BILDのジュリアン・ロプケ記者は「ウクライナはパトリオットの迎撃弾とIRIS-Tを使い果たした」「他の防空システムも迎撃弾を使い果たしたか破壊されている」「もはやロシア人とってキーウ上空はフリーパスだ」と述べて注目を集めている。
参考:Журналіст Bild: В України закінчилися ракети до Patriot та Iris-T
参考:Росіяни повністю знищили Трипільську ТЕС – “Центренерго”
BILD記者の言及が事実かどうかは不明だが、、、
ロプケ記者は「ある情報筋が2週間前に(ウクライナが保有している迎撃弾の)正確な数を教えてくれた。その数を明かすことは出来ないが非常に少なく現在はほぼ0に近いはずだ」「この話を誰も信じなかったが、現在のウクライナはパトリオットの迎撃弾とIRIS-Tを使い果たした」「他の防空システムも迎撃弾を使い果たしたか破壊されている」「我々は数百の防空システムと数千の迎撃弾を持っているのにだ」「もはや言葉はなく怒りだけだ」と指摘。
Take a look at the missiles’ path.
Kyiv’s airspace is a free pass for them now.
We really messed up … pic.twitter.com/MDu83bsnKB— Julian Röpcke🇺🇦 (@JulianRoepcke) April 11, 2024
さらにミサイルの飛行経路を示す図(これが正確なものかどうかは不明)と共に「もはやロシア人とってキーウ上空はフリーパスだ」「我々は本当に失敗してしまった」と述べ、ウクライナメディアがロプケ記者の言及を取り上げ始めている。
彼の言及が事実かどうかは不明だが、民間人の記者が機密情報=迎撃弾の残数を入手できたとは考えにくく、ウクライナ軍は11日の攻撃も82発中57発を迎撃しているため「迎撃弾を使い果たした」とは思えないものの、Ukrainska Pravdaは「11日に発射された6発のキンジャールを1発も迎撃できていない」「この攻撃でトリピル火力発電所が完全に破壊された」と指摘。
トリピル火力発電所はパトリオットシステムが配備されているキーウ市内から20kmも離れておらず、何が命中したのかは明かされていないものの「2発のミサイルが着弾してトリピル火力発電所が完全に破壊された」と報じられており、これがキンジャールによるものならパトリオットシステムの迎撃が失敗したか、弾道弾迎撃に対応したPAC-3弾が枯渇しているかのどちらかだろう。
11日に発射されたKh-101は20発中16発が迎撃され、ベルゴロド州から発射され1発も迎撃出来ていないS-300(12発)がキーウ付近まで届くとは思えず、消去法で行けばトリピル火力発電所に命中したミサイルはキンジャールかKh-101のどちらかだ。
関連記事:ウクライナ外相、防空システムを確保するため強硬な外交手法に変更
関連記事:ロシア軍のインフラ攻撃は発電所の破壊が狙い、短期的な復旧が見込めない
関連記事:ウクライナ軍のミサイル防衛能力は限定的、撃ち込まれるS-300にはお手上げ
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Eugen Warkentin
迎撃弾を使い果たしたのが本当かは分からないが、このままだと遅かれ早かれこうなるのは明白
ウクライナは迎撃弾なくなったら、”攻撃は最大の防御”と言う手段しか取れないね
つまり、より過激にロシア本土に報復する
パトリオットなどの中高空向けのミサイルがなくなれば、高コストのミサイルではなく単純な航空爆弾をスティンガーや対空砲が届かない高度から数千トンをばら撒くことも不可能ではなくなるから、そういった反撃をする他ないかもしれない
一機の爆撃機で10トン以上の爆弾をキーウなどに投下されることを考えれば発進前に阻止する他はないだろう
都市に大量の空爆が行われればどうなるかは既に過去に判明している
ウクライナへの支援がこの先どうなるかも分からないのにロシア本土へのより過激な攻撃しかないと言うのは流石におかしいでしょう?
どこかの時点でロシア優勢で停戦を探る時にロシアにとって不快に思う様な行動は避けるのを考慮に入れる必要がある。
今の条件下でロシア本土に対して過激な攻撃すると言うなら、明確な勝利のビジョン見えてなければやっちゃいけない行動でしょう。1年目みたいな勢いのある支援があり続けるならともかく、目先の事だけに捕らわれて終わらせ方を考えてない行動取るならちょっと考えもの。
ロシア人が「遠慮」なんてものに価値を見いだすわけがない。
戦争している国同士で,「こっちはもっと酷い攻撃をできたのに遠慮しておいたのだから,そちらも配慮してほしい」「OK,わかった。有利な停戦をしてやるぜ」なんて会話が成り立つのでしょうか。
「何言ってるんだ。もっと酷い攻撃ができるというなら見せてみろ。見せられないってことは,お前はできなかっただけだ。そんな弱いお前にはもっと強硬な条件しか出せない」と言われるのが目に見えていますが。
成り立っていたからケルチ橋が爆破されるまではインフラ攻撃をせず、ロシア本土の石油関連施設をドローン攻撃されるまでは発電所(変電所ではなく)を攻撃しなかったのでしょう?
