欧州関連

英国、ウクライナに数百発の精密誘導兵器「ブリムストーン」を提供

英国はロシア軍と戦うウクライナ軍を支援するため精密誘導兵器「ブリムストーン」を提供すると報じられており、数週間以内に最初のブリムストーンがウクライナに提供されるらしい。

参考:Brimstone Precision-Guided Missiles Are Headed To Ukraine Within Weeks

地上発射型のブリムストーンでロシア海軍の艦艇を攻撃するには流石に射程が短すぎるだろう

MBDAが開発した精密誘導兵器「ブリムストーン」は長射程の対戦車ミサイルで、航空機やヘリコプターから使用すると12km~20km先の目標を攻撃することが可能だが、地上発射型は母機の速度と高度の恩恵を受けられないため「空中発射型より射程が短い」と指摘されているものの「ミサイル自体が小さく車輌に搭載して分散運用することが出来るため生存性が高い」と評価されている。

出典:Defence Imagery / CC BY-SA 2.0 ブリムストーンを搭載するトーネード

英国のジェームズ・ヒーピー国防閣外大臣は「ブリムストーンをウクライナに数百発提供する、数週間以内に最初のブリムストーンが現地に到着する」と明かしているが、使用用途については政府とメディアで主張が分かれているのが興味深い。

英政府は「ブリムストーンを主に対地攻撃用途に使用して、ウクライナに供与する対艦ミサイルは別途検討中(ハープーン提供が噂されているが公式発表の情報ではない)だ」と主張、しかし英メディアは「ブリムストーンは英国がウクライナに提供を約束していた対艦兵器だ」と報じており、どちらの主張が正しいのかは不明だ。

出典:Duch.seb / CC BY-SA 3.0

英国軍の在庫にハープーンを扱える地上発射用の機器や車輌がないため「ブリムストーンが提供を約束していた対艦兵器だ」と主張している可能性が高いが、沿岸地域からロシア海軍の艦艇を攻撃するには流石に射程が短すぎるだろう。

さらに言えばロシア海軍は巡洋艦モスクワを喪失後、黒海からの巡航ミサイル発射任務はキロ型潜水艦を中心に行っているので対艦ミサイルに加えて「対潜戦の機器」を提供する必要があるのかもしれない。

関連記事:英国のジョンソン首相、ウクライナに対艦ミサイルの提供を約束

 

アイキャッチ画像の出典:Sergeant Laura Bibby / OGL v1.0

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コメント

    • おわふ
    • 2022年 4月 29日

    機動戦が本格化すれば地上戦で使えるかもしれませんが発射母機は?
    これが対艦兵器は苦しいですね。
    上陸阻止に使おうにも、艦砲にアウトレンジされてしまいますね。

    11
    • カマ
    • 2022年 4月 29日

    ウクライナの所有する旧ソビエト製に直ぐに運用できるという話?

    • STIH
    • 2022年 4月 29日

    黒海沿岸部の攻撃は潜水艦からやってるんですね。しかしこんな状況じゃオデーサ攻略なんて夢のまた夢。ほんとモルドバで放火して何をするつもりなんだか。ウクライナのけん制なんでしょうけど、逆にモルドバが参戦してきたらどうするんだか。

    10
    • zerotester
    • 2022年 4月 29日

    >>黒海からの巡航ミサイル発射任務はキロ型潜水艦を中心に行っているので対艦ミサイルに加えて「対潜戦の機器」を提供する必要があるのかもしれない。

    対潜兵器を提供したということにして、めんどうだから西側の潜水艦で沈めてしまいましょう。海の下のことだからバレないし…

    5
      • や、やめろー
      • 2022年 4月 29日

      こんな時こそ静粛性世界一のそうりゅう型を出す時。(絶対無理

      9
        • おわふ
        • 2022年 4月 29日

        トルコが黒海の入り口を通る軍艦を全てブロックしていますからね。
        モスクワの代替艦も入れない。

        8
          • 南極1号
          • 2022年 4月 29日

          そうそう。黒海はなかなか自由に出入りできないのではないか、と思ってました。

          2
      • 幽霊
      • 2022年 4月 29日

      そもそも黒海でロシアとトルコ以外に潜水艦を運用している国はどのくらいあるのでしょう?
      現状黒海につながる海峡はトルコが軍艦の通行を禁止しているので、トルコ以外のNATOやEU加盟国の潜水艦は入れないでしょうし。

      2
        • zerotester
        • 2022年 4月 29日

        戦争が始まったらブロックされるのは分ってるので、前もって米英あたりの潜水艦が入ってないかなと。
        あとトルコと密約があってこっそり通すという可能性もあると思えます。海の下ならバレないので。何かあっても「前からいたんですよ」としらばっくれる。

        4
          • 幽霊
          • 2022年 4月 30日

          トルコと密約があってもこっそり通るのは不可能だと思いますよ?
          水路の水深は浅いところで36M深いところで124Mみたいですから
          しかも軍艦が航行できないだけで民間船舶は航行しているので下手に潜航して航行するとぶつかる可能性も十分あると思います。

