小泉進次郎防衛相は3月19日の省内会合で「自衛隊を無人装備品を駆使する世界一の組織に変革する」と述べ、10日に開催された防衛産業参入に関心のあるスタートアップ企業を対象にしたイベントでも「国内で攻撃型ドローンを生産すべき」と示唆した。
参考:小泉防衛相 “攻撃型ドローン 生産保有検討すべき”と考え示す
今の日本に攻撃型ドローンをつくるような企業がないのは防衛省が無人機分野に十分資金を投資していないのが原因
大量の無人機を活用するウクライナとロシアの戦いは「ドローン戦争」と呼ばれて注目を集めており、時事通信は3月13日「防衛省はドローン数千機を活用した沿岸防衛体制シールドの構築を目指している」「シールドは敵艦艇の迎撃や情報収集、レーダーサイト防衛などを担う10種類以上のドローンを組み合わせ、侵攻を試みる敵を多層的に食い止める構想」「同省は2026年度予算案に約1,000億円を計上して27年度中の実現を目指す」と報じた。

出典:防衛省・自衛隊
小泉進次郎防衛相は国家安全保障戦略など安保関連3文書の前倒し改定に向けた3月19日の省内会合で「自衛隊を無人装備品を駆使する世界一の組織に変革する」と述べ、3月27日に国産無人機の大量調達の方策について「企業の予見性が高くなることを考え、政策を具体的に練り上げなければいけない=自衛隊の調達の見通しがないと企業は製造(2024年の国内ドローン生産量は約1,000機)に乗り出せない」と述べ、10日に防衛省で行われた防衛産業参入に関心のあるスタートアップ企業を対象にしたイベントでも「国内で攻撃型ドローンを生産すべき」と示唆した。
小泉防衛相は「ロシアによるウクライナ侵攻の現場では考えられないような早いサイクルでドローンの機能のアップデートが行われ、戦い方が常に更新され続けている」「日本は新たな戦い方を考えなければいけないが今の日本に攻撃型のドローンをつくるような企業は無く、いかに自前で持てるかも真剣に考えなければいけない」と言及し、攻撃型ドローンを国内で生産して保有することを検討すべきという考えを示した格好だ。

出典:UNITED24
日本のテラドローンは「防衛装備品市場への本格参入を決定した」「国際的な防衛アセットの最適供給とロジスティクス網の構築を目的に米国法人のTerra Defense設立をする」と発表し、無人システムのポートフォリオとしてFPVドローン、ロケット型迎撃ドローン、固定翼型迎撃ドローン、ジェットエンジン搭載型迎撃ドローン、偵察用ドローン、無人ボートなどを挙げ、日本、ウクライナ、NATO諸国、米国、その他の市場への段階的な展開を行っていく予定らしいが、現時点でテラドローンは実用化された軍事向けの無人システムを持っていない。
小泉防衛相が言及した攻撃型ドローンはFPVドローンを指しているのか、徘徊型弾薬を指しているのか、自爆型無人機を指しているのかは不明だが、今の日本に攻撃型ドローンをつくるような企業がないのは防衛省が無人機分野に十分資金を投資しないこと、スタートアップ企業からすれば防衛省の説明不足で求めている無人機の要件が分からないこと、そして最大の原因は将来の需要見通しがあまりにも少なすぎること、つまり沿岸防衛体制シールドの無人機需要が「たったの数千機規模」しかないことだろう。

出典:DefendTex 自衛隊初の小型攻撃ドローン
欧米諸国は軍事向け無人機を1度の契約で数万機発注しており、乱暴な言い方をすればシールドの無人機需要=数千機規模など無人機企業1社の2~3ヶ月分の生産量に過ぎず、しかも数千機規模の需要はモジュール型UAV、小型攻撃用UAV I型、小型攻撃用UAV II型、小型攻撃用UAV III型、水上艦発射型UAV、艦載型UAV(小型)、艦艇攻撃用UAV、レーダーサイト防衛用UAV、小型多用途UAV、小型多用途UUVの合計数で、総投資額もたったの1,001億円しかない。
ドイツも10年以上も不毛な議論(武装型無人機の導入)で時間を無駄にしてきたため、他国に比べて無人機のあらゆる分野で遅れをとっていたが、ピストリウス国防相は2025年10月「今後数年間であらゆる種類、あらゆる高度、攻撃用及び防衛用ドローンに100億ユーロ=約1.8兆円を投資する」と表明。

出典:Helsing
ドイツは国内企業から徘徊型弾薬を調達するためヘルシングと2.7億ユーロの契約を締結してHX-2を4,300機、スタークと2.7億ユーロの契約を締結してVirtusを2,200機、ラインメタルと3億ユーロの契約を締結してFV-014を2,500機を1度に発注する予定だが、3社に対する総額8.4億ユーロの投資は初期発注に過ぎず、ヘルシングとスタークと締結した枠組み契約のトップラインは各10億ユーロ、ラインメタルと締結した枠組み契約のトップラインは24億ユーロに設定されているため、3社に対して最大44億ユーロ=約8,200億円を投資するというシグナルになっている。
軍用無人機市場の年平均成長率が今後10年間6.0%後半から7.0%台で推移(2034年の市場規模は300億ドルを突破)すると、商業分野を含めた無人機分野の市場規模は2025年に推定445.4億ドル=約7.1兆円、2026年には推定526.5億ドル=約8.4兆円、2035年には推定2,099億ドル=約33兆円まで成長する予測されており、日本が国内で軍事向け無人機や攻撃型ドローンの生産を立ち上げたいなら、防衛省は無人機分野への投資額を一桁引き上げるべきで、まもなく5類型が廃止されるため無人機産業を「自衛隊需要ビジネス」ではなく「海外輸出を視野に入れたビジネス」として育てるべきだろう。

