インド太平洋地域では中国に対する包囲網構築が進む中、中東地域ではシーア派が多数派を占めるイランの軍事的脅威に対抗するためイスラエル、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などの主要国が水面下で対イラン包囲網を構築するため活発な動きを見せている。
参考:Israel PM ‘flew to Saudi Arabia for secret talks with crown prince’
大統領選挙に勝利濃厚のバイデン氏もたらしたイスラエルとサウジアラビアの急速接近
イスラエルメディアは23日、ネタニヤフ首相が国交のないサウジアラビアを極秘裏に訪問してハンマド皇太子と会談したと報じており、額面通り受け取ればイスラエルとサウジアラビアとの和平交渉や国交正常化に大きな進展が見られたと受け取ることができる。
ただ「パレスチナ問題の解決を棚上げしたままでイスラエルとの和平交渉は行わない」という立場を崩していないサウジアラビアが、何故このタイミングでイスラエルとの直接交渉に何故乗り出したのだろうか?
一般的にはイランに対して強硬姿勢を貫く米国のトランプ政権が11月に実施された大統領選挙に敗れ、イランとの核合意に復帰する方針のバイデン氏が次期大統領に就任することが濃厚になったため、イランへの強硬姿勢を支持するイスラエルとサウジアラビアが極秘会談を行うことでバイデン氏に圧力を加えていると言われている。
しかし両国が関係改善を進める原動力はもう一つあり、それがバラク8とアイアンドームで構成されたイスラエルの防空システムだ。

出典:Public Domain
サウジアラビアは2019年9月、イエメン国内に拠点をおくシーア派の武装組織フーシに石油施設を破壊されてしまい防空システムの欠陥が露呈してしまった状態で、これを補完することがサウジアラビアにとって最も優先されるべき課題と言える。
攻撃を受けたサウジアラビアの石油施設は米国製防空システム「パトリオット(PAC-3弾対応)」やフランス製の短距離防空システム「R460 SICA(クロタルのサウジアラビア仕様)」、固定拠点の近距離防空システムとして開発されたドイツ製の「スカイシールド」で守られていたにも関わらず、フーシが使用したイラン製巡航ミサイル「Ya-Ali」やイラン製無人航空機(中国製UAVも使用された模様)による攻撃を防ぐことが出来なかった。
この攻撃に関する最終的な報告書によれば「複数方向から同時にやってくるUAVとミサイルの群れはレーダーを混乱させるだけではなく対処能力を飽和させる」と指摘しており、中高度~高高度にかけて侵入してくる標的に対して最適化されているパトリオットは低高度から侵入してくる小さな目標の検出に適しておらず、低高度からの侵入に備えていた他の近距離防空システムもUAVの検出に失敗してしまい報告書は「既存の防空システムで低高度を飛行してくるUAVを効果的に検出するのは困難」と結論づけている。

出典:Fars News Agency / CC BY 4.0 イラン製と見られるフーシの徘徊型UAV
ロシア国防省の関係者は武装組織フーシの攻撃について、サウジアラビアには大量のパトリオットシステムが配備されていたにも関わらずUAVと巡航ミサイルによる攻撃が成功したのは、米国製防空システム(イージスシステムやパトリオットシステム)の仕様が実際の性能を反映していない証拠だと指摘「米国製防空システムは(ロシア製防空システムに比べて)効率が悪い」と酷評、そのためサウジアラビアはS-400導入に傾いたが対米関係を考慮して断念、韓国製の近距離防空システム「K-30 SAM」が導入候補に挙がったりもしたが最終的に白羽の矢が立ったのはイスラエルのアイアンドームだ。
サウジアラビアとアラブ首長国連邦はバラク8とアイアンドームで構成されたイスラエル製防空システム導入に関心を寄せていると現地メディアが報じており、これを実現するためにはサウジアラビアが「パレスチナ問題棚上げ」を容認してイスラエルとの関係改善を進めるしかない。
一方のイスラエルもイランの裏庭と言えるサウジアラビアやアラブ首長国連邦に自国製防空システムを配備できるのは政治的にも外交的にも魅力的なオプションで、国内の防衛産業にとっても新たな顧客獲得に繋がるためイスラエルではサウジアラビアとの関係改善に否定的な見方は少なく、この動きを後押ししていたのがイランに対して強硬姿勢を貫く米国のトランプ政権だ。
補足:海外への武器販売に関してバイデン氏は態度を明確に表明していないが「石油購入や武器販売のためにサウジアラビアの問題(人権問題やジャマル・カショギ氏殺害事)から目を背けることを止めて支援を終了させる」と公言しているため、サウジアラビアは安全保障上のリスクを分散させるためにもイスラエルとの関係を改善して防衛装備品の入手経路を多様化させおく必要がある。
要するに対イラン包囲網構築を名目にスンニ派の中東諸国と関係改善が進められていた政治的・外交的流れを維持したいイスラエル、イランの攻撃から石油施設などの拠点保護のためイスラエル製防空システムが欲しいサウジアラビアの利害が一致、バイデン氏が大統領に就任するまでに後戻りが効かない所まで状況を進めてしまおうと目論んでいるのだろう。
因みにイランのお隣イラクでは黙認してきた親イラン化が進みすぎたのと米軍によるイラン革命防衛隊ソライマーニ司令官殺害によって、もはや米国のコントロールを離れイランとの2ヶ国間防衛協力協定に署名するなど手がつけられない状況だ。
果たしてバイデン氏は混沌とした中東情勢に新たな秩序をもたらすのか、それとも制裁と影響力の及ぶ国を通じたコントロールで従来通りの統治を試みるのか、その手腕に注目が集まる。
※アイキャッチ画像の出典:Israel Defense Forces / CC BY-SA 3.0
俯瞰すると、香港の現状が黙認される代わりに、パレスチナもまた切り捨ての対象となる国際政治の流れを感じる。人権よりも国家の利得が優先される、これはバイデンでも口ほどには変えられないよ
軍的には、見事な空軍に近代的防空システムを備えるサウジですらUAV対処が困難という新たな現実を確認できたね、
頭の切り替えを急がなくちゃ
実績がない韓国製より実績あるイスラエル製。
インドもこの流れに乗ってイスラエル製買うのかな
イランとイラク、サウジとイスラエルなんて組み合わせになるなんてなぁ
しかしサウジがここまで動くってことはバイデンの核合意復帰&制裁の緩和は濃厚なんかな
じゃあアメリカはイランと戦争までいくのかというと、トランプでもそれは無い
アラブの大義なんていう建前はサウジアラビアには重荷でしかない、そもそもイスラエルを支えてるアメリカと経済的にも軍事的にもズブズブな関係を続けてるわけだし
貧しいパレスチナなんか要らないってのがサウジの本音
欲しいのはわかるがサウジ国内の世論は本当に大丈夫かな?過激な奴らはビンラディン掃討の過程で居なくなったかもしれないが原理主義的な集団はまだまだいるだろう。
まだトランプが逆転するって思ってる人はいるのか(笑)
トランプが敗北宣言を行わない限り、12月14日の投票人の選挙によって決定する
逆転の可能性が10パーセントでもなる時はなる
記事がとっちらかりすぎでしょ。
最終報告書が「既存の防空システムで低高度を飛行してくるUAVを効果的に検出するのは困難」なのに
なんでロシア側関係者の証言がS400の導入が米国との関係で流れて最終的にアイアンドームに行き着いたになるんだよ?
めちゃくちゃすぎない?
サウジが持ってる防空システムはどれもUAVとの交戦を想定して設計されていないからだろ。アイアンドームは一応カウンタードローンに有効だとイスラエルが言っていて米国も導入してる。
ここは軍事関連のサイトなんだから、この辺りの予備知識前提で書かれている事を理解しよう。あと分からなければ少しぐらい自分で調べるべし
アイアンドームがドローンに有効な事くらい知ってるよ。
アイアンドームに行き着くまでになんでS-400の話が出てくるんだよ?って話よ。
S-400がなんなのかは自分で調べてくれ。
簡単に言えばロシア国防省関係者の証言がいらいない。
そのせいで記事が意味不明になってる。
じゃ自分で書けば? 個人のブログに来て文句言うぐらいなら見なきゃいいのに
フセインさえ無事ならこんなことには
(笑)独裁者による自由なき安定と、民衆民族の自決による不安定な自由
21世紀の我々はその選択を迫られてるか、しんどい
イスラエル・サウジ・トルコの同盟関係になっていくんかな
クルドの支援者になりうる地政なイスラエル・サウジは
クルドと手を組むよりトルコと手を組むだろうしお先真っ暗だな
米国はクルドと手を切れるのかな
え!?イラクそんなことになってたの?
国内の宗派事情やイラン影響力の躍進はもちろん知っていたが、まさかそこまでとは…
ペトロダラー離脱宣言したフセインも、国のトップとして危機管理がなっていないため無能だと思うが、
フセイン処刑してイラン革命に対する防波堤を自分で壊したブッシュJr.はもっと無能すぎる。
パパブッシュでさえ、湾岸で圧勝してもフセイン政権崩壊までは流石に不味いよな…と思ってしなかったのに。
ブッシュJrってホントにロクなことしなかったな。対テロ戦争とかに湯水のように金つぎ込んでおかげで海軍と空軍はスカスカになっとるし。
結構取り返しがつかんところまでいっとる。