中国の早期警戒管制機を開発してきた技術者達はNATOや米国に追従して「AWCASシステムの分散化」に言及、NATOがE-3廃止を発表したことで登場した「大型AWCAS不要論」は現実のものになる可能性が高くなってきた。
参考:Future AWACS to include multiple platforms: Chinese designers
最低でも「大国間の戦争」で大型AWCASが生き残れないという考え方は今後の主流になるかもしれない
中国の国営通信社「新華社」が主催したセミナーに出席した早期警戒管制機の開発陣は将来の早期警戒管制システムについて「完結した単一プラットフォームではなくネットワークを活用して分散したプラットフォームの集合体になる」と言及して注目を集めている。
KJ-2000の主任設計者であるLu Jun氏(現在は中国工程院の教授)は「将来の航空機は小さな目標、ステルス機、ドローンなどへの対処能力が向上すると思うが個々の航空機の能力だけで勝敗は決しない」と指摘して戦場認識力の拡張=つまり宇宙戦力、航空戦力、海上戦力、地上戦力の全てがネットワークシステムに統合され戦闘効率がより高い方が勝者になると語った。
さらにKJ-500の副設計者であり次世代の早期警戒管制機(AWCAS)開発で主任設計者を務めるCui Jixian氏も「将来のAWCASは単一プラットフォームではなく共同もしくは単独で運用可能なプラットフォーム群を含むネットワークシステムになることは間違いない」と述べており、中国もE-3を廃止して無人機等を活用した分散型の早期警戒管制システムへの移行を模索している米国やNATOと同じ方針を採用してくるつもりなのだろう。
因みに環球時報(Global Times)紙の取材に応じた匿名の関係者によると中国軍内部では次世代の早期警戒管制機について大型機のKJ-2000や小型機のKJ-500のような有人機が良いのか、無人機ベースが良いのか議論が行われており「有人機と無人機のミックスになるかもしれない」と明かしているのが興味深い。
ロシアの長射程迎撃ミサイル戦術(S-400が運用する40N6や戦闘機が運用するR-37M等で価値が高く損耗することを前提にしていないAWCASや空中給油機を遠距離から狙い撃つ=つまり航空支援戦力を前線から後退させる戦術のこと)にいち早く反応したNATOは「2035年までにE-3を廃止して新しいプラットフォームに置き換える」と2019年11月に発表、具体的に新しいプラットフォームが何なのかについては不明だがイェンス・ストルテンベルグ事務総長は「E-3のような大型の早期警戒管制機でなく新しい技術を採用した全く別の手段になる」と説明しているので、恐らく分散型プラットフォームを採用してくる可能性が高いと言われている。
米空軍もロシアの戦術を取り入れ「対空ミサイルの長射程化」を進める中国に対抗するためE-3の早期退役案が浮上しており、NATOと同じ分散型プラットフォームによる擬似AWCASシステム構築が検討されているのだが、これに中国が追従してきたのはロシアや中国に習い米国も「AIM-260 JATM(推定射程200km)」の開発やF/A-18FへのSM-6搭載実験を行っているためだろう。
2年前にNATOがE-3廃止を発表したことで登場した「大型AWCAS不要論」は米国に続き中国も追従してきたので、少なくとも「大国間の戦争」で大型AWCASが生き残れる余地は殆ど残されていないという意味だ。
関連記事:米空軍はF-15EXに特大の空対空ミサイル搭載を検討、米海軍はF/A-18FにSM-6を搭載してテスト中
関連記事:大型の早期警戒管制機は時代遅れ? NATO、2035年までに「E-3 セントリー」廃止
関連記事:空飛ぶスナイパー? ロシアの戦闘機「Su-57」は米軍の航空支配を効果的に破壊する
※アイキャッチ画像の出典:Alert5 / CC BY-SA 4.0 KJ-500
管制は集中してやらないと相当混乱しそうだが、その辺どうなんだろう?
てんでばらばらに指令出してたらアカンし統合して指揮する司令部みたいなのは必要だと思うけど
君の考え方古すぎ
AWACSみたいに単一の戦術ユニットに全機能を集中させるのは、今の時代じゃ非効率なんだって話だよ
もう管制官をAWACSに乗せる必要もないし、デカイレーダーを背負う必要もない
ネットワークにリンクしてもっと前面にでてるステルス機や無人機のレーダーを組み合わせれば、レーダー視程の差はいくらでも縮まるどころか、レンジは伸びるし、
管制官ももっと安全な後方でリモートで管制すりゃいい話だから、損耗リスクも減らせるって話だよ
空自がAWACSではなく、E-2の調達を続けてるのは、AWACS機能の小型分散化をちゃんと読んでるからだよ
一昔前まで、センサーだけ空中に上げて管制はデータリンクで情報集めて地上か、もっと安全な場所で
やればいいって事を書くと、データリンクの情報量的にそんな事は無理だって言われちゃったんだよね
今はデータリンクの情報量が上がってそれも可能になったって事かな
古いかね?
