中東アフリカ関連

イラン、ナゴルノ・カラバフ紛争による誤射が続くなら強力な措置を予告

イランはナゴルノ・カラバフ地域を巡る戦いで使用された迫撃弾がイラン領に誤って着弾したことに対して、イラン領への被害が続くなら警告よりも強力な措置を講じると明らかにした。

参考:Defense Minister Warns Of Action If Nagorno-Karabakh War Bullets Hit Iran Again

イランは自国領への誤射を口実にナゴルノ・カラバフ紛争への介入を狙っている?

イランのアミル・ハータミー国防大臣は6日、アゼルバイジャンとアルメニアの双方に対して「今後もナゴルノ・カラバフ地域を巡る戦いで使用された砲弾がイラン領に被害を与えるなら警告よりも強力な措置を講じる」と明らかにした。

これはアゼルバイジャンとアルメニアの国境に接するイラン領東アーザルバーイジャーン州の農村にナゴルノ・カラバフ地域で発射された迫撃砲弾が誤って着弾、6歳の子供が負傷したことに対するイラン側の警告でどちらの軍によるもなのかについては言及されていないためアゼルバイジャンとアルメニアの両国に対する警告だと受け取れる。

ハータミー国防大臣は「意図的ではないとしても我が国の領土へ砲弾が命中することは許容できない」と語り、これ以上アゼルバイジャンとアルメニアがイラン領を侵さないよう注意を呼びかけたが、偶然にもイランは東アーザルバーイジャーン州の国境沿いを固める名目で最近、戦車200輌を含む重装備の部隊が同地域に派遣しているため「警告よりも強力な措置を講じる」という言葉はハッタリではない。

この戦車200輌を含む重装備の部隊が国境沿いを固める名目でアゼルバイジャンとアルメニアとの国境沿い(東アーザルバーイジャーン州)に派遣されたことに関して軍関係者は「国境警備の意図でここまでの重装備を派遣するのは非常に稀だ」と語っており、複数の西側メディアは「アルメニアからの要請があれば支援に向かうための部隊ではないか」と予想してる。

出典:Reza Dehshiri / CC BY 4.0 イラン陸軍

部隊を派遣したタイミングと今回の会見のタイミングが奇妙にも一致してしており、イラン経由でアルメニアに移送される武器をイラン政府が黙認しているという噂もあるので、ハータミー国防大臣の「警告よりも強力な措置を講じる」という主張の裏にはイラン領への誤射を口実にナゴルノ・カラバフ紛争への介入を狙っているのではないかと勘ぐってしまいたくなる。

勿論、何事もなければいいのだが、、、

関連記事:イラン、アルメニア支援のため戦車200輌を含む部隊を国境沿いに派遣

管理人の判断で過激な感情的表現、差別用語、個人に対する煽り等のコメントを約1ヶ月間で89件削除(半数以上が特定のIPアドレスなので同じ方が書き込んでいると思われる)しました。あと投稿コメントが瞬時に反映されない場合は設定したNGワードに引っかかっているので暫くお待ち下さい。手動確認後(常にPC前にはいないので時間を要します)に問題なければ必ず表示されます。

 

※アイキャッチ画像の出典:Tasnim News Agency / CC BY 4.0 2019年のイラン軍軍事演習

米国が海軍の艦隊再編計画を発表、2045年までに500隻体制+軽空母6隻導入前のページ

ナゴルノ・カラバフ紛争はアルメニア領土外、プーチン大統領が支援を否定次のページ

関連記事

  1. 中東アフリカ関連

    ネタニヤフ首相、国際的な圧力には屈せず必要なら世界にも立ち向かう

    アラブ・イスラム首脳会議はイスラエルの復讐戦争を自衛の戦争とみなすこと…

  2. 中東アフリカ関連

    イスラエルのメルカバ売却先、ウクライナにT-72Bを提供したモロッコ

    イスラエルのメルカバ売却は欧州と南米で「欧州の売却先はキプロスだ」と報…

  3. 中東アフリカ関連

    国連機関と援助団体が停戦を要請、双方の攻撃を「恐ろしいもの」「非道」と非難

    18の国連機関と主要な援助団体の代表は「もう十分だ。戦いを今すぐ止めな…

  4. 中東アフリカ関連

    イスラエル、2022年の武器輸出額が過去最大の125.5億ドルを記録

    イスラエル国防省は14日「2022年の武器輸出額が125億5,600万…

  5. 中東アフリカ関連

    各国の第4世代戦闘機を調達するエジプト空軍、今度はタイフーンを導入

    伊メディアのラ・レプブリカ紙は5月29日、イタリア政府がエジプトに対す…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 10月 07日

