ロシア関連

ロシア軍、ウクライナにT-90MやT-80BVを装備する第3軍団を投入か

ロシア軍が新たに編成した第3軍団(15,500人)がウクライナに向けて移動を開始したと報告されており、旧式装備ではなくT-90MやT-80BVを供給されているため第3軍団は比較的充実した装備を保有している。

参考:Россия перебрасывает на фронт 3 армейский корпус – CIT

膠着していた東部戦線に1.5万人の増援と考えると中々不気味な動きだ

米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は今月5日、ロシア軍が西部軍管区で新たに第3軍団(15,500人)を編成していると報告していたが、露独立調査組織のConflict Intelligence Teamは27日に「第3軍団がウクライナに向けて移動を開始した」と発表して注目を集めている。

出典:Conflict Intelligence Team

CITはロシア国内で撮影された映像を分析した結果、サンクト・ペテルブルグ郊外のムリノで編成された「第3軍団全体」もしくは「戦闘準備が整っている一部の部隊」の装備が鉄道輸送でウクライナ方面に移動を開始したと主張しており、第3軍団にはT-90M、T-80BV、Bukといった最新装備が含まれているのが特徴だ。

ロシア軍はウクライナでの損失をカバーするため保管状態だった旧式装備(T-64MやT-72Aなど)をウクライナに投入しているが、軍事アナリスト達は「経験のない新兵で構成された第3軍団に、なぜT-90MやT-80BVを優先的に供給したのか?」と首を傾げている。

出典:Conflict Intelligence Team

この疑問についてCITは「旧式装備の供給が困難になったか、旧式装備の扱い方を第3軍団の兵士に教えるための教官役が不足しているかのどちらかだろう」と指摘、ウクライナ軍の諜報機関も「第3軍団の装備は比較的充実しているが、配属された兵士達は士気や規律が低く、新しい装備を使いこなそうとする熱意も欠けている」と指摘しており、第3軍団がウクライナでの戦い与える影響は小さいとの見方が強い。

ただ士気の低さはロシア軍共通の課題で第3軍団特有の問題ではなく、これまでも士気の低さを数や火力でカバーしてきたため第3軍団投入の影響を過小評価するのは危険で、CITは「第3軍団はロストフ州に向かいドネツィク州やザポリージャ州に投入されるかもしれない=ロシア軍がウクライナ軍の反撃に備えて戦力を集結させているヘルソンではないはないという意味」と予測しているため、東部戦線に1.5万人の増援と考えると中々不気味な動きだ。

つまりロシア軍は反撃に備えて東部戦線の戦力をヘルソンへ移動、戦力の低下を招いた東部戦線は膠着状態を招いていたが「第3軍団の投入」で再び戦いが活性化する可能性を秘めている。

勿論、経験の浅い第3軍団が無駄にT-90MやT-80BVを消耗してくれれば最良の結果だが、果たして、、、


因みにロシア軍はシリアに配備していたS-300を貨物船(SpartaII)に積み込み、今月24日にボスポラス海峡を通過して黒海艦隊の主要拠点であるノヴォロシスク(クリミアのセバストポリから避難する艦艇の拠点)に向かっていると報じられている。

 

※アイキャッチ画像の出典:Минобороны Россииが公開したYouTube動画のスクリーンショット

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コメント

    • ido
    • 2022年 8月 28日

    ちょーと不具合で停止してちょーとウクライナ軍が来て鹵獲されてアメリカに行かないかな。まあ、最新戦車持ってきても戦況が変わるとは思えんが増援の歩兵は,怖いな。

    18
      • てつ
      • 2022年 8月 28日

      ここしばらくウクライナ軍がHIMARSで補給線を叩いている事を考えると、対策することもなく増援を送り込むと弾薬や食料の不足に拍車がかかる可能性が高そう。
      20輌位しか配備されていない虎の子のT-90Mが燃料不足で立ち往生とかしなきゃいいけど。

      4
      • あばばばば
      • 2022年 8月 28日

      秋になるとウクライナは再び雨季に入り、地面がぬかるんで、また今年の戦争初期のような状態に突入し、両軍ともに、車両全般の不整地運用が厳しくなるだろう。
      冬になれば路面が凍結し、再び動き出せるがあちらの冬は厳しかろう

      ウクライナで最新車両が鹵獲されても、アメリカにはいかずチェコで再整備され、ウクライナに使われる気しかしないが

      2
    • 無無
    • 2022年 8月 28日

    ロシアのミサイル不足は解決しないようですね、でもウクライナが航空優勢をとれるかというと?
    この状態で最新装備の新兵を送っても、戦局の膠着が深まるだけに終わりそう

