インド太平洋関連

韓国に発注した新型フリゲート艦問題、食い違うフィリピンと韓国の主張

フィリピンが韓国の現代重工業に発注した新型フリゲート艦2隻の内、1番艦の「ホセ・リサール(FF-150)」がフィリピンに向けて韓国の港を出港した。

参考:WATCH: PH Navy’s 1st brand new frigate on its way home from Korea

遅れた?予定よりも早い?フィリピンと韓国で食い違う引き渡し時期の認識

フィリピンが韓国に発注した新型フリゲート艦の基本仕様は基準排水量2,600トン、全長107m、全幅14m、最大速度25ノット、航続距離8,300km、主要武装は76mm速射砲、韓国製対艦ミサイル「海星」、MBDA製対空ミサイル「ミストラル」、対潜用の短魚雷などを装備しており、1隻あたりの受注価格は約160億円(約1.5億ドル)だ。

同艦は5月19日、韓国防衛産業界からの支援物資(マスク2万枚、消毒液180トン、手指消毒剤2,000個、消毒用ティッシュ300個など)を積み込み蔚山にある現代重工業の造船所を出港、5月23日にフィリピンのスービック港に到着する予定で、フィリピン海軍は同艦の引渡しを受ける前にテストを行うと発表している。

補足:この支援物資は朝鮮戦争に参戦したフィリピンに対する「恩返し」という意味が込められている。

ここまでの内容は両国とも一致しているのだが引き渡し時期については食い違いを見せている。フィリピン側の報道では当初4月に予定されていた同艦の引き渡しが「遅れた」と報じているのだが、韓国側の報道では9月に設定されていた引き渡し時期よりも「4ヶ月早く引き渡すことに成功」したと報じており何故食い違うのか謎だ。

さらにフィリピン側はホセ・リサールがLink16に正しく対応しているのか注目しており、フィリピン海軍が実施するテストの結果次第では問題化する可能性を秘めている。

出典:public domain 公試中のフリゲート艦「ホセ・リサール(FF-150)」

このフリゲート艦に搭載される戦闘管理システム(CMS)はフィリピン海軍主導による選定の結果、米国やNATOとネットワークの互換性(要するにLink16との互換性確保という意味)を確保するためフランスのタレスが開発した戦闘管理システム「TACTICOS」を採用することに一度は決定したのだが、当時のレンサナ国防大臣が反対して韓国のハンファシステムが開発した戦闘管理システムを採用することになった。

ハンファシステムは戦闘管理システムとLink16との互換性を実証するため、フィリピンに英国のウルトラエレクトロニクスが開発したLink16との互換性をテストできるシミュレーター「ADSI」の使用を提案、ウルトラエレクトロニクスが発行したADSIによるLink16との互換性テストは米国が承認したものだという内容の書類までフィリピン政府に提出したのだが、タレス製戦闘管理システムを希望していたフィリピン海軍は韓国側の提案を拒否してしまう。

フィリピン側は韓国が提案したADSIによる互換性のテストが本当に信頼できるものなのか疑問視し、ADSIによる互換性テストを米国政府が保証する文書を提出するよう要求してきたため両国間で問題化した過去がある。

詳しい経緯は「韓国製戦闘システムは信頼できない? フィリピン海軍、韓国に米国政府発行の証明証を要求」を読んでほしい。

果たして、フィリピン海軍は1番艦「ホセ・リサール(FF-150)」の引き渡しに難癖をつけてメルカド中将解任の復讐にでるのか注目される。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain フリゲート艦「ホセ・リサール(FF-150)」

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 5月 20日

    どの時点をもって 引き渡し とみなすかの相違… かな?

    受け取り前の自国乗員が乗り込む時期 なのか、初期的なバグ出しも終えて建造社の手を離れる時期 なのかみたいな

    ただ後者なら、4ヶ月早く完成 にはならないはずだが……

    1
      • 匿名
      • 2020年 5月 20日

      引き渡しの計画が、フィリピン4月、韓国9月と、
      結果ではなく納期設定が食い違っている様です。
      フィリピンと韓国とで契約書の内容が異なってるの?、との疑問も。

      1
        • 匿名
        • 2020年 5月 20日

        そうですね。
        ふつうならば契約書に明記されているはずですね。
        なにやら面白くなってきそうな予感。

        2
      • oominoomi
      • 2020年 5月 20日

      海上自衛隊では「引渡式」と「自衛艦旗授与式」が同時に行われますね。
      他国はどうなのか知らないけど、やはり軍艦旗の掲揚をもって引き渡しとするんじゃないですか?

