東部戦線のバルビンコヴ防衛を担当する第93旅団を取材したAFPは「ロシア軍の昼夜を問わない砲撃のせいでウクライナ軍は兵士の士気を保つに苦労している」と報じている。
参考:Ukrainian soldiers on hard-hit eastern front struggle to keep up morale
ウクライナ軍の兵士も人間なので容赦ない砲撃に晒され続ければ士気も低下するだろう
ドネツィク州アウディーイウカの防衛を担当するウクライナ軍第25旅団は米POLITICOに「敵の昼夜を問わない砲撃は街にある全ての建造物を破壊した。弾薬は危機的なレベルまで少なくなり何時届くか分からない補給に頼っている。我々は毎日続く砲撃に耐えられなくなってきた。ロシア軍が焦土戦術に切り替えたことで戦場は地獄と化した」と苦しい状況を吐露していたが、AFPも「ロシア軍の昼夜を問わない砲撃のせいでウクライナ軍は兵士の士気を保つに苦労している」と報じている。
AFPが取材を行なったのはイジューム方面のバルビンコヴ防衛を担当する第93旅団で、同旅団の報道官は「職業軍人達は戦争に対する準備を行なってきたが新たに動員された者にとって状況は複雑だ、士気という点ではバラ色とは程遠い」と述べており、昼も夜も絶え間なく続く砲撃には心理戦の側面もあって「最も強力な砲撃」を夜に行いウクライナ人兵士の睡眠を妨害してくるらしい。
つまりドンバス方面のウクライナ軍兵士は2月24日以降、このような容赦ない砲撃(現在この砲撃はさらに強化されている)に2ヶ月間も晒されてきたという意味だ。
さらに興味深いのはAFPの取材に応じた第93旅団が「直近約3週間の戦闘で大きな損失を被った」と認めている点(具体的な数字の提供は拒否したらしい)で、キーウ方面からの撤退後に戦闘が激化したドンバス方面のウクライナ軍は思ったよりも厳しい状況に直面しているのだろう。
まだロシア軍はバルビンコヴに到達していないものの同都市への砲撃は既に始まっており、ロシア軍の砲撃に対処するには西側が提供する榴弾砲と豊富な弾薬が必要で、これが到着するまでウクライナ軍は砲撃の脅威に晒されながら敵を足止めするしかない。
当然、ウクライナ軍の兵士も人間なので容赦ない砲撃に晒され続ければ士気も低下するしかなく、どこまで容赦ない砲撃に彼らは耐えられるのだろうか?
因みに兵士だけでなく攻撃に晒される都市の住民にも疲労が溜まっており、MLRSによる攻撃を浴びせ続けられるムィコラーイウでは市当局者が政府に「住民が疲れ果てているので何とかして欲しい」と訴えているが、直ぐにヘルソンを奪還出来るわけではないので、こちらも榴弾砲が到着するまでお手上げかもしれない。
📽️Russian tanks on the move south of Izium, possibly towards Barvinkove or Slovyansk #Ukraine #UkraineRussiaWar pic.twitter.com/3r7IUYGJoB
— MilitaryLand.net (@Militarylandnet) April 26, 2022
追記:スラビャンスクかバルビンコヴに向かうロシア軍戦術大隊の様子
追記:ウクライナ大統領府顧問のアレストビッチ氏は26日「ロシア軍があらゆる方向で攻撃を開始した、特にスラビャンスク、クラマトルスク、クリヴィー・リフの占領を目指している」と明かした。
追記:ロシア軍はクリヴィー・リフへの攻勢に出るためヘルソン州北部に戦力を集結させていると言われていたが、遂にクリヴィー・リフに対するロシア軍の砲撃が始まったらしい。
関連記事:ハルキウで前進するウクライナ軍、イジュームで前進するロシア軍
関連記事:ウクライナ軍指揮官、ドンバスはロシア軍の焦土戦術で地獄と化した
※アイキャッチ画像の出典:93-тя ОМБр Холодний Яр
