米CNNや英Guardianは「ウクライナ企業が供給する精巧なダミー」について報じており、取材に応じたウクライナ人従業員は「既に数百のダミーがロシア軍によって破壊された=ロシア軍が高価な弾薬を浪費したという意味」と述べている。
参考:They measure success by how quickly their products are destroyed’ – The Guardian reports from a place where Metinvest experts assemble military decoys to save the lives of Ukrainian servicemen
参考:True to life but without the price tag: The decoy weapons Ukraine wants Russia to destroy
画像や映像に基づいて積み上げられる数字と実際の損害数の間には(相当な)ギャップが存在する
ウクライナ企業のメトインヴェストは8月25日「敵の精密弾薬を浪費させるのに役立つ精巧なダミーを250以上も軍に引き渡した」と発表したが、米CNNや英Guardianも同社が供給する精巧なダミーを取り上げ「戦争初期のロシア軍は粗末なダミーを攻撃して貴重な弾薬を浪費していたものの、現在のロシア軍はISRを強化して目標が本物かどうかチェックしている。しかしウクライナ人が作るダミーはロシア人の一歩先を行っている」と報じ、最新のダミーは見た目だけでなく赤外線センサーでも偽物かどうか見破るのが難しいらしい。
取材に応じたメトインヴェストの従業員は「敵も馬鹿ではないので戦場の現実に適応しなければならない。新しいダミーを送り出しても敵に破壊されなければ設計に何か問題があったことになる。最新のダミーには兵器の熱特性を模倣するトリックも仕込んでいる」と明かしており、もはや膨張式のダミーでは効果が低いことを示唆している。
CNNは「同社が作り出すダミーの種類はD-20、M777、迫撃砲、防空レーダーなど数を上げればきりがなく、ウクライナ人は『既に数百のダミーがロシア軍によって破壊された』と豪語している。このダミーはロシア軍に高価な徘徊型弾薬、ミサイル、弾薬を浪費させるための物で、本物のM777は数百万ドルもするが、ウクライナ人が作り出すM777のダミーは1,000ドル未満で作られている」と報じており、取材に応じたメトインヴェストの従業員は「我々にとって重要なのは製造したダミーの数ではなく破壊されたダミーの数だ。(設置後に)早く破壊されるほど良いニュースと言える」と述べているのが印象的だ。
Момент атаки российского дрона-камикадзе «Ланцет» на комплекс ПВО IRIS-T SLM. Момента удара не видно, но атаковали радар TRML-4D, который ценнее пусковой установки. По видео не скажешь, насколько серьезно он поврежден. Однако похоже, что его бросили под обстрелом. pic.twitter.com/ji5Iiqvnql
— IanMatveev (@ian_matveev) June 7, 2023
因みにウクライナ人は「ロシア軍も戦場でダミーを使用している」と述べているため、これまで両軍が発表した「敵装備の破壊」の何割かはダミーの破壊であった可能性もあり、画像や映像に基づいて積み上げられる数字と実際の損害数の間に「(相当な)ギャップが存在する」と思っておいた方がいい。
関連記事:徘徊型弾薬対策、ウクライナ企業がランセット・キャッチャーの量産を開始
※アイキャッチ画像の出典:Метінвест
m777だって結構大きいのに、1000ドルは安いですね。
木製? プラスチックかな
バルーンでしょ
木やプラで作ってたら1000ドルなんかじゃとても出せないし
運搬や設置で人手が掛かり過ぎる
いや「膨張式のダミーは効果が低い」のあとに「同社の作り出すダミーはM777~」なんだからバルーンじゃないとみるのが自然だろう
表面の薄皮一枚が鋼鉄のペラかも。
赤外線スコープやらを誤魔化すために。
ダミーM777の画像を見る限り砲脚のカクカクや砲身は限りなく本物に近いので金属か木製だと思う。 あとバルーン製でも1000ドルは難しいと思うのでこの値段はフェイクかもしくはあの画像のものは選りすぐりなのかこの部分はよく分からない。
加工してる映像を見ると、発泡ウレタンとかのブロックが多いのでは。
例えばそれに金属箔とかを貼って塗装して熱源とセットでなら、
安物の場合センサーにもそれっぽく見えるんですかね。
映像を見るとなぜ安いのか納得しました。 砲身もパイプ製なので比較的軽く持ち運びに優れていそうです。それにしてもウクライナの方々の工作技術には脱帽です。
動画を見る限り(CNN)4:40~だと樹脂っぽいパイプですかね?(なんかちっちゃいから別の兵器っぽいかな?M777も似たような作りだとは思う)
色が違うとこはジグソーで切断してる住宅用断熱材なのかな(発泡樹脂?)
