AK-47の開発で有名なロシアのカラシニコフ・コンツェルンは今月14日、電子妨害の影響を受け付けない小型のクワッドローター「ZALA 421-24」を発表して注目を集めている。
参考:ZALA Aero unveils Russia’s first quadcopter invulnerable to electronic warfare systems
参考:Концерн «Калашников» представил защищенный от РЭБ гражданский дрон
自律的な飛行能力と脱GPS信号で電子妨害の影響を受け付けないクワッドローターが完成
固定翼の無人航空機やクワッドロータータイプのドローンが爆発的に普及して軍事利用が進んでおり各国ではカウンタードローン・システムの実用化を急いでいる。
このカウンタードローン・システムは主に物理的に対象を破壊するか電子的に対象の制御能力を奪うかの2択で、前者のアプローチはシンプルだが有人機よりも小型なUAVは電波や赤外線に対する低シグネチャー性が厄介で検出・追尾・照準・費用対効果に課題を抱えており、システム的には複雑だが効果範囲が比較的広く費用対効果に優れた後者のアプローチ=つまり遠隔操作による機体の制御用信号やGPS信号の受信を阻害する電子妨害がカウンタードローン・システムの本命と見なされている。
ただUAVやドローンも傍受されにくく妨害耐性に定評のある指向性の通信を利用したり、妨害下でのGPS信号の強度を高めて自機の位置を見失わないようにするなど対策が講じられているので正味、どちらが勝利するのかは実際に交戦してみないと分からない。

出典:ZALA AERO
しかしカラシニコフ・コンツェルンの子会社「ZALA AERO」は今月14日、カウンタードローン・システムの本命と目される電子妨害の影響を受け付けない小型のクワッドローター「ZALA 421-24」を発表して注目を集めている。
技術的な詳細は明かされていないがZALA AEROは「今回発表したクワッドローターはGPS信号や遠隔操作に依存しない方法で自律的に飛行を行い収集したデータを送信するため電子妨害の影響を受け付けない」と主張しており、GPS信号に依存しない航法システムとは地形の座標データを利用するタイプで搭載されたコンピュータが自動的に目標までにルートを構成して任務を行うらしい。
このニュースを報じたロシアメディアは「このドローンを電子戦で止めるのは不可能なので物理的な方法で対応する必要がある」と指摘しているのが非常に印象的だ。
因みに電子妨害下で正常に作動する保証がないGPS信号を活用した航法システムから脱却する流れは世界的に加速しており、特にイスラエルは電子妨害の影響を受けないEO/IRセンサーで取得した情報を3D画像解析して地図データと照合する方法を開発済みで、今月2日にはイスラエル国防省とイスラエル航空宇宙産業が共同で完全にGPSから脱却して長距離・長時間ミッションにも対応できる独立した航法システムの開発に着手したと発表。
参考:Rafael develops new navigation system that is immune to GPS jamming
参考:Israel Developing Navigation Systems that Don’t Rely on GPS
米国では磁気異常分布図を活用した新しい航法システムに注目が集まっており、欧州でも英国とフランスが共同でGPSに頼らない新しい航法システム(原子干渉計を活用したタイプ?)の研究を進めている。
どちらにしてもGPSに取って変わる全地球規模の測位システム実用化は当分先の話だが、事前に地形情報を収集可能な場合やEO/IRセンサーで取得した情報を3D画像解析して地図データと照合する航法システムを活用しやすい局地的な戦闘ではGPS信号からの脱却が既に始まっているため、これにAIによる自立的な飛行機能と組み合わせると電子妨害の影響を受け付けないUAVやドローンが完成してしまう。
そのため今後のカウンタードローン・システムは電子妨害に頼るのではなく物理的に対象を破壊する方法も積極的に開発していかなければならない。
