スウェーデンはウクライナの要請に応じて「グリペンの運用評価を行う機会」を提供中だが、スウェーデン国営ラジオは12日「まもなく政府はグリペンの提供条件を調査するよう軍に命じる予定だ」と報じており、長期的な取り組みとしての「グリペン提供」が動き出した格好だ。
参考:Källor till Ekot: Regeringen vill utreda Gripen till Ukraina
直ぐにどうになる類の話ではないため「長期的な取り組み」の一環だと解釈するのが妥当だ
ウクライナのゼレンスキー大統領は8月にスウェーデンを訪問、クリステルソン首相との会談後「戦場では近代的で機敏な最新の歩兵戦闘車が必要とされており、主権と自由を求めるウクライナの戦いに連帯を示したスウェーデンは我々にCV90を無償提供してくれた。さらに車輌を扱うための訓練、スペアパーツの供給、メンテナンスなどでも我々を支援してくれており、この取り組みは今後も継続されるだろう。両国はCV90が非常に効果的なプラットホームであると認識し、さらなる相互協力が互いに利益をもたらすと確信して協力強化に関する意向表明書(LOI)に署名した」と発表。
ゼレンスキー大統領は「本当にCV90はクールな歩兵戦闘車で前線で必要とされており、スウェーデンとは我が国でのCV90生産で合意した」とも述べたため、ウクライナメディアは「CV90の共同生産と保守に関するLOIに署名した」と報じていたが、マリャル国防次官は今月10日「両国がCV90の共同生産に合意しているため、まもなくウクライナ軍はCV90を大量に受け取ることになる。我々は1,000輌のスウェーデン製BMPを配備することが直近の目標である」と言及。
そのためウクライナメディアは「両国は1,000輌のCV90を共同生産する」と報じたものの詳細は不明で、ウクライナ軍のニーズを満たすための「長期的な取り組み」だと予想されるが、スウェーデンの国営ラジオは12日「まもなく政府はウクライナへのグリペン提供条件を調査するよう軍に依頼する予定だ」と報じて注目を集めている。
スウェーデンは6月に12番目のウクライナ支援パッケージを発表、その中で「グリペンの運用評価に関する訓練機会をウクライナに提供する」と言及し、グリペンを評価するウクライナ人パイロットや地上要員の訓練が進められている最中だが、スウェーデンはウクライナへのグリペン提供については決断を下していない。
この件についてSveriges Radioは「まもなく政府はウクライナへのグリペン提供条件を調査するよう軍に依頼する予定だ。特に政府が知りたいのはグリペンのウクライナ提供がスウェーデンの国防能力にどのような影響を及ぼし、どの程度の早さで代替機のグリペンを取得できるのかだ。さらにグリペンを操縦するウクライナ人パイロットや機体の整備を行う地上要員の訓練がどのように行われるのかも知りたがっている」と報じており、スウェーデンは空軍在庫からのグリペン提供を想定して動いているのだろう。
ただF-16のウクライナ提供を見てもわかる通り「代替機(もしくは後継機)の都合がつかないまま保有する戦闘機をウクライナに提供する」という国は存在しないため、CV90と同じように「長期的な取り組み」の一環だと解釈するのが妥当だ。
因みに代替機の取得スケジュールとグリペンの提供スケジュールが一致するなら「ウクライナがグリペンを直接発注すればいい」とも言えるが、恐らくスウェーデンの資金でグリペンをウクライナに提供することを想定しているため、スウェーデン空軍が新しい機体を受け取り、ウクライナに提供される機体はスウェーデン空軍のお下がりになるのかもしれない。
関連記事:ゼレンスキー大統領、ウクライナ人によるグリペンのテストが始まった
※アイキャッチ画像の出典:SO Johnson/CC BY-SA 2.0 ブラジル空軍のグリペンE
皆様の頭髪のように影が薄かったグリペンにも光が当たってきて嬉しいですね(皆様は光を反射してますが)
サーブ社にはこの調子で市場開拓にハゲんで行ってほしいです
言っておくが、俺の髪はプーチンより多いからな
おはプリゴジン
うるせえ頭皮石器時代に戻してやんぞ
グリペンは元々完全に対露用なんだからF-16よりも絶対手に入るなら手にいれるべき装備なんだよな。
短距離離陸にジャミングにって今必要な戦闘機ではある。
初めて作った模型はグリペンでした
ウクライナへグリペンC/Dを提供するに合わせて、スェーデン空軍向けのグリペンE/F導入ペースが上がるのかな?
導入繰り上げで他国からの発注が無いと生産ラインの閉鎖が速くなりそうですね。
CV90が気に入ったので共同で量産するということですが、どういうところが良いのでしょうね。
ゲパルトが前線で人気のようだし、30mm機関砲がよいのだろうか。
RPGの至近弾を喰らった映像がありましたが、乗員は全員脱出できたようだし生存性が優れているのでしょうか。
「至近弾を喰らった」ではなく「至近距離からの直撃弾を喰らった」と書きたかったのでした
スウェーデンが供与したのが自軍で使ってるやつだとしたらStrf9040シリーズだから、搭載砲は40mmですね。
あとやっぱりファミリー化してるから拡張性も段違いなんじゃないですかね。
初期型が24t前後、本国仕様で28tなのに対して、最新のCV90は足回り強化したら37tまで重装化可能らしいですし、将来性の塊といっても過言じゃないでしょう
モジュラー設計で拡張性があるのは大事なんでしょうね
戦訓を取り入れて装備の追加とかやりやすいだろうし。
むしろ協力国を見るに選択肢がありますかね?
韓国IFVは関与を見る限り無いし、ポーランドも隣国であるが故に何だかんだで影響あるし、英国は進行中のプロジェクトが怪しい。
米国だと冷戦期設計のアップグレードしたブラッドレーしか選択肢が無い。ドイツは調達中車両に爆弾抱えてラインメタルの物は量産すらされてないしドイツ政府が土壇場でどうなるかも分からない危うさがある。
量産されていて輸出実績あり攻守揃っている、構成部品が他国の影響を受けづらいと思うし結果としては当然では?
確かに、最近は装輪式が主流なのか装軌式の歩兵戦闘車は選択肢が少ないですね。新型で調達もしやすいということでCV90しかないのか。
まあ製造ライン維持を考えれば、C/D売り飛ばしてある程度の金にしてNG追加発注した方が総合的に良さそうですしな