欧州関連

英空母プリンス・オブ・ウェールズ、F-35B運用資格を取得するため米国に向けて出港

英空母プリンス・オブ・ウェールズがポーツマス基地を出港、水漏れ事故で延期されていたF-35B運用資格の取得試験に米東海岸沖で挑むらしい。

参考:Second British carrier heading to U.S. for F-35 trials

無事試験をパスして運用資格を取得すると、英海軍はF-35Bを使用した作戦を2隻の空母で実施できるようになる

ポーツマス海軍基地に停泊中だったクイーン・エリザベス級空母2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ」で海水が機関室に流れ込む事故が2020年10月に発生、英海軍は損傷具合について「軽微」と発表していたが実際の被害は甚大で、艦内の配管が破裂して数千ガロンの海水が機関室に流れ込み電気系統の設備が水没、修理に6ヶ月もかかると判明したため2021年前半に予定されていたF-35B運用資格の取得試験に間に合わなくなってしまった。

出典:Royal Navy / OGL v1.0 クイーン・エリザベス級空母2番艦「プリンス・オブ・ウェールズ(R09)」

事故から復帰したプリンス・オブ・ウェールズではF-35Bの限定的な運用が始まっているが、実戦投入には米東海岸沖で実施するF-35B運用資格を取得する試験をパスする必要があり、プリンス・オブ・ウェールズはポーツマス基地を出港して米国に向かっているらしい。

無事試験をパスしてF-35ジョイント・プログラム・オフィスからF-35B運用資格を取得すると、英海軍はクイーン・エリザベスとプリンス・オブ・ウェールズの両方でF-35Bを使用した作戦を実施できるようになる。

出典:イタリア海軍

因みにF-35Bを運用するため1年以上に及ぶ近代改修を終えたイタリア海軍の空母カヴールも2021年に米東海岸沖で試験に挑み、F-35B運用資格を取得した。

関連記事:頻繁な水漏れ事故に悩む英空母、修理中のプリンス・オブ・ウェールズが5月までに復帰
関連記事:イタリア海軍の空母カヴールがテストを完了、F-35B運用資格を取得

 

※アイキャッチ画像の出典:Royal Navy / OGL v1.0

アゼルバイジャン軍がラチンを掌握、ナゴルノ・カラバフ地域への通行権を管理前のページ

ロシア国防次官、パニックを防ぐためクリミアで発生する爆発の隠蔽を指示か次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    やっぱり主導権争い勃発、独仏主導の第6世代戦闘機「FCAS」は絵に描いた餅か?

    英国主導の第6世代戦闘機「テンペスト」プログラムの前進に焦ったエアバス…

  2. 欧州関連

    西側標準の地位を手に入れたイスラエル、米独に続き英国も主力戦車のAPSに「トロフィー」を選択

    英国防省は24日、アップグレードされた主力戦車「チャレンジャー3」に搭…

  3. 欧州関連

    チェコ大統領、反攻作戦は期待外れで支援国も戦争疲れを感じている

    チェコのパベル大統領は「ウクライナ軍は戦場での優位性を示しておらず、来…

  4. 欧州関連

    ロッキード・マーティン、スイスで勝利したF-35Aをスペインとチェコにも売り込む

    英国のジェーンズは3日、新たに欧州のスペインとチェコでF-35のプロモ…

  5. 欧州関連

    逃げるしか手がないドイツ軍、UAVで敵を発見しても攻撃はダメ

    ドイツ軍は「兵士の命を守ることと画面越しに敵を殺すことの線引は容易では…

  6. 欧州関連

    エアバスがA400Mの正式受注をカザフスタンから獲得、累計受注数は176機に到達

    エアバスは1日、カザフスタンから2機のA400Mを正式に受注したと発表…

コメント

    • 黒丸
    • 2022年 8月 27日

    次は日本の番かな。
    パナマ運河を日本の空母が通るのは史上初かと。

    16
    • 現実主義者
    • 2022年 8月 27日

    イギリス空母とは関係ない話になるけど、日本がいずも型を空母化改修してる事についてずっと思ってた事がある。
    どうせ空母持つならわざわざ面倒な軽空母化改修するよりクイーンエリザベス級レベルの空母を一から作った方がいいんじゃないかと思ってるんだよね。
    搭載できるF35もせいぜい10機程度が限界だろうしむしろUAV空母として改修した方がいいんじゃないだろうかと。
    あくまで素人の意見なのでよろしく。