          5
          • zerotester
          • 2022年 4月 30日

          関門海峡などもそうですが、狭い海峡は管制所があって船は管制官の指示通りに運行する必要があります。うまいこと誘導できないかなと思うのでした

          2
          • 四凶
          • 2022年 4月 30日

           一度モントルー条約全部よく読んだ方がいいよ、面倒なら12条だけでも良い。それやったら条約ガン無視でトルコ政府への信頼性なんてゼロだしロシア側が馬鹿正直に守る必要すら無くなる。

           どう考えても問題無くすならウクライナ海軍所属にするしか無いだろうし、そんな貴重な戦力を黒海に閉じ込めたままにする事が出来るんだろうか。

          2
    • 労働者
    • 2022年 4月 29日

    黒海上空の制空権が無い状態でも有効な対潜兵器ってあるんでしょうかね?トルコ海軍か、ルーマニア海軍がうっかり魚雷を誤射してくれないかな。。。

    5
      • おわふ
      • 2022年 4月 29日

      対潜ドローンでしょうけど、戦力化しているものがないですね。

      1
      • Vahagn
      • 2022年 4月 29日

      キロ級はカリブルを4発ほど?装填できるんでしたっけ。1回撃ち尽くせばそれはそれって気もしますけどね。
      もちろん、もし撃沈できるんなら、スラヴァ級並みにすごいインパクトがありますけど。

      そういや、アメリカが提供したというUSVは結局何に使ってるんだろう。機雷とか撒けるのかな…。フリート級だったらそれも可能ですが。
      ブリムストーンみたいな射程が短いやつでも、無人艇でなら接近して…もアリに思える。

      陸戦の王者たる戦車が無人機にボコられてる現在、海の世界でもそろそろ大型艦艇や潜水艦が無人艇に沈められるような、エポックメイキングな出来事がどこかで起こるんじゃないかなぁとは予想してるんですけどね。
      中国も駆潜艇としてのUSV研究を盛んにやってますし。

      4
      • ああああ
      • 2022年 5月 01日

      キロ級は公海上で活動していると思われるので、
      NATOが対戦機を飛ばしてレーダーで牽制していれば、
      シュノーケリングを抑制できると思います。

    • Vahagn
    • 2022年 4月 29日

    次はブリムストーンですか。2011年のリビア内戦では、英軍のトーネード攻撃機がこれを連射してカダフィ大佐の戦車部隊を撃破したんですよね。誘導性能の高さとソ連・ロシア製戦車に対する破壊効果は実戦において証明済み。
    全力で、ここで食い止めるぞ、という意志を感じます。ドンバスはさながら戦車のスクラップヤードだな…。

    8
    • 匿名11号
    • 2022年 4月 29日

    潜水艦が相手でも黒海に封じ込められているんだから、「対潜戦の機器」を使わずとも補給で帰港したところを攻撃できればいいんでしょうがね。小型爆弾、対戦車ミサイル程度の直撃でも使い物にならなくなる。

    3
    • zerotester
    • 2022年 4月 30日

    関門海峡などもそうですが、狭い海峡は管制所があって船は管制官の指示通りに運行する必要があります。うまいこと誘導できないかなと思うのでした。

      • zerotester
      • 2022年 4月 30日

      コメントの返事だったのですが、「データベースエラー」が発生して入らないなと思っていたらへんなところに入っていたようです。

      1
    • 58式素人
    • 2022年 4月 30日

    バルト海から黒海に船舶或いは艦船を輸送する方法ですが、ライン〜ドナウ運河がありますね。
    戦争中の現在はどのように機能しているかは判りませんが。
    運河のスペックだけでいえば、水門の長さ190m、幅12m、運河の水深は4.0mです。
    橋などに関わる高さ制限の数字は見つけられていませんが。
    これよりも小さければ、バルト海から黒海に移動が出来る訳です。
    かなりの大きさ(1000tほどのコルベット・500tほどの潜水艦)が可能と思えます。
    もちろん、通過する各国の同意は必要でしょうが。
    キロ級潜水艦対策の一案にならないかと思います。

    2
      • zerotester
      • 2022年 4月 30日

      そういえば運河ありますね。ライン川~運河~ドナウ川で北海から黒海まで抜けらえるという。
      通過する国の許可が必要だとしたらハンガリーがネックになりそうですが、国際河川だから許可いらないのかな?
      やってないということは出来ないのかもしれませんが、ロマンはありますね。

      1
    • 四凶
    • 2022年 4月 30日

    >ブリムストーンは英国がウクライナに提供を約束していた対艦兵器だ
     ブリムストーンは96式多目的誘導弾システムより小型なので炸薬量は少ないはずだし、96式ですら艇相手しか考えていない。「boat」と「ship」の違い、日本語なら「艇」と「艦」の違いを考えると対艦ミサイルかと言われるとなぁ、実際にサイズ的にも大きいシースケアは最初から最後まで対舟艇ミサイルだったよな。ちょっと対艦ミサイルとしては性能不足の感が否めない。

     射程に関しては96式の3基あれば京都をカバー出来る噂が本当で、それから射程を考えると12km以上だけど陸上からの運用ならば使い勝手が悪い感じだよな。

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