米海軍は4月30日、イタリアの防衛産業企業フィンカンティエリが提案したFREMMを次期フリゲート艦「FFG(X)」プログラムに採用すると発表した。
参考:US Navy Awards Guided Missile Frigate (FFG(X)) Contract
米海軍の次期フリゲート艦「FFG(X)」プログラムを制したのはイタリアの防衛産業企業
米海軍は中国との戦いを想定していなかったフリーダム級やインディペンデンス級といった沿海域戦闘艦の調達を打ち切り、新たに空母に随伴可能でMk.41垂直発射装置を搭載して対空、対艦、対潜任務をこなせる次期フリゲート艦「FFG(X)」プログラムを2017年に立ち上げ2020年7月までに契約を行う企業を選定するスケジュールだったのだが、予定より3ヶ月も早い4月30日に選定結果が発表された。
米海軍の次期フリゲート艦「FFG(X)」プログラムを制したのは、イタリアの防衛産業企業フィンカンティエリが提案したFREMM(仏伊が共同で計画した汎用フリゲート)案で、同社は米海軍から7億9,150万ドル(約850億円)の契約を授与されることになる。

出典:Public Domain イタリア海軍のFREMM
この契約は次期フリゲート艦「FFG(X)」の詳細設計と1番艦の建造費が含まれており、さらに契約に含まれているオプションを米海軍が行使すれば計10隻の発注が可能になるため契約総額は最大で55億8,000万ドル(約6,000億円)となり、米海軍は最終的に同艦を20隻調達する予定なので更にもう10隻の発注契約をフィンカンティエリと結ぶことになるだろう。
補足:上記の金額には軍が別途調達して支給する武器や電子機器などが含まれていない。米海軍によれば次期フリゲート艦「FFG(X)」1番艦の最終的な建造価格は12億8,000万ドル(1,380億円)になると言っている。
ただ実際に同艦を建造するのは米国のウィスコンシン州に拠点を置く造船企業マリネットマリンだ。
次期フリゲート艦「FFG(X)」プログラムは海外の防衛産業企業にも門戸が開かれているのだが、必ず米造船企業とパートナーシップを結ばなければならないため受注した次期フリゲート艦「FFG(X)」をイタリアの造船所で建造することは出来ないため、フリーダム級沿海域戦闘艦の建造実績があるフィンカンティエリ傘下のマリネットマリンで建造される。

出典:public domain フリーダム級沿海域戦闘艦
米海軍の発表によると次期フリゲート艦「FFG(X)」はエンタープライズ対空監視レーダー(EASR:AN/SPY-6レーダーの派生型)、イージスシステム(ベースライン10)、Mk.41垂直発射装置(32セル)、ボフォース57mm MK.3を備えており、汎用性の高いフリゲート艦として完成(1番艦引き渡しは2026年7月頃)する見込みだ。
因みに管理人はトランプ大統領が掲げる「バイ・アメリカン政策」やEUの兵器開発基金問題のの影響で、米防衛産業企業のハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)が提案した米沿岸警備隊向けの巡視船カッターをベースにした案が勝利するのではないかと予想していたため、この結果には非常に驚いている。
欧州のNATO加盟国はトランプ大統領の要求に応じて国防予算を引き上げたが、これを米防衛産業企業に吸い取られるのを防ぐためEUが立ち上げた兵器開発基金に資金を流そうとしており、この行動にトランプ大統領が激怒しているのだ。
関連記事:狡猾な欧州が仕掛けた罠? NATO加盟国が引き上げた「国防予算」を巡って欧米激突
EUが立ち上げた兵器開発基金の目的は非効率な欧州防衛産業の効率化推進にあるのだが、基金へアクセスできるのは欧州企業に限定されているため、実際には基金利用を理由に欧州の兵器開発から米防衛産業企業を締め出すことを目的にしていると見られており、欧州防衛産業の米軍兵器調達プログラム参加を認めている米国からしてみれば極めて不公平な措置と言わざるを得ない。

