英国防省は24日、アップグレードされた主力戦車「チャレンジャー3」に搭載するアクティブ防護システム(APS)にイスラエル製の「トロフィー」を選択したと明かした。
参考:Pioneering new technology for Challenger 3 tank
米陸軍のM1エイブラムス、ドイツ陸軍のレオパルト2に続き英陸軍のチャレンジャー3もトロフィーを採用
英陸軍が保有する主力戦車「チャレンジャー2」は1998年に登場して以来一度もメジャーアップグレードを施されていないためNATO加盟国や潜在的な脅威対象のロシアが保有する主力戦車よりも性能が劣っており、特に夜間の交戦能力や英国以外に採用例のない120mmライフル砲、走行中に目標に主砲を発射することを想定していない旧式の射撃管制システムなどチャレンジャー2が劣る点を挙げれば切りがなく、メイ前政権時代のモーダント国防相も「完全に時代遅れ」と認めている。

出典:Alan Wilson / CC BY-SA 2.0 チャレンジャー2
この問題を解消するため英国は8億ポンド/約1,210億円の費用を投じてチャレンジャー3規格と呼ばれるアップグレードを主力戦車「チャレンジャー2」に施すことを決定、今年5月にBAEシステムズとラインメタルの合弁企業「RBSL:Rheinmetall BAE Systems Land」と正式な契約締結したがチャレンジャー3規格の詳細は明らかになっていない。
今のところ判明しているのは120mmライフル砲をラインメタル製120mm滑腔砲「L55A1」へ換装、新しい射撃管制システム、全天候型の光学・赤外線センサー、モジュラー装甲、レーザー警告システム、アクティブ防護システム(APS)の採用位で主砲以外の詳細はよく分かっていなかったのが、英国防省はチャレンジャー3規格のアクティブ防護システム(APS)にイスラエル製の「トロフィー」を選択したと24日に発表して注目を集めている。

出典:NatanFlayer / CC BY-SA 3.0 トロフィーのレーダーと模擬発射器
イスラエルのラファエルが開発したトロフィーシステムは対戦車ミサイル、ロケット弾、HEAT弾等の化学エネルギー弾から装甲戦闘車輌を保護する西側初のアクティブ防護システム(APS)で、その後同種のシステムが西側諸国から複数出てきたが実戦で効果を実証(※)しているのはトロフィーのみだ。
2009年8月にイスラエル国防軍がトロフィーシステムの運用を宣言、2011年3月に同システムを搭載したメルカバMK.IVに対して発射された対戦車ミサイルを阻止することに成功、その後もイスラム原理主義組織ハマスによるロシア製対戦車ミサイル「コンクールス」や対戦車ロケット擲弾「RPG-29」の攻撃を複数回阻止しており、ハマス側は「ほぼ無敵ともいえる移動式プラットフォームの出現で戦い方を修正する必要が出てきた」と証言しているほどトロフィーの効果は高く、米陸軍も最新バージョンの主力戦車M1A2C/SEPv3にトロフィーを採用している。