      2
    • 匿名
    • 2020年 5月 20日

    フィリピンは陸海空軍で韓国製兵器を導入している

    • 匿名
    • 2020年 5月 20日

    突然エンジン止まるとか、rink16以外のトラブルがありそう。

    1
    • 匿名
    • 2020年 5月 20日

    このサイズの軍艦が160億円はビックリ価格w
    戦闘システムを相当にケチらないとこんな値段で仕上げるのは不可能でしょ。
    実際に運用し始めれば確実に他の問題も顕在化すると思うな。

    4
      • 匿名
      • 2020年 5月 20日

      韓国製戦闘システム導入の見返りとしての値引きだったりして

      • 匿名
      • 2020年 5月 21日

      話はとても単純。
      韓国政府が赤字分を補填している。
      潜水艦輸出なんて建造費の8割を韓国政府が援助していて、購入国は2割しか出してない。
      まぁ、その潜水艦もキャンセルされたんですが。

      1
      • 匿名
      • 2020年 5月 21日

      能力的には大きなミサイル艇程度のものなんで安物売りがメインの韓国ではそこまで不思議ではない
      ただ韓国製戦闘システムは本国でさえ何もなくても何度もシャットダウンを繰り返す悪かろうどころではない安物なのでフィリピン海軍が拒否するのはある意味当然ではある

      3
    • 匿名
    • 2020年 5月 20日

    >フランスのタレスが開発した戦闘管理システム「TACTICOS」を採用することに一度は決定したのだが、当時のレンサナ国防大臣が反対して韓国のハンファシステムが開発した戦闘管理システムを採用することになった。

    >タレス製戦闘管理システムを希望していたフィリピン海軍は韓国側の提案を拒否してしまう。

    興味深い内容です。内容を読む限り、フィリピン国防大臣と最終使用者であるフィリピン海軍の意思疎通ができていなかったということでしょうか。

    あるいは、
    使用者であるフィリピン海軍は米海軍とLink 16を介して戦術情報の共有・配信ができることを期待していたと思われ、実績のあるタレス社製のTACTICOSではなく、ハンファシステム製の互換機器となり不安を感じたというところでしょうか。
    互換性に問題ありとの事前情報を察知し、意思表示の行動を起こしたというところかもしれません。

    3
      • 匿名
      • 2020年 5月 20日

      単純に、政治家の大臣が韓国お得意の賄賂・接待で抱き込まれて決定をひっくり返しただけじゃないか?
      現場は当然反発する。
      韓国は成績証明書の偽造など当然のように行う国の為(韓国人が自慢するK9自走砲ではほぼ200件近い偽造が行われている)、フィリピン海軍側が韓国側が提出した互換テストの結果を信用しないのは当然の事。

      7
    • 匿名
    • 2020年 5月 20日

    難癖ではないだろう。
    韓国は不正やごまかしの常習犯なのだから、韓国が提出した結果を信用できないというのは至極当然の話。

    6
    • 匿名
    • 2020年 5月 21日

    どちらも信用に値せず
    放置な

    • 匿名
    • 2020年 5月 21日

    韓国製の武器は性能が悪いから、フィリピンは気をつけないと韓国にだまされてしまいますよ。
    フィリピンの皆さんにアドバイスします。「韓国とは関わらない」、この原則を守るのが賢明です。

    3
    • 匿名
    • 2020年 5月 21日

    ベトナムが優れた日本の艦艇技術を移転してもらえるのに自分はシステムが一日に何度もシャットダウンを繰り返す韓国製のゴミに何百億も払わされるのが我慢ならんのだろう
    これも気が付いたらキャンセルされて日本製のFFM派生型になってるかもな

    1
    • 匿名
    • 2020年 5月 24日

    因みに自衛隊の場合はIFFのmode5対応ですら海外企業に丸投げしており(リンク)

    自前でlink16対応したシステムをインテグレートするなど夢のまた夢な有様

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