米軍が協力関係にあったアフガニスタン人の身分証明代わりに使用していた生体認証装置がタリバンに押収されたと報じられており、もし悪用されると非常に不味いことになる。

参考：THE TALIBAN HAVE SEIZED U.S. MILITARY BIOMETRICS DEVICES

タリバンがHIIDEから引き出した情報に基づき協力関係にあったアフガニスタン人への報復を開始すれば悪夢としか言いようがない

タリバンは米国を始めとする国々に協力したアフガニスタン人（崩壊した政府関係者、軍事基地や大使館で一般業務や通訳として雇用関係にあった人々）を特定する役立つ米軍の生体認証装置（HIIDE/Handheld Interagency Identity Detection Equipment）を押収したと報じられており、これが事実な国外脱出の長い列に並んでいる協力関係にあったアフガニスタン人にとって非常に不味いことになる。

出典：Photo by Sgt. Mike Brinson アフガニスタンのザブール州で開催された農業セミナーに出席するアフガニスタン人の生体情報を記録する米軍兵士

米メディアのThe Interceptは18日、米軍が使用していたHIIDEと呼ばれる生体認証装置が先週の攻勢時にタリバンによって押収（どこで押収されたのかは不明）されたと米軍関係者が証言しており、このデバイスは米軍が「テロリストや反政府組織の人間を追跡するのに役立つ」と喧伝していたもので全アフガニスタン人の約8割に相当する生体情報の収集を目標に掲げていたが、米軍は協力関係にあったアフガニスタン人の生体情報（虹彩や指紋などの生体情報の他に経歴情報が含まれているらしい）もHIIDEを利用して収集、身分証明代わりに使用していたらしい。

統合特殊作戦司令部の関係者は「タリバンにHIIDEのデータを取り出して処理する能力やツールはないが、タリバンと密接な関係にあるパキスタンの軍統合情報局（ISI）ならHIIDEから情報を引き出すことが出来るだろう」と語っており、もしHIIDEのデータが引き出されタリバンの手に渡れば協力関係にあったアフガニスタン人を特定するが容易になるため非常にデリケートな問題だ。

出典：Photo by Staff Sgt. Raul Gonzalez アフガニスタン治安部隊の隊員の生体情報を記録する米海兵隊員

元米陸軍情報将校だった人物は「HIIDEの情報が悪用された場合の対処方法について軍は何も考えていなかった」と証言しており、米軍や外交機関はアフガニスタンのような情勢が不安定な地域にHIIDEを持ち込む前に慎重に検討すべきだと訴えている。

但しHIIDEを使用するには米軍のデータベースにアクセスする必要があるため、協力関係にあったアフガニスタン人の生体情報がどの程度漏洩したのかは不明だとThe Interceptは述べているが、この問題について国防総省はコメントを拒否しており、もしタリバンがHIIDEから引き出した情報に基づき協力関係にあったアフガニスタン人への報復を開始すれば悪夢としか言いようがない。

※アイキャッチ画像の出典：Photo by Spc. George Hunt パトロール中の米陸軍兵士がアフガニスタン人の生体情報を記録する様子