出典:ACSL
ちなみに、産業ドローン国内大手のACSLは「政府は商用ドローンの国産化を推進する政策を掲げ、現状3%の国産シェアを2030年までに60%弱まで高める目標だが、率直に言って達成はかなり難しい」「商用市場では日本メーカーも欧米メーカーも中国のDJIに押され続けてきた」「当社とDJIとで標準的な機体を比較すると当社が2倍あるいはそれ以上高く、性能面でもDJIのほうが優位だ」「国産やセキュア(安全性)を打ち出して国内シェアを伸ばそうとしてきたが、顧客にDJI製品からの切り替えをお願いすると価格は安く性能は高い、つまりDJI並を求めてくる」と述べ、国内の無人機産業の活路は防衛市場にしかないという。
関連記事:ロシアによる日本への圧力と誘導、ウクライナ製迎撃ドローンとロシア産原油
関連記事:日本企業がウクライナ企業に約16億円を出資、迎撃ドローンのグローバル展開を目指す
関連記事:小泉防衛相、自衛隊を無人装備品を駆使する世界一の組織に変革する
関連記事:日本がウクライナ製攻撃型無人機の自衛隊導入を検討、イスラエル製に代わる選択肢
関連記事:自衛隊初の小型攻撃ドローンにDrone40、取得コストは1機1,000万円超え
※アイキャッチ画像の出典:防衛省・自衛隊



















今まで散々規制掛けたり冷遇しておいて、今更ドローン産業を発展させろなんて身勝手と愚かさが過ぎないか?
左足でブレーキを踏みながら右足でアクセルを踏んでいるようなものですからね。そりゃ、前に進みませんわ。
防衛省は、規制をかけてきた省に対して格下意識が強いのでしょう。「ブレーキを放せ」と言えないんでしょうね。
公明党が連立から出ていく前はマトモにこういう話も無かったからなぁ。
国内実績の無いものに初年度から1000億円は大分攻めた予算案だと思うが…
どちらかと言うとドローン投資は経産省に頑張ってもらいたい、あと総務省、いい加減電波を何とかしろ
ドローンを国内で製造する体制はどんどん整えて欲しい
それと同時に民間での運用ももっと楽に出来るようにしないと、自衛隊だけの需要で食ってくにはドローンは安すぎる
農地や山岳部での法規制を緩めてくれんかなぁ
完成品のドローンを在庫として買うというより、普段は完成品は無いんだが、サーボモータやコンピュータ代わりのiphoneなど、民間在庫があるものは有事に徴発出来る契約にしておいて、すぐ作れない無い部品だけを全国各地に分散在庫保有して、戦時になったら令和8年版レシピ(当年発売のiphone用アプリは開発済み)のドローン、みたいなものを元に全国各地の民間業者が発泡ウレタンとか木材とか3Dプリンタとか様々な素材で機体外枠生産して組み立てて、開戦後30日以内に令和8年型レシピの最新のドローンを政府に購入、みたいな、レシピと戦時急速生産スキームを開発すること自体が、広い意味での対外抑止力になったりしませんかね。完成品買っちゃったら、あとは陳腐化するだけなんで。
ドローンに関しては物流や土木、捜索や救難などいくらでも需要は掘り起こせるので防衛産業としてより無人機全体として考えて欲しいですね。汎用性のあるものでないと数を用意出来ないし。製造会社以前に各所の規制緩和的なもの何とかしないとですね。
しょっぱい予算もさることながら、兵器で商いをすることがまるで悪いことかのように叩いてきた、左の馬鹿共の影響も無視できない
自衛隊や在日米軍に対する妨害工作なんかもそうだが、自国の軍事を邪魔するような輩に対する、国や社会の対応・態度も改める必要がある
何故か軍事関係者に対してだと不当な言動が黙認されてる現状は、法的にも民主主義的にもおかしい
>まもなく5類型が廃止されるため無人機産業を「自衛隊需要ビジネス」ではなく「海外輸出を視野に入れたビジネス」として育てるべきだろ。
これを進める為には国の政策として、政府が具体的な防衛装備移転計画を示さないといけないと思います。
現状、防衛装備移転三原則と5類型廃止があるだけで、輸出を推進する政府方針は全く決まってません。
小泉防衛大臣が懸念を示してもあくまで防衛省止まりの話です。
政府が具体的な防衛装備移転計画を示すことによって各省庁も動き出します。それによって必要な法規制の緩和や法整備が整えられると思いますので、これを早く策定して欲しいですね。
企業側も海外輸出までサポートしてくれるかどうかで、事業計画も変わってくるでしょうからね。