出典:Italian G7 Presidency 2017 / CC BY 3.0 it 欧州連合(EU)
当然、トランプ大統領は文句をつけたのだが欧州は米国が口を挟む問題ではないと一蹴している。
要するに欧州はNATOの話なら米国にも口を出す権利があるが、これは飽くまでEU内の兵器開発基金の話であり加盟国でもない米国に口を挟む権利はないと言いたいのだ。
このような状況にもかかわらず欧州の防衛産業企業が次期フリゲート艦「FFG(X)」を受注したということは驚き以外の何者でもない。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy graphic/Released 米海軍が発表した次期フリゲート艦「FFG(X)」の完成予想イメージ
しかしまぁ見た目はミニバーグというかLCSや日本のFFMに比べて随分レトロなデザインになったもんだな(´・ω・`)
パッと見スプルーアンス級駆逐艦みたいですよね
フリゲートつっても日本のむらさめ型とパッと見のスペック同じやな。
アメリカは、新フリーゲートにイージスシステムを積むんだけどね。
フリゲートにもイージス積むのかよ すげぇな
この体格で57ミリ砲なのかい
想像にすぎませんが、ブルーウォーターのワークホースと割りきってるんじゃないですかね。対舟艇・対空・臨検用の威嚇ができればいいみたいな。
何しろ欲張りまくってプレハブと化してるやつもいますしぃ。
イタリア・フランスは多任務フリゲート(FREMM)計画つってるけど、
フランスのはアキテーヌ級駆逐艦(デストロイヤー)って区分
イタリアのカルロ・ベルガミーニはフリゲートって言ってるけど、
前艦の「カイオ・ドゥイリオ」駆逐艦よりデカイ、(ホライズン計画、フランスのは「フォルバン」)
日本の海上自衛隊の「護衛艦」みたいなもの?
今は艦体の大きさより、艦隊防空艦が駆逐艦、汎用艦がフリゲートと分類されているようですね。
日本でも汎用護衛艦がフリゲートでそれより小さいしまかぜが駆逐艦、という具合です。
何をデストロイするのかの定義の方が変わってしまいましたか…
12億ドルならアーレイ・バーク級の6割の価格、満載排水量も6割なので値段相応ですが、LCSの2倍近い排水量なのでLCSの極振りコンセプトは完全に死亡ですね。
イージスシステムを載せたのはアメリカ国内企業への利益配分と対中国で見た時に艦隊防衛ミサイル艦の手数を増やすためでしょう。
ズムウォルト級に載る予定だったオープンアーキテクチャの次世代戦闘システムが予定通りの機能を持っていればそちらを調達したのかもしれませんが、まだまだイージスシステムはバージョンアップしつつ現役を維持しそうです。
日本のFFMより強そう
日本もこっちを買えば良いのでは?
かけてる金が違いますが(呆れ
強そうなのが良ければズムウォルトを買えばよろしい
日本は自前で設計できるんだから要らない
FFM1隻550億だぞ?
これ2隻のお値段で5隻買ってお釣が来るわ。
つまりFFM22隻分の予算で8隻しか買えないじゃん。
それでいいと本気で思ってる?
30FFMとFREMMの調達価格はほとんど同額ですし、FREMMにイージスシステムとVLS増量した価格2倍のFFG(X)はまや型イージスDDGより3割安い程度なので中途半端に高いですね。
国内の造船所にお金が落ちないFREMMやFFG(X)を選定する理由はないでしょう。
その発言は、FFMがどういう役割を求められてるのかも知らないからだろうな(呆れ
いやFFMは57㎜なんて豆鉄砲でなく127㎜だしVLSも16セル積んでるし国産長SAM搭載も控えてるから方向性が違うだけで普通に同じぐらい強力だぞ?(馬鹿か?
しかもステルス性は明らかにFFMの方が高い
そう考えるとこのフリゲート高すぎるな
中佐の艦長ポストが必要なのでデストロイヤーになりそう。
他国のフリゲートは駆逐艦と同じく中佐を艦長にすることが多いですね。
アメリカ海軍の場合、大佐のポストは巡洋艦、巡航ミサイル潜水艦、空母の艦長ですが、空母の艦長は航空士官から任ぜられるので艦乗り出身の大佐のポストが今後不足しそうな感じですが。
満載6000t級の船体で主砲?が57mm砲って小さ過ぎません?
5in砲を載せても問題なさそうなのに(発展余剰用に空けてあるのかな?)
ホントに小さいですよね。
まさか5.7inchの間違いってことは無いですよね。
ステルス船型もいいけど前後の甲板間を移動するのにとても不便。
同じくフリゲートの名を冠された3900t級(実際は5500t)FFMが127mm砲なのに、6100t級のFFGXが57mm砲搭載なのは割りに合わない感じもあるが、実のところFFMのVLS16セルに対してFFGXは32セルとセルが倍なのですね
掃海などの直接戦闘以外も主眼に置いたFFMと比べると、より戦闘に特化したFFGXでは主砲はあくまでコール襲撃事件みたいな接近してくる小型船舶の牽制・撃破のためのもので、メインは各種ミサイルということなのでしょう
時期的に自衛隊のFFMと能力が変わらなそうだから
共同開発すればと思ったが、あちらさんはイージスシステム搭載なのかw
やっぱり自衛隊とは世界観が違うな
けど、これからの敵は共通しているが・・・w
迷走しているなぁ
たぶん駄目(´Д`)
落選した米企業が訴えてGAOが出てきて選定やり直して迷走までがワンセット?
しかし米企業が提案していたのが巡視船ベースって、これにもイージスシステムを載せるつもりだったのかな? イージスシステム搭載が要求されていたのならちょっと無理があったかも。
アメリカが欧州行って欧州で整備することを念頭に置いた計画なのかな?
イージスシステムの大バーゲンセール、システムが安価で小さな艦体にVLSと一緒に装備できるなら、これほど効率的なインフラは無い。
まぁ今の技術でOHP級FFG再び!
という案件なのでしょうが、
OHP級FFGの時の割り切りが足りてない気が…
イージスシステム搭載の意味が分からんなぁ。これで十分ならバーグやタイコはオーバースペックということだし。大量建造したいなら個艦防御に協同交戦能力で十分だろうに。肥大化した駆逐艦をスリム化させたいのだろうか
イージスシステムにだってクラスはあるし、小さければ必然的にプラットフォームとしての安定性も下がるんだから、これにイージスシステムが積めるならアーレイバークは過大となんて単純な話にはならない。
許容ギリギリのスペックで価格は安く実績もある
アメリカが戦争は数と割り切って
最安値の船の大量建造に舵切ったのは興味深い
「戦争は数だよ、兄貴」ってセリフがありましたなぁ。
コロンビア級原潜の値段が高すぎて他の艦の建造が遅れるって記事が前にあったけど、このフリゲートには影響無いのかね
76mmSR砲ぐらいがちょうど良さそうなのに57mmなんだね
近ごろの米軍の迷走ぶりからして、この計画はさらに紆余曲折することを予言しとく
レーダー三面しかないの?いや、問題ないんだろうけど。ここの割り切り方もスゴいなあ。
ペリー級の後継と思えば「ほーいいじゃないか、こういうのでいいんだよ、こういうので!」
って、感想を個人的には持つのだけれど。ここに至るまでが長かったなぁ。みんな対テロ戦争が悪い。