ロシア製防空システム「S-400」導入で「脱米入露」が噂されるトルコだが、これ以上のロシアへの接近は現実的な選択肢ではないという意見がある。
参考:Russian jet fighters not a realistic option for Turkey
トルコがロシア製防空システム「S-400」を導入した真意は?
トルコはロシア製防空システム「S-400」導入の影響で、米国から第5世代戦闘機「F-35A」の調達を停止させられ、F-35プログラム自体からも追放されてしまった。
米国防長官のマーク・エスパー氏によれば、トルコがF-35プログラムに復帰し、F-35Aを再調達するためにはロシア製防空システム「S-400」を国外へ移動させる=完全に放棄することを条件に掲げているため、トルコがF-35Aの代わりをロシアから調達するのではないかと噂されているが、それを裏付けるようにトルコのエルドアン大統領は8月末、ロシアを訪問し第5世代ステルス戦闘機「SU-57」を自ら視察した。
📌Rusya Devlet başkanı Putin ile Cumhurbaşkanı Erdoğan’ın #SU57 incelemesinden görüntüler.pic.twitter.com/jMEgsSJIG9
— International Relations Organization • IRO (@IroTurkey) August 27, 2019
では、トルコは本当にロシアから戦闘機購入に動くのか?米国やNATOとの関係を捨て、ロシアとの関係強化に動くのか?
このような西側メディアの疑問に対し、楽観的・否定的な見方も存在する。
ロシアがトルコに提供できると提示したSU-57は、地上試験機を含めても13機の試作機しかなく入手性については疑問が残り、同じ第5世代戦闘機というカテゴリーに属していても、接近が拒否された空域下で任務を遂行するF-35Aと、ステルス戦闘機迎撃が主な目的の「SU-57」とでは運用方法が異なり、SU-57でF-35Aが行う任務を完全に肩代わりするのは不可能だ。
そのためトルコが、F-35Aの代わりにSU-57を購入することはないという意見や、軍事専門家のトム・クーパー氏は、ロシアのSU-57はトルコの第5世代戦闘機に要求するニーズを満たしていないと指摘し、SU-57の不完全さを批判した。
ロシアは、ソ連崩壊によりウクライナを失い、社会主義体制から資本主義経済への転換過程で低迷した経済の影響で、貴重な軍事技術の人材やノウハウを失った結果、新しいエンジンやアビオニクス開発に支障をきたし、SU-57の中途半端(恐らくステルス技術)な性能は、ロシア防衛産業界が、完全に新しいタイプの戦闘機を開発できなかった産物だと語った。
SU-57が、2010年に公開されてから量産されるまで長い時間を要しているのは、失われた軍事技術やノウハウを再獲得するためで、ここで発生したコストはSU-57プログラムの開発費を圧迫することに繋がり、不足した資金を調達するため、ロシアはインドに対し第5世代戦闘機開発計画(FGFAプログラム)を持ちかけたのだと主張し、SU-57に本来搭載されるはずだったエンジン(恐らくIzdeliye30のこと)の開発は10年遅れていると語った。
要するに不完全なSU-57では、F-35Aの代わりはならないと言いたいのだろう。
ロシアとしても、トルコを取り込むために無条件な支援は行わないと見られている。
技術的な問題に直面しているトルコの第5世代戦闘機「TFX」開発に、ロシアは技術的な支援が可能だと表明はしているが、これはSU-57などロシア製兵器購入とパッケージであることが条件であり、これはロシアがトルコを取り込む見返りに軍事技術を提供し、トルコの防衛産業発展を手助けするつもりはないという意味だ。
トルコにしても、これ以上のロシア接近=ロシア製兵器の購入は、米国にCAATSA制裁(敵対者に対する制裁措置法)を踏み切らせる要因になりかねず、もし制裁が発動すれば、米国企業のエンジンを搭載している攻撃ヘリ「T129 ATAK」など、多くのトルコ製兵器の輸出に影響が出てしまう。
では、なぜトルコはNATO規格との互換性もないロシア製防空システム「S-400」を中途半端に導入したのか?
これは独裁者と批判されることも多いエルドアン大統領の身に、ベネズエラようなシナリオが発生した場合、ロシアからの支援を確保するという政治的理由で導入したという説が報じられており、これ以上、米国との関係を悪化させることはないという見方があるが、もしロシアがエルドアン大統領に支援確保の担保としてロシア製兵器の購入を迫った場合、政治的必需品として購入を決断する可能性も無くはない。
そして最も大きな驚きは、エルドアン大統領がウクライナへ接近したことだ。
現在、トルコへS-400を売りつけたロシアに対抗するため、米国はウクライナに対し軍事援助を行い、非NATO主要同盟国の地位を与える法案を議会に提出した。
これは、ロシアが地中海と黒海の番人であるトルコを取り込むなら、モスクワまで500kmしか離れていないウクライナをNATOに取り込むという脅しだが、最近、トルコとウクライナが防衛機器の開発で協力するというニュースが飛び込んできた。
クリミア半島の問題によって、急激な反ロシア化が進むウクライナに接近したトルコの意図は、恐らくウクライナに残された旧ソ連の遺産である「軍事技術」で、ウクライナから技術を輸入することでトルコの防衛産業に足りない部分を補おうとしているのだろう。
これはロシアにとっても面白いはずがない。
トルコという国を率いるエルドアン大統領は、本当に「食えない相手」だ。
※アイキャッチ画像の出典:Michail / stock.adobe.com
>ウクライナに残された旧ソ連の遺産である「軍事技術」
コレこそがウクライナがロシアに侵攻され、内戦状態へと陥らされた元凶の一つである
無節操に中国などへ技術を流していたので、工業地帯の有る東部を占領して物理的にサプライチェーンを断った訳だ(ロシアもウクライナ製品を手に入れられなくなったが)
結果として内戦勃発移行、軍事技術流失は止まっているらしいとか
・・・・・・もうウクライナはロシアと西側に押さえられて、トルコが望む技術は手に入らない可能性が高い?
思い付き行き当たりばったりを食えないと表現するのはウィットに富んでますね
J-20を売るアル(笑
当分の間ステルスはアメリカ1強で日本がF-3を完成させたら2強になる、中露も英仏も日米以下の機体しか作れないだろう。
そしてT-FXもK-FXも地上から飛び立つ姿を見ることは無いと予言する。
日本はエンジンさえどうにかなれば可能性はあるよね
XF9エンジンの試作は現在のところ順調のようです
ドライ11トン、アフターバーナー15トンの目標推力を軽々と達成し、推力偏向ノズルの試験に入る模様です
……予算がなくて1基しかないので、破損の恐れがある最大推力や耐久性試験は出来ませんが(あくまで実証エンジンの為)
早くF-3開発決定のニュースが流れて、予算が付けば安心出来るのですが
追い詰められているからこそ四方八方へと手を出すわけで、本当は米露とも組まずいいとこ取りができるよう早く無頼で自立したいのだろうけど、とても間に合わないでしょう。
全く関係ないがタイトルの画像カッコいいな
ステルス導入してもまだカッコよさを維持できるロシア機のデザインは優秀
YF23をカッコよくしたようなデザインで外見だけなら第五世代戦闘機最強!