    5
      • G
      • 2022年 8月 28日

      1.5万人という数は新兵を含んでいるとはいえ少ないものとは言えず、戦局に関しては第3軍団の編成内容と配属先次第かと
      たとえば新旧問わず自走砲やロケット砲を大量に含んでいたら(たとえ継戦能力が低くても)投射量にものを言わせて既存の膠着状態の戦線を押し込んでくる可能性があるでしょうし、ウクライナ軍の戦力の薄い地域に戦車や装甲車を中心に大規模な浸透戦術をとってこられたらウクライナ軍はそれを押しとどめるための規模の部隊を用意しなければならず大きな負担となる(他の戦線に回せる人員・物資が減少する)と思われます

      9
    • 無印
    • 2022年 8月 28日

    ベテランに新型を与えないのかな?
    学徒兵にゲルググを使わせた末期ジオン軍みたいになってきてるな

    41
      • くらうん
      • 2022年 8月 28日

      宇宙世紀で長距離誘導兵器が使えず有視界戦闘が主になるって設定が「いや無いわ」と思ってましたが、お互い航空優勢も握れず機甲戦もできず第1次世界大戦のような塹壕戦に戻ってる現状を見て、戦闘の先祖返りという意味ではあり得るんだと思わされました。

      52
      • タイヤキ
      • 2022年 8月 28日

      純粋に兵力不足火力不足で全く攻勢かけられない逆にウクライナ軍に攻勢かけられている東部地域の援軍だとまたロシア軍が攻勢かけてきそう。

      2
        • ほうれんそう
        • 2022年 8月 28日

        S300を乗せた民間船籍の輸送船がモントルー条約の網をすり抜けて通過できるなら、民間船に対空ミサイル、魚雷、無人機も乗せられますね。これって、もはや偽装した準軍用艦艇では?

        25
      • perorin
      • 2022年 8月 28日

      元の乗員がなんでいなくなってるのか不思議な話ですよね。
      大事な戦車だけ残しておいたのかな、怖い話なのかな、、

      13
        • メルク
        • 2022年 8月 28日

        損傷した車両を後方に移送して元乗組員は旧式装備で戦闘続行。
        その結果、この世から旅立つ事になり乗り手のいなくなった新型を新兵に割り当てたってパターンがありそう。

        22
      • 南蛮一の知恵者朶思大王
      • 2022年 8月 28日

      ベテランは最前線で消耗中で、後方に戻して機種転換の訓練する余力もないということでは?
      あと、旧装備扱える教導部隊も前線に投入されているようで、必然的に新兵は新装備の体系で訓練することになるかと。
      不合理なようだけど、ソロモン海の夜戦でもベテランが特型や白露型で奮戦して、夕雲型が練度不足で戦績が奮わなかったのと似たような感じ。(時期的な問題も大きいが)

      20
        • TA
        • 2022年 8月 28日

        独ソ戦でもオットーカリウスが似たような事で怒ってたな
        最新兵器がベテラン優先でないのはよくある事みたいだ

        11
      • K(大文字)
      • 2022年 8月 28日

      前線の戦況が苦しく、

      ・新型戦車の運用に習熟したベテランが払底している
      ・旧型を運用している二線級部隊を下げて機種転換させる余裕がない
      ・人材的にも時間的にも錬成の余裕がないので新兵をロクすっぽ訓練せずに前線投入する地獄のOJT

      こんな感じになってるのかも知れませんね。仰る通りジオン軍みたいだなぁ…

      22
        • パセリ
        • 2022年 8月 28日

        何時ものことながら何で攻めてる側が末期線漂うことになってるのか

        41
      • hiroさん
      • 2022年 8月 28日

      車種変更には習熟訓練が必要でしようが、前線の古参兵を新兵と交替させるローテーション管理をする余裕が無いのかも。
      この1.5万人がプーチンが署名した4万人弱の増員の内訳ならば次の編成がありそうだけど、配備する最新装備はあるのだろうか?

      1
    • お腹がポンポコリン
    • 2022年 8月 28日

    前線への移動中にパルチザンに襲われて蜘蛛の子を散らすように逃げまとったりして。

    3
    • 折口
    • 2022年 8月 28日

    私はこの戦争、ロシアが保有するソ連時代の軍事遺産が腐り果ててゴミになる前に政治的な成果に変換しておこうというある種のもったいない精神が背景の一つにあるんじゃないかと考えているんですが、その筋から言うとソ連時代の兵器とそれらを扱える人間を惜しげもなく戦場で消費しているのは理にかなっているのかなと思います。
    じゃあ、ソ連時代の遺産と決別したロシア軍に何が残ってるの?というと相当に軍事力が小さくなってしまうのではという気がしますが…戦後の心配は戦争が終わってからでも遅くないですね。