    イラン軍が介入なんてできんのか?
    イラン北部に住むアゼルバイジャン系イラン人なんてイラン-アルメニア国境を勝手に封鎖するぐらいヒートアップしとるぞ
    イラン軍がアゼルバイジャン軍と戦いに行くなんてバレたら国境越える前に地元民と流血沙汰になりかねん

    3
      • 匿名
      • 2020年 10月 07日

      そんなの、イランからしたら両方邪魔に決まっているでしょう。
      イランの大国としての自意識はトルコ以上ですよ。

      11
        • 匿名
        • 2020年 10月 07日

        もう無茶苦茶ですな。
        イランはこの紛争を利用して少数派や反体制派を一掃したいのかも。

        10
    • 匿名
    • 2020年 10月 07日

    トルコは米露中どこにもつかない、1つの極として自国を意識してるよね。オスマン帝国をもう一度というやつか。

    14
      • 匿名
      • 2020年 10月 07日

      エルドアンになってから急進的になりましたね。

      それ以前の政権はこんな激しくなかった気がするけど・・・

      3
      • 匿名
      • 2020年 10月 08日

      トルコは地の利が良いよな、欧州からしたらアジアや中東の陸路やの玄関口、逆の見方もできる。おまけにパイプラインも通っている
      トルコがレッドチーム側にってしまうと面倒だから欧州もなかなか強くトルコ批判できないのかな

      3
    • 匿名
    • 2020年 10月 07日

    >意図的ではないとしても我が国の領土へ砲弾が命中することは許容できない

    一文を読むだけだと一見すると至極真っ当なんですけどね
    まあ、イランの日頃の行いがね…。
    イランはトルコと事を構えるのを避けるだろうなと思っていましたが、全くそんなことはなく驚愕しています。
    今の中東情勢は欧州情勢より複雑怪奇になってしまいました。

    12
    • 朝日新聞
    • 2020年 10月 07日

    だが、ちょっと待って欲しい。1発だけなら、誤射かもしれない。

    3
      • 朝日新聞
      • 2020年 10月 07日

      今回は元々誤射と分かっているので、不適切でした。
      だが、心配のしすぎではないか。

      1
      • 匿名
      • 2020年 10月 07日

      たとえ一発でも出来ちゃったら責任取らなきゃ。w

      13
      • 匿名
      • 2020年 10月 08日

      3
    • 匿名
    • 2020年 10月 07日

    民間人の被害が出てくるといよいよだな、という感じだわ。
    動画も出てきてますね。

    アルメニアもアゼルバイジャンも民間への攻撃はとっくに開始されてるわけで。

    自分の国が戦場になるってそういうことなんだよね。

    11
    • 匿名
    • 2020年 10月 07日

    イランは対トルコの方を意識しているだろうが、かと言ってこの二カ国間の紛争への介入はしないのでは?
    両方に対して強い態度を見せる、それ以上の介入はイランに何も齎さないだろう。

    1
    • 匿名
    • 2020年 10月 07日

    ロシアの要請で国境付近に圧力かけているのかもね

    7
    • 匿名
    • 2020年 10月 07日

    今はただの威嚇にしろ、きっかけがあれば介入になりかねないし
    紛争拡大への抑えとしては充分ですな、プーチンもイランにこれ以上は望むまい

    2
    • 匿名
    • 2020年 10月 08日

    イランの新型戦車カッコいい

    2
    • 匿名
    • 2020年 10月 08日

    アゼル優勢どころか、軍の実態はガタガタらしいな
    より大国で、先に仕掛けた側なのに士気の高いアルメニアを破れない理由はそれ。
    トルコが手を引いたらアゼル軍は撤退するしかないが、誰がその決め手を打つのか

    3
    • 匿名
    • 2020年 10月 08日

    戦車200となると機甲師団が展開してるのだろうか?それとも旅団規模の戦闘団?
    師団なら支援用の工兵や砲兵も豊富だろうしやるきかもな

    • 匿名
    • 2020年 10月 09日

    発端は、日本で言えば、長年放置してきた竹島をある日武力で奪還しにかかって、戦闘になったという感じですか??

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  2. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  5. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
PAGE TOP