余談だがイスラエルの新興企業「Xtend」は米国防総省に自社が開発したカウンタードローン・システム「Skylord Griffon/スカイロード・グリフォン」を提供したと発表して注目を集めており、米陸軍特殊作戦コマンドが数十台のスカイロード・グリフォンを運用しているらしい。
これは物理的に対象を破壊するカウンタードローン・システムでドローンによってドローンを直接迎撃する方法だが、同じ様なカウンタードローン・システムをウクライナのスタートアップ企業も開発中で実用化や製品化に必要な資金の出資を募っている。
参考:ウクライナのスタートアップ企業、敵ドローンを迎撃ドローンで破壊する技術を開発
※アイキャッチ画像の出典:ZALA AERO
ロシアの無人機関連の動きといえば他にもイワン・ロゴフ級ヘリ揚陸艦にドローン管制・運用能力を持たせるようです
トルコ中国に続きいわばドローン空母化の動きでしょうか
空母の足りない場合の航空戦力の補完機能なのか、あるいは上陸作戦こそドローンの出番なのか、運用を注視したいですね
グロムとモルニヤの事だろ。ロシアのUAVは他国には無い超音速性能が付与される可能性が高い。今回の衛生位置測位システムに依存しない航法手段(装置)も搭載される前提で開発されると見ていい。
この辺て日本でも開拓して欲しいな ハチのように八の字描いて飛んだりして地形ロストしたの補正したりとか バイクメーカーはジリ貧なんだし技術力もあるからカワサキに限らずトライしてみては
「農薬散布用のラジコンヘリが中国で軍事利用された!」
「ヤマハは死の商人だ!!」
って左巻きの人達が大騒ぎしたのが我が国のドローン恐怖症の始まりだから…
その結果、鉄腕アシモが出てきたらどうしてくれる
どっちにしろ迎撃する側が高コストなんだろうなぁ
この通り技術のいたちごっこはどんどん進んでます
電波妨害なんて誰もが思いつくことは、誰でも対策とりますよ、さて、つぎの対抗策はと
電波妨害対策の対策はするだろうね
ビジュアルSLAMって技術やな
UAVの自律化はどんどん進むだろうし、最初からハードキルを指向するのも方針の一つな気はする
電子妨害以外は電磁パルス兵器で飛行不能にするぐらいしか思いつかないな
そんなものをぶっ放したら味方のネットワーク網も途絶しちまうよ
HPMならば指向性なので、同じ方向に味方が居ない限り問題は少ないかと
画像解析のためにカメラ使うとしたら夜間は使えないのかな
赤外線とか使ったらすぐ位置バレするだろうし
EO/IRセンサーを逆探するのはレーダーの逆探と違って難しいぞ
いや航法用ならパッシブの赤外線でいいじゃん。
同時間帯の衛星画像ありゃ完璧だし、
なくたって海川や人造構造物等の形は写る。
飛行自体は自立できてもどこに飛ぶか指令を受けなくちゃいけない以上ジャミングから無縁とはいかないような
そのうち、事前のプログラミングとAIで自律飛行が可能じゃないの。偵察ならばプログラムされた目標に最短最適な飛行を実行し、攻撃ならばAIにより重要目標から自ら選択できる賢いドローンに
無指向性のGPSと指向性アンテナを用いる通信衛星とじゃジャミングの耐性にも格段の差がある
純粋な簡易偵察機だと、a地点、b地点、c地点って出発前に入力するんでジャミングを受けないよ。
天候、攻撃等を考慮しないといけない機体になると人が操るようになるけど。
巡航ミサイルのTERCOM/DSMACみたいに元データあって画像解析して照合位しか思いつかないけど、どっちも基準になるデータ用意する必要あるし、基準が作れないか基準が無くなった場合(爆撃等で)は迷走する事になる。GPSに依存しないなら照合常にして誘導部に処理負荷が掛かったり、誘導部分のスペースが大きくなる可能性も有るから小型ドローンには相性悪い気がする。
爆撃でプリインストールされた地形データが使えなくなる可能性、確かに。
実際の運用だと確実性必須だから常時照合するんだろうけど。あとはいかに小型化できるかにかかってるのでは
それか天測航法も手か笑
そういえば天測航法で目標に到達してピンポイント爆撃する
航続距離の長い無人機なら日本は得意分野だったな。
やっぱりグラボって戦略物資だったんだなって
中国がデジタル人民元発行しだしたからまたGPU爆上げやし
小型化も怖いけど遠隔操作不要な自律型が怖いな
そうなると単純なジャミングでは止められないだろうし
単純に飛んでいって突っ込んで自爆するだけならそう遠くないうちに出来るかもしれない
>単純に飛んでいって突っ込んで自爆するだけ
それをミサイルという
ミサイルという概念が自爆ドローンに統合される可能性もある
積極的に区別するほどの違いも無くなるだろう
実際自爆型は将来的にミサイルと似た役割を果たすと言われているな
ミサイル以上に柔軟性が増すんじゃないかな
夜間に目標周辺の指定位置(山の中等)まで飛行して着地・潜伏、
特定のタイミング・トリガで目標に突入して自爆、とかなら
遠隔操作不要な自律型で、通常のミサイルには出来ないムーブでは。
使われる場所以外同じものが自走機雷と言われてるわけで、ドローンがバズワードになってなかったらそれもミサイルって呼ばれてたよ。
巡航ミサイルの様に慣性航行と画像認識で自爆するものも、MRLSのクラスター弾の様に散布先で赤外線で人と車に突っ込むものもすでにある。
今のところ、巡航ミサイル、クラスター弾、A10攻撃機の性能1%でお値段20%ってとこかな。
A10攻撃機未満の隙間需要もかなりあるけど、非通信型完全AI制御の徘徊型が出てきたらやばいね。
やはり怖いのはAIで目標の発見や攻撃の判断等の諸々が出来てしまうようなものですね
対ドローン専用ドローンがすぐに登場すると思う。
徘徊型自爆ドローンが現われれば、徘徊型対自爆ドローン専用ドローンが出て来るだろう。
軍事兵器はイタチごっこ。
チョキに対してチョキをぶつければ負けない、と言う発想はあまり効率的ではない。
戦闘機には戦闘機が有効だから、無いとも言えまい
GPSじゃなくてGLONASSを利用したドローンを出してきたのかと思ったら、全然別の航法システムを積んだドローンだったでござるの巻。
グローバルホークの件もそうだけど、流行りだからと無人機や、その対抗策を導入した途端に革新的な新機体や新戦術を出されて陳腐化しそう。(扶桑&山城の悲劇再び?)
まあ金持ちの国が色々試して出た結論を元に作るのが金のない国としては一番良いね
地形追従って巡航ミサイルでやってるやつか
巡航ミサイル自前で作れる国ならどこでも作れそうだな
地形追従は「目の前の地形に合わせて地を這う様な低空飛行をする」機能。
この記事で話してるのは「地形から現在位置を判断して目的地に向かう」機能。
細かい話ですが、GPSと言った場合アメリカの衛星測位システムのことなので総称としてGNSSと表記した方が良いのではないでしょうか?
一般的にはGPSの方が通りが良いのは理解していますが。
防衛省も過去に「画像ジャイロ応用技術の研究」としてGPS妨害されても飛行可能なシステムの研究を行っており、将来無人機への適用が言及されている。個人的には次期戦闘機にも搭載してほしい。
画像データを事前に入手した3D画像データと照らし合わせてるんかねぇ。
一周廻ってミノフスキー粒子下の戦場に近くなってきたね。
デコイの復権ですか。
ナゴルノ・カラバフ紛争でも既にダミー目標を作って無人機に攻撃させたりなどがしていたようです
逆に無人のプロペラ機を飛ばして、それ迎撃した地上軍から位置を補足して攻撃していたりなど
なかなか熾烈な攻防が起こっている報告が当時リアルタイムでなされていました
これからAI誤認識をさせるノイズ攻撃「アドバーサリアル・エグザンプル(敵対的サンプル)」とか明らかに形を変えて誤認されないかデジタル的な迷彩・ダミー使ったりして対策ってされていくんだろうな。認識されないような対策されたらアルゴリズム変更とかで対応、今度はどんな認識のされ方するのかドローン本体ゲットして解析してまた対策とかいたちごっこが続く感じ。
ある程度まで行くと小型ドローンに乗せる程度のコア部分では認識改善対策出来ませんとかになりそうな気もするし、ドローン対策する側も手間が掛かりすぎるから対策出来ないとかにもなりそう。どっちの根気がつきるのが先になるのか。