米国関連

約60年間のP-3C運用に終止符! 米海軍、対潜哨戒機P-8Aへの移行が完了

約60年も運用を続けてきた対潜哨戒機P-3Cオリオンが姿を消し、米海軍の対潜哨戒機はP-8Aポセイドンに完全移行を果たした。

参考:VP-40 Completes Fleet’s Final Active Duty P-8A Transition

米海軍の対潜哨戒機P-8Aへの移行を終えてP-3Cが姿を消す

米海軍は28日、第40哨戒飛行隊(VP-40)「ファイティング・マーリンズ」が対潜哨戒機P-3Cオリオンから最新のP-8Aポセイドンへの機種転換が完了したと発表、これで米海軍の哨戒飛行隊は全てP-8Aへの移行が完了したことになる。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Marc Cuenca/Released 最後の海外展開を終え帰国したP-3Cを出迎える隊員の家族

今回P-8Aへの機種転換を終えた第40哨戒飛行隊はワシントン州ウィドビー・アイランド航空基地を拠点に活動しており、昨年10月にP-3運用部隊として最後の海外展開(中東方面)を終えたあと同基地でP-8Aポセイドンへの機種転換を受けていた。

一応、第40哨戒飛行隊のP-8A機種転換をもって米海軍の正規部隊からP-3Cは姿を消すが、引き続き予備航空部隊に配備されているP-3CはP-8Aへの更新予定はないので今後も運用が継続される見込みだ。

補足:米海軍でのP-3運用は1962年から開始されたので、実に58年も運用が続けられてきたことになる。

米海軍は当初、対潜哨戒機P-8Aを計122機調達する予定だったが計画が見直された117機で調達が打ち切られる予定で、ボーイングは米海軍にP-8Aを98機引き渡しているため米海軍からの受注残数は残り僅かだ。しかしP-8Aは海外からの発注が順調で計54機を正式に受注している。

出典:U.S. Navy Photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Jakoeb VanDahlen/Released

現時点で受注が確定しているのは以下の通りだ。

  • オーストラリア空軍から12機受注(あと3機追加発注する予定)
  • インド海軍から18機受注(あと6機追加発注する予定)
  • ニュージランド空軍から4機受注
  • ノルウェー空軍から5機受注
  • 韓国海軍から6機受注
  • 英国空軍から9機受注

さらにP-8Aの導入を検討している国(組織)にカナダ、マレーシア、サウジアラビア、NATO等が挙がっているが、約20ヶ国に導入されたP-3Cのことを考えるとP-8Aの発注は今後も増えていく可能性が高い。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy Photo by Cmdr. Joseph Parsons/Released

米国製戦闘機は制限が多く航空ショー向き?Su-35こそインドネシアに最適か前のページ

中露のステルス爆撃機から米本土を守るには「迎撃専用機」が必要か?次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    潜水艦をUUV母艦化したい米海軍、水中発射・回収に対応したMUUVを開発中

    米海軍は攻撃型原潜の魚雷発射管から発射・回収可能な新型UUV=MUUV…

  2. 米国関連

    バイデン政権が国防予算案を発表、レガシーウェポン大量処分やF/A-18E/F調達中止を予告

    バイデン大統領は2022会計年度の予算教書(連邦政府予算案)を正式に発…

  3. 米国関連

    同一機種「F-35」採用から一転、米海空軍が別々に「第6世代戦闘機」を開発する理由

    米国、海空軍で実現した同一機種、ステルス戦闘機F-35の採用が、次世代…

  4. 米国関連

    50万人に近づく死傷者数、ウクライナ軍が約19万人でロシア軍が約30万人

    ワシントンポスト紙は「年内にウクライナ軍がメリトポリに到達するのは困難…

  5. 米国関連

    次世代の統合型電子妨害システム「EPAWSS」を搭載するF-15EXが見せた新たな可能性

    米空軍はボーイングから引き渡された2機のF-15EXをアラスカで行なわ…

  6. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い

    米海軍は今月22日、米空母ジェラルド・R・フォードの不具合の中で最も致…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 5月 31日

