中国は1990年代に研究・開発が始まった無人潜水艦プログラムの機密を解除、軍からの資金提供によって10年以上前に台湾海峡で実施された水中無人機(UUV)のテスト内容を公開して注目を集めている。
参考:China reveals secret programme of unmanned drone submarines dating back to 1990s
実用的な無人潜水艦を中国が戦力として保有しているとなると台湾海峡での軍事バランスに少なからず影響が出てくる
中国の潜水艦研究で重要な役割を果たしているハルビン工業大学の研究チームは軍が機密解除に応じた水中無人機(UUV)に関する論文を今月2日に発表、2010年12月に台湾海峡で実施されたテストでUUVが自律的に水中の模擬潜水艦を検出して追尾、UUVに搭載された魚雷で攻撃することに成功したと明かした。
研究チームを率いる梁国龙(Liang Guolong)教授によればUUVは事前に設定された哨戒ルート(海面から約10mの水中)を航行、搭載したソナーが音源を捉えるとUUVは自律的にルートを変更して目標(模擬潜水艦)の追尾を開始→異なる角度から目標の音源を収集してAIが敵だと断定→自律的に魚雷を発射して目標に命中させたと説明したが「新しい技術を採用すればUUVは自律的に群れを構成して哨戒することが可能だ」と明かしている。
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出典:Harbin Institute of Technology
但し海中環境が複雑なので教授は「UUVによる哨戒結果を改善するには定期的にソナーを人間が微調整する必要がある」と述べており、さらにUUVに用いられる技術は情報の取得、目標の検出・評価、各種パラメーターの制御など全てのサブシステムが完全に独立した意思決定能力を獲得する必要があるので「従来の潜水艦に採用されていた一部の技術は無人プラットフォームの役にたたない」と指摘しているのが興味深い。
因みに香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は「中国軍による無人潜水艦プログラムは1990年代に研究・開発が始まった」と報じており、ハルビン工業大学の研究チームが発表した論文に登場するテストは2010年12月に実施されたものなので、恐らく中国軍は一定の能力(自律的に行動して検出した目標を攻撃可能)を備えたUUVの実用化に成功しているのだろう。
さらに今回機密の解除に応じてUUVの存在を明かしたのは台湾海峡や南シナ海で対立する米国や同盟国を軍事的に牽制するためだと考えるのが妥当(中国共産党100周年を祝うという側面も)で、仮に実用的な無人潜水艦を中国が戦力として保有しているとなると台湾海峡での軍事バランスに少なからず影響が出てくるはずだ。
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出典:U.S. Navy Photo by Mass Communication Specialist 1st Class Andrea Perez/Released 米海軍の無人海中ドローン部隊を視察する海軍長官
米海軍も複数のUUVや大型で最大航続距離は6,500マイル(約10,400km)=つまり数ヶ月の長期任務に耐えることができる無人水中艇「オルカ/Orca」の開発を進めているが、自律的に目標を検出して攻撃できるタイプのUUV実用化や実戦配備には至っていないため、中国のUUV開発がどこまで進んでいるのかが大きな関心事になるかもしれない。
関連記事:豪州、アタック級潜水艦と平行して超大型水中無人機「オルカ」導入も検討すべき
関連記事:仏タレス、海自の機雷捜索用UUV向けにソナー供給契約を三菱重工と締結
※アイキャッチ画像の出典:ボーイング Orca開発のベースとなるEcho Voyager
中国の潜水艦を誤認識して攻撃してくれないだろうかw
テスト成功と実用化の壁がそこだな
IFFもなく、スクリュー音だけで敵味方を判別して攻撃するのは相当難易度高い
浅い深度に限定して超長波通信でやりとりし続けるか、何か全く新しい技術の開発に成功するかしないと使い物にはならないと思われ
音紋だけでも艦の識別は可能じゃないかな
理想的な環境であればそれは正しいけど、音はとにかく扱いが難しいからねぇ
実際には「音は8割がた〇〇級に一致するけど、××級にも7割くらい一致する」みたいな状況ばっかなわけで
これが敵艦艇しかいないところでの作戦なら、戦時なら民間船舶は立ち入り禁止だしぶっぱなしとけばとりあえず敵に当たるってことになるけど
南シナ海、東シナ海で使う場合は敵も味方も作戦海域に居るわけで
中国のAI技術は世界一と言われているし自国民相手にノウハウも十分積んでいる
その微妙なラインを判断するナニカを発見したのかも知れん
仮にそうだとしたら補助機能として既存の友人艦にも搭載されている可能性もあり、中国艦の凶暴性が増してるとも言える
貴方の言う微妙なラインは、どこまでいっても近似式生成装置の視点ですね
それは弱いAIの話しで、この記事にも出てくる、検出・識別の検出には人間よりも圧倒的に強みを発揮するけど
識別やそこから先の判断に行くにつれ実効性は落ちていくっていう
この掲示板の短いレスで語るのは無理ゲーだけど、あえて詰め込むなら
貴方の想定しているのは強いAIで、実現され得るのは弱いAIとだけ
ハンターキラーは放置して艦船破壊にステータス全振りするんじゃね?