通信妨害もあるし、通信衛星を妨害する衛星もとっくにあるんで
それでも後方から万全な指揮をとれるって根拠は何?
今はもう端末の処理能力上がってるし
妨害されるのが前提ならなおの事システムを分散させなきゃダメでしょ
分散させて処理自体を後方前方区別せずに共有して置けば全体の作的能力が落ちる事もないし、分散の
する強みってそういう事でしょう。
ネットワーク化の最大の利点は中継拠点が複数存在する為、中継拠点が多少消失しても他の中継拠点に迂回させられる事。
そして管制拠点に距離的な制約がない、又は現行より大幅に緩和される事。
衛星通信は勿論、有人機及び無人機を使用して中継を行う訳で、これを物理的に妨害して無効化する事は不可能。と言うか物理的に無効化されたら負けてる。
通信妨害にしても、現行の早期警戒機ですら該当エリアの警戒管制力が低下するのは同じ。かつ、通信妨害は全域に行うものではなく特定エリアに集中的に行うものだと認識してる。ならば通信妨害エリア外からデータ収集を行えば良い訳で、つまり現行の早期警戒機と同程度の能力は確保出来ると、米軍は考えているんだろう。
>君の考え方古すぎ
まあ、この一言は敢えて書かなくても言いたいことは伝えられるでしょう。
例えばネットワークの世界だと、TCP/IPが普及するころ、集権型ネットワークと分散型ネットワークのメリットデメリット比較があって、分散がいいよねという話は、割と既出だったりします。
インターネットはそれで堅牢性があると言われてます。
実現のためには、技術の進歩、コストの低下も関係します。
あらゆる分野で、集権型じゃないとできない、ではなくて、分散型でどうやってできるか、に発想が変わってきてます。
そも、インターネット自体が、冷戦時の分散化した軍事ネットワークの産物
「分散」と一言で言ってもなんとなくゆるふわでつながっていればよいインターネットとは異なり、情報を統合して一つの整合性のとれたビューを生成しないといけないと思われる分散AWACSは極めて極めて極めてハードルが高いと思うよ。
隣のノードの存在をどうやって把握するのか、通信の遅延が発生したときのリトライや情報の補完をどうするのか、ノード間の通信のセキュリティをどうするのか、となりのノードから相反する不整合/古いデータが送られてきた時にどうするのか etc…等、ノード側もそうだし、クライアントから見た時の接続先やフェイルオーバーをどうするのかという問題も付きまとう。
「情報保持するノードを分散させて、利用者から見て、従来と同じように動いて、いい感じに可用性、耐久性が向上する」なんて虫の良い話は100%なくて、複雑さに伴う不具合の多さや、処理の遅延という形で跳ね返ってくるので、「こんなはずじゃなかった」とポシャる可能性も非常に高いと思われ。
分散化すげーぜ派に対する反論として
・効率という一点に絞るならAWACSによる集中管制は分散処理を上回っているのでは?
