インドが開発を進めてきた52口径155mm榴弾砲「ATAGS」は2022年に全てのテストを完了、現地メディアは「陸軍が400門のATAGS調達案を国防省に提出した。これを受けて政府はまもなく決定を下す」と報じている。
参考:Atmanirbhar Bharat: Indian Army to buy 400 howitzers from domestic firms
インド陸軍はFARPの目標を達成するためATAGSを1,580門調達したいと考えている
インド陸軍は1987年にスウェーデンからFH77を導入したものの汚職や不正疑惑に直面して以降の装備更新がストップ、この停滞期は2000年に新たな整備計画(FARP)が浮上するまで続き、インド陸軍の砲兵戦力に「大きな空白」をもたらしたが、FARPの登場によって「2025年までに80億ドル(推定)を費やして3,000門の砲兵装備を調達する」という野心的な目標が設定された。
この目標を達成するためK9バジュラ、M777A2、ダヌーシュ、シャラン、ATAGSの調達が進められており、韓国の支援を受けて現地生産しているK9バジュラはK9A1の派生型で、元々パンジャーブ平野やタール砂漠に展開する砲兵部隊向け装備だったが、標高の高いラダック地域でも優れた性能を発揮したため200輌の追加調達が進められている最中だ。
2016年に調達が開始されたM777A2は計145門を現地製造する予定で、2019年に正式採用されたダヌーシュは国産の45口径155mm榴弾砲で114門を発注、旧ソ連製のM-46を45口径155mm榴弾砲に改造したシャランにも300門の発注が入っているらしい。
さらにインド陸軍の本命=52口径155mm榴弾砲「ATAGS」も全ての試験が完了し、現地メディアは「陸軍が400門のATAGS調達案を国防省に提出した。これを受けて政府はまもなく決定を下す」と報じており、インド陸軍はFARPの目標を達成するためATAGSを1,580門調達したいと考えている。
因みにATAGSはベースブリード弾を48km先に、開発中のラムジェト砲弾を60km以上先に撃ち込むことができ、既にアルメニアがATAGSに1.55億ドル(84門)の発注を入れている。
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※アイキャッチ画像の出典:DRDO/EdictGov-India
インド軍の砲兵戦力増強は、中国けん制のためにも、とても頼もしいですね。
韓国の軍需産業は、ポーランドやインドなどから着実に受注しており、高い競争力を示しています。
日本の軍需産業は、完全に韓国に置き去りにされてしまいましたね…。
日本は地理的・政治的制約がありますからね。販売経験値、顧客対応ケースの数が日本とは桁違いです。
とはいえ掃海経験の豊富さ、貴重な飛行艇技術、ハイペースでロールアウトする通常動力潜水艦、トップクラスの造船能力など海に関しては相当強みがあると思います。(むしろ米海軍はDDG-X間に合うんですかね…)
仰る通りですね。
ウクライナ戦争を見れば、世論も変わったなあと感じます。
ウクライナに積極的に武器を送れ、と世論側から提議していく時代になりましたね。
日本の軍需産業が、育成されていく事を願っています。
韓国兵器産業は、YouTubeはじめ色々なところでお笑い扱いする動画も多く、かつそれを信じてしまっている例も少なくないですが、実際には出来ることできないことを割り切って、可能なところからコツコツ国産化、近代化を絶えず積み重ねていった結果なので当然と言うか…航空機分野や電子兵装分野では同じく積み重ねのアドバンテージがまだありますが、今回の輸出増で弾みがつけば陸戦兵器以外もどんどん伸びてくるでしょう。正直一番いいのは両国が手を取って中国に対抗することなので、一刻も早く対立を解消、兵器開発とそれを通じた装備の共通化で更なる関係強化ができれば…まだまだ先は長いが中国が果たしてそれを待ってくれるのだろうかは疑問符をつけざるを得ない。
これは、本当に仰る通りです。
自動車や高レベルの鉄鋼(特殊鋼や電磁鉱)を作れるという事は、現代兵器を作る前提に達しているということですから。
陸戦兵器は、コスパや量が大事なため、韓国の方がレベルは高いですね。
国際マーケットの激戦に勝った、特にヨーロッパ(ポーランド)やインドで販売を勝ち取った事は衝撃です。
韓国やウクライナにも言える事ですが、政治情勢が数年で180度変わる国とは、注意深く付き合う必要があるのが難しい所です…。
このペースでいけば質的に中国を圧倒する火力になりそうですが陸上戦力だけに限っても射程が長い多連装ロケットを持ち、榴弾砲でもその内に更なる誘導射程延伸弾開発もするだろうしそこまでのアドバンテージが有るかとは思いますね。
今のウクライナ侵攻ほど通常射程でガッツリ砲兵同士が撃ち合うケースが中印で発生するのか、その場合に一般的な榴弾砲より1.2倍ほど射程が長い重量級牽引砲を脅威と感じてくれるのかですね。
下手をすればロシアがGMLRSで受けている被害の何倍もの損害を受ける可能性もあるし、中国の偵察がうまく機能するなら射程圏内にすら入らない可能性もあります。
インドは対中国で必ずしも共同歩調をとれる国ではないけれど、少なくとも中国が好きを見せた時に黙ってみてるなんてことはない強かさもあるので、日本としてはこのプレッシャーは歓迎すべきところか。
ウクライナ戦を見ると塹壕に埋める運用ではない牽引式榴弾砲の損失が多いように見受けられますが、あそこの戦い方は特殊という事でしょうか?
シュート&スクートができない牽引砲は、ドローンが飛べる戦場では損失が大きいというのが今次戦争の知見ですが、全てを自走砲にはコスト的にはできないわけでせいぜい、BB弾で安全地帯から撃てるようにするくらいしか対策が無さそう。
自走砲でなく牽引砲を1500以上の大量調達ねぇ。国境地帯にでも並べて置くのかなぁ。
数で圧倒するのは間違ってないけれど、5門ずつの計300部隊として15km間隔の配置しても4500km分のカバー出来るわけで、流石に些か所ではなく多過ぎと思うよ。
多めに見積もっても700ぐらいまで減らして、自走砲や機械化部隊を充実させた方がよさそうだけれど。
榴弾砲の長砲身化が進んでいるような気がします。
M777A2は58口径長みたいですね。今は39口径長だったと思います。
昔の155mmM2カノン砲(ロングトム)が45口径長だそうなので、
もはやカノン砲と言うべきなのでしょうか。
中共あたりは新しもの好き?ですから、直ぐに砲身を伸ばしたりして。
日本の自衛隊は52口径長のままで良いのかな?と思ったりします。
指摘ですが58口径は開発中?のM777ERの話です。A2はエクスカリバー対応等の既存アップグレードでしかない。
そして陸戦兵器である榴弾砲で中国の射程が伸びたとして具体的に日本がどんな影響を受けるのかでしょうか、中国の榴弾砲から一方的に撃ちまくられて日本が困る事態と言うのがイマイチ想像出来ないんですが。
当たり前の話ですが52から58に変わる事でザックリ1m長くなります。そして長射程を狙うには装薬の増量や反動増加は避けられず全体的に砲システムの重量と負荷が増える方向になります。
射程が長いのは良い事でしょうが重量サイズ含め取り回しや全体的なコストとの兼ね合いでしかなく、そこまでして必要であるかは考える必要があるでしょう。
M777は元が39口径軽量牽引式ですから待避に難があったり運用出来る場所の幅が広いのでロングレンジのアドバンテージはかなり受けます。心配の種である数が限られるであろう対中国のロングレンジ榴弾砲の相手を考えるなら、既存装備で使える延伸誘導砲弾導入か開発じゃ駄目なのかと思うんですが。
”指摘ですが58口径は開発中?のM777ERの話です。
A2はエクスカリバー対応等の既存アップグレードでしかない。”
ご指摘ありがとうございます。素人の知識不足です。
長射程火砲は使い方によると思います。
沖縄戦の時に、米軍は155mmM2カノン砲を沖縄本島ではなく、
離島に置いて遠距離射撃を行なったと書いてあります。
対抗するには、同程度の火砲が必要と思っています。
SSMは数が不足するのではと思っています。値段も高いでしょうし。
延伸誘導砲弾ですが、火砲の口径長の差により射程性能に
大差が出るならば、既存設備だけでは不足ではないでしょうか。
砲弾の飛行性能により射程は変わると思いますが、当面は砲弾の
設計により射程性能の差を埋められたとしても。
ATAGSの重量は約18トンあるんですね。
長射程ですが牽引砲で18トンは運用に支障をきたすのでは。
参考までに、自衛隊で使用されているFH70は9t、アメリカ軍のM198は7tですから確かに18tは重すぎです。52口径だから射程で有利でしょうが、更に射程の長い精密ロケット砲も存在するので、素早く撤収できる重量及び構造でなければ現代戦で生き残ることは難しそうです。
M777は4tと従来の大砲よりかなり軽量ですがチタン製で高価なこと、すぐに故障するといった弱点が多くウクライナでの活躍はイマイチです。
>>既にアルメニアがATAGSに1.55億ドル(84門)の発注を入れている。
なんか最後に不穏な文言入ってるんですが
本当に大丈夫なんですかね・・・