中国関連

軍事的圧力を強化する中国、インド方面に第5世代戦闘機「J-20」を配備

インドと国境未確定地域で軍事的対立が続く中国は、遂に第5世代戦闘機J-20を新疆ウイグル自治区に配備したと報じられている。

参考:Chinese Stealth Fighters Head West To Confront India

中国との対立が続くラダックに近い空軍基地で第5世代戦闘機J-20が発見される

今年5月に始まったインドと中国の軍事的対立は6月の大規模な衝突後、話し合いにより両国が軍を撤収させることで合意したと言われているが、現実的には両国とも軍を撤収させるのではなく逆に兵力や装備を増強しあっており国境未確定地域の軍事的対立は4ヶ目に突入している。

出典:public domain インド空軍のラファール

インドはフランスから到着したばかりの戦闘機「ラファール」を中国との対立が続くラダックに近いインド北部のアンバラ空軍基地に配備、フランスから入手した空対空ミサイル「MICA(RF/IR)」とロシアから入手した空対空ミサイル「RVV-SD」をSu-30MKIに統合するため発射テストを繰り返しており、もう間もなくラファールに搭載する長距離空対空ミサイル「ミーティア」も到着する予定で着々と航空戦力のレベルアップを図っている。

補足:MICA RFはアクティブレーダーホーミング式でMICA IRは赤外線画像ホーミング式、RVV-SDは新型のアクティブレーダーとフィン採用したR-77-1の輸出モデルで、インドが過去に入手したRVV-AE(R-77)よりも性能の射程が向上している。インドはSu-30MKIを国内でライセンス生産しており、恐らくロシア側からソースコードを開示されているため国産の空地空ミサイル「アストラ」やイスラエル製の空地空ミサイル「I-Derby ER(パイソン4の派生型)」をSu-30MKIに統合して運用している。

このようにインドは国境未確定地域上空の戦いに新機材を次々と投入してくる中、中国側は目立った増強を行ってこなかったのだが、遂に中国が第5世代戦闘機J-20を新疆ウイグル自治区に移動させているのが確認されたと米国のフォーブスが報じた。

出典:Sunson Guo / Public domain 中国空軍のJ-20

J-20が配備されたのは新疆ウイグル自治区のホータン空軍基地で、少なくとも2機のJ-20が同基地に配備されているのが商業衛星写真で確認されている。この配備が一時的なものなのか長期的な配備になるのは不明だがバンカーではなく滑走路脇に駐機していることから、発見されることを前提(インド側への圧力)にした一時的な配備である可能性が高い。

さらに付け加えればホータン空軍基地は標高が1,400mもあるため空気中の酸素濃度が低く、エンジンの推力が低下するため低地と同じ条件(燃料や武器を満載した状態)では離陸が難しいという運用上の制約があるため、中国はラダックにおけるインド側最大の拠点レーに近いパキスタン領内のスカルドゥ空軍基地に戦闘機「J-10」を配備している。

出典:Peter Hermes Furian / stock.adobe.com

要するにホータン空軍基地は対立が続くラダックに近く輸送機などの大型機運用には使用できても、比較的小型の戦闘機を実用的に運用するのには向いていないため、ここ拠点にJ-20が活動するのは考えにくいという訳だが、第5世代戦闘機を保有していないインド側にとっては無言の圧力として映るだろう。

そもそも中国との軍事的対立が激化する以前のインドでは、中国の第5世代戦闘機J-20は米国と対峙する南シナ海や台湾海峡などに重点配備されるため、当面インド空軍が対峙する中国空軍の戦闘機は第4.5世代機になると想定していたため、ロシアとの第5世代戦闘機共同開発やSu-57調達を真剣には取り組んでこなかった=時間的猶予がまだあると考えていた。

結局、そのツケが今回の軍事的対立で露見してしまった格好で、中国が本気でJ-20を国境未確定地域上空の戦いに投入して圧力を加えれば両国の交渉にも影響を及ぼすことになるが、中国もまだ40機程度しかないJ-20をインド方面に回せば南シナ海や台湾への軍事的圧力が低下するという事情を抱えているため、中国もそこまで思い切った行動を取る事ができない。