・通信ノードの能力が確保されている必要ある+後方で管制ってなると相応の帯域を妨害上等な戦時に広いエリアで確保する必要あり。
衛星通信すればーってこれも万能でなく、距離による遅延・スループットの低下、サントランジットによる通信品質の低下は?中露とも衛星そのものを破壊する能力も妨害も実施できるよね。
といった各種問題どうするかねぇ
AWACSといった高価で希少なユニットが長射程AAMで機能し難くなるのでやむなく機能とリスクを分散化せざるを得ないってのが現状だと思うが
個人的にはこれが一番しっくり来た。分散型が優れているというより、ホントは集中させたいけど早期警戒機守るの大変だからあと10年もすれば分散させてもなんとかなるでしょ、っていう消極的な考え方な気もする。
将来的には管制機もステルス化すると思う
候補機はB-21。
レーダーは無人機やステルス戦闘機とのリンクで代替
コンピューターも無人機に分散させて分散処理等で、機外で賄ってしまうかもね
>空自がAWACSではなく、E-2の調達を続けてるのは、AWACS機能の小型分散化をちゃんと読んでるからだよ
それは違うよ。
AWACS(E-767)の製造ラインが閉じてしまい、再生産できなくて現時点でE-2しか選択の余地が無いからだよ。
そもそもE767が製造ラインが閉じてたE-3の代替の特注品だが
もうAWACSにそんな価値がないって意味でしょ
E-767は、E-3の生産終了で選択肢無い中で、特注で作ったAWACS。
当時はAWACSが、E-767を特注してでも欲しかった
いまそんな労力払ってないでしょ
哨戒から戦闘指揮まで、日本ではまだ無理だと思う
P-1早期警戒型に期待
管制は要るんだろうけど、かといって近くを飛んだら撃墜されるので、衛星通信とかで遠隔でやるんだろうな。
とても代替手段でAWACSと同等の見通しが得られるとは思えないので、
E-3が使えた時代には戦場がとてもよく見通せたのに、今では暗闇を懐中電灯で照らして戦う羽目になる、みたいな状況になるんだろう。
君の考え方古すぎ
AWACSみたいに単一の戦術ユニットに全機能を集中させるのは、今の時代じゃ非効率なんだって話だよ
もう管制官をAWACSに乗せる必要もないし、デカイレーダーを背負う必要もない
ネットワークにリンクしてもっと前面にでてるステルス機や無人機のレーダーを組み合わせれば、レーダー視程の差はいくらでも縮まるどころか、レンジは伸びるし、
管制官ももっと安全な後方でリモートで完成すりゃいい話だから、損耗リスクも減らせるって話だよ
空自がAWACSではなく、E-2の調達を続けてるのは、AWACS機能の小型分散化をちゃんと読んでるからだよ
ごめんレスさき間違えた
戦域近くの、しかも遮る物のない高空まで大型レーダーシステムを出張らせられてた今までが特別だったんだろうね
大型機で一カ所に集約するんじゃなくてリモートワークみたいにネットワークを通じて分散させてるでしょうね
レーダーやセンサー積んで索敵担当を無人機、管制担当は地上(あるいは敵のミサイルが届かない後方で専用機を飛ばすとか)みたいに
ロシアの長距離ミサイルにしても、スペック上の射程こそ長いけど最終誘導を支援してもらわないと動いてる目標に命中させるのは難しいからな
将来的には攻撃するにも迎撃するにも索敵担当の無人機の展開が必須になると思う
BADGEシステムの延長で新時代は生き残れそうだな。
早期警戒機はお金が掛かりますからね。
ミサイル撃たれても回避すればいいじゃない、遠距離だったら運動エネルギー死んでるから余裕余裕、の精神で、ロシア様には是非、時代に逆行してTu-160 AWACSを開発して頂きたい。(小並感)
運動エネルギー死んでたら飛んで来ねえだろ。
最近、目標近くでもう一回推力を出すマルチパルスロケットモータってのが研究されてるらしいぞ。
普通ミサイルは常に推力を生じさせてるけど…?
普通の長射程対空ミサイルは、発射後しばらくしか推力出なくて、その後は慣性で飛んでいくの。
なもんで、長射程ミサイルの射程限界近くでは、速度が衰えていて、ターゲットが高機動を行うと、ついていけなくて容易に外れる。
フェニックスミサイルが、爆撃機用とか言われるのは、そのせい。
横からだけど普通のミサイルは燃焼時間数秒で後は初期に稼いだ運動エネルギーで飛んでるよ
AAM系統はじゃない?
パトリオットPAC2でも11.5秒で燃え尽きる。
ロケット打ち上げの燃料タンクのデカさをみれば分かるけど、ロケットエンジンはジェットエンジンよりはるかに燃料表皮速度が速い
もし長時間燃焼させるだけの燃料をミサイルに入れようと思ったら、大型化+高価格化+燃料自体の重量による性能悪化など様々な問題が出てくる
アメリカの早期警戒機はJ-20を120km前後で探知できるけど、中国の空対空ミサイルは射程距離が200km以上ある。
鈍重な早期警戒機では回避できない距離だね。
J20はアメリカの早期警戒機を何km先で検知できるの?
あと、射程距離と精密誘導できる距離は同じなの?
