スペインのLa Razónは15日「フランスはアラブ首長国連邦からミラージュ2000-9を買い戻してウクライナへの提供を検討していたが拒否された」「最終的にアラブ首長国連邦が望んでいたモロッコへの譲渡に同意した」と報じている。
参考:Mala noticia para España: Francia autoriza el traspaso de 30 aviones Mirage 2009-E desde Abu Dabi a Marruecos
参考:Défense: La France approuve enfin une cession de 30 avions Mirage 2000-9E émiratis
中古戦闘機の需要は非常に旺盛で、もはや引っ張りだこと言っても過言ではない
アラブ首長国連邦はラファール調達と関連して「モロッコにミラージュ2000-9を譲渡をしたい」と表明、この計画についてフランスは決定を先延ばしにしてきたが、スペインのLa Razónは15日「フランスはアラブ首長国連邦が保有するミラージュ2000-9について別の計画を持っていた」「マクロン大統領は機体を買い戻してウクライナに提供することを考えていたがアラブ首長国連邦に拒否された」「最終的にフランスはモロッコへの譲渡に同意した」と報じて注目を集めている。

出典:Public Domain UAE空軍のミラージュ2000-9
モロッコのHespress Françaisも「モロッコとフランスの関係が改善したため最終的にマクロン大統領は譲歩した」と報じており、アラブ首長国連邦は30機のミラージュ2000-9をモロッコに譲渡(売却)するらしい。
因みにインドネシア国防省は2023年6月「カタール空軍が保有する12機のミラージュ2000-5を7.33億ユーロで調達する」と発表、当時のプラボウォ国防相(現在は大統領)も「アラブ首長国連邦が保有するミラージュ2000-9の調達についても交渉中で、これが手に入ることを願っている」と述べていたが、Hespress Françaisは「アラブ首長国連邦が保有する残りのミラージュ2000-9はエジプトに売却される」と報じている。

出典:public domain カタール空軍のミラージュ2000-9
本当に中古戦闘機(運用維持のインフラが現存する機体に限る)の需要は非常に旺盛で、もはや引っ張りだこと言っても過言ではない。
関連記事:拡大するフランスのラファール輸出、アラブ首長国連邦が新たに80機発注
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※アイキャッチ画像の出典:Robert Sullivan/Public domain
UAEは、ロシア産原油の輸入が年間約9000億円(約60億ユーロ)、その再輸出(転売や精製)で大きな利益、おそらく数千億円単位を得ていますからね。
ウクライナが、何かメリットを提供できないのであれば、わざわざ戦争に肩入れするような行為はメリットがないわけです。
(2023年3月6日 ロシア産原油、UAEへの輸送増加 湾岸産油国と関係深化 ロイター)
(2024/02/13 制裁下におけるロシア産エネルギーの行方 笹川平和財団)
UAEの取引に面白い物があったので追記させてください。
ロシアのUAE輸出取引、石油とGold(金)だけで、年間約1兆5000億円になりますから凄い金額ですね。
>侵攻以降の1年間に行われた1000件近い金の輸出記録の詳細を含む通関記録によると、UAEは43億ドル(約6000億円)に相当する75.7トンの金塊をロシアから輸入した。前年2021年の輸入量1.3トンに比べると大幅な増加だ。
(2023年6月3日 【Exclusive】ロシア産「金」の貿易拠点化「UAEに指摘される懸念」 新潮社Foresight)
残るはサポートが切れた台湾空軍ミラージュ2000-5の放出先ですね
ダッソー社はミラージュ2000に関しては、2030年くらいまでサポートしてるんじゃなかったっけ?
