複雑な国際関係を分析して評価を行うModern Diplomacyは1日、欧州は独立から30年が経過しても単一国家の形成に失敗したウクライナについて自問すべきだと興味深い主張を発表した。
参考:A proud “Shield of Europe” or just a buffer zone for NATO
一つだけハッキリしていることは私たちのポケットの中身で養わければならない盾は全く必要としていないということ
NATOはソ連から独立した東欧州の国々に期待を寄せていたためNATOは1994年に東欧の14ヶ国と正式加盟に向けた準備段階として平和のためのパートナーシップ(PfP)協定を締結、2009年までにPfPを締結した13ヶ国がNATOに正式な加盟国として迎えられたが、同時期にPfP協定を締結したウクライナのみNATO加盟が実現していない。
独立当初のウクライナはコソボ紛争に対するNATOの作戦に協力するなど親欧州への姿勢を見せたが、それからの27年間は崩壊した経済、腐敗した政府、曖昧な外交政策などによって国民は分断され混乱を来し親ロシア勢力が一方的に独立を主張するドンバス地方、混乱に乗じてロシアに奪われてしまったクリミア半島を取り戻すことも出来ず、Modern Diplomacyは「米国も欧州もウクライナの防衛能力に疑問を投げかけている」と主張している。
つまりGDP比1.0%後半で推移していたウクライナの国防予算はクリミア危機やウクライナ東部紛争を契機に上昇、現在ではGDP比5.0%以上を国防予算に投入しており、これに欧米からの少なくない軍事支援を加味すると強大な軍事力を手に入れていても不思議ではなく、強力な力をもつウクライナのNATO正式加盟は歓迎すべきイベントになるはずだった。
しかしウクライナのNATO正式加盟は今だに実現していない。
Modern Diplomacyは「この国の政治家にとって軍需物資の横流しは簡単に稼げる収入源でしかなく、政権が交代しても脈々と受け継がれてきた悪習のため国防予算の増額はウクライナ軍の強化に直結しておらず、欧米からの軍事援助も気がつけば第3国に転売されてまう有様だ」と語り、このような問題に目を向けないままNATO加盟を要求し続けるゼレンスキー大統領にNATOのストルテンベルグ事務総長は「いつの日かウクライナはNATOの一員になるだろうが、これは一夜にして実現できるわけではない」と声明を発表、しかしゼレンスキー大統領は都合の悪い部分は伏せて国民に「NATOの早期加盟は実現する」と言いふらしてしまう。
つまりストルテンベルグ事務総長は「国内問題や軍需物資の横流しを取り締まってNATO加盟国にふさわしい体制を作らなければ加盟の日は永遠に来ない」と言っているのにゼレンスキー大統領は事務総長の声明の後半部分を無視して「NATOの早期加盟は実現する」と言いふらし、さらにウクライナの保守派は欧州向けには「ウクライナはロシアの脅威から欧州を守るための盾だ」とアピールし始めたが、これについてModern Diplomacyは「なぜロシアが欧州全土を侵略するだろうと考えるのか?パイプラインを利用した天然ガスの供給で欧州に脅すという発想もプロパガンダに過ぎない」と疑問を投げかけている。
このようなウクライナのプロパガンダこそが欧州に多大なダメージを与えているとModern Diplomacyは主張しており、ウクライナ人は経済的な問題のため欧州にパイプライン保護(ウクライナ経由で供給うける天然ガスの契約を更新するよう要求している点)を求め、ロシアが自分達に支払うパイプライン使用料についても引き上げるよう交渉してくれと言い出し、同時に新たなロシア制裁も実施して欲しいとまで言っている。
それにも関わらずウクライナの政治家達はロシアを連日侮辱しながら影では汚職にまみれ、ロシアを挑発し続ける国内の極右勢力を放置しているため「欧州にとってウクライナはロシアの脅威から守るための盾ではなく、ウクライナこそが欧州の安全保障を脅かし欧州の財政にダメージを与え続ける張本人だ」と指摘、NATO加盟が実現していないウクライナは保護対象ではなく自分たちが欧州に期待されている役割りは「盾ではなく欧州とロシアの緩衝地帯だ」と言い切っているのが非常に興味深い。
ただModern Diplomacyは「欧州とロシアの間に緩衝地帯が本当に必要なのかも疑問だが、一つだけハッキリしていることは私たちのポケットの中身で養わければならない盾は全く必要としていないということだ」と付け加えており、同時期にPfP協定を締結したウクライナを除く東欧諸国がNATO加盟国に迎えられ「なぜウクライナだけが加盟国になれないのかよく考えろ」と言いたいのだろう。
Modern Diplomacyの分析が必ずしも正しい訳ではないが、ここまで欧州の識者がウクライナを手厳しく責めるとは思っても見なかったので非常に驚いている。
やはり極東の島国から眺めるだけでは東欧諸国の諸事情は本当に掴みづらい。
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※アイキャッチ画像の出典:Ministry of Defense of Ukraine / CC BY 4.0 ウクライナ軍の演習風景
原発を爆発させてしまうような国は衰退するしかないのか
耳が痛い話だなおい
ぶっちゃけ福島原発のは金をケチって想定されていた災害を意図的に軽視し、対策を安く済ませ、事故後も海水冷却に待ったをかけていた東電上層部による人災だからなぁ
ただその反面、福島原発の近くにあり、安全性を重視して海抜から高いところに建て、約13mの津波の直撃をくらったのにも関わらず最後まで持ちこたえ、一時は避難所として機能していた女川原発があったのもまた事実なわけで
結局はどういう人間がどういう立場にいるかということなんだよな
何を根拠にそう思うのですか?
