ウクライナ軍戦略広報局のウラジミール・フィチョ氏は26日「クピャンスク方面はロシア軍は兵士や装備の損失にも関わらず、防衛ラインを突破してシンキフカに到達することを諦めていない」と述べていたが、視覚的にロシア軍がシンキフカ郊外に到達していることが確認された。
RYBARもDEEP STATEも「ライマン・パーシイに迫っていたウクライナ軍が押し戻された」という部分の見解は一致している
ウクライナ軍戦略広報局のウラジミール・フィチョ氏は26日「ロシア軍は兵士や装備の損失にも関わらずクピャンスク方面での成功を諦めていない。敵は防衛ラインを突破してシンキフカに到達するため我々の脆弱な部分を見つけ出そうとしている」と述べていたが、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARも29日「ロシア軍はライマン・パーシイ付近に接近していた敵を撃退してシンキフカに侵入した。さらにロシア軍はティムコフカ(1987年までオルリャンケの西に存在した集落のこと)~イワニフカ~キスリフカの防衛ラインを切り崩すことも成功した」と報告。
ウクライナ人が運営するDEEP STATEも29日「ロシア軍はシンキフカに足場を築くことに失敗したが、シンキフカに最も近い敵陣地は集落の目前に迫っている。さらにライマン・パーシイに向かうウクライナ軍の試みも様々な理由で後退が続いている」と報告し、シンキフカについての立場は異なるものの「ライマン・パーシイに迫っていたウクライナ軍が押し戻された」という部分の見解は一致している。
さらにシンキフカに関しては新たな視覚的証拠がウクライナ側から登場しており、シンキフカ集落の郊外=Ⓑでウクライナ軍戦車がロシア軍陣地を攻撃する様子、シンキフカの東=Ⓒでウクライナ軍のレオパルト2A5がロシア軍陣地を攻撃する様子を確認でき、恐らく両者の主張はⒷⒸの視覚的証拠が根拠になっているのだろう。
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— Dominik (@99Dominik_) November 28, 2023
因みに「ティムコフカ~イワニフカ~キスリフカの防衛ラインが切り崩された」という言及についてDEEP STATEは触れていないが、これを裏付ける視覚的証拠は見つかっていない。
追記:日本国内でヘルソンの状況(ドニエプル川左岸への上陸)がどう報じられているのか良く知らないが、管理人的に戦況マップを作って取り上げほどの動きや話題がなく、敢えて取り上げるならDEEP STATEが「状況は厳しくクリンキーの橋頭堡を維持する代償は非常に高くついている。戦力的に敵は著しく優勢で橋頭堡を維持できるかどうかは兵士の英雄的行動に掛かっている。このまま支配を拡大できなければ橋頭堡を維持するための英雄的防衛は悲劇に変わるだろう」と警告しているぐらいだ。
ドニエプル川右岸への兵站構築の難しさとロシア軍との戦力格差を考えれば「クリンキーの橋頭堡からクリミアやメリトポリを目指して前進する」というのは夢物語に近く、英国のGuardian紙は西側当局者の話を引用して「ヘルソン左岸に上陸したウクライナ軍に出来るには夏の反攻作戦と同じで『集落単位の漸進的な前進』に留まる可能性が高い」と指摘。
RBC Ukraineのウクライナ人ジャーナリスト(ウリヤーン・ベズパルコ氏)も「ロシア軍は上陸したウクライナ軍の排除に手間取っているが、ウクライナ軍も安定的な兵站を確立できていないためこれ以上の前進を期待するのは難しいだろう。アントノフスキー橋やノーバ・カホフカ水力発電所が破壊されているため橋脚をもつ橋での輸送が出来ない。左岸のウクライナ軍は右岸に展開する砲兵部隊や防空部隊によって支援されており、彼らが今以上の前進を試みれば右岸から提供している支援ゾーンから外れてしまうだろう。そのためウクライナ軍がドニエプル川を渡河してクリミアに向かうというのは不可能だ」と述べている。
勿論、ドニエプル川沿いの状況に大きな変化があったり、根拠のある驚きの作戦解釈が登場すれば必ず取り上げると思うが、個人的に現在の状況で「ドニエプル川右岸からの展開」を過度に持ち上げれば惨めになるだけと思っている。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
