ウクライナ軍はセベロドネツクから後退してきた部隊の再編に成功して外国人部隊と共に反撃を開始、英国防省も「セベロドネツク市内のロシア軍は勢いを失った可能性がある」と認めた。
参考:Разведка Британии: украинцы контратаковали в Северодонецке, РФ потеряла оперативный импульс
参考:ВСУ удалось перегруппироваться в Северодонецке, пытаются вернуть город – ВГА
リシチャンシクに後退してきた部隊の再編に成功したウクライナ軍、問題はセベロドネツクへの補給ルート
セベロドネツク攻撃を担当するロシア軍部隊は全戦力を投入してウクライナ軍の防衛ラインを5月28日前後に突破、同市の北東部に位置するミールホテル付近の一角に足場を築くことに成功、ここからロシア軍は市内に侵入して31日頃には市内の約半分を支配、6月1日には市内の約70%を支配した。
一時は「このままロシア軍がウクライナ軍を押し切ってセベロドネツク市全体の支配権を確立するのではないか?」と思われたが、市内からリシチャンシクに後退してきた部隊の再編に成功、さらに増援として外国人部隊(ウクライナ領土防衛国際部隊)が2日~3日頃にリシチャンシクへ到着、体制を立て直したウクライナ軍部隊は反撃に転じてロシア軍を押し戻して市内の約半分を支配することに成功したらしい。
さらにロシア軍に奪われたVoronoveも奪還してセベロドネツク市の東に防衛ラインを再構築することにも成功、セベロドネツク市当局者は「ウクライナ軍は市内からロシア軍を完全に追い出すのに必要な措置を講じており、状況は緊迫しているが我々は全てが上手くいくという希望と確信がある」と明かし、英国防省も「過去24時間に行われたウクライナ軍の反撃でセベロドネツク市内のロシア軍は勢いを失った可能性がある」と5日に発表している。
今のところセベロドネツク市内の戦闘に関する新しい情報はないが、ルハーンシク州知事のガイダイ氏は「反撃を開始したウクライナ軍の補給ルートを遮断するため、敵は橋を破壊してセベロドネツク市内に増援が入ってくるのを阻止しようとしている」と明かしており、恐らくセベロドネツク占領後にリシチャンシクへ向かうため残してあった橋(P66)の破壊をロシア軍は決断したのだろう。
中央の橋は完全に破壊されているのが視覚的に確認されており、右側の橋も損傷して車輌の通行には耐えられないと言われているので、P66のルート上の橋を破壊されるとセベロドネツクに増援を送り込む唯一のルートを失い反撃に支障をきたすはずだ。
まだセベロドネツク市内の戦闘は流動的なので何とも言えないが、ロシア軍の失速は英国防省が認めるほどのものなので「補給」や「増援」させ継続して届けられれば、ウクライナ軍がロシア軍を押し切る可能性も十分ありえる。
因みにガイダイ氏によればロシア軍は6月10日までに「セベロドネツクの完全占領」もしくは「バフムート~リシチャンシク間の補給ルート遮断」のどちらか一方を達成するよう要求されているらしい。
関連記事:ウクライナ軍、外国人部隊と共にセベロドネツク市内のロシア軍に反撃
※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
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反攻といってもリシチャンシクにスムーズに撤退するための遅滞戦術の一環だと思っていたし、大方の見方もそうでしたが、完全に押し戻すこともありえるのですかね? だとしたらウクライナ軍もすごいけれどロシア軍もそうとう息切れしているということでしょうか。20個BTG以上投入しているはずなのに。
東部攻勢は4月中旬から始まり、ロシア軍は1ヶ月以上攻め続けています。セベロドネツクやポパスナに消耗が少なかった部隊や予備部隊を投入したので進捗はあったものの、それももう限界に近いのかもしれません。英国防省はロシア軍の下士官クラスの消耗が激しいと指摘していまいたが、それも関係あるのかもしれません。しかしまだ戦力的にロシア軍が優勢なのは変わらないので予断は許さないですね。
>20個BTG以上投入しているはずなのに。
むしろだからこそ兵站の生産や輸送が間に合わなくなっている可能性は十分あるかと
BTGには後方支援部隊が含まれているとはいえ、肝心の物資はロシア国内での備蓄量や生産量、輸入量という上限があり、それをオーバーした需要分はいくら後方支援部隊がいたところでどうにもなりませんし
下手すると前線支援できる物資がなく、自分たちを維持するだけで手いっぱいという(いないほうがマシな)後方支援部隊が出てきている可能性も
ロシア国境に近いし鉄道もあるので補給路はあると思いますが、狭いところに固まっているだけに苦労はあるかもしれないですね。
ロシア国内の備蓄がどうなのかは気になるところです。湯水のように使っている砲弾とか。
補給物資が運搬途中で消費されてしまって、最前線まで届いてないとかありそう。
地図だけ見るとセベロドネツクで市街戦をやるメリットがロシア軍にないし、
ウクライナ軍貼り付かせて包囲殲滅するための舞台にぴったりに見えるが、ウクライナは追加戦力投入して大丈夫なんだろうか。
今は戦力を減らさずに増強・再編成とその先の攻勢に備えて時間を稼ぐ局面では?