強度が要るところは樹脂パイプ、ディティールは加工性の良い素材って考えると思った以上に生産性はよさそうかな
手作業が多めなのが気になるけど人件費が安い地域で材料費も工数も少ないなら1000ドルあれば作れるとは思う・・・かな
この手のダミーが高いのって平時は量産しないから生産性も低くて利潤が少ない個数に乗るからだし
他の記事によると「これらの囮兵器は、安価なベニヤ板に金属を組み合わせて製造している。ベニヤ板のみでは、ロシア軍の熱探知レーダーやドローンを欺けるだけの熱が発生しない」とあるので、熱反応で区別できる部分は金属で、そうでないところはベニヤ板で、と上手くハイローミックスな作りにしてるっぽいですね。凄いもんです。
1000ドルでも数が要るから結構な金額になる。
戦争は金がかかる。
これまで話題に上がってきたダミーは大抵木製でしたね
民生用の建築資材を加工してバルーンに取り付ける、とかでは?
写真あちこちでみたけどマジで出来がいい。まぁ、我が国の場合本土のデコイ潰される状況になったら終わりだろうからアテにはならんけど。
赤外線センサーでもやっぱりデコイかわからんようになってるんだ。うちの車庫に欲しいな。
離島こそ意味があるかも
いっそ本物1台に対して100台くらいダミーがあれば壊すの大変だろう
あー、たしかに。あとは飛行場に偽F-35とかあったらいいかもですねえ。
それこそ今のウクライナの特殊工作員がやってるような内地でのドローン攻撃こそ日本が一番懸念すべきことじゃないですかね?
それならばデコイはその効果を発揮してくれると思います
高価な識別装置付けてダミーは見破る方向に行くのが正しいのか、むしろ安く作って見破らずに一緒くたに物量で潰すのが正解なのか
興味深い技術的攻防
ミサイルのシーカーは解像度が高くないので、外見と熱反応が同じなら区別をつけるのは無理でしょう。
攻防が激化するのは、目標の探査、識別フェーズで、多分、ドローンを多用することになるかと思います。そうなると、ダミーが並べてあるだけじゃなく、近くに操作をする兵士がいるか、牽引式榴弾砲なら、近くに牽引用のトラックがいるかなど、総合的に判断する感じになるんじゃないか、と。
そして騙す側もまた、軍としての運用に見えるよう擬態するように。以下、最初にループ、と。
よく知らないけどウクライナは
ソ連時代から有名なプラモデルメーカーが
いくつかあったらしいけど
それがダミー製造に役立っているのだろうか?
