安全保障の観点からバーチャルとフィジカルに脅威を区別できなくなったシンガポールは軍のサイバー部門(DIS)を陸海空に次ぐ第4軍化、The Japan Times紙は「日本もシンガポールを見習うべきだ」と指摘している。
参考:Singapore’s military reforms highlight need to strengthen Japan’s cyberdefenses
安全保障環境において宇宙・サイバーなどの新領域は一層重要性が増しているが、新領域の脅威が具体的に何なのかをイメージできる人は少ない
英シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)は昨年6月、15ヶ国(米国、英国、カナダ、オーストラリア、フランス、日本、イスラエル、ロシア、中国、イラン、北朝鮮、インド、インドネシア、マレーシア、ベトナム)のサイバー能力に関する報告書の中で「日本のサイバー能力は最下位の3番手グループだ」と発表して注目を集めたことがある。

出典:U.S. Air Force photo by J.M. Eddins Jr. リアルタイムで脅威を監視する米空軍のサイバー部隊
防衛省は陸海空のサイバー関連部隊を再編して「自衛隊サイバー防衛隊(540人体制)」を今年3月に発足させたが、中国(17万人)や北朝鮮(6,800人)と比較すると余りに小規模過ぎるため、2027年度までに5,000人規模に拡張することを検討中だが、The Japan Times紙は「日本はシンガポールの例を見習うべきだ」と指摘しているのが興味深い。
シンガポールのヤコブ大統領は「もはや他国への攻撃は伝統的な領域(陸海空)ではなくサイバー領域から開始され、こうした攻撃の影響は現実的で重要なサービスの停止、データの盗難、さらには民主主義の根幹とも言える選挙にも影響をあたえる可能性がある」と主張、憲法を改正して軍のサイバー部門「デジタル・インテリジェンス・サービス(DIS)」を独立させ陸海空に次ぐ第4の組織に再編。

出典:Digital and Intelligence Service
エンヘン国防相も「仮想空間のサイバー領域は伝統的な領域と同じぐらいリアルで、この領域で発生した脅威は容易に現実社会に影響を与える事できる。安全保障の観点からバーチャルとフィジカル(物質的なという意味)の区分は誤りで両者は複雑に絡み合っている。DISに求められるスキルは情報技術や通信だけでなくデータサイエンス、心理学、言語学、人類学、地理学など様々な分野の専門知識が必要だ」と述べ、軍人だけでなく専門分野に精通した民間人の採用や育成にも力を入れていくらしい。
要するにシンガポールを見習って自衛隊サイバー防衛隊を陸海空に次ぐ第4の組織にすれば良い、、、とう話ではなく、第4軍化されたDISは組織変更と法的権限が強化され「民間のインフラに対する防衛にも責任を負っている」という点が自衛隊サイバー防衛隊と異なり、日本国憲法第21条によって収集できる信号情報の範囲が極端に制限さている状況を放置し、重要な一部のインフラ防御にしか責任を負っていない自衛隊は「シンガポール軍DISや米宇宙軍を見本に組織の在り方を刷新すべきだ」という意味だ。

出典:防衛省/CC BY 4.0
特に日本の民間企業はサイバーセキュリティに対する意識が低く、IISSは「経営陣もサイバーセキュリティ問題を理解していないため問題を政府に丸投げ=依存している」と指摘しており、将来に発生する攻撃は警告なしに複数のドメインを通じて行われる=例えばサイバー、宇宙、空の3つから攻撃が同時に行われるため、活動範囲が限定的なままでは伝統的な領域外の攻撃に脆弱だと言いたいのだろう。
因みに防衛省が「安全保障環境において宇宙・サイバーなどの新領域は一層重要性が増している」と主張しているが、具体的に何がどのように脅威をもたらすのか定量的に説明していないため、一般人(管理人を含む)にとっての新領域の脅威も「サイバー攻撃=通信インフラが妨害されて混乱する程度」としか受け取られていないもの問題だ。

出典:防衛省/CC BY 4.0
恐らくサイバー領域が重要だと何となく理解していても「伝統的な領域を凌ぐほど重要か」「F-35やイージス艦の調達数を削減して自衛隊サイバー防衛隊を強化する」と言われれば、大半の人が「そこまでする必要があるのか?」と新領域の脅威を軽く見るはずで、シンガポール軍のように自衛隊サイバー防衛隊を第4軍化させることで「意識を改革する」というも一つの手かもしれない。
欧州ではウクライナ侵攻前からロシアによるサイバー戦や情報戦を駆使するハイブリット戦争に備え、冷戦終結後に廃止していた心理戦に特化した諜報機関を次々と再設置しており、安全保障問題や国防問題に影響を及ぼす選挙への干渉を最高レベルで警戒しているが、日本にも同じような組織や対策が講じられているのかは不明だ。
関連記事:ロシアの偽情報や干渉に蝕まれる民主主義、スウェーデンは対心理機関を設置
関連記事:強力な信号諜報機関がない? 英シンクタンクが日本のサイバー能力を最下位に分類した理由
※アイキャッチ画像の出典:The Digital and Intelligence Servic
軍事的に周回遅れ過ぎて今さら増額して防衛力を整える意味がないような気がしてきた。
もうここまで手遅れだと防衛を米軍に丸投げして経済や少子化対策に注いだ方が良いとさえ思えてくる。
自衛隊は応援しているが、将来は絶望的に見える
> 防衛を米軍に丸投げ
なんでアメリカが丸抱えしなきゃいけないのか分からん。
日本は何を対価に払うのか?