来週の「ロシアの日」向けに
>6月10日までに「セベロドネツクの完全占領」
をしたい/させたくないんじゃないかな。
妥協に妥協を重ねた目標と縮小に縮小を重ねた包囲(未完成)の上、手勢を分散させないといけない防衛側に対し局地的に戦力を集中できる攻撃側の有利を以てしても押し返されるとは…
>セベロドネツク市内のロシア軍は勢いを失った可能性がある(英国防省)
攻撃を再興するにせよ、再編・再配置と増援を要するという事で、これでまた数日停滞とウクライナ軍の攻撃に対する応戦ですか… セベロドネツクの一局地に限れば、大規模な増援入れないともう全市制圧は無理になって来たような戦勢ですね。びっくりです。
>ロシア軍は6月10日までに「セベロドネツクの完全占領」もしくは
>「バフムート~リシチャンシク間の補給ルート遮断」のどちらか一方を
>達成するよう要求されている
ああ、6月12日のロシア建国記念日ですか。対独戦勝記念日に続き今回も戦果無しのお通夜演説ではプーチンの威信にかかわりますかね。
というかもう〆切まで後5日じゃないですか。
どちらに手を着けるかならポパスナ方面でしょうが、ウクライナ側も当然対応するでしょうし。
前回の記念日に続きこれではプーチン失脚確定なんではないの
何回か小さい目標にすり替えて、それでも一切の戦果が無い上に制裁がどんどん厳しくなっていく
ウクライナ兵は損耗が激しくても故郷を守るためだから士気を維持できるけど、
ロシア兵はプーチンのための大義のない戦いで理不尽にすりつぶされている
ロシア側にどれだけの戦死者が出てるか知らないけど、
プーチンは戦争が終わっても帰らない徴兵された兵士が大勢いることを説明できない
そしてEUは今後エネルギーの調達先を変えたいだろうから制裁は簡単に終わらない
半導体の禁輸は解除しない方がロシアの兵器輸出のシェア奪える
いくらなんでもロシア軍は同じ失敗を繰り返しすぎ
一時は勢いがあるけど消耗して攻勢失敗なんてキーウでもイジュームでもやらかしてる
ロシア軍は軍隊未満の相手には最強なんだが、そうでないと損害が多すぎる。
訓練やってるのかね?
アメリカ軍でも最近までテロリスト対策に力入れてましたから
訓練の方向性が間違っていたのではと思います。
そうです・・・赤ちゃん・妊婦・子供・障碍者・病人・老人 etc に対しては、残虐なことを行う最凶な軍隊。
戦争では「敵ながら・・・ぐぬぬ・・・見事!あっぱれ!」
といった、ちょっといい話があってもいいものだが、ロシア軍からはあまり聞こえてこない。
ロシアよ、直ちに武器を置いて去れ。故郷では森林の自然発火の大火災が続いている!自国を守るために命を懸ける?ウクライナ侵攻よりも、シベリア火災を止めるほうがよっぽど充実感があると思うぜ。
大変な事に気付きました。自衛隊・防衛庁関係者の方が御覧になられていたらウクライナ大使館に教えてあげてください。
今、イジュームとリマンの間のドネツ川北岸(左岸)に少しだけウクライナ軍が残っていますが、おそらく今週中にドネツ川南岸(右岸)に撤退し橋を破壊すると思われます。そうすると、ロシア軍はイジュームとリマンの間のドネツ川北岸(左岸)に展開していた兵力の半数以上を南岸(右岸)の侵攻に振り向けれます。もちろん、ウクライナ軍も撤退した部隊があり南岸(右岸)の兵力は少し増えますが、ロシア軍の兵力増加が圧倒的です。
再来週以降予想されるドネツ川南岸(右岸)でのロシア軍の兵力の大幅増加とウクライナ軍のセベロドネツク増援による戦線の伸びきりによって、ロシア軍が過去に諦めた中規模包囲案が復活して実行される危険があります。
参考情報:
ウクライナの独立系メディア「Texty.org.ua」で紹介されていたロシア軍の包囲作戦プラン三つの案・・・管理人さんの記事『ロシア軍の渡河作戦は大失敗、生き残ったロシア人も川を泳いで逃げる』で紹介されてます。)
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