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
大変でしょうね。今のペースの攻勢は連続2週間くらいしかできないはずなので、今は耐えるしかないのでしょう。そうして敵が疲弊したら反転攻勢するとウクライナ軍の人は言っていました
元記事を読みましたが、思ったより悲壮な雰囲気ではありませんでした。「もう士気はボロボロです」というよりは「大変な状況だけど勝利のためにがんばってます」というように受け取りました。記事タイトルのstruggleは単に「苦労する」というよりは「逆境の中でも奮闘する」というニュアンスだと思います。
ロシアが防衛放棄しても、ロシア中から砲弾かき集めても持つのかなぁって
砲身も持たない気がするけど、こちらは無差別なら問題ないか
ロシアの生産能力では追加は難しいし、後先考えない作戦なんでしょうね
長い前線の全域に猛烈な砲撃を加えているようで、いくらロシアの砲兵が多いといってもさすがに長期間続けるのは無理ですよね。砲身交換も必要でしょう。
焦土戦に切り替えたのなら命中率低下や威力減衰を気にせず、損耗しても暴発しない程度までなら砲身交換を延長している可能性があるかもしれませんね
食料があるだけマシですが、やはり数えきれない数の虐殺された遺体や、戦友の遺体などを見ると士気は低下しますよね。しかしここが踏ん張りどころだと思っています。まあ、自分が言えることじゃないけど。日本の戦後にすることが決まったね。
兵士の心のケアだね。
このままロシア軍が無理な攻勢をとりつずけると、損害が取り返しが付かなくなるほど大きくなるでしょうね
7月に成り地面が軍事行動の機動性を可能な時期には、ウクライナ軍とロシア軍の機甲戦力が逆転しているかもしれません
ウクライナ軍によるロシア軍の包囲殲滅戦が見れれるかも
もっともロシア軍のモラル崩壊により朝鮮戦争時の韓国軍の二の舞を演じるかもしれません
やはりロシア軍が誇る「戦場の神・砲兵」と御家芸の焦土戦術は効果的だった訳ですか。
ロシア軍も何から何まで弱いと言う訳でも無いし、もしかすると砲兵を重視しているロシア軍だけに砲兵用の砲弾だけは連続2週間以上有るのかも知れない。
前の記事で英国がAS90・155ミリ自走榴弾砲の供与を否定して牽引式のL118・105ミリ榴弾砲の供与へ切り替えたとの報道も有ったし、もしかすると遂にロシア軍がドンバスで大逆転勝利を摑む兆しが…見えて来たのかも?(確信が持てない)
そう言えばジョンソン英首相が先日「ウクライナ侵攻が来年末まで続き、最終的にロシアが勝利する現実的な可能性がある」と述べているだけに、ひょっとしたら英国は何か知っているのかも…知れないのかなあ?(自信が無い)
弾薬は年代物の備蓄が相当ありそうですね。
問題は補給でしょうから、出来れば自爆ドローン等で攻撃したいところ。
L118については、配備スピードを重視したと思いたい。
都市の破壊・民間人抹殺では効果的かもですが、ウクライナ軍へは効果的かと言われると微妙な感かなと
二次大戦の時みたいに、月単位で継続できるなら効果的でしょうけど、
ロシアの製造能力からして継続するのはむずかしい気が
ロシアはすでに本土防衛まで放棄してかき集めてますし、それでもウクライナ軍が消えて無くなるわけでもなく
西側の支援装備が到着すれば、継戦能力が下がったロシア軍vs装備・支援ともに揃ったウクライナ軍の可能性も高いかと
徹底した準備砲撃は定石中の定石ですし、相手が疲労したところを機動部隊が突撃・突破させることで前線を崩壊させるのもまた定石。陸戦の王道の戦い方をロシアは展開しているように感じます。
5/9に向けて無理をしているという話もありましたが、実際は5/9は宣戦布告で、それに合わせて全戦線で一斉攻勢を開始、くらいのことをやるのではと思います。
5/9というのもNATO側からの兵器供与が始まるタイミングとしては絶妙で、ロシア側はギリギリ間に合わないと踏んで、あと一週間威力偵察と準備砲撃を継続するのでは?
