軍事的雑学

日本、AN/APG-82搭載したF-15Jへ国産「AAM-4B」搭載検討

日本の防衛省は、アップグレードが予定されている航空自衛隊が運用中のF-15J(J-MSIP)に対し、国産空対空ミサイル「AAM-4B」搭載のための調査を要求したと「Aviation Week」が報じている。

参考:Japan Revives Hope For Local Missiles On Upgraded F-15s

アップグレードされたF-15Jに、再び国産空対空ミサイルを搭載出来る?

航空自衛隊が運用中のF-15Jは、これまで幾つかの近代改修を行った102機(単座68機、複座34機)の「J-MSIP」と、改修を行っていない110機(単座98機、複座12機)の「Pre-MSIP」に分類され、防衛省は「J-MSIP」タイプのF-15Jを対象に、さらなる近代改修を行うことを決定(注:中期防衛力整備計画)、平成31年度予算に2機分の改修費用を計上した。

アップグレードされたF-15Jには、近代改修を受けた米空軍のF-15Eが搭載しているレーダーと同じ「AN/APG-82」を搭載し、新たに敵射程圏外からの空対地攻撃モードを備えるとAviation Weekは報じているため、米軍が採用している空中発射型の空対地巡航ミサイル「AGM-158 JASSM」や、対艦ミサイル「ハープーン」の後継として開発された長距離対艦ミサイル「LRASM」の搭載はほぼ決定的だろう。

J-MSIP機の場合、後付で獲得した「AIM-120」の運用能力も、AN/APG-82の採用で引き続き維持できる。

出典:Hunini / CC BY-SA 4.0 AAM-4B(模擬弾)

今回、防衛省傘下の防衛装備庁が、アップグレードされたF-15Jに、AAM-4Bを統合するための調査を要求したと報じられているが、実現の可能性はどの程度あるのだろうか?

AN/APG-63(V)1を搭載するF-15J「J-MSIP」機の場合、AAM-4Bの運用能力獲得のため、AN/APG-63(V)1に直接、手を加えるのではなく、AAM-4Bを誘導・制御するための装置を別途搭載することで問題を解決したが、目標の情報自体はAN/APG-63(V)1から得ている=統合されるため、この改造には米国政府と、レーダーを製造しているレイセオンから許可を得ているだずだ。

アップグレードを受けるF-15Jは、AN/APG-82に換装するため、AAM-4Bの運用能力を確保するためには、再び、AN/APG-82とAAM-4Bを誘導・制御するための装置を統合する必要があり、米国政府と、レーダーを製造しているレイセオンから許可を受けなければならない。

ホルムズ海峡を通行する日本タンカーを自分たちで守れと言い、バイアメリカンに積極的で、国内企業保護に熱心なトランプ氏率いる米政権が、日本にAAM-4B統合の許可を与えるだろうか?

日本としてはアップグレードされたF-15Jに、AAM-4Bだけでなく、日英が共同開発中の新型空対空ミサイル搭載も検討していると言われており、AAM-4Bや新型空対空ミサイルの統合を認めてしまえば、これ以上の改良型開発を放棄(新型のAIM-260開発中)したAIM-120にとって、性能で比較されれば分が悪く、F-15Jの装備兵装から排除されてしまう可能性がある。

現在、日本は次期戦闘機「F-3」の開発を検討しており、国産レーダーを採用すれば、国産の空対空ミサイルや、日英共同開発中の新型空対空ミサイルの統合も自由にでき、ここでも米国製空対空ミサイルが排除される可能性がある。

出典: ILA-boy / CC BY-SA 3.0 MBDA社が開発した「ミーティア」空対空ミサイル

そうなると日本の戦闘機でAIM-120を採用するのはF-35のみになるが、数年後に行わるソフトウェアのアップグレードでAIM-120よりも性能が良いと言われている欧州製の空対空ミサイル「ミーティア」が使用出来るようになるため、F-35に搭載できる空対空ミサイルの座を奪われる(AIM-260が完成するまで)可能性がある。

逆を言えば、統合さえ認めななければ、F-15Jのため日本へのAIM-120の販売は続き、後継ミサイルとなるAIM-260の売り込みも可能だ。

因みに最近、日本は160発のAIM-120を購入し、その代金(保守部品、技術的なサポートプログラム等が含まれた金額)として、3億1700万ドル(約350億円)を支払うことになっている。

米国やレイセオンにとって、AAM-4B統合を拒否するには十分な金額と映るかもしれない。

もちろん、すんなりAAM-4B統合を許可するかもしれないが、自前の戦闘機を一から開発できなければ、何をするにも「許可」と言う名の「統制」を受けることになることを忘れてはいけない。

 

※アイキャッチ画像の出典:航空自衛隊

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 7月 25日

    何かとパッとしない国産兵器の中でミサイルだけは国際的にも優位性を維持してるイメージがある

    4
      • 匿名
      • 2019年 7月 27日

      ナイナイ、パクってるだけ。

      とりあえず外見だけでもオリジナルにしようよ

        • 匿名
        • 2019年 9月 23日

        ミサイルなんざどこも似たような性能やし、見た目やけどな。パクリとか関係ないと思うけど・・・

        5
        • 匿名
        • 2019年 11月 05日

        そもそもあんな性能においてどこも目指す方向性が同じなんだから同じような形状になるだろ、航空力学的に考えて

        6
        • 匿名
        • 2020年 3月 02日

        XAAM4の時代、直撃し過ぎて近接信管の評価に支障が出るくらい高い誘導精度の他に
        ・大威力の弾頭﹙AIM-120C-5の18kgに対して、AAM-4は40kg程度﹚
        ・4象限アクティブレーダー信管との組み合わせによる、弾頭破片の散布密度の増大
        も加わり、巡航ミサイルの様な低RCS目標でも確実な撃破を志向しているのがAAM4です。
        欧米のミッションキルで良しとするのとは、考え方が異なると思います。

        8
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