現状、経済力も翳りが見えている。
稼働率が悪く、動いたとしても搭載する兵器の備蓄も少ない。
防衛費を増額して、部品や兵器を買おうにも生産が追い付かず。
経済力が衰退しているのに新しい兵器や兵器の対抗作も用意しなくてはいけない。
こんな状況なら、もういっそのこと防衛費を他の予算に回してしまえという焼け糞なコメントでした。
現状、もう何をやっても遅すぎる状況です。
もはや日本に住むこと自体がリスキーな感じさえします。
コロナがなければ移住という最終手段もあったんですがね…
だったらさっさと日本から出て行けば良い話では?
コロナがとか言ってますがもう国によってはほとんど終息状態で日本人でも海外に働きに出てる人はいくらでもいます
もう何をやっても遅すぎる状況です(キリッって断言できるくらいなので相当な知識やそれを裏付ける行動力はお持ちでしょ?
負の側面「だけ」しか見ないで絶望してるのは勝手ですが、思考を放棄して悲劇を気取ってる人間って周りに悪影響しか与えないんですよね
ヤケクソなコメントするなよ…
何の生産性もない
サイバー自衛隊が出来たらサイ上幕僚長にサイ将、サイ佐、サイ尉とか呼ばれるんだろうか
ともかく増強が望まれるけど隊内に人はいないので民間から積極登用(デジタル庁みたいな形だけの非常勤募集ではなく)して欲しいっす
サッカー界のEWSのような役割をサイバー軍が担うと言えば理解し易いのでは無いかな
サイバー防衛は警察の仕事とか、郵政がベースのような
日本国内の役所での縄張り争いが発生している可能性は
あるのでしょうか?
公安の、公式には存在しない課が担当します
攻殻機動隊
うろ覚えで申し訳ないですが、むかし電波関係で経産省と防衛省もめなかったっけ。管轄問題でそうな
ドローンや衛星のハッキングやその対策をらもサイバー部隊の所管になるのかな?砲兵とかの情報共有システムも?
正直、よく分からん事が多い。
ちょうど読売新聞の記事で似たようなのが出てましたね
なんでも既存のサイバー組織を吸収して司令塔となる組織を新設、規模や能力、権限も大幅拡大するらしいです。
まだ決定はしてないらしいですが法改正も視野に入れる方向のようです。
ロシアのハッカー集団がウクライナ軍の指揮統制システムに不正にアクセスしてウクライナ軍の主要な戦力配置を全部公開して話題になってましたね(この攻撃や情報公開自体にはいろんな疑義があるものの、不正アクセスと情報窃盗があったのは間違いない)。
クレムリン政府の緩やかな統制下にある在野ハッカー集団ですらこれくらい平然とできる訳で、電子戦部隊を数多く抱える中国ならより多くのことが出来るでしょう。戦時において日本のインフラシステムはもとより、公的機関や金融機関や企業のシステム、あるいは通信を担うサーバーごと質と量の攻撃で沈黙させられてしまうような事もあると思います。電気も止まって電車も信号機も航空管制も動かない状態では自衛隊の作戦能力も大部分は発揮できません。
重要なのは、現在の国際法上の取り扱いでは電子システムへの大規模攻撃だけでは戦闘行為と見なされない可能性もあるということです(少なくとも攻撃発信元を短期間で正確に立証することは難しい)。戦わずして勝つことを最良の戦略と定める人民解放軍であれば、この法の歪みを利用して日本国内のシステムに大規模ドミネーションを仕掛け、日本側のリソースを削ったり日米連合軍の活動を制約したうえで侵攻を始めることも当然考えているでしょう。死屍累々を覚悟して3正面作戦で力勝ちするよりは遥かに政治的ハードルの低い戦い方です。
せっかく日本の防衛体制見直しが進んでいるなかで情報人材や部隊の拡充の話があまり目立って出て来ないですが、管理人殿の言うように今からでも大きく動いて欲しいところです。
一方キルネットはミクシィをDDOS 攻撃した
サイバースペース分野の人材育成や情報リテラシーなどの教育も大事なんだろうけど、デジタル教育と称して教育現場にipadやクロームブックなどを配っても、こういった軍事のみならず、官民に必要な人材が増えると思えないんだよなあ。
陸上自衛隊高等工科学校では昨年度からシステム・サイバーのコースが出来たらしいが、絶対数は足りないと思われるので、いっそサイバー分野の専門学校を防衛省が作って、学費免除の代わりに自衛隊で一定期間勤務させるとか、アメリカみたいな施策を取るなんてのはダメかな。
> 情報リテラシー
コレすごく大事。
いくら優秀なサイバー専門部隊があってもセキュリティホールが無数に有れば防ぎきれない。
パスワードをaaaとか1234とかにする人がいれば簡単にシステムに侵入できるし、オレオレ詐欺みたいに発信元が不明な電話やメールを信じてオウンゴールも考えられる。