確かに衰退しきってしまったな
ソ連は
あれはソ連(現ロシア)管轄だったのですがそれは
> 欧米からの軍事援助も気がつけば第3国に転売されてまう有様だ
ウクライナに行けば軍の装備が買えるんですか!?
ニコラスケイジが買いに行ってたな
まぁウクライナは地政学的に気の毒な場所だよな。
ベラルーシはクソッタレで、トルコは独り善がりで、
モルドバ、ルーマニア、ハンガリー、スロバキアは弱小。
頼れそうなのが外征能力の低いポーランドぐらいという残念さ。
内政問題どうのこうのって言われても、それが解決したところで無理がある。
そして天然の障壁もドナウ川程度しかなく、だだっ広い平地という・・・
そんなところで西部と東部ではっきりと考え方が違うんだから面白いっちゃ面白い。
NATO的にはむしろこのまま、EUとロシアの境界線がウクライナ国内にあったほうが好都合じゃないか?
まあそれでウクライナ国民が闇落ちして全方位で暴れ出すかもしれんが。
それを「緩衝地帯」と表現してるのでは。
朝鮮半島かな?
原因と結果が逆では? 国家の方向性を独立当初打ち出せず、資本主義の果実である富は偏在し、貧しいものは貧しいママ。その結果がロシア系住民の暴走に繋がったんじゃないですかね。
貧しさは宗教と懐古主義の温床ですよ
なるほど、東欧諸国は脱共産主義を果たしたのは良かったけど、軒並み不景気に悩まされてるから。そんな中で国家の方向性を打ち出せなかったのは、確かにウクライナだけかもしれないね。
うん。大人しくロシアに付くのが一番無難な路線過ぎて草も生えない。
でもロシアというより、ソ連(さらに言えばスターリン)に飢餓輸出させられて、養分にされてるからね。そりゃ恨み骨髄でしょ。
ソ連時代の恨みがあるにしろ、いろいろやりすぎというかヤバいムーブかましすぎてて誰からも信用されてない節がある。
強引なクリミア占領も元を辿れば、ソ連崩壊時のウクライナによるロシア海軍艦艇の合意分を越えた強制接収から来る不信感があるのではないだろうかと思っている。
いや、クリミア半島は元を辿ればロシア領なだけだよ
いや、クリミア半島は元を辿ればトルコ領だがね
そんなこと言ったらトルコ前だったあるでしょ。意味ないレス止めて。
そうそうロシアに元の領土とか意味ない
北方領土しかり
オレンジ革命とかやってた頃にEUがちゃんとウクライナ側の親欧米勢力と協調できてれば、今のような劣化ソ連のごときウクライナではなく、ポーランドくらいには開けた国になってたんじゃないかな。
それに緩衝地帯と気軽に言うけど、ウクライナはEUが見放したらベラルーシのような露の黙認で成立する独裁国家か、北朝鮮のような世界の全てに歯向かう軍事国家になるしかないだろう。EUは気にもとめてないかもしれないけど、北朝鮮に戦略ミサイルやその他の大量破壊兵器の技術を売ったのはウクライナだしな。万が一ウクライナが親露化してしまったら、その時露と正対するハンガリーやスロバキアに今ポーランドがやっているような負担を強いれるとは思えないし、雪崩を打ったようにEUの境界が削り取られていく可能性もあるぞ。
それ以前から、ウクライナは東部と西部で親露と親EUがはっきり別れていて、それをなんとか選挙で繋ぎ止めていた節がある。それがはっきりしないといわれる所以何でしょうけど、この間の親露派大統領のデモによる退陣が原因で東部西部が分裂してしまった。
そりゃEUは積極的に関与し協調しようにも、地域対立が深すぎてどうしようもなかったのでは、と思う。
ウクライナは、政治家に限らず、あらゆるシーンで腐敗にまみれている。
さすがのEUも我慢の限度に至るほどの腐臭を垂れ流しているのだろう。
カネで簡単に靡くのだから、いろんな国が手を突っ込んでくるのも当然か。
ウクライナはそのうちロシアに完全に併呑されてしまうような気がする
ソ連時代の圧政の記憶から、ウクライナの反ロシア感情はすさまじいから