日本でも世界的にも有名なプラモメーカー
結構もあるけど(タミヤとかバンダイ、アオシマ等)
外見なら精巧な実物大ダミーは製造出来そう
赤外線(熱源)やレーダー波まで発生する
本格的な軍用ダミーが出来るかは難しいかもだけど
ホビーショーで実物大の戦車の展示ってしてませんでしたっけ。
ウクライナを代表するのプラモデルメーカーであるミニアートは元々クリミアを拠点としていましたが2014年のクリミア占領によってキーウに拠点を移しました。それ以来質がぐんと上がりウクライナのみならずヨーロッパでも随一のメーカーに成長しました。ロシアの侵攻によって成長したのは皮肉ですがこのミニアートやMaster Box、ICMなどのたくさんのプラモデルメーカーの技術はウクライナ軍や国民に多大な貢献を果たしていると思います。
自衛隊は今すぐ静岡模型教材協同組合に相談して
有事にダミーを量産できるように検討しておくべきでは
有事に、と言わず今すぐ各機種数機ずつ発注して当面は配備地近隣の広報館とかに展示しとけば良いのでは。
で、有事の際にはそれっぽい場所に移動しつつ増産依頼。
数百も精巧なダミーが破壊されているのなら本物もそれと同じくらい破壊されているのでは? そういえば今年の3月にAFPBBがチェコでバルーンデコイを作るインフレテック社についての記事をあげていましたが、そこではものによりますが1つの価格が1万から10万ドルと言っていたので素材の違いはあれどウクライナがあれほど高品質なデコイを1000ドルで何百個も生産しているのは少し信じられないな。
本物よりも安く量産できるのがデコイなので、本物と同数ということはないでしょう。なのでデコイが数百破壊されたとしても、本物はその一~二割とかじゃないでしょうか?
あと「安価なベニヤ板に金属を組み合わせて製造している。榴弾砲のデコイも古い下水管を加工するだけで作れてしまう」とあるので、そもそも材料も廃材利用といった感じのようですね。だから安いのでしょう。
本物が丁寧に隠され保護されてるのに対してダミーは(わざとらしくないギリギリまで)見つかりやすく叩きやすく配置されてる訳ですから本物の数倍、数十倍撃破されてても何ら不思議ではないかと。
あとコストについてですが、本物と比べ軽くて簡単にバラバラになるであろうダミーは「破壊」されても多くのパーツは再利用が可能なのではないかと思います。
何なら迷彩ネット(と見せかけた漁業用かなんかの網)をかぶせとけば本物っぽさを増しつつパーツの飛散を防げ回収が楽になるかもしれませんw
こうした「再組立」なら1000ドルどころか数十ドルで出来ることもあるでしょう。
湾岸戦争時にも、多国籍軍はイラクの作ったダミーに苦しめられたという話がありました。
ハリボテ戦車の中で焚火を焚いて、赤外線で見た目が同じように見えるように作ってあったそうです。
結局、終戦まで見分けがつかなかったとか。
そうです。だからアメリカ軍が戦時に発表していたの戦果や、敵の損害の報告だとか、特に
「キル・レシオ」
のような数字は当てにはならない、あるいは相当に割り引いて考えるべきでしょう。
ダミーやデコイは、ベトナム戦争、中東戦争、朝鮮戦争でも使われ、太平洋戦争中の日本軍も使っていました。美術大学の大学生が、徴用されて制作することもありました。彫刻科の学生が作った立体を、絵画科の学生が塗装するといった塩梅です。
塹壕戦では敵のスナイパー、狙撃手の位置を探るために、実物大の
「蝋人形」
や、
「リアルなカカシ」
あるいはマネキンのようなのを作って、塹壕からちょっと出して動かす、つまり
「操り人形」
のようなのを使う場合もあったそうです。人形劇の要領です。
1980年代のアフガニスタン戦争では、ソ連の空挺軍が、軍服を着たマネキンを先にたくさん落下傘降下させて、ムジャヒディンが地上から射撃するのを、爆撃機で爆撃するというような作戦も行われました。ノルマンディー上陸作戦でも同じようなのがありました。
湾岸戦争では逆に日没直後に偵察機から熱源検知して砂漠に埋められた戦車をみつけて破壊したという話(ウクライナ軍によるUAVのサーマル・センサーでの地雷探査と同じ理屈)もあるので、結局はそれらしいものはすべて破壊する物量が正義ということに
デコイは、いつの時代も有効なのですね。
ウクライナ戦争は、ドローンによる標定能力や攻撃能力が、大きな戦訓の一つと思います。
デコイが有効に機能している事も、対ドローンに連なる大きな戦訓ですね。
うちにも一台欲しいな
紀元前からあるような古典的な手法だけど、新しい技術を投入して今なお現役なのがおもしろい
赤外線シグネチャー、電波特性を似せたらIRセンサーでもレーダーでも見分けがつかない
>>敵も馬鹿ではないので戦場の現実に適応しなければならない
文化や国は違えど同じ種族だから、考える事はお互い一緒なんだよね…
もう侵略なんてやめましょうよ!