ドイツ戦車いつの時代も東部戦線で火消しに追われる運命なのか
ロシアの戦争映画、戦車映画
「ホワイトタイガー」
というのがありましたが、雪の積もる冬の東部戦線でロシア軍の攻勢を阻止するためのレオパルト2A5となるとまさに
「ホワイトレオパルト」
です。なんならレオパルト1でもそうです。
こういう絵は巨匠、小林源文大先生の劇画、故・松本零士大先生の戦場まんが、新谷かおる大先生の戦場ロマンでも何度も見てきましたが、それがいよいよ現実になりつつあります。それもウクライナ軍の劣勢下ではただ悲壮という以外にありません。レオパルト2Aでも十分悲壮ですが、旧式のレオパルト1となるとなおさら悲壮です。
アウディイウカ、バフムトに続いてクピャンスク方面でも露軍が前進を始めましたか。
ドニエプル渡河については現状期待できないのはわかっていたものの、ほんの少しの話題と僅かな領土を得るために兵力が無駄に消耗されているのだとしたらやるせない。
今年は冬も反攻を続けるのだという話は見ましたが、ウクライナ軍が前進するのではなくロシア軍の攻勢が続きそうな状況になってきましたね。
ヘルソンは数百人が散らばって河沿いにいるだけでゲリラ活動のようなものですからね…。現実的には常に監視している地域でこれ以上規模を広げるのは困難極まるでしょう。丁寧な解説ありがとうございました。
クビャンスク方面は都市が協力な防衛拠点でもあってそうそう動かないと思ってましたが、着実に前進するとは。ここまで支援しやすい地域で敗走しているのは前線の兵器不足の現れでしょうか。
未だにウクライナ限界応援団の皆様は反攻作戦が頓挫していないという根拠にドニエプル渡河作戦を持ってくるのでまあそういった意味で作戦の意味はあるんでしょうね。
クピャンスクは本当によくわからない
シンキフカを攻める動きは側面の川向うから砲撃をくらうから不可能だ
ロシア軍にしては珍しく戦術的意図がわからない
ガザ危機でウクライナ向け支援が減ったという話や連日続けられていた空爆など、川向うからの圧力が相当に低下している可能性があったりはしないでしょうか
考えられるとすれば、「クビャンスクへの最短進路を狙うぞ」という陽動ですかね。
結構距離はありますが、イワニフカ、キスリフカから地道に進んで行くのが一応の主攻になるのかと。
ただ、ハリコフ方面全体が「面」として軍勢を配置して、アウディーイウカの主攻を補助することが最大の役割だと思いますので、ぶっちゃけ攻勢もそんなにやる気がないんじゃないかと。無難に安全に、兵士が死ににくい安全策ばっかりとってる印象です。
逆に考えれば 砲撃できる=砲弾を消費させられる ですから、砲弾確保に難を抱えているウクライナへのプレッシャーですかね?
プーチンの目下の目標は併合4州の完全支配で、あわよくばハリコフとオデッサも獲得できれば良いなくらいに考えてるのかな
ようやくイスラエル戦争も落ち着いてきたけど、共和党がウクライナ支援に強硬に反対してるし、このままウクライナは苦しい状況が続くと見込まれる
>>日本国内でヘルソンの状況(ドニエプル川左岸への上陸)がどう報じられているのか良く知らないが
日本の報道はISWがベースだから、ヘルソンの状況についてはロシアにとって悲観的でウクライナにとっては楽観的な分析ですね。
↓
↓
「ロシア軍はヘルソン州東岸(左岸)防衛部隊間に一貫した指揮構造をつくることに明らかに失敗しており、そのことがロシア軍の士気及び戦闘能力を継続的に低下させている。」
DSとISWどちらを信用するかですね。どの情報源にも齟齬がある可能性はありますが、少なくとも重装備は渡せず、大量の人員も無理となれば、東岸の状況が良いものであるとは想像し難いですが…
アメリカでも大本営発表をやるんだな
って感想
まあアメリカは損しないしな
ゼレンスキーの妄想を叶えるために死ぬのはウクライナ兵だし痛くも痒くもないんだろ
ISWこそこの戦争の大本営と言えなくもないですからね
あそこはマイダンを主導したというヌーランド国務次官の弟夫婦が運営しているシンクタンクですから
「ロシア軍は兵士や装備の損失にも関わらず、~を諦めていない」
ウクライナの広報は、直子の代筆でこういうテンプレート用意してんじゃないかってくらい聞き飽きた。
まあISWのロシア軍士気低下報告は開戦以来ずっと言い続けてるから
でもだんだん酷くなってる
その内ウクライナ領内でロシア内戦をするんじゃない ?
