米空軍は23日、無人戦闘機プログラム「Skyborg(スカイボーグ)」を前進させるため提案された案の中からボーイング案、ノースロップ・グラマン案、ゼネラル・アトミックス案、クラトス案に対しプロトタイプ製造の契約を与えた。
参考:Four companies win contracts to build the Air Force’s Skyborg drone
Skyborgプログラムはクラトス案、ボーイング案、ノースロップ・グラマン案、ゼネラル・アトミックス案の4案で争われることに
無人戦闘機プログラム「Skyborg(スカイボーグ)」とは戦闘機F-22AやF-35A等と連携して戦闘任務を自律的に行う事ができる無人戦闘機の開発を目的にしたプログラムで、先月正式に提案の受付が始まり各社から提案された案の中からクラトス案、ボーイング案、ノースロップ・グラマン案、ゼネラル・アトミックス案に対してプロトタイプ製造の契約を与えたと米空軍が明らかにした。
今回契約を与えられた4つの案を簡単に説明すると、クラトス案は米空軍研究所のLCAAT (低コスト航空用航空機技術)プログラムの元で開発されたステルス無人戦闘機「XQ-58Aヴァルキリー」のことで、1機あたりの200万ドル~300万ドル(2.2億円~3.3億円)という価格の安さが最大の特徴だが、F-35と編隊飛行を行っても問題のないレベルのステルス性能や機体下部のウェポンベイに最大250kgまでの誘導爆弾を搭載して3,000km以上を飛行することが可能で最もスカイボーグプログラムの勝者に近いと言われている。
すでに勝利を確信しているクラトスは、オクラホマシティにある自社工場でXQ-58Aの量産を開始しているらしい。

出典:ボーイング
ボーイング案はオーストラリア空軍向けに開発した無人航空機(UAV)「ロイヤル・ウィングマン(忠実なる僚機という意味)」をベースにした派生機を提案したと言われており、ノースロップ・グラマン案とゼネラル・アトミックス案は何を提案したのかすら明かしていない。
因みに通常の競争試作ならプロトタイプの製造に時間を与えられるのだが、2023年までに初期運用能力の獲得を目指している「Skyborgプログラム」の場合、直ぐにプロトタイプの提出を求められるため実機が存在するクラトス案とボーイング案が有利(※)だと見られている。
※補足:ノースロップ・グラマン案とゼネラル・アトミックス案には実機が存在するのか確認されていないため
恐らく公表されている事実と下馬評で判断するならクラトス案が最も空軍採用に近く、それを猛追しているのがボーイング案という図式だが、管理人的には無人航空機RQ-1プレデターやMQ-9 リーパーを開発してきた実績がもつゼネラル・アトミックス案がダークホースになるのではなかと予測している。
あと心残りなのはスカンクワークスを投入してSkyborgプログラム向けの無人航空機を開発していたロッキード・マーティン案がプロトタイプ製造に進めなかった点で、管理人的にはF-22やF-35を開発してきた技術力を生かした無人戦闘機を見てみたかったと言うのが正直な気持ちだが選べれなかったものはしょうがない。
果たして数年後のF-22やF-35と編隊を組んで大空を飛んでいるのは、どの無人戦闘機なのか世界中から注目が集まっている。
※アイキャッチ画像の出典:public domain XQ-58ヴァルキリー
この無人機が2~3億で完成出来ると思えないが自衛隊にも欲しいな
少ない戦闘機運用を補完できればいい
F-35の標準的な装備となるか米空軍専用機か
輸出が許可されれば日本も導入するだろうけど
第六世代機に同伴する無人機って、マッハを出さなければならないと思うのだが、それでは1機数十億円しそうな悪寒。
画像のXQ-58に限ってですが、空気取り入れ口の位置から大迎角な機動は無理ですね。
パイロットにとって一番危険な格闘戦をドローンにやってもらい有人機は後方にとどまる、そんな兵器はまだまだ登場しないようです。
単純に目であるセンサとミサイルキャリアを増やすことが目的ということでしょうか。
もし日本が導入するなら、領空侵犯措置の多い空自にとってどれほど有用なのかが気になります。
P-1や対艦装備のF-3のエスコートなど?
無人戦闘機っていうとAI搭載して独自のマニューバしたりするようなの想像するけど
なんか有人機についていってミサイル撃つだけの単なる飛ぶミサイルコンテナって感じのモノになりそうだな……
ミサイルキャリアにレーダー・センサー・電子戦、デコイに空中給油、仕事としちゃ十分なんですけど、
仰る通り戦闘機という感じではなく「随伴機」の方がしっくり来ますね。
250ポンドのペイロードでは大した兵装は積めなさそうですが
今後大型化するのでしょうか?
下手に大型化すれば価格高騰するでしょうし、難しいですね
そもそも1機2~3億円って、LRASMよりも安価ですし。LRASMは1発4億円くらいしたかと
LRASMは敵のレーダー波を検知して自律的に回避・迂回する機動をし、敵艦を自らのシーカーで捉えて突入する訳ですが、より大型なのに安価なXQ-58Aに積める電子機器とは?
ゼネラル・アトミックスは陸軍のALE(空中発射戦術 air-launched effects)プロジェクトに関与してて、余力は無いかも?
無人機を母艦として、偵察機、攻撃機、デコイを発射して、運用する
現在はヘリからの運用試験は終わって、MQ-1C-ER(拡張型)で試験中
MQ-1C-ERは200機ぐらいを調達する予定だとか
MQ-1C-ERで終わりでは無く、最終的にはUH-60ブラックホーク、AH-64アパッチ、CH-47チヌーク、OH-58カイオワヘリコプターを無人機、無人機on無人機で代替えする計画
(RQ-1は名称変更でMQ-1になっていますね)
リンク1
リンク2
リンク3
ALTIUS 無人の小型偵察機 ヘリとかから飛ばす
リンク4
この計画、クラトスのXQ-58が本命でボーイング案が本命なのは分かるけど、今回選に漏れたロッキードマーティンも此の儘引き下がるとは思えないぞ
何しろ同社のスカンクワークスは、過去米空軍が高高度偵察機を競争試作する事を察知すると、先手を打ってF-104改造の偵察機案を極秘裏に提案、その結果米空軍はその提案に沿った要求を各メーカーに出した結果、ロッキードのU-2偵察機が採用されたと言う前科がある
だから、ロッキードマーティンならスカンクワークスの能力と政治力をフル回転して、この開発計画を骨抜き又はちゃぶ台返しする様な無人機を自主開発するかも知れない
ヴァルキリーとロイヤルはステルス偵察機として有用そうだが無人戦闘機としては能力不足。完全に使い捨てる前提の運用なら話は別だが、無人機ならではの限界を超えた高機動戦闘能力くらいないと地対空ミサイル用の標的機にしかならない。
だから昔の超音速実験機を彷彿とさせる様な形状になるので、本当に無人戦闘機として運用するなら選ばれた四社に極端な優劣の差は無い。
そのための低価格なんだってば
高機動戦闘能力を持たせたければ、十分な推力・翼面積・機体強度が必要で
それらは全て重量に跳ね返りますからね。
そして重量増は機動力低下や機体負荷の増大に繋がるので容易に「推力・翼面積・機体強度の肥大化スパイラル」に陥ります。
加えて制御プログラムもはるかに高度な物が求められますので、結果コストが数倍に跳ね上がります。
「安価なレーダー特化機2機+ミサイルキャリア2機の編隊」と「5倍のコストを掛けた無人高機動戦闘機」で勝率が高いのは、あるいは有人機にとって脅威となるのはどっちか、と考えると
無人高機動戦闘機ってのはロマンはあるけど現実的にはなかなか難しいんじゃないですかね。
このレベルの試作機に民間の航空産業4社も名乗り上げてくるアメリカの航空産業の技術力は特別だね。
他の国ではこの種の競争はまず起こらない。
アメリカ人そのものが飛行機を日常のレベルで考えていることが大きい。
ロッキードは当分F35で安泰だから落選したと思うな
一人勝ちしすぎると競争原理なくなるしな