    1
      • 新・にわかミリオタ
      • 2022年 8月 27日

      本格的な空母保有のための練習艦という意味合いが強いでしょうからね。

      31
      • HAi
      • 2022年 8月 27日

      中国がスクラップ同然だった山東を買ったりインドがヴィクラントやヴィラートを中古で買ったように、特殊な艦種である空母を新設計するには経験や技術的ノウハウの習得が必要だからね
      まさか戦前の経験を参考にするわけにもいかないし、日本も段階を踏んで行く必要がある

      17
        • 全てF-35B
        • 2022年 8月 27日

        山東じゃなくて遼寧ね。
        キエフとミンスクも購入している事前検討は大事だよ。
        日本の次は、おおすみ型代艦だね。

        13
    • 新・にわかミリオタ
    • 2022年 8月 27日

    いずも型も改修が進んでいるようで、もうすぐ艦首等、空母化の全体像が見えそうですね。
    まずは一歩ずつ。
    いずれは本格的な、、、
    その時までは生きていたいものです。

    22
    • 無印
    • 2022年 8月 27日

    イタリア「海軍」のF-35B調達は順調に進むのだろうか
    陸自も真っ青な超少数調達だったはず
    イタリア「空軍」のF-35Bは「カヴールに降ろす気は無いです」とか酷い事を言っていたような…

    5
      • 戦略眼
      • 2022年 8月 27日

      今のイタリア軍に仕事は、無いですからね。
      ISISの時も何かしてたとか、聞かないし。
      ちゃんとハリアー持っているのだけどな。

      4
    • 全てF-35B
    • 2022年 8月 27日

    そういや、いずもの運用試験は、どうなった?
    岩国にアメリカから試験官呼んでやるような話があったが、デマかな?

    3
      • あああ
      • 2022年 8月 29日

      日本が海兵隊のF-35Bで飛行甲板の耐熱テストを行ったのと、東海岸沖で実施する運用資格を取得するテストは別物。

      1
    • o
    • 2022年 8月 28日

    俺は日本が空母を保有する事はどちらかと言うと反対派かなぁ。
    理由としてはこれから台頭するであろう無人兵器と極超音速ミサイルの前では日本が本格的な空母を運用する頃には時代遅れで政治的な砲艦外交程度しか使い道の無い金食い虫の只のデカい的に成り果てている可能性が高いからかな。
    以上として空母より無人兵器と極超音速ミサイルに潜水艦や水上戦闘艦の発展にリソースを集中させるべきだと思う。

    5
      • ネコ歩き
      • 2022年 8月 28日

      日本は島嶼部奪回戦能力強化が戦略的命題です。防衛省が欲しいのは強襲揚陸艦かと。
      小野寺元防衛大臣が在任中に訪米し視察したのはワスプ級強襲揚陸艦マキン・アイランドで、大規模災害支援にも有用なので導入を検討する旨コメントしていました。
      その後の検討状況は分かりませんが、いずも型のF-35B運用能力を含む多機能艦化はその構想に沿ったものでしょう。
      シーレーン防衛が必要としても、海外領土を持たない日本に本格空母が政策上必要か否かは議論のあるところかと思います。

      3
      • δ
      • 2022年 8月 28日

      空母に致命的な損傷を与えられる無人兵器というのが正直想像がつかないな。自爆ドローンなんて大型水上艦相手にはクソの役にも立たないし。
      AEWを有する中国空母と対峙しなければならない限り海自はE-2Dを運用できるQE型みたいな空母を欲し続けると思ってる。空自に護衛艦隊にエアカバーを提供するだけの余裕があるとは到底思えないし。そもそもソ連海軍の超音速ミサイルによる飽和攻撃という迎撃困難な脅威があった冷戦時代かでもアメリカは原子力空母を運用してたんだからそうそう陳腐化しないと思う。

      3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  5. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
PAGE TOP