ISW, そんなにウクライナに楽観的ですか?
確かにモラル低下の件は本当かなって思いますが、ウクライナ軍がかれこれ2ヶ月ドニプロ川左岸に居着いているのはみなさんも認める事実のようです。ならば、敵前上陸を返り討ちにできなかったロシア軍に何らかの問題があると考えるのはそんなにおかしいことではないと思うのです。ISWはその理由をロシア軍の指揮にあると推定していますが、レポート読むとそれも一応理由だてています。
ヘルソン方面は、本当に理解できないですね。
ロシア軍を拘束するのが目的だとすれば、南部攻勢と同じタイミングでなければ、何の意味もないでしょうし(つまり遅すぎる気がします…)。
アウディーイウカの第47機械化旅団のある中隊は、120名中20名の充足率しかおらず(補充を含めて)、兵数が足りないという報道を見かけました(11月29日に放送BS-TBS「報道1930」,Youtubeは11月30日です)。
補充の兵士はほとんどが40代、2023年6月時点は部隊の平均年齢は30歳未満・20代が一番多く、戦闘経験のない将校が非常に多かった(元47旅団中隊長 ミコラ・メリニク氏、6月の反転攻勢で両足を失い復員)。
第47機械化旅団も、すり潰されていっているように感じます。
東部に援軍を送るべきと思うのですが、ドニエプル側南部を優先する意図がよく分からないですね…。
第47機械化旅団を磨り潰すのもまあ目的の一つにあるでしょうね
精鋭を失うという文句は宣伝文句には最適ですからね
たしかに仰る通りですね。
『精鋭』『士気の高い』ウクライナ軍という、枕詞が飛び交っていましたが、本当なのかなあという気持ちです…。
正直、この第47旅団の配置は懲罰目的だと思いますね。
この部隊、反攻作戦失敗の責任を取らされてるんですよ。
割とウクライナ軍は敗戦した部隊を次の激戦区に投入することをやりますので。
情報ありがとうございます。
作戦失敗の責任を、現場の部隊にとらせて、どうなるんでしょうかね…
部隊再編・再訓練を諦めるなら、練度はドンドン下がっていきそうですね。
ヘルソンの渡河作戦に関しては400人で数万のロシア兵と拮抗、現代の300みたいな話をしてるのを見ましたね
どう考えても重要性が低いから放置されてるだけだと思うんですけど
重要性が低いから放置に加えて、ヘルソン方面はロシア軍からすると補給が難しいので消費を抑えていると思います。
ウクライナが橋頭堡の確保に成功して攻勢をかけたとき用として、消費<補給にしてある程度備蓄したうえでの防衛運用かと。間違っていればすみません。
>無理に攻勢かけるより突出部放棄して
むしろ個人的には逆で、睨み合いばかりの膠着という印象です。
ウクライナ側は9月頃から「クピャンスク方面で近々大攻勢がある」とかなり警戒してましたが、ロシア軍の本命はアウディーイウカで、クピャンスク方面はヘルソンと同様に、軍勢を引き付けるだけの防衛線の一翼であれば十分なのではないかと。
ウクライナ側とて既に精鋭の戦車部隊はアウディーイウカへ送りましたのでこちらに精鋭部隊は置かないはず、ほんの僅かにロシアが前進したとしても特に援軍や部隊の移動はないのではと思います。まあつまりは、どちらも特に何もせずに睨み合いが続くと。
「大きな損失」「成功していない」など
ウ側が抽象的なワードを連呼してる時は
だいたい上手くいってない印象
ヘルソン渡河は本当によくわからないですね。
戦争開始以来、最初に左岸へ侵入したと話が出たのはキンバーン砂州だったかと思います。(特殊部隊がザポリージャ原発に奇襲しようとして失敗した、という話はありましたが)
こちらも当初は何らかの作戦かと注目を集めましたが大した情報が出るでもなくそのまま情報が出なくなりました。