併合したらウクライナは民族間の内戦状態に陥るし、そんな西側につけこまれるような失政をプーチンはやらない
NATOがウクライナと距離を置いてくれたら満足するよ、問題はそっちのほうだから
もともと民族分布に逆らうように行政区画を配置し
その区画のままで独立したら即民族問題に火がつくように仕組まれてる
単にまんまと罠にかかっただけのことなのね
なお発案者のブリテンさんェ・・・
クリミアといい、ナゴルノカラバフといい、大体スターリンの置き土産()だな
クリミアをウクライナにあげたのはフルシチョフだけどな。
やっぱね、民族自決とか煽っちゃだめだったんだよ。中東はオスマントルコ、中欧はオーストリア、東欧はロシア、北欧はスウェーデンに統一させて国の数は減らすべきだったな。
東欧事情に詳しくはないから間違ってるかもしれんが、ウクライナのNATO加盟を認めない理由に、ウクライナが腐敗しててポッケナイナイが横行しているというのもあるだろうけど、資源のロシア依存が進んでいて強気に出られないからじゃないのかと思う。それで止められたらまずいだろうし。
EUの存在意義って何だろう?
ドイツとフランスが戦争し合わないことですかね…存在意義
そもそもソビエト解体のときに核を手放したのがウクライナの失敗だった。
チェルノブイリ事故があったとしても、ウクライナが独立するなら核を手放すべきでなかった。
でも、核を持っててもどうしようもない案件では?
西部と東部の対立は昔っからで、記事中にもあるように国家意識の統合に失敗してる以上、核で脅す対象が選挙のたびに変わるという、北朝鮮以上の極めてヤバイ国になってるか、そのヤバさゆえEUとロシアの介入を受けて、今現在のように分裂させられてるのではないか?
トルコあたりが近くそのポジになりそう
トルコはないんじゃない?国域と民族が比較的一致してるから、エルドレアン政権が倒れても現在のトルコの領域が変わることはなさそうだが。
せいぜいクルド人が独立するくらい?
けど核持ったままだと孤立して下手すりゃ北朝鮮みたいなことになっていたかもしれんからなぁ
日本から見た朝鮮半島と同じなのかな
盾になりはしないが中国ロシア側になられても面倒
緩衝地帯としてなら役に立つ…というかそれしか役に立たない
緩衝地帯として考えたとき、西側にとっては韓国は小中華思想がかなり問題ではあるが、米軍基地もあり国民の対米感情も良い方だから、まだ助かってるね。
それしようとして、うまく行かなかった国がありますが•••。
そりゃ緩衝国扱いなんて当事者からしたらたまったもんじゃないからね。
韓国にしても北朝鮮にしても、緩衝国としての価値を最大限活かしつつ、勢力拡大を目指してるから、たくましいわな。
なんの安全保障も得られない緩衝地帯の役割なんぞ担いたい国はないわ・・・
ましてやウクライナは緩衝地帯にするにはロシアにとって散々搾取してきた魅力的すぎる土地だろ
陣営の狭間にあって緩衝地帯が嫌なら
向きを決めて一枚板の盾になるしかないんだよ。
ウクライナの未来を占ってみた
う、暗いな
メドベージェフくん!Tu-160M22機さしあげて!
そんなこと言ってる欧州自体、アメリカのための外壁であることを思い出した方がいいと思うぞ
そこは十分分かってるだろう。
おそらくウクライナの大半が失陥する様な事態になればNATOは全力で介入する。
ウクライナの国土の半分を焦土にしてでもロシアを食い止めるだろう。
加盟国ではないウクライナへのロシアによる侵攻にNATOが全力介入など有り得んでしょ。
だからこそ緩衝地帯呼ばわりされてるわけで。
介入するとしてもロシアもその一員であるPfPの枠組みででしょうね。
緩衝地帯って・・・・・・
有事になるか、小競り合いで済むのかはしらないけれど
損害は容認できるエリアってことでしょ
それ、紛争当事者同士ならともかく
他所の国から、そんな認定されてもなあ
だったらもっとカネ出せやって逆に言われてもしかたねえべ?
