欧州関連

タイフーンかF/A-18か?F-35の復活か?ドイツ、2020年にトーネード後継機選定

ドイツ国防長官のクランプ・カレンバウアー氏は、ドイツ空軍が運用中の戦闘機「トーネード」後継機問題について、2020年中に後継機機種を決定すると明らかにした。

参考:German defense minister wants quick decision on Tornado replacement

2020年中にトーネードの後継機を選ぶと明らかにしたドイツ

ワシントンを訪問中しているドイツのクランプ・カレンバウアー国防長官は、米国のマーク・エスパー国防長官と会談し、複数の問題について話し合ったという。

この会談の中でカレンバウアー国防長官は、独仏主導で開発を進めている第6世代戦闘機「Future Combat Air System(以下、 FCAS)」のために、トーネードの後継機候補からロッキード・マーティン製の第5世代戦闘機「F-35A」を除外したことについてエスパー国防長官と話し合った。

出典:pixabay

ドイツは今年1月、老朽化の激しいトーネードの後継機候補からF-35Aを除外し、ユーロファイター・タイフーンとF/A-18E/Fの中から最終的な後継機を選ぶと発表したが、この両機には、ドイツがNATOの一員として「ニュークリア・シェアリング」の義務を果たすための能力が認証されていないという問題がある。

NATO加盟国の中で核兵器を保有していないドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコは米国と「核兵器共有協定」を締結しており、米国はこの5ヶ国に戦術核兵器を提供し、提供された国は核兵器運搬のための能力を持ち維持することを義務付けられている。

そのためNATO域内で核戦争が勃発した際、この5ヶ国は核拡散防止条約(NPT)体制から脱退し、米国が提供した戦術核兵器の使用権限が与えられている。

ドイツは空軍が保有するトーネード(全機が核兵器運搬能力を持っている訳ではない)で核兵器運搬の能力や義務を果たしているが、ユーロファイター・タイフーンには、そもそも核兵器の運搬能力がないので、新たな費用を掛けて核兵器の運搬能力を付与し、NATOによる能力の認証(実質的には戦術核兵器を提供する米国の認証)を受けなければならない。

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F/A-18E/Fは、米軍の戦術核兵器「B61」の運搬能力を持っているが、ニュークリア・シェアリングの義務を果たすドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコでの採用例がないためNATOによる能力の認証がこれまで行われていないので、これも新たに認証手続きを受けなければならない。

本来なら同じ義務を果たすオランダやベルギー、イタリアが採用したF-35Aをドイツも採用すれば、NATOによる認証手続きを省略できたのだが、ドイツは独仏主導で開発を進めている第6世代戦闘機「FCAS」のためF-35Aを候補から除外、現在、米国に対しユーロファイター・タイフーンやF/A-18E/Fが、この認証手続を受けるため「具体的」には何が必要なのか説明するよう求めている。

補足:独仏主導で開発を進めている第6世代戦闘機「FCAS」のためF-35Aを候補から除外したというのは、恐らくF-35A導入にかかるコストがFCAS開発の妨げにつながるという点と、F-35Aを導入しアップグレードを重ねていけば、第6世代戦闘機と言われるFCASと能力が重複する可能性が高いため、開発意義が揺るぎかねないと判断したからだろう。

結局のところ米国にとってタイフーンは論外としても、既に戦術核兵器「B61」の運搬能力を持っているF/A-18E/Fが、NATOによる核兵器運搬能力の認証を手続きを受けるために何が必要かと言われても、実際の手続きは形式的なものでしかなく、実質的にはF-35Aを押す米国が他機種の導入を認めるかどうかに掛かっている。

出典:public domain

カレンバウアー国防長官はワシントンで記者団に対し、2020年中にトーネードの後継機機種を決定するだろうと明らかにしたが、ロッキード・マーティンはドイツが決定を再考し、トーネードの後継機候補にF-35Aを再び加えることを望んでいると言う。

ドイツは85機のトーネードを更新するため、新しい戦闘機を何機導入するのか明確にはなっていないが、欧州の防衛産業界はタイフーン単独採用もしくは、タイフーンとF/A-18E/Fの両機を採用することを希望しており、この案はドイツ、米国、欧州の3者が妥協できる可能性を秘めた数少ない選択肢かもしれない。

ドイツ空軍のトーネードは核兵器運搬能力を全機が保有しているわけではないので、戦術核兵器「B61」の運搬能力をもつF/A-18E/Fを一部採用することで、NATO(実質的には米国)による核兵器運搬能力認証がクリアできれば、タイフーンを改造してまで核兵器の運用能力を付与する必要がなく、3者が利益を分け合えるという仕組みだが、あまりにも利益が小規模なため米国が納得するかは別問題だ。

ドイツとしても、NATOが定めたGDP比2.0%台の国防費支出問題で、トランプ政権から何度も攻撃されているので、米国からこの問題に対し譲歩を引き出すため、見返りとしてF-35Aの導入を決断する可能性もある。

果たして1年後、トーネードの後継機機種に選ばれているのは、どの戦闘機だろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 9月 25日

    ドイツのニュークリアシェアリングは知ってましたが、ベルギー、イタリア、オランダ、トルコは知りませんでした。為になります
    しかしトルコはよくS400買えたなぁ。もしかして実効性に疑問を持ってるのだろうか。独自に核開発をさせない為の方便だと知ってるのかな。

    • 匿名
    • 2019年 9月 25日

    本命:F-35A
    対抗:F/A-18E/F
    大穴:最後の一機になるまでトーネードを使いきる

    こんな感じでしょうか?

      • 匿名
      • 2019年 9月 25日

      F-35Aはありえません。
      以前、F-35Aが欲しいと言ったドイツ空軍の参謀総長は、クビになりました。
      F-35Aを採用するとフランスとの次期戦闘機開発に参加出来なくなります。

    • 匿名
    • 2019年 9月 25日

    それはドイツがニュークリアシェアリングを辞めない事が前提の考え方かなっと

    ドイツがユーロファイターの導入を強行するのが個人的には本命だと思ってます。

    • 匿名
    • 2019年 9月 26日

    ここでF35に決められる判断力があるなら、今のドイツ軍の体たらくにはなってないお

    • 匿名
    • 2019年 9月 30日

    借金を恐れるあまり財政を縮小し経済規模を落としているのだからGDPの2%という国防費の支出は無理があるだろう。
    それがドイツ人の国民性と言ってしまえばそれまでだが。
    そんな中でF-35Aを導入するというのは形だけでも国防費を増額したと言い訳できるし妥当なラインのように思える。

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