そう考えるとインドが最近、米日豪印4ヶ国による軍事演習「マラバール」を強く主張して海から中国への圧力を掛けようと躍起になっていのも納得がいく。要するに印度は海から軍事的な圧力を加えることでインドとの国境沿いに中国の軍事力が集中することを避けようと言う狙いがあるのだろう。

どちらにしても現状ではインドも中国も相手を屈服もしくは軍を引かせるだけの強烈な軍事的決め手(実際に戦うという意味ではない)に掛けており、それが対立を長期化させていると見るべきなのかもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:Sunson Guo / Public domain 中国空軍のJ-20

米海軍、次期戦闘機「F/A-XX」開発プログラムを正式に始動前のページ

東地中海問題でトルコを支持する国が登場、ギリシャはEUに経済制裁を要求次のページ

関連記事

  1. 中国関連

    着実に実力をつける中国の空母戦力、艦載機が夜間空中給油能力を獲得

    中国海軍はバディポッドを使用した夜間空中給油能力を確立することに成功、…

  2. 中国関連

    中国が「日本の野心は誰もが知っている」と批判、敵基地攻撃能力保有を警戒

    陸上配備型の弾道ミサイル防衛システム「イージス・アショア」の配備プロセ…

  3. 中国関連

    中国軍がインドとの国境に兵士1万人以上を動員、一部は既にインド領へ侵入

    中国はインドとの国境沿いに位置するギャルワン渓谷に軍を集結させていると…

  4. 中国関連

    グアム基地が中国製極超音速兵器の射程圏内に、爆撃機にDF-17を搭載して運用中か

    中国空軍は米空軍のグアム島アンダーセン空軍基地を破壊する「新たな手段」…

  5. 中国関連

    海外市場専用機? 中国のステルス無人航空機「CH-7」の開発は順調

    中国が2018年に珠海航空ショーで公開したステルス無人航空機「CH-7…

  6. 中国関連

    中国、駆逐艦の発電能力を4倍に向上させるターボジェネレーター統合

    複数の中国メディアは最近、中国海軍の艦艇に将来搭載される高エネルギー兵…

コメント

    • C H I N A Z I
    • 2020年 8月 19日

    インド頑張れ!!世界にウイルスを拡げて火事場泥棒する中国共産党は人類共通の敵。日米印豪などの連携を強める事で中共による侵略を抑止しましょう!!

    • 匿名
    • 2020年 8月 19日

    Global Times(環球時報)は「通常の訓練の一環で配備されているだけ」とコメントしているがはてさて。

    • 匿名
    • 2020年 8月 19日

    あの辺りで米軍が展開できる基地ってあるんかな?空母以外に。いざとなったらインドが第5世代を取得するんじゃなくてアメリカに頼るんじゃない?

      • 匿名
      • 2020年 8月 19日

      ディエゴ・ガルシア島などはどうでしょう。

        • 匿名
        • 2020年 8月 19日

        ディエゴ・ガルシア島ですか。
        紛争地まで4,700km程度の距離がありますね。

          • 匿名
          • 2020年 8月 20日

          爆撃機なら飛べます。
          そもそも、インド支援ならインド領内の基地使用も許可されるでしょうが…

    • 匿名
    • 2020年 8月 19日

    下手に前線に出すとインドの防空レーダーに探知されるリスクを孕んでいるのでは無かろうか?

    • 匿名
    • 2020年 8月 19日

    そう言えば去年だか、インド空軍のSu30にJ20があっけなく捕捉されて云々って話があったし、先週はJ20はF22に100㎞先からでも捕捉出来るとかってYahooニュースで記事になってたけど一体どうなんだろう?
    まあ前者はレーダーブロッカー付けて訓練してる最中だった、後者は与太話だとして本当はどうなんだ?