フランスは、ミラージュ2000を供与することに、かなり本気なのでしょうか。
であれば、うまくいっていないようですが。自国での保管機はないのかな。
ウクライナ空軍も、お金が無いといっているようなので、これはダメなのでしょうか。
先の記事でシルスキー上級大将が”A-10があれば” みたいなことを言ったすぐ後に、
空軍の方でお金が無いと言ったようですし。
お金が足りない中で、優先順位の高いことはたくさんあるのでしょう。
それでもSU24が損耗してきたら、空軍の意見も変わるかな?。
ストームシャドウは、当面F-16では運用できないし。
他所の記事ですが、ウクライナ軍はS-200でTu22-3Mを300kmの距離で撃墜したとのこと。
ホントなら、先日のA50撃墜に続く大金星ですね。大型機ですから、狙い易かったのかな。
最大射程ギリギリのようですから、中間/最終誘導に何か工夫をしたのでしょうか。
単純にSARHだけで命中するとも思えませんし。
F-16を運用していないフランスとしては提供できる航空戦力がないからでは?
それはウクライナ支援に関するEU内でのフランスの発言力影響を及ぼすはず
そしてフランス軍は核戦力維持のため常に予算はカツカツなので余力はあまりなく、当然ウクライナに回せるような機体もなく
そもそもミラージュ2000は基本型は対空型、対地攻撃型、核攻撃型と専業タイプばかりなのでウクライナにはむいていない
マルチロール機である後期仕様の-5型はフランスはほとんど採用していない
(台湾に売り込むための実績として、ラファール製品化待ちしてた空軍に無理を言って少数採用してもらった程度)
更に面倒なのは、今回のUAEの-9型はオイルマネー国家が特注でカスタマイズした、フランス本国ですら持っていない超ハイエンドモデル
性能的に、ラファールんは及ばないが…くらいのスペックがあるのでフランスの力を見せるにはよかったのだけど、
逆にいえばUAEとしては面倒ごとにまきこれたくないわけで…・
そうでしたか。
フランスにしてみれば、残念なことだったのですね。
以前の記事でギリシャが中古のF-16、F-4とミラージュ2000を売りたがっているとありましたが他2つほどF-4は人気ないんでしょうか?
F-4は流石に古すぎる気が…
F4運用してるのはイランくらいですよ。自衛隊も長持ちでしたが数年前に全て退役しました。
古すぎてダメみたい
実際に運用状態にあるのは4か国、韓国、イラン、トルコ、ギリシャだけだし…
あの(機体不足に悩む)韓国軍ですら、事故多発で仕方なく今年、というかあと数か月運用を終る事が決まっているくらい
(だから一応、現時点では韓国も現役運用国)
残る現役運用国家は、
・イラン(現役は60機前後?)
・ギリシャ(延命と改修したF4 AUPが32機、それ以外は運用に適さない保管状態)
・トルコ(2020年辺りまで問題なく使用できるように延命と改修を施したF-4E 2020が48機、それ以外のF-4は運用に適さない保管状態)
くらいのはず
管理人様の過去記事、分かりやすかった記憶があります。
F4に当てはめると以下でしょうか。
(1)既存機の部品取り→運用国がほぼない
(2)主力戦闘機に採用→今後のメンテナンスが不可能、部品生産していない・中古機が市場に少なすぎる
(2024.03.27 ギリシャ国防相がF-16とミラージュ2000売却に言及、争奪戦に発展する可能性 航空万能論)
その記事自体「F-16、ミラージュ2000を売る。F-4も『出来るもんなら』売りたい」という内容だったかと。
上で出ている現運用国にしてもトルコはイスラエルによる近代化改修、韓国は未改修、イランは多分独自改修?とドイツによって近代化改修されたギリシャ機とは仕様が異なるので部品取り用としても微妙でしょう。
いずれも既にもっと新しい機種を色々と運用してる国ですしバージョン違いのコストとリスクを乗り越えてまでF-4を延命はしなさそう。
まさか今から新規にF-4の運用インフラを整える国はないでしょうし、最近運用やめた国が購入して運用再開する事ももまずないでしょう。
なるほど
できればまだ頑張って欲しいところでしたかやはり無理そうですね…
皆様ありがとうございました
ウクライナもF-16導入で手一杯なのでは?
ミラージュまで導入するには、パイロットの訓練や運用インフラ構築等一から始める必要があるが、そんな余裕はもはや無い様に思える。
ロシアが戦闘機を売れないので、西側の中古機が売れると。