    開発はP-1の方が先行していたようだが完全に追い越されたな
    P-1はたったの年間3機製造で更新終わるのはいつになることやら

      • 匿名
      • 2020年 5月 31日

      たまにP3Cが飛んでいるのを見ます。
      まだまだガンバってるのは嬉しい限りです。
      本来ならばサクッと変わった方が良いのでしょうが。

    • 匿名
    • 2020年 5月 31日

    稼働率も低く、大したアップデートも無いP-1とは大違いだな
    それ故に信頼が高く各国が導入している
    P-1 C-2での失敗から見るに、輸入にしておけばこんな事にはならなかった

    1
      • 匿名
      • 2020年 5月 31日

      P8ってもうアップデートしてるの?知らなかった

      1
        • 匿名
        • 2020年 5月 31日

        ポセイドンを使用しないならP-1とP-8は対潜能力は大差無い。

        むしろ小型エンジン4発のP-1の方が低速・低空の状況なら使い勝手が良いとの話も有る。

        P-1ディスるより実機が完成しないKF-Xの先行きを心配した方が良い。

        4
          • 匿名
          • 2020年 5月 31日

          受け売りですが、
          P-8は自軍優勢下で対潜任務するのに優れた
          対潜水艦作戦用航空機なのに対して、
          P-1は相手優勢下に飛び込み哨戒任務して情報を持ち帰ったり、対潜対艦用途もこなす哨戒機としては並ぶものがない機体との事です。

          リンク
          P-1とP-8は、別ジャンルの機体と見なしても良いかと。

          5
            • 匿名
            • 2020年 6月 01日

            >相手優勢下に飛び込み哨戒任務して情報を持ち帰ったり・・・
            よみがえる一式陸攻!(なんてね)

          • 匿名
          • 2020年 6月 04日

          日本の単独開発したエンジンということで、そのメリットを理解出来ない諸国でもある。
          メリットは多くあるが、環境性能も達成している名器だからな。
          まして、近づいて来ても解らない程とか。
          以後、いろいろなアメリカの制約も受けないから、米国企業の姿勢も変わるわな。

          5
      • 匿名
      • 2020年 5月 31日

      P-8の開発は大炎上して完成が危ぶまれていたけど、そこから挽回したのはすごいと思うが、海外での調達価格はいくら
      ふっかけられているのやら。それもあってP-1を当て馬にしている感じもある。
       C-2の代わりに輸入って、まさかA400Mなんて言わないですよね。

      3
      • 匿名
      • 2020年 5月 31日

      結局は1機3億ドルくらいするのだから韓国も6機しか買えねー。
      737なんてベストセラーの癖してもってる組織を破綻させる武器かよ。

      1
      • 匿名
      • 2020年 5月 31日

      2020年度予算で、P-1の能力向上型を3機の取得が盛り込まれていますね。

      「探知識別能力、飛行性能、情報処理能力等が従来のP-1より向上」とのことなので、これがアップデートと言えるんじゃないですか。

      5
      • 匿名
      • 2020年 5月 31日

      この短い文の中によくこんなにツッコミ所を盛り込める物だ。
      一周回って感心する。

      3
      • 匿名
      • 2020年 6月 01日

      またお得意の日本sageか?
      暇だな、お前もwww

      1
      • 匿名
      • 2020年 6月 01日

      P-1は日本海で韓国と北朝鮮が瀬取りしていた現場を押さえた名機ですよ。

      5
        • 匿名
        • 2020年 6月 01日

        だからP-1に恨み骨髄でディスるのかも知れませんね。

        6
      • 匿名
      • 2021年 2月 21日

      韓国海軍の6機は半分が共食い整備用だから、実働3機で常時1機は運用可能、かもしれない。
      すごいじゃん!

      1
    • 匿名
    • 2020年 5月 31日

    p-1はアップデートされるぞ
    https://trafficnews.jp/post/89230
    ついでにp-8がどんなをしてるのか教えてほしいな

    3
    • 匿名
    • 2020年 5月 31日

    スゲーな、バカが朝から一人で踊ってる

    1
    • 名無し
    • 2020年 5月 31日

    P-8は要らんやろ。そもそもMQ-4C トライトンだけの購入も可能だ。

    1
    • 匿名
    • 2020年 5月 31日

    韓国海軍・ノルウェー空軍・英国空軍は、米軍基地との連携だけみたいなもの
    英国なんて、哨戒機の無い期間もあった

    欧州は、ドイツの平和ボケ政治病と仏の干渉病でおかしくなってる・・
    P8なんか、危険な運行しないし、戦争ボケする任務ごっこの専用機

    • 匿名
    • 2020年 5月 31日

    P-8は737-800ベースで、737-NGシリーズ
    あのpickle fork(主翼の付け根の構造材のクラック)問題がある機種
    3万5,000回以上の離着陸の機体では高い確率で発生してる・・・
    P-8は運用上はそんなに高い頻度の離着陸回数を迎える前に運用上の寿命を迎えるのかな?