知ってたら教えて。
J-20のレーダーはAN/APG-77(RCS1㎡を約240kmで探知)より探知距離が長いと推定されているので、早期警戒機だったら300km以上で探知できるかもしれませんね。
中国の空対空ミサイルには双方向データリンクシステムやAESAが搭載されているので、射程距離内でしたら精密誘導は可能だと思います。
PL-15 air-to-air missile
リンク
アメリカのAWACSは360度、320kmで探知。(ボーイング資料)
中露の戦闘機は120kmぐらいで探知。(F-35は160km)ミサイルは射程200〜300km。
ぐらいだと思うが、ミサイルは実用性があるのか眉唾。
J-20は、ステルスなんで被探知距離が短いか。
ミサイルの飛距離と精密誘導距離は一緒。途中は座標目指して真っ直ぐに飛んで、最終段階では自分でレーダーを出して探す。
中国版のAWACSを作ってた人達、
やっとできたと思ったら不要と言われて可哀相w
(笑)いきなり不要にはならないにせよ、かなり神経質に運用しないといつ撃墜の憂き目に遭うかわかんない時代になった。
空飛ぶ司令塔という比較的新しい概念すらあっという間に陳腐化するから、技術革新というもんは恐ろしくもある
AWCASシステムの分散化が実用化するのは10年以上先のお話だし、中国版AWACS(KJ-500)は当分の間不要にはならないよ。
また、中国はすでに早期警戒UAVを数種類開発しているので、KJ-500の開発経験がちゃんと活かされている。
今回はAWACSが槍玉に上がっただけで、分散化しきれない高価なユニットが狙われる構図は今後も変わらないと思う
空母もまたしかり
同意。空母は中国北朝鮮の目と鼻の先にある国が持ったところでリスクが大き過ぎて出撃できなさそう。日韓いずれも
それでも中国は一生懸命空母を作ってるんだよなぁ
中国の場合はアメリカに代わる世界の覇権国家になるという明確な目標の下で建造してるようなもんだからね。
日本も中国の空母に対抗していずも型を軽空母に改造しているが、俺個人としては空母よりもミサイルや潜水艦戦力(無人型も含めて)にリソースを割いた方が合理的だと考えているがどうかな?
ヤバいのは、空中給油機に過度に依存して航続距離が短いアメリカのステルス戦闘機。
東シナ海で、F-22が中国軍のSu-27をフルボッコにするが、すり抜けた僅かな中国軍機が空中給油機を撃墜した結果、F-22が全機、燃料切れで墜落するシミュレーション、とっても好き。
センサーとシューターの分離の次は、センサー毛細化とオペレーターの分離か。
次は何だろうね。
スタートレックシリーズに出てくる人類の天敵ボーグみたいに、完全に均質化して情報共有化された集団という概念が軍にも持ち込まれると思うよ
かなり先の話だけど
戦線が成立する理由にそもそも自分たちの部隊は全滅する前提って知らされてないってのがある。
バリア の時代なのさ
子供のころはバリア張れたのにな…
なんの罰もないのに守り切っていた あの日
のちのファクターXである
肉体という脆弱なものは切り捨てるべき、
ということで魂と肉体の分離を
君と親密になったら怪しい集会に連れていかれそぅ
ふむ、分かりやすく言えば今後は既存の早期警戒管制機は姿を消してUAVや戦闘機、艦船や車両のレーダーで得られた情報をAI等で統合・分析・網の目の様に張り巡らせて安全地帯で軍全体を管制していくのが主流になるということですかね?
ドローンや個々の兵士の視覚まで情報として統合されるだろう、いわば攻殻機動隊の世界に入っていく
あえて書いてみるってレベルだけどさ、更に大出力のレーダーと、アンチミサイル・ミサイル搭載みたいな方向はないのだろうか。分散化のメリットは分かるけど、その管理・運用大変さは並大抵じゃないだろう。特に末端のハードウェアを戦闘で混乱している中、隙なく配置するなんざほぼ無理なんじゃと思えるんだが。
その所はAIによる管制でカバーしていくんじゃないんだろうか?
今はまだできないかもしれないけど今後戦闘での管制が分散化されていく頃にはAIの精度も今より向上しているだろうし。
正直イスラエル辺りがもう実現してそうな気もするけどね。
記事にあるように当面は警戒監視型の無人機と有人機という構成になっていくでしょ。
あらゆるセンサ情報を統合処理するなんてのはずっと先ですよ。
それはわからないな。
化学の進歩っていうのは時々予想外な飛躍的前進を遂げる事があるからね。
特に近年の情報を駆使した技術の進歩は目覚ましい発展を遂げ続けているしね。
ひょっとしたら数年後には実現している可能性もあるかもしれない。
問題は、それを先に実現するのが中国なのか米国なのか、
現実的にはこの両者の覇権争い
中国凄い、最強