あらかじめ人民解放軍海軍の艦艇が絶対に侵入しない海域を設定→その海域に後方からUUVを大量投下、停泊中の台湾海軍艦船含めて台湾島周辺の艦船を片っ端から撃破→あとは対潜哨戒しつつ艦隊群で台湾島を挟撃しつつ南西諸島やグアム方面にはUUVを大量投下して同様に日米艦船の領域的接近拒否をして時間を稼ぐ、みたいな
WWⅡの頃は海域ごとに区分けしてそこに侵入した潜水艦や艦船は無条件に全部敵って具合に敵味方識別してたわけで、その頃に戻るだけかと
下に魚雷放出型機雷と何が違うん? って指摘あるけど、カバー可能な海域範囲と連続航行時間、何より制海権を確保してない海域(要は戦術的前方)にも投下可能って一点が大きい。自走機雷が地雷の延長に過ぎないのに対して、こっちは敵地侵入能力を有してる、みたいな。本質的に有人潜水艦とは別物って考えた方が良いんじゃねーかと
個人的な感想としては、この情報公開自体は中国周辺の安全保障に首を突っ込み始めてる欧米へのけん制が95割だと思うけど、台湾有事に駆け付ける日米に対する遅滞戦闘用と考えると結構使えそうだな
速攻で片付けないといけない台湾への攻撃はあんまりなさそうだと思うけど
深度10m辺りを巡航するなら超長波信号受信で低RCSのアンテナブイを上げ下げするとか、既存技術でもやり方はありそうです。
そんなの有人潜でパッシプで捉えた潜水艦を敵味方判定して攻撃するのと同じでは?
有人だろうが無人だろうが、水中では音だけが頼りですよ
有人艦艇のソナー担当が廃止されて完全機械化されてからそういうこと言ってくれますか
対抗策として、ドローンや無人艇を無効化するだけでなく乗っ取る事が出来るようにならないかな??
これは台湾有事に予測される西側各国からの支援艦隊への牽制ですね、台湾近海の浅海では中華潜水艦は大きすぎるしうるさいから、小さく静かなUUVで代替したいわけだ。
しかし潜水艦による襲撃作戦に求められるグループ戦法がどの無人艦で程度実用化されるのか、ぜんぜんわかんない
UUVって書くと格好いいけど結局のところ昔からある魚雷射出型機雷とできることが変わらない気がする…
水上艦を追跡できるくらいな速度で動いてたら結局探知リスク高くなるだけだし
待ち伏せにしか使えないんじゃないかな
通常動力の潜水艦だって数ノットしか速度出さないし待ち伏せ限定じゃない。量産できて乗員も不要な週刊潜水艦という体制なったら台湾は中国の庭と化すよ。制空権からして対潜哨戒機を送り込める状況じゃないだろうし。
だからそれが実質自走機雷だという話では
自走機雷なら待機中は有線でデータのやり取りできる、くらいの違いかな。
あれ? 自走機雷よりショボくなってる?
多分実態としてはこれな気がする
> 情報の取得、目標の検出・評価、各種パラメーターの制御など全てのサブシステムが完全に独立した意思決定能力
を備えてるならUAVにも当然その技術が応用されてるというか、先にUAVに段階的に実装されるはずだし
値段はともかく能力的にはごく一般的なUAVしかない中国でUUVだけそんな先進的なものが出来てると考える蓋然性はかなり低い
>水上艦を追跡できるくらいな速度で動いてたら結局探知リスク高くなるだけ
だから無人なんじゃないの?