クラッキングと言うと高度な技術と言うイメージがあるが、こう言う低レベルなものが多く深刻らしい。
トロイの木馬をやられると防ぎようがない。
民度の問題もあるから、その組織で周知するだけでは実際防げないという問題もある。
情報リテラシーは大事ですが、それを本質的に理解できる人はそんなに多くないんですよね。バカッターは分かりやすい例ですね。雑な言い方をすれば想像力が足らない、になるんですが、無限にも広がっているように見える電子の海からどうやってピンポイントに攻撃が行われるかを想像できる人はなかなかいないように見えます。
しかしそれは、隣の国も一緒。よほど人口が少ない国じゃない限り国民全員セキュリティを理解しているなんてありえないですから、守る方法よりも攻撃する方法を考えたほうが簡単なんでしょうね。国際法でインターネットからの攻撃は戦闘ではないかと解釈される可能性もあるらしいので、日本もクラッキング集団を支援・拡充するのは手なのかもしれません。
最も彼らが暴走する、ゲームや映画のような展開になる可能性もゼロではないでしょうけど。
ワグネルは位置バレへの配慮が足りなかったせいで自分たちの拠点を攻撃されましたしね。ウクライナも国民に「○○は写さないように」と呼びかけたりしているので『SNSやメディアの活用=情報戦の一環である』『情報を流すのも流さないのも意図がある』というのは情報リテラシーを教育するにあたり重要になりそうですね。
結局のところセンス・才能の問題で、できない人は全くできない分野なのは間違い無いわけです。私もセキュリティについては趣味で勉強してますが、やっぱり表面的な所しか理解できず、プログラミングにしろネットワークシステムにしろ、よく脆弱性を見つけられるなと思います。
そのため、間口を広げられれるかがカギで、そのためにはiPadやChrome bookを配ることが一概に無駄とは思わないのです。最近はPCを持ってない人は多いですからね。
一方で陸上自衛隊高等工科学校がまさに学費免除の専門学校かと思いますが、ここも含め平成16年の自衛隊削減のあおりで減らされてますからね。これからまた変わっていくとは思いますが、教官を含め人員をどう拡充するかは、少子化の世の中なかなか難しいんじゃないでしょうか。
意識改革という意味では、
今話題の問題を挙げると、「総理大臣のLINEが既読にすらならないから精神状態ヤバいんじゃね?」とかやってるような国で、
サイバーセキュリティーが成立したら奇跡なような。
そもそも物理的に公安施設へ顔パスで北朝鮮と蜜月の統一教会幹部が出入りする国ですし、無理じゃないかなぁ。
アハハハハ。はぁ・・・マジでヤベェなこの国。
中国のハッキングで自衛隊や米軍が動けないというなら西側世界に繋がる海底ケーブルを切断して疎遠にしてやればいい。YouTubeもTwitterも見れなくて寂しいぞ。いいのか?今と変わんない。そうか…。
日米中の海底ケーブルを潜水艦で切断と同時にありったけのミサイルを乱射しながら一気呵成に侵攻するくらいでないと台湾侵攻と占領維持(第三次世界大戦であり世界新秩序構築に他ならない)は不可能であり、サイバーセキュリティも大事ではあるが、艦船や航空機と同列ではない。
デジタル通信網への攻撃に電話やFAXは極めて有効であり、送電網へのテロ攻撃にハイブリッドカーは強い抗堪性を持ちながら温暖化対策にも配慮できてるわけだが、中露主義陣営からの攻撃が差し迫っていると言って防衛費の増額を叫びながら誰も見向きもしない現実。
ただ煽るだけで政治を良くしようという意識が薄い多数の日本のマスコミ。そのくせ若者に政治に興味を持てと言う。
ただ煽るだけでサイバーセキュリティを改善しようと言う意識が薄い多数のマスコミ。そのうち若者に意識持てと言ってくるんだろうな。
マスコミをきちんとさせる事から始めるのが先な気がする。
嘆いていても仕方がない。
日本は確かに遅れているが、予算も無く、トイレットペーパーも無く、人員も不足している自衛隊にとって、今から(でも)準備するのが一番だ。
何しろ先行者は技術的蓄積が出来るメリットはあるが、試行錯誤などでかなりの支出をしているだろうから、今からやれば必要最低限を最小の人数と予算で出来るかも知れない。
もちろん、先行者の技術的蓄積を教えてもらわなければいけないのだが、運良く米英は(現時点では)協力的だからね。
(これは以前の状態ならそうとも限らなかったけど。)
収集できる電波に限りがある、と、あるが、必要な分野の法律に『ただし自衛隊は除外』とか書くだけで良いと思う。
憲法改正どうのこうのより、早くできる。