2022年 9月 02日

      8月中の東部戦線の推移はバフムート郊外で10kmほどロシア軍が前進したのと、ハルキウ北東のロシア国境のウディという町を占領しただけですからね。
      逆にイジューム方面では10kmほどウクライナ軍が前進しており、昨日は一部でロシアが橋を爆破して撤退しました。

      戦線は完全に膠着していると言っていいので、ここから新戦力を投入したからと言って、2週間で全州支配するのは不可能でしょうね。

      12
    • AAA
    • 2022年 9月 02日

    5月9日の戦勝記念日にも同じこと言ってた気がする
    期日までにロシアの目標達成できない!ロシア軍弱ェ!!
    ってウクライナがプロパガンダするため仕込みじゃないかね

    10
      • zerotester
      • 2022年 9月 02日

      その可能性はありますが、よい装備を与えた第三軍を東部に配備したのはウクライナの言い分の傍証にはなるし、今後のロシア軍の動きで真偽はある程度わかるでしょうね。

      秋になれば雨季で泥濘になり、冬になればさらに戦いにくくなるのでしばらく戦争は休止状態になる可能性があります。その前に攻めている印象で終えたいという思惑は両軍にあるでしょう。

      5
    • 無題
    • 2022年 9月 02日

    またヒトラーみたいな無茶振りしてるよ

    13
    • 無無
    • 2022年 9月 02日

    命令のしかたがヒトラーとかスターリンと同じ、実行せよ、さもなくば死刑の口調
    こんな軍人を脅すような指導者になってしまってるのか

    14
    • kitty
    • 2022年 9月 02日

    「ウクライナに勝利するには知的・道徳的であっては無理だ」

    が正解だろうな。その意味では確かにロシアは「充分な資源」の所有者だろうよ。

    31
    • NATTO
    • 2022年 9月 02日

    ロシアがんばれ~(鼻ホジ&ケツポリ)

    2
    • 鳥刺
    • 2022年 9月 02日

    >9月15日までにドネツィク州の行政境界に到達するというプーチン大統領の命令
    いや幾ら何でも無理でしょう(笑)

    ドネツク市周辺は、この一月一見ジリ押ししてるように見えますが成果は村落単位ですし、アウディーイウカ、ピスキー、マリンカが、それぞれ東西に延びる人工湖で15~20kmぐらいの幅で区切られている変な地形の戦場なので、突破出来ても両翼への戦果拡張が難しく正面からの平押しにならざるおえませんし、バフムートはまだバフムートカ川に到達もしていない、スラビャンスクはイジュームからの脅威を撃退した形勢… また将軍の首が飛びますね。

    >知的・道徳的な資源
    いやだなあ、それ、今ロシアで一番不自由している分野じゃないですか。無いとは言いませんが、体制的に活用が妨げられている分野でもあります。

    マトヴィエンコ氏的には、これって、具体的には「愛国精神」ってやつでしょうかね??

    4
    • 暇人28万号
    • 2022年 9月 02日

    秋というか雨季というかで、物理的に泥濘むシーズン前にラッシュをかけたいから9/15〆なんですかね。
    会社組織みたいに考えるとぐずぐずでポンコツなように感じてしまうけど、軍隊という組織はこんな感じなんですかね。

    2
    • 戦略眼
    • 2022年 9月 02日

    BMP-Tは、役にたっているのかな?

    1
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