海峡なんかのボトルネックで迎撃するなら機雷で良いと思いますが、ある程度の広さの海域への侵入を阻止しようとしたらUUVによる哨戒のほうが所要数がはるかに少なくて済むのかなと。
自立哨戒航行(カバー海域が広い)く、有人潜水艦よりはるかに小型(発見が困難)だから魚雷射出型機雷より脅威度は遥かに高いと思う
哨戒ルートを随時変更されるだけでも警戒すべき海域が特定できない、つまり実質全海域を常に警戒する必要性が出てくる(リソースの大量消費)
定点式の魚雷射出型機雷と常に動いているUUVでは対処方法も手間も桁違い
UUVがどうやって味方から命令指示系統の通信手段を得れるのかが肝やね
暗号化技術が進んでいるとは言え、そこを破られると戦況は一変しそう
小型で粛静なぶん、受信可能域まで浮上しても探知されにくいにせよ、基本的には予め入力された作戦やデータからAIが自律的に判断するだろうね、通信はその許可を司令部と双方確認する程度の最小限で
なんか日本はUUVによる攻撃はやらない方針っていつかの新聞記事で読んだような
まぁ普通は攻撃もさせるわな一番危ないんだし
昨年1月付の防衛研究所論文で、攻撃型無人機に関する国際ルール作りの議論に日本も積極関与すべき旨が述べられている。
それまでは攻撃型無人機の保有や研究開発は自重する方針なんだろうと推測されます。
その後安価な攻撃型UAVの戦術的有効性が実戦証明された結果、そんなの無視で保有国が拡大してるんで下手すると国際ルール作りは破綻しかねない状況ですね。
いずれ日本も防衛的装備という名目で表立って研究開始することになるんだろうと思います。
F-X随伴の戦闘型UAVについては実証機開発までのロードマップを策定してるわけですし。
クラスター爆弾や地雷みたく、大国は使用が制限されて、中小国は使い放題ってパターンかな
私はそんな建前は信じない(笑)
いずも型も当初はF35搭載不可な設計だという話が流されていた、この流れね
つーか世界初の複合誘導型追尾上昇機雷なんぞ
実用化・正式採用してる国が何をすっとぼけた事を。
やべえよ…やべえよ…
海上自衛隊も潜水艦乗りが敬遠されるんだし、こういうの作ってよ
人員不足っていう「必要」があるんだから、それに伴う「発明」は自明なんじゃないのか?
共産党のハッタリです。
通常潜でも原潜でも「中の人」がいる以上そう無茶な戦い方はできないけど、無人だと何でもアリになるな
「刺し違えても敵艦を沈めろ」なんて命令も実行出来るわけで
乗員の生命次装置も必要ないから、無人潜水艦の建造コストは安くなりそうだし(頭脳は別だろうけど)
実用化されたら普通に厄介な存在だな
魚雷やミサイルを搭載した自身も自爆兵器、あるね。
標的が巨大な米空母ならばお釣りがくるよ
|゚ー゚||。_。||゚-゚||。_。|ウンウン
その性能がハッタリであろうと確証が無い以上、艦隊行動に制約が出ますから、そこに居るかもしれないと言う疑心暗鬼を抱かせる兵器でしょうね。
何もUUVを開発したからと言って戦線豆乳する必要はない訳ですしYak-38宜しく日米のけん制に使うだけでも、厄介ですよね。目に見えない音波すら真っ直ぐに届かない水中に居るので空母以上に厄介な存在ですよ。
それに潜水艦で運んで戦域とは離れた地域、太平洋沖とかに展開させて嫌がらせに民間船を沈められた日には、海運ガタガタですよね・・・
結局の所、無制限潜水艦作戦で世界の通商路を破壊して、米がぶちぎれて全面戦争って終末ルートになりませんかね?
正直、扱いとしては機雷の延長線上ですし
初めてここにたどり着いついてちょっと戸惑ってる。。。。。
よそではお目にかかれないような内容の記事(?)が沢山あるから当分知識欲を満たすのに困らないぞコレは
ようこそ。
でも重箱の角をほじくるような話はウケないからね
楽しんで
最新の防衛白書にも中国のUUVに対する警戒すべきと言及があり、
かつモジュール型UUVの研究にも触れている。
また、あくまで研究だが.「防衛装備庁 研究開発ビジョン 水中防衛の取組」でググっても
参考資料に当たるよ.
個人的には川重が全樹脂電池を積んだAUV実験してるのが気になってます.
中国海軍はすでに大型UUV(HSU-001 )を運用していますね。
1隻のUUVが指揮艦となって集団で対潜戦や機雷施設などを行えるらしいですが。