出典:US Army Photo by Mark Schauer ユマ性能試験場でテスト中のM1A2C
ドイツのラインメタルは独自のAPS「アクティブ・ディフェンス・システム」を開発(採用実績がないので実用化したと言っていいのか不明)したのだが、ドイツ国防省は今年2月にイスラエル側とトロフィー供給に関する契約締結、ひとまずレオパルト2×17輌分のトロフィーを購入して統合する予定で開発企業のラファエルは「ドイツ陸軍が運用する全てのレオパルト2(約330輌)にトロフィーシステムを採用することを期待している」と語ってる。
結局、米国に続きドイツも実戦で実証済みのトロフィーを選択したため西側諸国標準のAPS=トロフィーという認識が確定したと言っても過言ではなく、英国も米独に追従してトロフィーを選択したためラファエル製のAPSの地位はもはや盤石のものになったと言えるだろう。
※トルコのアセルサンが開発したアクティブ防護システム(APS)
但しスウェーデン、トルコ、ウクライナ、南アフリカは独自のAPSを開発して運用しており、当然ロシアや中国も独自のAPSを開発して自国の装甲戦闘車輌に搭載しているのでAPS自体の選択肢はトロフィーだけはないが「米英独の陸軍が実力を認めて採用したAPS」という肩書きは絶大な信頼性を生むため、いずれトロフィー以外は西側製APSは海外市場から駆逐されるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:UK Ministry of Defence
やっぱ実戦で証明されたって謳い文句は強いな
主流や標準になる可能性は高いけど、
他を駆逐はしないんじゃないかな。
生存戦略上、多様化は大事だよ。
防御においては特に。
主砲はロイヤルオードナンスといい、ラインメタルといい多様性皆無だけどな
装甲がそういう流れにならないのは車体や防御配置、重量との兼ね合いってだけだろうし
弾種
無誘導の砲弾・銃弾をいちいち輸入する国なんてあるの?
何の話してんの?
理解できないならレスしなきゃ良いのに
どっちがレスしてるのかも分からないのに絡んでくるなよ。
レオ2もトロフィー採用なの知らんかった。机上の空論じゃなくて実際の攻撃に対処できてるってのは強みだわね。
コンバットプルーフなのが素晴らしい
問題は外交的に買いにくいこと
いっそアメリカあたりでライセンス生産されないものか
実戦でRPGの攻撃を阻止したってのは宣伝文句としては強力だな
トロフィーってちょっとした改修で小型マルチコプターの迎撃普通にできそう
射程が30〜100mらしいからほんとに近距離だけだけど
トロフィーというと何か良いもののように聞こえるけどAPSなんだよな…このネーミングセンスよ
日本も研究段階でAPSやってるけど搭載するのかな?
以前そういう話が出た時は、陸自の戦車は平野部での野戦使用が主な想定だから(歩兵の対戦車ロケット/ミサイルを四方八方から撃たれる状況は少ないし、誘導ミサイルはソフトキル式の防御装置で一定度対処可能なので)大丈夫ですって話だった気がする。でも最近の紛争地帯の映像とか見てると第二世代型の目視誘導ATMで停車中の戦車がふっ飛ばされる事も多いから、海外派遣を考慮するなら一定数の装備はあってもいいと思うわ。
日本が欲しいのは対APSがなされた対戦車火器だと思います
日本の官僚とか壊滅的にネーミングセンス無いからね〜
F-86F「旭光 」F-104J「栄光」とかほとんど黒歴史
「隼」「紫電」「飛龍」うーむ・・・
西側標準のトロフィーをゲットとか、やり込みまくったね(ゲーマー脳)
16MCVもAPS積んだら結構イケそうやな。
逆に積載余裕が全く無いからAPS以外で方法もないんだけどさ。
日本守って、海外派遣されて、米国支援で遠征して、どの任務であろうと戦車砲で撃たれるなんてまずないし。
流れとして空からの攻撃まで防ぐのがデフォになるんじゃないの?それにしてもただでさえ重装甲の戦車にAPS積んで重量増させんだから、どこかで乗員保護を重視した上で装甲減らして帳尻とか合わせないのかね。それこそ理想はT-14が近い感じはする。
トロフィーが標準になるのは良いけど、APFSDS対抗はまだだよね。いつになるんだろう。
ATGMやRPG、戦車砲のHEAT弾への対処はAPSに押し付けて、本体の装甲は対APFSDSに特化させるという方向性もあるようなので、APSの採用で全周囲をERAで固める必要がなくなるのは大きいのではないかなと。
リンク
もう陸上スキミング型ハイドラミサイル開発され すでにいたちごっこ トロフィーでは撃破に失敗とのウクライナでの演習結果 。まあ味方同士の性能バレバレの演習だからでもある。だからハイドラミサイル運用できるバイラクタルTB2に注文殺到するのも当然 MAMは大物片付けてから。