韓国空軍が2026年までに調達を予定している中型軍用輸送機にロッキード・マーティンがC-130J、エアバスがA400M、エンブラエルがC-390を提案してきたと報じられており、最も勢いに乗っているのはエンブラエルだろう。
参考:Embraer Signs MoUs for Cooperation with the Aerospace Industry in South Korea
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オランダ空軍に続き韓国空軍もC-390を選択すれば「放っておいてもC-130Jが選ばれる」という幻想が崩れるかもしれない
中型軍用輸送機のシェア(1,500機前後)は米ロッキード・マーティン製のC-130が独占しているものの平均機歳は30年を越えており、特にアフガニスタン撤退やウクライナ侵攻を経験した欧州の国々は「旧式化した輸送機によるロジスティックシステムが時代遅れ」だと気付かされ、ブラジルのエンブラエルが開発したC-390に多くの関心が集まっていると報じられていたが、オランダ空軍はC-130Hの後継機に有力視されていたC-130JではなくC-390を選択して世界中を驚かせた。
オランダ空軍は「平均稼働率、運用性、メンテナンス性、技術要件の全てでC-390の方が優れていた」と述べており、C-390はC-130Jより基本設計が新しいにも関わらず調達コストが安価(C-130Jは約8,000万ドル/C-390は5,000万ドル~6,000万ドル)で、要求要件の2,400飛行時間をクリアするのにC-130Jなら5機必要だがC-390なら4機で済むと述べている。
中型軍用輸送機に対する需要は欧州だけでなく世界中で高まっており、エンブラエルは中東地域に対するC-390のマーケティングでBAEと協力すると発表、さらに米L3Harrisと手を組んでフライングブーム方式に対応したKC-390を開発、費用対効果の高い分散型空中給油戦術を米空軍に売り込むと発表していたが、今度は韓国企業と手を組み韓国空軍の中型軍用輸送機調達にC-390を提案するらしい。
エンブラエルは韓国のサプライヤー(A.E.STAGE、E.M. Korea、KENCOA)とMOUを締結、もしC-390が韓国空軍に採用されれば構成部品のを韓国のサプライヤーから調達、さらにエンブラエルの航空機製造を支えるサプライチェーンへの参加も可能になり、C-390の保守施設も韓国に開設してアジア地域におけるエンブラエルの拠点にする計画だ。
恐らくエンブラエルは韓国が開発を進めている軍用輸送機「MC-X(2030年代の実用化)」への協力も申し出てくる可能性が高いが、エアバスもA330MRTT導入や軽攻撃ヘリ開発で韓国との関係を構築済み、ロッキード・マーティンが提案するC-130Jは米軍との相互運用性において他を圧倒しているため何が選ばれても不思議ではない。
ただオランダ空軍に続き韓国空軍もC-390を選択すれば「放っておいてもC-130Jが選ばれる」という幻想が崩れるので、C-130が独占していた中型軍用輸送機のシェアが崩れるきっかけになれば面白いだろう。
因みにC-390のサプライヤーには米企業が多数参加しているので、米防衛産業界(商業的にという意味)にとってA400M以外ならどちらでも良いのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Embraer
記事の画像見て、シルエット的になんとなくC-2ベースに作れるかなって
技術的には可能でしょう。
しかし、C-2の価格上昇率は災害水準。財務省が発狂するだろう。
調達機数を削らせたのは財務省。
単純に機数削れば、調達コストの総額が比例して下がるとでも思ったとしたら、製造業の事をまるで解っていない財務バカしかいないんだろう。
だって罪務だし。
民間機では新規導入が終わってしまったV2500エンジンの製造とメンテがいつまで続くか?
ってのが最大の問題のような気が。
世界中で5500基以上のV2500が稼働しており、MRO需要は拡大傾向です。C-390向けの生産は最低でも向こう10年続けるそうです。
莫大な基数が運用されているのでエンジンとしての新規製造が終わっても、部品単位ではこれからも生産されていくと思います。
エンジン本体消耗品だから減っていくことは確定だけど、
どこまでサプライチェーンが維持されてるのか予想しづらいのが難しい状況なのね
そこまでC-2と同じにならんでもええやろ、って……
C-130の凄さは変わらないが、そろそろ中型輸送機の新王者みたいなのが出てきても良いよね。A400MとC-390がその座に着くかは知らんけど。
アメリカはC-130をいつまで使い続けるんだろ
B-52並みに使い続ける気なんだろうか
新造機体を入れていますから、B-52程ではないでしょう。
それよりも、アフガニスタン撤退の教訓ってどんな内容なのだろう?
輸送機の積載量や航続距離ではないでしょうか。
ウィキペディアに書いてあるスペック比較だと約16トンの貨物を載せた時のC-130Jの航続距離が3150kmなのに対し、C-390は約14トン搭載時の航続距離が5019kmと開きが見られるので、より早く遠くに運べてサイズが近いC-390は買い替えに最適なのかも。
韓国は合理的に防衛装備品を選定できていいな。
本邦は単に米国派と国内利権派の綱引きばかりで、長期的な費用と効果に基づいた選定があんまり出来ない…
国産にするのは費用以外の国内の技術育成や改造等の柔軟性、納期等の面を重視している結果であって韓国でも国産製品の輸出が堅調でなければ同じ事言われていたはず。全部上手くいけば良いけど日本の防衛装備開発はそれ期待出来ないしね。米国に関しては性能や互換性アップデートもそうだし、選んでとんでもないハズレひく事も少ないから安パイ思考なら仕方がない。
国産でも今のトヨタの車開発とかみたいにニッチな物でも儲けが出るように作る努力するとか、試験や試走でとことん壊してまで絶えず改良させるとか出来れば世界に売れる物一つぐらいは作れるとは思うけどね。
グローバルホーク、KC46とかとんでもない大外れでしょ。
米国製だからって選んで。
どちらも開発失敗や米軍の運用スケジュール、キャンセルへの備え不足など予定外のトラブルが起こった際の事前対策が不足していたというのはあると思います
しかしグローバルホークは北の驚異が高まっていた時期に在日米軍が対北偵察に使用していたという実績があり、かつ他にライバルとなりえる性能の無人機がなかったという時代背景があったため、無人機の積極推進しようとしていたからこその事情がありました
またKC-46は当時の予算と要求スペックが釣り合っていた数少ない機種でした
それらを当時の状況を考慮せず結果論だけで非難することは、日本にあった運用が実証されたもの以外の導入をためらわせるだけのマイナスでしかないかと
(発展途上の分野でも失敗すれば結果論で非難される前例ができれば、政府や自衛隊はそれを避けるようなり遅れを取ることが増える。日本がグローバルホーク以降に無人機導入に消極的になったのもそれが原因の一部と思われる)
C-2は一応A400とそれほど差がないから中型か?
C-2は規模だけなら中型ですかね
巡航速度などが1ランクは上だから、同等って感じでもないですが
A-400Mだけ機体規模が頭一つ大きいんだけど大丈夫か?