その後、同じく左岸のダチ付近に渡河してこのときも動画が出たり多少話題になりましたが、やはりその後ほとんど話が出なくなりました。
そして今回の渡河は今までに比べると規模が大きいとのことで注目されていましたが、しかし状況を変えるほどではない様子。
正直なところ、これらの動きが何を目指していたのかが全くわかりませんし、専門家からもどういう意図があるのかと明瞭な答えを聞けたことはありません。
ヘルソン渡河はハリコフ方面から少数部隊がロシア側に散発的な侵入をした時と同様の
政治的パフォーマンスだと思います。
中隊に満たない規模の部隊が無理やり取り憑いてきたところで、補給線が通じていないのでは
それ以上の進出は無理でしょう。
(それが有効ならロシア軍も対岸を放棄していない。)
船橋かなんらかの仮設橋が敷設されない限り、ロシア側も事実上無視するのでは無いでしょうか。
ヘルソンのはなしの主軸は、第810独立親衛海軍歩兵旅団の残酷ものがたりだと思う。
ブフレダルでの機甲戦力の壊滅からはじまって・・・中略・・・ヘルソンでの自軍地雷を踏んでの戦車・装甲車の損害やロシアドローンを封じられて目暗ら状態でキルゾーンにはいっての大量虐殺。
そして再度同じやり方の突撃命令には不服従で反抗。。。
合理的作戦とか無関係な感じの報道です。
他の部隊ならもっとマシかもしれませんが、制空権もドローン戦も砲撃戦もロシアが負けているが、河があることでウクライナの前進を食い止めているのではないか。
ヘルソンからクリミヤまで行くという話は報道されていません。
報道では、もっと目先の目標のことを言っています。
河の近くを通る道路をウクライナ勢力圏に置いて、クリンキー以西の兵站を切ることが直近の目標で。
次に河から30メートル押し上げて架橋できる状態にするのが次の目標ではないでしょうか。
その次の話は報道ではでてないですが、黒海の入り口に到達して穀物輸出を楽にすることでしょうか ?
クリミヤなんてその先の先だと思います。
数年先の話で、それを今言っても仕方ないと思う。
ゼレンスキーが煽ったからでしょうけど。
個人的にクリミヤはなしは、ボクシングのビックマウスと同じで、今の時点で、まともにとりあげても意味があるのか疑問に思います。
>次に河から30メートル押し上げて架橋できる状態にするのが次の目標ではないでしょうか。
「30km押し上げる」の誤記でした。
ハイマースがないロシアだと、それだけ確保すると橋が即ピンポイント攻撃できないため。
ネタじゃなくて本気でロシアが射程30キロ以上のミサイル持ってないと思ってるの?
射程じゃなくて、当たるミサイルはないんじゃない。
キンジャールもあんまりだったし。
ロシア軍は、プーチン大統領の発したとされる今年中の
”ノルマ”を達成できるのかな?。
多分、無理と思うけれど。
そのノルマがウクライナ軍にとってプラスに働いていると思う。
砲弾や射撃のキルゾーンにロシア兵が歩いてくるor匍匐前進してくることで、高いキルレシオをウクライナにもたらしてくれていること。
逆にウクライナ側が攻勢する立場なら、こうは行かない。
こんなしょうもない陰謀論でしか盛り上がれないのかウクライナ支持者は
そのノルマ、以前聞いたときは来年の三月でしたが、結構繰り上がりましたね。
プーチン大統領のノルマを発表するのがロシア大統領府ではなくイギリス国防省とウクライナ情報総局が代わりにやってくれるんだよな。
一応通信傍受とかスパイ経由でロシア情報が筒抜けだと言われていて、侵攻前からアメリカがロシアが進行するするいって、ロシアが今なにしているか言い当ててロシアをけん制してた。
それでロシアが思いとどまってほしいとバイデンは思っていたみたいだけど、バイデンアメリカは舐められていたからしょうがない。
スパイ潰しは中国の方が上手なみたいです。