      • 匿名
      • 2020年 8月 19日

      その辺りは明瞭にしたくないはずで、馬脚を現す機会は避けるでしょう。

      • 匿名
      • 2020年 8月 19日

      >インド空軍のSu30にJ20があっけなく捕捉されて云々って話があったし、

      現状、インド空軍は捕捉した証拠を提示せず勝手に主張しているだけなので真偽は不明のままだけどね。
      S-400やSu-35でF-22を捕捉・追尾できるという話もあるし、どこまで本当なのかは当事者達にしか分からないよ。

        • 匿名
        • 2020年 8月 20日

        そもそもJ-20が第5世代ってのも中国が勝手に主張してるだけですねぇ
        表に出て来る情報はハッタリに陽動、何やかんや含んでて一般人には計り知れませんねぇ…

      • 匿名
      • 2020年 8月 19日

      F-22のAPG-77はF-35を60kmで捕捉可能と言われていて、F-35のAPG-81の探知距離はAPG-77の三分の二程だから、F-35を40kmで捕捉可能と思われる。

      J-20は第五世代といってもF-35やF-22のように徹底的なRCS値低減を追求した機体設計ではないから、F-35を60kmで捕捉出来るF-22なら、150kmぐらいで探知出来てもおかしくはないよ

        • 匿名
        • 2020年 8月 19日

        軍事研究(2019年10月号)には、距離112kmでF-22はJ-20を探知と書かれていますね(J-20のRCSを0.1㎡とした場合。)
        また、J-20のレーダ(Type 1475)はAPG-77より探知距離が長いとも書かれています。

      • 匿名
      • 2020年 8月 19日

      J-20はステルス性がほとんどなくてレーダーは非力でマッハが出せなかったりして、つまりは第三世代機ということだったとか。

        • 匿名
        • 2020年 8月 19日

        さすがにJ-20はSu-57よりステルス性があって、レーダはAPG-77と同等以上でマッハ1.8まで出せますよ…。

    • 匿名
    • 2020年 8月 19日

    J-20のレドーム形状が変ったね、前よりF-35に近く見えるのでステルス性能も上がっただろう
    湯水のごとく軍事産業に金をぶち込める中国がうらやましい

      • 匿名
      • 2020年 8月 20日

      セッセとハッキングした情報が使われていそう

    • 匿名
    • 2020年 8月 19日

    これってまぁ尖閣を抱えてる日本への圧でもあるんだよなぁ
    やったら(それ以上に)やり返すぞ ってヤツ
    日本の有志議員さん達が行動起こせと内閣側に要求してるようだけども

      • 匿名
      • 2020年 8月 19日

      砲積んだ公船同士が睨みあってる背後に軍艦まで控えてる状況ですからな
      あれだけ増強しても規模じゃ全く対抗できない現状でこっちから状況をエスカレートさせるのは得策じゃなさそうだが
      新コロナから香港問題で欧米の目が厳しくなってることを踏まえての行動なのかねえ

      • 匿名
      • 2020年 8月 20日

      文谷さんが言うとおり、「防衛費を無意味に2倍にするなら中国に屈した方がマシ」が正論なのよ
      たとえ経済を犠牲にし無理やり2倍にしたところで、結局本気の中国の前には蟷螂の斧なんだし

        • 匿名
        • 2020年 8月 20日

        強制収容所で臓器抜かれるのが、待ち遠しいね。

        •  
        • 2020年 8月 20日

        米ソ冷戦時にもこういう頭のおかしい人って居たのかな?

          • 匿名
          • 2020年 8月 20日

          「武装するから他国から警戒される、憲法9条に違反する自衛隊を無くし日米安保を破棄してどの国とも軍事同盟を結ばなければ日本は他国から侵略されない」非武装中立論を本気で唱える愉快な人達はそこそこいたよ。

          • 匿名
          • 2020年 8月 20日

          中国が軍拡しだした20年前→「あんなものはぜーんぜん脅威じゃない。人件費が上がっただけ。心配しすぎ。脅威を煽るな。日本も高度成長期には防衛費が増えたやん。増えたのは大半が人件費。お互い様」
          軍拡が実現した今→「中国は軍事強国。日本は抵抗せず諦めろ」

          パヨクの筋運びが良く分かる例

          • 匿名
          • 2020年 11月 28日

          いましたよ~。
          掃いて捨てるほど。
          その人達はいま医療費1割なんですね。
          3割に引き上げるべきでしょう。

        • 匿名
        • 2020年 8月 20日

        脑袋没问题吧?

        • 匿名
        • 2020年 8月 20日

        つまり文谷は日本に防衛をさせたくないんどという本音がよく分かる話。

    • 匿名
    • 2020年 8月 19日

    中国はあっちこっちに喧嘩売って忙しそうだ
    暇な俺からしたら羨ましい(大嘘)

    • 匿名
    • 2020年 8月 19日

    日本海側に配備される数が減って助かると思いつつ
    他人事ながら喧嘩売りすぎだと思う。

    • 匿名
    • 2020年 8月 19日

    どの程度のステルス性があるのかデータを取って共有して欲しいところ

    • 匿名
    • 2020年 8月 19日

    レーダーに捕捉されるデータ取られるのを恐れてリフレクター付けて行動していたらインドに対する第5世代機投入による威嚇にならない。

    • 匿名
    • 2020年 8月 20日

    チャイナステルスの詳細は不明だが、西側同様のテクノロジーを基にしてるならば、同じくステルス専門の大規模な支援機材が必要なはず、それがたったの二機のためというのをどうとるか
    実は動かせる機体がそれだけという内情か、あるいは政治的ジェスター停まりか、

      • 匿名
      • 2020年 8月 20日

      いや別に現地で整備せんでも、整備済みの機体を出張させて、
      整備が必要になったら帰ればいいだけでは。

        • 匿名
        • 2020年 8月 31日

        中共軍の航空機エンジンは、いつも頭痛の種だけど、J-20は優先的にロシア製を積んでいたんだっけかな。新疆なんて埃っぽいところだから、エンジン整備が欠かせない。壊れそうになったら機体を交換するでしょ。

    • 匿名
    • 2020年 8月 20日

    成る程。150kmで探知はちょっと厳しいのか。
    J-20のレーダーがAPG-77より探知距離が長いなら、F-35との比較ならお互いの被探知距離はほぼ互角かも知れないね

    実際は探知距離以外のセンサー精度等の差でF-35が有利だろうけど、ステルスや機体設計の技術が足りなかったせいで、戦闘機というより爆撃機よりな機体のJ-20でもそれだけの性能があれば、F-35のないインドにはかなりの脅威になるね

    • 匿名
    • 2020年 8月 20日

    でも飛んでるところの確認はされてない?から
    デコイの可能性もあるんじゃないか>ホータン空軍基地のJ-20

    • 匿名
    • 2020年 8月 20日

    中国唯一の同盟国パキスタンの基地を、解放軍側が使えるのは大きいわな。
    一方インドは実質、中パ両軍を相手にする形になる上に、包囲された地形なのはキツイな。

    • 匿名
    • 2020年 8月 20日

    インドに注力してくれるなら有難い。というか日本や周辺国で緩やかに圧をかけるべき。台湾がキッチリアメリカ側に付けばスバイがいなくなればFー35を配備出来るようになる。そうなれば次は中国はそちらにも注目しなくてはならなくなる。更にインドが軍事力を上げていけば日本も楽になる。日本は尖閣だろうか。けど中国に防衛戦力を割かさせるという意味では違うから難しいかな。とりまインドに陸上兵器を売ろう。インドが強い機甲戦力を有すればその分他国へのやっぱり中国の圧は下がる。そうやってゾーンプレスしよう。

    • 匿名
    • 2020年 8月 21日

    でも、インドはロシアとも繋がってたりするから、全面的にアメリカ中心の側には来れないんじゃない?

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
  2. 軍事的雑学

    ようやく本領発揮、世界最強の戦闘機F-22Aが「神の視点」を味方に提供
  3. 軍事的雑学

    空飛ぶスナイパー? ロシアの戦闘機「Su-57」は米軍の航空支配を効果的に破壊す…
  4. 軍事的雑学

    リチウムイオン電池採用艦!日本のそうりゅう型潜水艦11番艦「おうりゅう」就役に世…
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP