ウクライナ戦況

ウクライナ軍、補給を阻害して守備的な戦いをロシア軍に強いている

英国防省は13日、ノーバ・カホフカ水力発電所と陸地を繋ぐ併用橋について「大型の軍用車輌が通行できない可能性がある。ヘルソン州北岸地域に展開するロシア軍部隊の交戦能力は事前備蓄された物資の量に左右されるだろう」と指摘した。

参考:ВСУ вывели из строя мост дамбы в Новой Каховке
参考:Воздушные силы о взрывах в Крыму: Болезненный удар для России, но взлетная полоса работает

ウクライナ軍はヘルソン州北岸地域への補給を阻害して守備的な戦いをロシア軍に強いている

ノーバ・カホフカ水力発電所と陸地を繋ぐ併用橋は攻撃も「車輌の通行」が視覚的に確認されていたため攻撃効果に疑問の声が挙がっていたが、英国防省は「HIMARSの攻撃で損傷した併用橋部分は大型の軍用車輌が通行できない可能性がある」と指摘、ウクライナ軍南部司令部も「攻撃で損傷した併用橋は機能していない」と発表しているためロシア軍の補給は「架橋機材を流用した渡し船」に依存している可能性が高い。

英国防省は「ヘルソン州北岸地域に展開するロシア軍の補給はアントノフスキー橋とノーバ・カホフカ水力発電所に依存しており、損傷部分の修復作業も表面的な部分のみで構造的な強度は低下したままだ。補給手段が限定されるロシア軍部隊の交戦能力は北岸地域に事前備蓄された物資の量に左右されるだろう」とも指摘している。

米国防総省も12日に「ウクライナ軍は南部地域のロシア軍への圧力を高めている」と発表しており、ヘルソン州北岸地域への補給を阻害して守備的な戦いをロシア軍に強いているのだろう。

出典:Командування Повітряних Сил ЗСУ

因みにロシア国防省はサキ空軍基地の大爆発について「安全規則違反=禁止された区画での喫煙が原因で複数の航空機用弾薬が爆発した可能性が高い」と主張しているが、ウクライナ国防省情報総局が公開した音声データによるとロシア軍兵士は「防空システムが機能せず基地がロケット弾で破壊された」と話し合っており、情報総局は「ロシア人すら国防省の発表を信じていない」と指摘しているのが興味深い。

ただウクライナ空軍司令官は「謎の大爆発でロシア軍は10機以上の航空機、装備、弾薬、燃料、多くの人員を失ったが、滑走路自体は損傷していないため引き続き航空機の運用拠点として活用可能だ」と明かしているので、サキ空軍基地は今後も航空作戦の拠点として機能し続けるのだろう。

関連記事:ウクライナ軍が水力発電所の損傷を確認、ヘルソンへの補給路遮断に成功
関連記事:ロシア空軍基地の爆発は事故、NYT紙はウクライナ軍による攻撃だと主張

 

※アイキャッチ画像の出典:GoogleMap 大まかなヘルソン周辺の状況/管理人加工

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コメント

    • ポンツーン
    • 2022年 8月 13日

    ウクライナが川の東側に押し返した時にも、同じようなジレンマになるのだろうか?

    4
      • 鼻毛
      • 2022年 8月 13日

      そのときはザポリージャあたりから攻めるんじゃないですかね?

    • TKT
    • 2022年 8月 13日

    ハイマースの砲弾が命中したノーバ・カホフカ水力発電所と陸地を繋ぐ併用部分は大型の軍用車輌が通行できない可能性がある。

    ロシア軍の補給は「架橋機材を流用した渡し船」に依存している可能性が高い。

    大型の軍用車両が通行できないというのも可能性だが、穴ボコを鉄骨、鉄板、セメントでふさげばまた通行できるようになる可能性が高い。

    また小型の軍用車両や、軍用でない中型の車両は、今のままでも通行できる可能性が高い。

    ということは、消耗品のような物資は、クロネコヤマトの宅急便がやっているように、どこかで小分けにして、小型や中型の車両で輸送することは可能であり、大型の軍用車両も架橋機材を流用した渡し船で川を渡ることができる可能性が高い。大型の輸送ヘリコプターを使うことも可能だろう。

    もともと空挺部隊や、山岳部隊などは、装備が全て軽量化、小型化されていて、分解して運搬することも可能だし、もちろん空輸も可能だ。落下傘で投下できる空挺戦闘装甲車というのもある。ロシア軍には川を渡れる水陸両用戦車も、水陸両用装甲車もあるし、渡し船で戦車を渡すこともできる。海軍歩兵にはホバークラフトなどもある。

    2
      • ミリオタの猫(ロシア軍は強い…と思っていた時期が私にもありました)
      • 2022年 8月 13日

      >大型の軍用車両が通行できないというのも可能性だが、穴ボコを鉄骨、鉄板、セメントでふさげばまた通行できるようになる可能性が高い。
      ブログの本文でも指摘されていますが、英国防省のレポートには『損傷部分の修復作業も表面的な部分のみで構造的な強度は低下したままだ』と書かれて有る為、HIMARSで開いた穴を塞いだ程度では大型の軍用車両の通行が再開出来ない可能性も有る様です。

      又、小型の軍用車両や軍用でない中型の車両では、大型の軍用車輛よりも輸送効率が落ちますし、物資輸送の負担の増大で車両故障の増加が懸念されます。
      宅急便の様に小分けをする拠点を作るとしても、HIMARSの射程外に置かないと不味いでしょうし、私がウクライナ軍の指揮官だったらその拠点へパルチザンを送り込み、夜中に焼き討ちするでしょうね。
      後、架橋機材を流用した渡し船で大型の軍用車両や戦車を渡すとしても、当然輸送効率の問題が立ちはだかりますし、大型輸送ヘリだと搭載量の問題だけで無く敵の対空火器の脅威の問題もあります(そう言えば、ロシア軍の超大型ヘリ・Mi-26の話題をウクライナでは聞かないですね?)。
      それと空挺部隊や山岳部隊の様な軽歩兵部隊は、装備が全て軽量化されている分、戦闘力や継戦能力に限界が有ります。
      落下傘で投下できる空挺戦闘装甲車も重量が軽い分、防御力にしわ寄せが来ていますし、現在のロシア軍にはPT-76の様な水陸両用戦車は有りません(ロシア軍の装甲車は高い浮航能力を持つ物が多いが、搭載量等に限界が有って船の替わりには出来ない)。
      エアクッション艇なら、現在のロシア海軍は4隻しか持っておらず、黒海艦隊には現在配備されていませんよ?

      33
      • hiroさん
      • 2022年 8月 13日

      ロシア軍の保有する全ての装備が現地にあるわけじゃないと思いますよ。
      その論法か通用するなら、ロシア軍はとっくに攻勢していないと。

      12
    • 匿名
    • 2022年 8月 13日

    ノーバ・カホフカ水力発電所付近の橋については
    最後に被害が確認できる映像が出て以降も継続的に攻撃が行われていて
    最新の状態はまだ確認されてないのにも注意
    一目でダメだこりゃってなるレベルの被害が出てる場合、逆にこれ以上映像は出てこないかもしれないね

    7
    • makumaku
    • 2022年 8月 14日

    未確認情報ですが、ヘルソン市内のロシア軍司令部がドニプロ川東岸に移動した、という話がSNSに流れています。

    P.S. ザポリージャ原発周辺の住民たちが、大挙して逃げ出しているそうです。

    1
    • 匿名
    • 2022年 8月 15日

    まだタバコの不始末って言い張ってんのかw
    どんだけ威力のあるタバコなんだよw

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