継続的な砲爆撃で敵軍の士気と神経をを挫く手法は、戦史でも例がある有効な方法なのですが、
この戦闘で更に一週間以上も猛砲撃を継続出来るかと言うと、弾薬の追送補給が
追いつくか疑問ですし、費用対効果的にもリソースの浪費とも思えます。
これを消耗戦の一環ではなく攻撃準備射撃とすれば、メインの攻撃前進は数日内には始まりますかね。
キーウ~北東戦線からの転進部隊の再投入が異様に速かった件もあるので、
スケジュールにそんなには余裕は無いように見えます。
自軍の損害や負荷を顧みず量で吸収しようとするロシア伝統の戦い方への回帰は強く感じます。
昼夜問わずの擾乱射撃ってのは、相手の兵士を休ませない為の定石ですからね
新兵なんかだと、これだけで神経参ってしまう様ですが、古参になるとそれでも
ちゃんと寝られちゃう様で。
昔、コンバットマガジンだか何かで読んだチェチェン紛争の話で、記者がロシア軍の砲撃音に驚いて起きたら、隣りにいたチェチェン人ゲリラの人が「いつも同じ時間に撃ってくるから、もう目覚まし時計みたいなもんだよ」と笑っていたというのがありましたね。良くも悪くも、異常な状況にも適応できちゃう人間って凄い。
早く野戦砲を送らないと、まずいな。
韓国からK9をボッシュートして送らないと。
というか、冷戦後に油断して軍備を減らし過ぎたね。
韓国くらいしか、余剰が無いとは。
T-80やBMP-3、M109、M48とか、一応余っているはずだし。
韓国からボッシュートしないアメリカの本気さも知れるが。
自衛隊のFH70はまだ使うし、エンジンがスバル製だからなあ。
用途廃止になっているM110A2やMLRSを回せればいいけどね。
ヨーロッパではフィンランドとノルウェーがK9 155mm自走榴弾砲導入に伴い、それぞれ2S1グヴォズジーカ 122mm自走榴弾砲とM109A3 155mm自走榴弾砲が代替されている。特にノルウェーのM109A3は保有する56輌のうち14輌しか運用しておらず(残りは倉庫保管中)供給先として有力視されるがドイツの様に保管状態によっては再整備等で時間が掛かるかも知れない。
韓国のT-80Uは旧ソ連に対する経済協力借款(ヒグマ事業)の現物償還によってロシアより引き渡された35輌(うち2輌は指揮戦車型のT-80UK)しかなく主砲の120mm化に伴う機動力低下が問題になっているK1A1の戦力を補完しているとも言われるので捻出は厳しいと思われる(アメリカがT-80をウクライナに供与する代わりにK2戦車の新規製造分の資金を援助するくらいのことをしないと韓国は動かないと思う)。
フィンランドから供与すると、ロシアがブチキレて後先考えずに攻め込みそうだから、NATO加盟後だな。
ノルウェーのM109A3は、状態にもよるが狙い目だね。
韓国でのT-80は高評価とは聞くが、実戦下では装備体系が違うから使い難いのではないかな。
野戦砲をアウトレンジ出来る戦術ミサイルや自爆ドローンが多数欲しいところ。
こういった兵器に力を入れているイスラエルは、さすが実戦豊富。
アイアンドームに続いてアイアンレーザーの試験に成功したとかで未来に向かっていらっしゃいます。
日本人の士気も下がりそうですよ。
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戦いの潮目に差しかかってるんじゃないのかな、すくなくとも私は白けました。
軍事支援にかぎった国だしそりゃそうでしょ
騒ぐほうがおかしい。日本の国是上『軍事支援に加担した国』ってレッテル貼られるほうが不利益じゃないの?