英海軍は5月8日のヨーロッパ戦勝記念日(VE Day)を祝うため艦艇に搭載されたサーチライトを使用したイベントを企画したのだが、とても残念な結果に終わってしまったと現地メディアが報じている。
参考:Navy apologises after VE Day anniversary searchlight disappointment
誰ひとり見ることも撮影することも不可能なイベントを開催してしまった英海軍
英国ではヨーロッパ戦勝記念日75周年(5月8日)を祝うイベントが予定されていたのだが新型コロナウイルスの影響で規模を縮小して執り行うことが5月5日に発表された。特に多くの人が集まりやすいイベントは軒並み中止されるなか、英海軍は自宅からでも夜空を見上げることで参加できるサーチライトイベントを午後10時(照射時間は約5分間)にクライド海軍基地で実施すると発表した。
補足:クライド海軍基地は英海軍3大作戦基地の一つでヴァンガード級原子力潜水艦の母港としても有名

出典:public domain クライド海軍基地
このサーチライトイベントとはクライド海軍基地に停泊している艦艇や基地周辺の海上を航行する艦艇に装備されている強力なサーチライトを夜空に照射して勝利を意味する巨大な「V」を描くと言うもので、イベントが行われる海軍基地周辺の住民は指定された午後10時になると家のベランダや庭に出て夜空を見上げたのだが、住民が目にしたのは「V」の字ではなくただの「闇」だったと言う。
当然、イベントを楽しみにしていた住民は失望してクライド海軍基地の電話は鳴り止むことが無く、英海軍は何故サーチライトイベントが予定通り行われなかったのか説明することになったのだが広報担当者の口から語られた事実は目を覆いたくなるほど残念過ぎる。
英海軍の説明によれば、当初午後10時に実施するはずのサーチライトイベントはソーシャルメディアでの拡散効果を考慮して急遽30分繰り上げ午後9時30分に変更したのだが、周知が遅れたため大半の住民が午後10時開始を家の中で待っている間に終わってしまったらしい。
さらに海軍基地の照明が明るすぎて停泊中の艦艇から照射されたサーチライトはインパクトに欠け、海上を航行していた艦艇からのサーチライトは街の明るさにかき消されて認識しづらかったと付け加えた英海軍の広報担当者は「イベントを楽しみにしていた人々を失望させてしまい申し訳なかった」と謝罪した。
要するに、今回行われたサーチライトイベントは誰ひとり見ることも撮影することも不可能という残念過ぎる内容だったのだが、敢えて英海軍の名誉のために言い訳しておくと現在の英国ではヨーロッパ戦勝記念を他国のように祝日に指定したり毎年盛大な式典などを執り行っておらず、今回のようなイベントは節目の年(前回は50周年)だけに限定されているためノウハウ不足だったのだろう。
逆を言えば25年ぶりに祝うヨーロッパ戦勝記念日なのだから、もう少し入念な準備をしておいてもと言うのは酷な要求だろうか?
※アイキャッチ画像の出典:Jason Wells / stock.adobe.com
コロナウイルス蔓延中の最中で、しかも夜間のイベントである以上、何故最初から中止にしなかったのかw