動画で少しだけダミーを製造してるシーンがあるけど木と緩衝材っぽい素材とかを使ってるみたいだな
一般向けに販売してもそこそこ需要ありそうな…
比較的低価値な目標である迫撃砲にもダミーを作ってるのは驚きだ
戦場にあるほぼ全ての兵器にダミーがあると思ったほうがいいのかも
ダミー値段安すぎるから、一部砲弾撃ちすぎて、使えなくなったウクライナに大量にある迫撃砲の部品使っていそう。
迫撃砲の予備には危険だから使えないですしね。
やはり武芸で残心が重要な様に、自爆型がぶっこんで終わりではなく、
離れたところから様子を見てる奴が必要か。
具体的には目標の中の適当な一つだけを攻撃してみて、
その反応で本物かどうかを判定(予想される反応も沢山パターンがありすぎる・苦笑)。
偽物ならそれだけで済ますか、それとも次にクサイのを狙って見るか・・・。
「何だ偽物か」で攻撃をやり過ごしてから本物を使用するのが狙いか、
単に本物の部隊が展開する位置を特定されにくくしてるだけかで、二の矢を撃つかを悩むところか。
かなり離れた空から高性能のカメラとセンサーで観察していれば、
ダミーを置いた狙いとか本物の有無とか、正確に推定出来るかな?
それでもとりあえず偽物なら盛大に爆発とかはしないだろうし、
戦果誤認は少なくなるか。
まさか偽装するためだけにダミー火薬なんかは詰めないよね?
もしくはダミー弾薬を周りに積むようなムダはしないだろうし・・・。
実弾やそれに近い火薬はお高い上に下手すると運用する兵士にダメージを及ぼすのでないと思いますが、派手に燃えて煙の出る「花火みたいな火薬」くらいは詰めてても全然不思議じゃないですね。
会社の席に置く俺ダミーをください!
席に座るダミーも置いたから君はクビだ☆
西側のIR画像誘導のなら無効でもロシア製のそれなら世代差あり過ぎで欺瞞は容易でしょう。可視光オンリーなら尚更に余裕です。もはやハイテクとは言えない民生ドローン多用の代償を被る話ですね。本来、偵察ドローンにしろ遠距離誘導火力にしろ戦時に経済制裁の中を急造できるしろもんじゃありません。シャヘド型とかいう邪道中の邪道がそうなまじと覇権取れるほど戦争は甘くはありません。
シャヘドは施設やインフラを目標とした戦略爆撃をメインとして使用されているので、記事に出てくるようなダミー兵器はあまり関係ないのでは?
また、シャヘドは元から覇権を取るような兵器ではなく、「対応自体は可能だが厄介」という類の物かと思います。
ここでも対空ミサイルを消耗させる厄介な存在であることは何度か記事になっていると思います。
>取材に応じたメトインヴェストの従業員は「敵も馬鹿ではないので戦場の現実に適応しなければならない。
敵を馬鹿にする事の愚かさを、当事者故によく分かっているようですね。
ロシアなんてどうせ〜とか、中国はそのうち〜とか言う人に聞いて欲しい言葉です。
これは、仰る通りですね。
北方領土を攻めとるチャンスと、仰る方をたまに見かけるんですよね。
1週間や2週間の弾薬備蓄しかないのに、戦場に行きたがる人は勇ましいなあと…(きっと志願するのでしょう)
日本は(自衛隊)、そもそも弾すらないわけですから、馬鹿にできないですよね。
バルーンだと強風や木の枝とかに弱そう
1000ドルなら、12mmのコンパネ50枚とバタ角や足場パイプが結構買える
内部に増設タンク付きの小型石油ストーブを焚いておく。∔1万円
いっそ戦車も横付けオプション作ったら?
ラインダンス人形みたいにさ!
(´・ω・`)
ロシアも似たようなの持ってるのに騙されてやんの。てかハリボテはポチョムキン以来のお家芸じゃないのか。