     インド仕様の対潜機能がどうなるかは興味がある
    普通のP-8はP-3Cの尾翼の後ろに突き出してる磁気探知機(AQS-81)は装備されていない、双発で低空・低速を想定してないからとか、海洋監視が主たる目的で潜水艦探査は・・なんとか、だけど、インド仕様は対応してるらすい)

    • 匿名
    • 2020年 5月 31日

    バベルの国どころか、バブルの国からポセイドンとは・・高価なこと
    あまり、他国やつぶれる某イングに依存しては危険

    • 匿名
    • 2020年 5月 31日

    この機種には、自動墜落装置はないのか、笑笑

    • 匿名
    • 2020年 5月 31日

    P-8ってエアステア付きだったのか。
    何だか胸アツ。

    • 匿名
    • 2020年 5月 31日

    新品のP-8やP1に手は届かなくても、中古のP3-Cを欲しがる国は、
    東南アジア中心にそれなりにあるのでは、と思われ
    アメリカの砂漠に眠っている機体を再利用する話が合ったような記憶があるんだが
    結局どうなったのだろうか?

      • 匿名
      • 2020年 6月 01日

      日本の中古機を譲るのではだめなのかな。
      電子機器が古いのならばアメリカのを装備することで何とかなりませんかね。

        • 匿名
        • 2020年 6月 01日

        運用費も日本が出すなら貰ってやっても良い

          • 匿名
          • 2020年 6月 01日

          お断りします。
          テョンはアメリカから最新の高い奴を買ってくださいw

          1
          • 匿名
          • 2020年 6月 01日

          >運用費も日本が出すなら・・・
          どちらのお国の方か判りませんがさすがにそこまでは。
          しかししっかりとした整備、高稼働率等々お買い得ですよ。
          現在に日本の平和を支えてきた機体です。
          これこそまさに「信頼と実績」といえるのではないでしょうか。

          1
            • 匿名
            • 2020年 6月 01日

            だったら日本が使えば?
            被災地の救援物資に自分の古着を送りつける人と似てるな
            自分では有り難いだろって思ってるらしい

            • 匿名
            • 2020年 6月 01日

            >だったら日本が使えば?

            お前、頭だいじょうぶか?

            5
            • 匿名
            • 2020年 6月 02日

            日本のP-3Cはアップデートが頻繁にされてる貴重品らしいな
            只運用が過酷だから機体寿命がな

            1
        • 匿名
        • 2020年 6月 01日

        稼働率が高い日本の中古機は、退役する頃にはボロボロなのでは? それに「ほとんど飛んでいない中古機」で海自が買ったC-130Rはお買い得品だったように言われていましたが、運用にはかなり苦労していると聞くから、どこの国でも中古機は避けたいと思うけど。
         

        1
          • 匿名
          • 2020年 6月 01日

          航空自衛隊を退役してアメリカに返還したF-104が中古として台湾で使用された前例は有る。

          1
    • 匿名
    • 2020年 6月 02日

    そうか、P-3Cは無くなるか。

    実際は、戦争などでは、まだまだプロペラ機が必要なのでないか。
    低速で着陸とか、旋回で偵察することがプロペラ機に欠かせない。
    旋回する時などの操縦は、難しい操作があるという。機種が減ると言うことはちと問題・

      • 匿名
      • 2020年 6月 02日

      US-2で代用できませんか?

      • 匿名
      • 2020年 6月 02日

      アメリカは、F4でも勝手な妄想を抱き、
      ベトナム戦争では、立て直しに費用を掛けたんだよな
      やってみないと解らない戦争の現実を突きつけた

      それは、いまでも、A-10があるようなもの

    • 匿名
    • 2020年 6月 13日

    航空機開発&輸出ノウハウが少ない日本と米国ならそりゃ米国選ぶよね
    いくら航空機の性能がよくてもそのあとのアフターケアが日本の場合輸出経験ないから不透明だし

    1
      • 匿名
      • 2021年 3月 25日

      というより、アメリカの機嫌損ねるの怖いからだな

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  2. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  5. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
PAGE TOP