インド太平洋関連

オーストラリアがまもなく国防費増額を発表、2033年にGDP比3%を達成か

豪国防省は16日に2026年版の国家防衛戦略と統合投資計画を発表する予定で、豪国営放送=ABCは15日「今後10年間の国防予算に530億豪ドルを追加する」「2033年までにGDP比3.0%に到達する」と報じ、今後10年間の国防予算の総額は8,000億豪ドル=約91兆円を突破する可能性が高い。

参考:Defence spending to lift by $53 billion over the next decade as government warns of ‘intensifying’ risks

今回の増額によってオーストラリアの国防予算は2033年までにGDP比3.0%に到達するらしい

豪国防省は16日に2026年版の国家防衛戦略と統合投資計画を発表する予定で、豪国営放送=ABCのラジオインタビューに応じたリチャード・マールズ国防相は「資金の投資優先順位を変更する」と明かした。

出典:Boeing

“無人化技術には今後10年間で120億豪ドル~150億豪ドルを投資する。これは大幅な増加率で2024年の国家防衛戦略で計画していた投資額より20億豪ドル〜50億豪ドルの追加となる。この分野への投資を大幅に増やしているのは現代の戦争の在り方が大きく変わったからだ。ウクライナでの戦争がどのように展開して進化してきたか、誰もが本当に驚いていると思う。自律型システムは明らかに今後の戦争の中心となるだろう。中東でもそれが起きているのが観測されている。だから、それにしっかり追いつくことが重要で自律型システムへの重点を大幅に引き上げた”

“(どの部分の優先順位を引き下げて無人化技術に追加投資する資金を捻出するのかの詳細は)木曜日に全てお話する。予算の全体像として今言えるのは国防予算の増加傾向を今後も継続していくということだ。自律型システムへの重点は今構築している国防軍のあり方を考える上で欠かせない要素だ。昨年発表したGhost Sharkには今後5年間で17億ドルを投じているし、MQ-28Aにも最近14億ドルを追加投資した。これらは世界最先端の自律型技術であり、オーストラリアの地理的状況に合った大型のシステムだ。こうした技術が私たちが構築する国防軍の中心的な柱となっている”

出典:Australian Defence Force/Kym Smith

“対ドローンシステムについても取り組んでおり、無人化技術への投資は領域全体をカバーしている。地理的特性を考えるとオーストラリアは大型技術の開発で専門性を高めているが、国防軍に必要な無人能力は全領域をカバーするものになる。小型ドローンの場合は数の優位性が必要で、それがウクライナで実際に起きている。一方で中東情勢を見ると対ドローン技術も極めて重要なのがよく分かる。これが全体の構成要素として欠かせない”

ABCも14日「国防省が今週後半に発表する新たな統合投資計画には最低でも20億豪ドルの新規資金もしくは既存プログラムの優先順位変更による資金転用が含まれる見込みで、まだどのプログラムが影響を受けるのか明らかになっていない」「この追加資金はMQ-28AやGhost Sharkといった大型無人システムだけでなく小型で安価なドローン開発にも配分される。少なくとも22億豪ドルが小型で低コストな機種の開発に費やされる予定だ」と報じていたが、15日「オーストラリアは今後10年間の国防予算に530億豪ドルを追加する」と報じた。

出典:Australian Defence Force/LSIS Daniel Goodman

“ABCが入手した明日の演説原稿によればマールズ国防相は「オーストラリアが第二次世界大戦終結以来、最も複雑で脅威的な戦略的状況に直面している」「こうした状況を受けて政府は防衛能力を迅速に強化するため、あらゆる手段を講じている。主な手段は国防予算の増額だが民間資本の活用も視野に入れている」と述べる予定だ。オーストラリアは今後10年間の国防予算に530億豪ドルを追加し、この140億豪ドルを最初の4年間に追加する”

2024年版の国家防衛戦略の中で言及された今後10年間(2024年~2033年)の国防予算は7,650億豪ドル=約87兆円、会計年度の区切りが2024年から2026年にスライドするため多少のズレはあると思うが、今後10年間(2026年~2035年)の国防予算に530億豪ドルを追加すると総額は8,000億豪ドル=約91兆円を突破する可能性が高い。