    30
      • 2022年 8月 29日

      軍事力だけでなく、周辺地域からの警戒に信用も無くなりましたね。
      過去の清算のために未来を犠牲にしてちゃ世話無いですよ。

      3
    • no war in UA
    • 2022年 8月 28日

    ちゃんと分散して運ばないとハイマースされるだけ
    もう助からないゾ♡

    20
    • p
    • 2022年 8月 28日

    あれ、トルコさんなんでロシアの兵器素通りさせてるんすかね、、

    27
    • ギャルは無理
    • 2022年 8月 28日

    最初から新型に慣れさせれば、転換訓練の予算も時間も短縮になると思ったんじゃね?
    若しくは古参が新型を嫌ったか。
    ジオンの古参兵が新兵に新型機回したのと一緒だよw
    というか、新型って部品無いから補充できないんだよね?ここで突っ込んじゃうのかぁ。

    4
    • 無題
    • 2022年 8月 28日

    ベテランの戦車兵がもういないから新兵に最新の戦車与えるしかないってことか

    7
    • イワンの馬鹿
    • 2022年 8月 28日

    なんで最精鋭管区のはずの西部軍管区が新兵引っ張り出しているんですかね・・・一から軍団を新編するより第1親衛戦車軍を初めとする精鋭部隊を再編した方がいいんじゃないの?

    10
      • GK
      • 2022年 8月 28日

      西部軍管区、つまりNATO軍精鋭とやり合うはずだった最後の精鋭を差し向けていると…

      ロシアやっぱもう核兵器しかないじゃん

      13
    • ナニガシ
    • 2022年 8月 28日

    偉大なるロシアは、戦争で負けることはない!
    特別軍事作戦で大敗してもな!

    また少数民族から兵士をかき集めたんでしょう。
    兵器の扱いに慣れていても、ロシア人兵士が戦死すると、そのオカンが政府を転覆させちゃうから。

    6
      • 暇人28万号
      • 2022年 8月 29日

      後退ではない!90度反転して前進!

      1
    • NHG
    • 2022年 8月 28日

    この輸送されてる戦車の本来の操縦士はどこいったんだろ?
    新兵に最新型に分類される戦車を割り当ててるってことなら、いままでその戦車に乗ってた乗組員をわざわざ旧式戦車にのせてウクライナに投入してたってことになるから想定に無理があるように思える
    だから第三軍としては新たに編成されたけど、中身はある程度の練度をもった戦車部隊な気がする

    3
      • NATTO
      • 2022年 8月 28日

      ふと思ったけど、タマンスカヤ師団?赤の広場でパレードする部隊は投入しないのかな?
      パレード専門部隊とも言うけど、マトモに走らせられるか怪しいアンちゃん達よりはマシでしょ。

      1
        • 無無
        • 2022年 8月 28日

        見映えのする精鋭部隊って使い道が限られてます、やはり惜しいし、万が一HIMARSの餌食になり壊滅したらロシアの面目丸つぶれですから。
        旧陸軍も、最精鋭の近衛師団を戦地に送るか送らないかですったもんだして、もう1つ近衛師団を新設して片方だけ送るだのややこしい展開してますから

        12
    • AAA
    • 2022年 8月 28日

    まーたジャベリン伝説が上積みされるのか

    5
    • TKT
    • 2022年 8月 28日

    本当に第3軍団というのがあるのかも確実ではなく、本当に経験の浅い兵士が配属されているのかも確実ではないが、もしも本当にT-90Mや、T-80BVで編成された1万5000人くらいの軍団が移動してくるならば、それは当然、野戦の切り札となる機甲軍団ということになるだろう。

    対地攻撃に使われるS-300が数百発準備されて、T-90Mや、T-80BVを装備する機甲軍団が新編成されて、ドネツク州、あるいはザポロジェ州に移動してくるとなれば、これは当然、大攻勢が行われる可能性があるということだろう。

    そのへんで攻勢の目標となりそうなのは、ドネツク州のバフムト、スラビヤンスク、シベルスク、ザポロジェ市、あるいはヘルソン州のミコライウ、クラーケン連隊のいるハルキウなどだが、要塞化された都市などは逆に機甲軍団は迂回するかもしれない。

    あるいはポーランドから供与されたT-72戦車が配備されているウクライナの機械化旅団なども当然、この第3軍団の標的になるかもしれない。

    もしもポーランドから供与されたT-72が全滅してしまうと、いよいよウクライナ軍は素人だけで編成された、機動力のない領土防衛旅団だけという話になりかねない。

    しばらく小競り合いの前哨戦、威力偵察のようなのも続いてきたから、ウクライナの野戦軍、機械化旅団の数少ない主力の残りがどの辺にいるのかは、ロシア軍の方でも見当をつけてきているだろう。

    7
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