どっちもどっちのクズなんじゃないのか
それ逆
ウクライナが自国防衛できるようNATOがそのための金と武器を自分らの財布から出していて、それでちゃんと自国防衛できるようにしていたらNATOに加盟させる予定だった
けど肝心のウクライナが一向にそれを対露自国防衛に使わず、横流ししまくっているからいい加減にしろと切れられたのが今回の話
盾なんだからしっかりしろっていうのならわかる
盾なら抜かれると本体がたいへんなことになるので、みんなで支える
しかし、おまえらは盾じゃなく緩衝地帯なんだよって言ってしまうのはどうなんだろう
ただでさえ横流ししてるような連中がそれでやる気になるかな?
>それにも関わらずウクライナの政治家達はロシアを連日侮辱しながら影では汚職にまみれ、ロシアを挑発し続ける国内の極右勢力を放置しているため「欧州にとってウクライナはロシアの脅威から守るための盾ではなく、ウクライナこそが欧州の安全保障を脅かし欧州の財政にダメージを与え続ける張本人だ」と指摘、NATO加盟が実現していないウクライナは保護対象ではなく自分たちが欧州に期待されている役割りは「盾ではなく欧州とロシアの緩衝地帯だ」と言い切っているのが非常に興味深い。
NATOが金と兵器提供している間にそれを横流しせず、きちんと対露に備えた軍備を整えていたらNATO入りできていたし、当のNATOもそれを期待して今までずっと金と武器兵器を自分の財布から提供してきたんよ
けどウクライナがそれをずっと本来の目的に使わず、好きに使える他人の財布代わりにしてきたからNATOに加盟させない(有事の際は守らない)というプレッシャーを与えてきた。けどそれでもあいかわらず汚職を正さずNATOを財布代わりにしてきたから、もうNATOに加盟させないどころか金や武器兵器を提供するのもやめるぞという話が出てきた
経済でロシアに牛耳られてるウクライナにEUは何を期待して、
「EUに来いよ」って色々なアプローチをしてたんだろう?
輸出先はロシアが多い
冬季の暖房はロシアからの天然ガスにほぼ100%頼ってる
(でもって、EUはこの問題には全く、何もアシストもしなかった)
EUは何をしたかったんだろう?
ロシアが引っ張っているぶんEUも引っ張るパワーゲームな側面もあったんじゃないかな
なんだかんだEUもアメリカもロシアの庭先を適当に引っ掻き回してロシアを消耗させられればいいだけよ。
意外とコメントが多くて草w
ニュースになる割には、日本から見たらよくわからない国だからじゃない?
こういう情報?・主張?は日本から見ると珍しいし。
詳しいわけではないけども、ウクライナはアフガンとイメージが被ります。
大国の挟間、多民族、統一国家の歴史が浅い、汚職。
どうせ政治家も頭をとって私腹を肥やすタイプが多すぎて、国家としての主体性を対外的に保てる政権が出来ないのでしょう。
そういうアイデンティティが乏しいのじゃないかな。
帝国の墓場アフガンのごとく、国家としてあてにするのはあきらめて、緩衝地帯とするのがお互い幸せかもしれません。
ウクライナの抱える問題について少し古いが日本の観点から分析したレポートです。
ウクライナ輸出入銀行再建プロジェクトから見たウクライナの真相
リンク
軍事とは直接関係ないかもしれないが、ぜひウクライナへの理解を深めるために読んでください。
良レポートの紹介をありがとうございます。
こういうのを探してました。
だいたい、想像通り。国家としての体をなしていないようですね。
よくある戦後独立のダメ国家というよりは、大国の寄生国がいきなり独立させられたような、ある種北東アジアにある事例にも似ている気がしました。
中しか見てないリーダーが、敵に回す必要もないロシアを挑発して経済が悪化していくのも共通点だと思います。
思わぬ発見。
ここを引用して〆ます。日本は既に、ウクライナに関与している。
>地政学的に重要な位置にある国の常として、近隣国からさんざんな目に遭ってきたせいか、日本の支援に心から感謝している人々は非常に多い。今回も「誰も金を出してくれないのなら、外相は気前のよい日本にお願いに行くべきだ」というような記事が現地の新聞に散見された。
ソ連の遺産を食い潰したあとは何が残るのだろう
チェルノブイリの汚染地区だけ