出典:Australian Defence Force/ABIS Jaxsen Shinners

オーストラリアが増額分を何に投資するのかは正式発表を見てみないと分からないが、もうオーストラリアの国防予算は円安の影響で日本の防衛費と同じ規模になっている。

ちなみに今回の増額によってオーストラリアの国防予算は2033年までにGDP比3.0%に到達するらしい。

関連記事:豪海軍が海洋自律システム部隊を創設、対潜戦対応の無人潜水艦や無人水上艇を配備
関連記事:豪州が無人機分野への投資を最大1.7兆円まで増額、低コストドローンにも2,000億円以上
関連記事:ラインメタルとボーイングが提携、ドイツ空軍のCCA調達にMQ-28Aを提供
関連記事:無人戦闘機分野で先行するオーストラリア、MQ-28Aに欧州製兵器を統合
関連記事:国防支出5.0%達成を約束している台湾、需要の高い米国製装備で納入優遇か
関連記事:米国防次官が韓国の国防費増額を称賛、米大統領の意向を理解して実践している
関連記事:もう安全確保の負担から逃げられない、高市首相は積極的な防衛政策を推進か
関連記事:米国防次官が日韓を訪問、世界基準の国防支出として総額5.0%を要求か
関連記事:米国防総省が国家防衛戦略を発表、インド太平洋よりも米国本土を優先する
関連記事:日豪が安全保障分野の関係を強化、空自がMQ-28Aのテストに参加
関連記事:Andurilが豪海軍向けに世界で初めて量産化した無人潜水艦、米海軍も採用
関連記事:豪海軍とAndurilが無人潜水艦を実用化、Ghost Sharkの量産開始を発表
関連記事:豪海軍とAndurilがGhost Sharkを公開、開発は予算超過もなく順調
関連記事:XLUUVのプロトタイプを手にいれた豪海軍、圧倒的なスピードで米英仏海軍に追いつく
関連記事:XLUUV開発の遅れを挽回したい豪海軍、3年でプロトタイプ完成を狙う

 

※アイキャッチ画像の出典:Australian Defence Force/LSIS Susan Mossop

日本の武器輸出解禁に米同盟国が注目、三菱電機にはあらゆる方面からオファー前のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    世界で4番目、インドがスクラムジェットによる極超音速飛翔に成功

    インドは極超音速技術実証機(HSTDV)をマッハ6以上の極超音速域で飛…

  2. インド太平洋関連

    韓国、2028年までにKF-21向けの長距離巡航ミサイル開発を発表

    韓国の防衛事業庁は12日「KF-21に搭載する長距離空対地誘導弾の開発…

  3. インド太平洋関連

    ソウルで開幕したADEX2023、複数の無人戦闘機や無人機が披露される

    ソウルで17日に開幕したADEX 2023(航空宇宙・防衛産業展示会)…

  4. インド太平洋関連

    狙いは日中の空母、 韓国が開発中の超音速空対艦ミサイルは日本の「ASM-3改」に匹敵?

    韓国軍は周辺国の空母を無力化することができる超音速空対艦ミサイルの導入…

  5. インド太平洋関連

    インド、第5世代戦闘機の試作機が2026年までにロールアウト可能

    インドの国防研究開発機構(DOD)は政府に第5世代戦闘機「AMCA=A…

  6. インド太平洋関連

    豪州の原潜取得に批判が高まる、日本に再び頭を下げるかもしれない

    トランプ政権によるAUKUS協定の見直しについて英豪政府関係者は「問題…

コメント

  • コメント (1)

  • トラックバックは利用できません。

    • たむごん
    • 2026年 4月 16日

    オーストラリアは、資源関連を全て自給しているイメージがありますが、輸入しているものもあるんですよね。

    日本が、オーストラリアに軽油・ガソリンを輸出(!)しているのに驚きましたが、イラン戦争中に(今まで通り輸入できるのか)注目を集めたようです。
    オーストラリアは、ガソリンのパニック買いによりガソリンスタンドの在庫がなくなったりしたようですから、日本国内なかなか上手にやってるなと感じています。

    オーストラリアも、シーレーン防衛が極めて重要なわけですが、中国海軍が十分な通告なく『タスマン海で実弾演習』したのも考えれば国防費増額も妥当に感じています。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  2. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  3. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  4. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP