欧州関連

ウクライナ空軍、国境付近にロシア軍が航空機を集結させた事実はない

ウクライナ空軍のイグナト報道官は「ロシア軍が国境付近に航空機を集結させた事実はない。国境付近の200km~700km圏内に存在する基地のロシア軍機(700機以上)は侵攻以来ほとんど変わってない」と明かした。

参考:Атаки “сотни самолетов РФ” на Киев не будет – Воздушные силы ВСУ

MANPADS、IRIS-T、NASAMSなどで防空システムは強化されてるため、ロシア軍機にウクライナの空を簡単には飛ばさせない

米Foreign Policy誌の取材に応じたウクライナ軍関係者は「新たな攻撃に備えてロシア軍は戦車1,800輌、装甲車輌3,950輌、大砲2,700門、多連装ロケットシステム810門、戦闘機400機、ヘルコプター300機を準備している」と明かし、西側の諜報機関も「ロシア軍が国境付近に航空機とヘリコプターを集結している」と、オースティン国防長官も「ロシア軍の地上部隊はかなり消耗しているため航空作戦に切り替えてくるかが焦点だ」と、NATOの外交官も「ロシアは航空作戦の準備をしている。恐らく空からの攻撃でウクライナの防空システムを無効化したいのだろう」と言及していた。

出典:Минобороны России

しかしウクライナ空軍のイグナト報道官は「ロシア軍が国境付近に航空機を集結させた事実はない。国境付近の200km~700km圏内に存在する40の基地に展開するロシア軍機の数(700機以上)は侵攻以来ほとんど変わってない。多くの専門家は何百~何万機という航空機が一斉に襲いかかってくると予想しているが、現在は第二次世界大戦と異なるのでそんな戦い方はありえない」と述べて注目を集めている。

何百~何万機という航空機が一斉に襲いかかってくるという出鱈目な主張を管理人は見かけたことはないが、イグナト報道官が言及した数字=700機以上が真実なら、本格攻勢のため戦闘機400機とヘルコプター300機を集結させたのではなく、もともとウクライナの国境近くに700機以上の航空戦力が展開済みなのだろう。

出典:Soldatnytt/CC BY 2.0 NASAMSランチャー

これを積極的に使用して地上部隊を空から支援する戦術に切り替えるのかは依然として不明(攻勢が始まれば判明する)だが、イグナト報道官は「西側諸国が提供してくれたMANPADS、IRIS-T、NASAMSなどで防空システムは強化されてるため、ロシア軍機にウクライナの空を簡単には飛ばさせない」と断言している。

関連記事:ロシア軍の攻勢用戦力、兵力30万人以上、戦車・装甲車輌5,500輌以上、砲兵装備3,500門以上
関連記事:ロシア軍が航空戦力を準備している理由、ウクライナ軍の予備戦力を叩くのが目的?
関連記事:ロシア軍が国境付近に航空戦力を集結中、ウクライナへの防空システム供給が急務

 

※アイキャッチ画像の出典:Vitaly V. Kuzmin/CC BY SA 4.0

プーチン大統領の年次教書演説、戦争を先に始めたのは西側諸国とウクライナ前のページ

伊首相がキーウを訪問、SAMP/Tを含むウクライナ支援パッケージを発表次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ロシアを刺激したくないドイツ、ウクライナへの榴弾砲輸出に必要な許可発行を拒否

    米メディアのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は21日、ドイ…

  2. 欧州関連

    英国、ウクライナに提供したAS90の代替品としてArcher取得を発表

    英国がウクライナに提供したAS90のギャップを埋めるため「Archer…

  3. 欧州関連

    北朝鮮の猛反発も影響? 空母クイーン・エリザベスの韓国訪問中止はデルタ型の感染拡大が原因

    韓国国内の新型コロナウイルス感染状況や北朝鮮の反発を理由に「英海軍は空…

  4. 欧州関連

    トルコ、開発中のジェット無人戦闘機「MIUS」は亜音速と超音速の2種類を量産予定

    バイラクタルTB2の開発・製造を手掛けるBaykarは「ジェット無人戦…

  5. 欧州関連

    駐英ウ大使はチャレンジー2が28輌に増えると主張、英国防省は否定

    駐英ウクライナ大使のプリスタイコ氏はRadio Libertyの取材に…

コメント

    • 774rr
    • 2023年 2月 22日

    > ロシア軍機にウクライナの空を簡単には飛ばさせない
    凄い自信!

    実際の所どうなるかは今週中には?判明するんやろうけど
    巧くロシア軍を撃退出来る事を願ふ

    15
      • 名無しさん
      • 2023年 2月 22日

      ウクライナ空軍は以前から割とハッキリと「出来ることは出来る、出来ない事は出来ない」と明言してきたので、ある程度根拠のある発言なのでしょうね。
      個人的な見解ですが、ウクライナ空軍は広い国土を限られた防空システムでカバーするのは無理だと認識していて、ドローンや巡航ミサイルで都市部をすべて防衛するのは無理だと考えているようですが、ロシア空軍がウクライナの防空システムそのものを攻撃してきたら、こちらは十分な準備をもって迎撃する自信はあるという事ではないかと思います。

      9
    • hogehoge
    • 2023年 2月 22日

    米軍だとSEAD作戦してレーダーやSAMの破壊で航空優勢を確保・・・・ってなるけど、ロシアは米軍のようなSEAD出来る作戦機や対レーダーミサイルの存在が微妙だからなぁ。
    ウクライナは現状だと数が居ないからと否定捨てるけど、逆にロシアは数でゴリ押しするという戦術しかないように思うので、NATOの言うようなことも油断しない方がいいんじゃないかと。

    12
      • 投石器
      • 2023年 2月 22日

      そこですよね
      例え無謀でも限られた選択肢として、核抜きで早急に戦況を変えられるとしたら、防空網を飽和させる大規模空爆による防空網破壊の強行→満ち足りた航空支援の下で地上軍大攻勢、ぐらいしか手がなさそう。そしてプーチンならやり兼ねないな、という

      安価なドローンや気球による対空ミサイルの消耗誘導を続け、将来的に航空支援を本格化する方が無難だとが思いますが、これだとワグネルの指揮官が言うように「ドネツク制圧だけでも1〜2年半程かかる」でしょうね

      2
    • ブルーピーコック
    • 2023年 2月 22日

    仮に数百機も飛ばせたとして、ロシア軍は適切に管制できるのか

    8
      • ヤゾフ
      • 2023年 2月 22日

      管制機やそもそも搭載するミサイルの問題も出そうです。Mig-31からの長距離ミサイル攻撃以外に適切にSEADや航空攻撃出来てない印象です。

      4
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP