韓国の国防科学研究所と大韓航空は有人戦闘機とチーミング可能な無人戦闘機=LOWUSを今年中に初飛行させる予定だが、韓国航空宇宙産業はKF-21やFA-50を中心とする有人・無人チーミングについて別のアイデアを提案しており、有人機が2種類の異なる無人機を最大16機制御するという点でユニークだ。
参考:LIMA 2025: KAI prepares to test-fly full-scale fighter-support Adaptable Aerial Platform
参考:KAI ‘적응형 공중 플랫폼(AAP)’, 올 9월 첫 시험 비행 돌입
KAIのアプローチは最初から無人機の部分が2重化され、最大16機の無人機を制御できるという点でユニーク
米空軍のNGAD、米海軍のF/A-XX、仏独西のFCAS、英伊日のGCAPには有人戦闘機に随伴可能なウイングマン(自律的飛行が可能な無人戦闘機)が設定され、有人戦闘機の代わりにリスクの高い任務の一部を肩代わりしたり、有人戦闘機の認識力や戦場に運搬するペイロードを拡張したり、価格高騰で減少傾向が続く航空戦力の量を補完できると期待されているが、ウイングマンの運用は次世代戦闘機のみが利用できる固有要件ではなく、第5世代機や第4世代機向けに実用化が相当前台しされている。

出典:국방과학연구소
韓国でも国防科学研究所=ADDが「有人戦闘機とチーミング可能な無人戦闘機を2025年までに、ステルス無人偵察機を2027年までに初飛行させる」と言及、大韓航空の航空宇宙部門も2022年8月「ADDが主導するステルス無人編隊機の開発を受注した」と発表し、同社は「ADDと共同で有人機と無人機が同じ任務を遂行する有人・無人チーミング技術を開発する。ステルス無人編隊機は有人機の支援や護衛だけではなく、単独で電子妨害任務や精密攻撃を行う能力を備えている」と説明し、今年2月にステルス無人編隊機=LOWUSのプロトタイプ1号機を発表した。
LOWUSは米空軍が開発を進めているCCA=ウイングマンとほぼ同じ位置づけで、今年中に初飛行を実施し、2027年中に有人機パイロットがLOWUSを直接制御する有人・無人チーミングの試験を行うことを目指しているが、韓国航空宇宙産業=KAIは別のアイデアを提案している。

出典:KAI
KAIが提案する有人・無人チーミング=MUM-Tは有人プラットフォームとウイングマンの組み合わせではなく、有人プラットフォーム、ウイングマン、適応型空中プラットフォーム=APPの3重構成で、有人プラットフォームは4機のウイングマンを制御し、ウイングマンは4機のAPPを制御するため、KF-21やFA-50を中心とする有人・無人チーミングは最大16機の無人機を制御する格好で、マレーシアで開催されている防衛装備品の展示会=LIMAでAPPの実物大モデルを公開した。
Janesの取材にKAI関係者は「2024年に縮小モデルを使用した飛行テストは行った」「2025年9月までに実物大のAPPを飛ばす準備をしている」と、韓国メディアの取材にも「我々が推進するMUM-Tの核心要素がAPPで、主な役割は情報、監視、偵察、電子戦、囮など有人プラットフォームとウイングマンの生存性を高めること」「APPのサイズは全長3.1m、翼幅2.2m、高さ0.7m、ペイロード24kg、最大速度730km/h、作戦半径400kmで、KF-21やFA-50のパイロットはタブレットを使用してAPPを直接制御することも可能」「最終的にはAIベースの自律運用納入を備える予定」と述べている。

出典:KAI
KAIのアプローチは単純な有人プラットフォームとウイングマンの組み合わせより複雑で突飛なものに見えるかもしれないが、米空軍はCCAの他に「複数の空対空ミサイルを運搬可能な空中発射型UAV=LongShot Program」を進めており、このプログラムのフェーズ3契約を受注したGA-ASIは「第4世代戦闘機と空対空ミサイルの交戦範囲とミッション効果を大幅に向上させる」と明かしており、英空軍は自律型協調プラットフォーム=ACPファミリーの第1弾としてBriteStormを統合した新型無人機=StormShroudを今月2日に発表したばかりだ。
StormShroudの役割について英国は「これは最も熾烈な戦闘空域における英空軍の優位性に革命をもたらす」「StormShroudは敵のレーダーを盲目にすることでF-35Bとタイフーンのパイロットを支援し、有人航空機の生存性と運用効率を向上させる」「StormShroudはウクライナで進行中の紛争を含む世界各地の作戦地域から得られた教訓を活かして開発された」と説明し、有人プラットフォームを中心とした航空戦力が携行する武器システムを増やしたり、新しい電子戦能力を随伴する無人機で拡張するのがトレンドと言っていい。

出典:KAI
つまり有人・無人チーミングの真髄とは「必要な機能をどんどん継ぎ足せる能力」であり、有人プラットフォームと特定のウイングマンによる組み合わせは有人・無人チーミングのスタートラインでしかないという意味だが、KAIのアプローチは最初から無人機の部分が2重化され、最大16機の無人機を制御できるという点でユニークなのだろう。
因みにKAIが政府発注が確約されていない独自の有人・無人チーミングを追求するのは「政府調達への依存を減らして海外輸出に重点を置く」という方針に関連があるのかもしれない。さらにKAIはKF-21量産機の最終組立てを開始しており、地上テストや飛行テストを経て2026年下半期に量産1号機を空軍に引き渡す予定らしい。
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※アイキャッチ画像の出典:KAI
こういうのはOS作るようなもんですからね
韓国が一国で立つ向かうのは挑戦的に思えるが、近年の伸びを考えると案外いけるかも?
開発チームはコンパクトな方が上手くいくことが多い
AIベースの自律的能力を開発するためKAIはShield AIとの提携を今年3月に発表しているので、全ての技術を国内で開発しようとはしていないですね。
得意な企業を取り込んで開発コストと期間の圧縮を狙っているようにも見え、何にしても物事を前に進めるスピード感に驚かされます。
>何にしても物事を前に進めるスピード感に驚かされます。
日本の納税者としては、韓国がただただ羨ましい。
日本では、なぜ、スピード感が無いのだろう。いつもトレンドの最後尾をついて行くだけ。
これを、平和ボケというのだろうか。
小渕政権の時に痛み止めを打って問題を先延ばしにすることを覚えたせいだと思う
あれ以降現状を維持するのが目的になった
最近は少し変わってきたのかもしれないけど今はもう社会全体が歳を取りすぎたね
軍事に限ったことでは無いので、平和ボケというのもまた違うでしょう。産業分野全般で韓国は日本を圧倒しているわけで、エリート層の質や、関わっている人々の当事者意識が日本人とは根本から違うのでしょうね。
日本と韓国の差は、10年後にはさらに大きくなってそうです。
なんでそんな嘘つくのか…
もしくは本当に信じ込んでいるのか、、?
全部真逆でしょうが
韓国の悲惨さ知ってたらとてもそんなこと言えないと思うけど
韓国のスピードは、安全マージンを無視して成り立つものなので、全く羨ましくないし納税者として絶対真似して欲しくないです
万が一が起きると、日本人からしたらバカじゃないのかと思うほどの間抜けな大事故を起こすので
世論の支持も重要な要素だと思います
スレチですが、我が国では小泉農林水産大臣が世論の支持を得て、コメの価格引き下げにスピード感を持って取り組んでいます
韓国特有のパリパリ文化です
良く言えばスピード感がある。ですけど悪く言えば見切り発車が常態化しているという事です。
巧遅は拙速に如かずという言葉がありますけど、正直褒められたもんじゃありませんよ。
日本の予算は無限にあるわけじゃないから、慎重になるのはしょうがないと思います