アメリカなどがエスカレーションを懸念していたのもこういった事があるからであって、相手に理性がないと決めつけるほうが危険でしかありません
成り立つだろう。
ウクライナ市民の死者数の少なさを考えたら、暗黙の制限があるのでは。
エスカレーションを防ぐためにも戦争にも暗黙の制限はある。 戦争は単純な殺し合いではない。
暗黙の制限はないと言う発想で戦争やったら市民虐殺しそう。
>>ロシア人が「遠慮」なんてものに価値を見いだすわけがない。
戦争している国同士で,「こっちはもっと酷い攻撃をできたのに遠慮しておいたのだから,そちらも配慮してほしい」「OK,わかった。有利な停戦をしてやるぜ」なんて会話が成り立つのでしょうか。
プーチン「核兵器は使わないから支援物資はロシア本国に届かないよう配慮してほしい」
バイデン「わかった。それだけは徹底しよう。」
それでめでたくロシアの核攻撃となりますよね
現状出口戦略が無い事に危機感を感じるべきだと思うんですが
ジュリアン記者は実際にウクライナを訪問して取材を進めてきた実績を持つジャーナリストであり、親ウ派情報空間で珍しく(?)へルソン反攻・バフムト・南部反攻・アウディーウカで一貫してプロパガンダを一蹴し、ウ軍の損失と苦しい現実を忠実に報じてきた記者である。(そのため過激な親ウ支持者に親露派呼ばわりされたことも一度や二度ではない)
彼は南部反攻の失敗以後から追加の支援が無ければいずれウクライナの存亡が危ういと危機感を持って警鐘を鳴らしてきたが、キエフ地域最大の火力発電所が破壊され前線ではロシアの滑空爆弾を止めるすべがない状況に絶望的な報告を出してきたということだろう。
ちなみにトリピル火力発電所はRybarによると巡航ミサイルとシャヘドドローンの混合攻撃で打撃されたという。
事実であれば迎撃の難しくない手段で破壊されたことになり、ウの防空は完全に消耗した。
情報ありがとうございます、勉強になります。
トリピル火力発電所の攻撃兵器、事実であれば、かなり厳しいですね。
今回、その巡行ミサイルに新型が使われたとの話がありますよ。
地上高20メートルの超低空飛行で侵入するので、地上レーダーではほぼ捕捉不可能だとか。
ウクライナの復興計画は多々ありますが、政界はともかく財界は色々と濁しつつもロシア軍が国内から完全撤退しない前提にしか見えない計画を出していることも多く、その中には東部の産業を他地域に移転しようというものが珍しくありません。
移転先を巡っての政治的なあれこれが垣間見えて面白い分野ですが、中部や南部の発電所が継続的に重大な被害を受けるような状況が続くと(特に戦前から電力設備の不足が指摘されていた中部は)復興計画が今以上に現実味の薄いものとなります。建設が中止されていたチェルカッスィの原子力発電所計画を再開しようという動きも夢物語となってしまうでしょう。
同国の防空事情が今後どうなるかはわかりませんが、短期的にも長期的にも苦しい問題ですね。電気あっての現代文明なので当然と言えばそうなのですが。
仰る通りですね。
発電が安定しなければ、大規模工業生産は成立しません。
工場が一度停止すれば、再開に数か月かかったりするものもあるため(鉄鋼業の高炉など)、戦争リスクは厳しいです。
工業再建している間に、他社がシェアを埋めてしまう上に、戦争再開リスクは安定供給に支障を欠くという面で販売の重荷になります。
ウクライナの自力では、国内向けはある程度可能かもしれませんが、戦前のように輸出向けは厳しいと見ています。
あの、ちょっと気になったんですが
>「他の防空システムも迎撃弾を使い果たしたか破壊されている」「我々は数百の防空システムと数千の迎撃弾を持っているのにだ」
これってどういう言い回しなんでしょ?
ウクライナの方々が目指してる英国味のある自虐ジョークとは感じが違う気がするのですが
BILD紙の記者さんということですからドイツ、ひいてはNATOが保有するSAMと弾薬を提供すべきと言っているのでしょう
しかしどこの国でもまず自国の需要を満たすに足るだけの軍備は維持する必要があるのですから何百基持っていようとそれが提供できるかどうかは別問題
感情的な皮肉以上の意味は持たないと思われます
なるほど、相当入れ込んでる方なんですね、ありがとうございます。
これを言い出したら環境問題、アフリカの貧困、他国の災害支援等
世界の諸々の問題に取り組まないのは怒りを覚えるという言い方もできるので
ジャーナリストというより活動家といった色合いな気がします。
この記者は安全地帯からコタツ記事を書くのではなく、実際にウクライナの戦場で取材をしたりウクライナを支持しつつもウクライナ政府や軍の醜態や失敗、腐敗も容赦なく批判する人物なのでそれなりに信憑性もあるのではないかと
それにウクライナの迎撃発表も多分なプロパガンダが含まれているのは最早言うまでもないですし、最近のロシア空軍の活性化やミサイルとドローンが容易に着弾するようになった点を踏まえても防空兵器がほぼ枯渇状態になりつつあるのは事実なのでしょうね
しかし最近のロシア軍のインフラ攻撃のかつてない活発さを踏まえると上記の防空兵器の問題もあるでしょうが今まで手加減をしていて、いよいよその制限を取り払って容赦しなくなってきたというのもあるんでしょうな
ロシア側がインフラに対する攻撃に積極性を発揮している原因の一端はウクライナ側のドローンを用いたロシアインフラ攻撃でしょうね
やられたらやりかえすことは当然なのでウクライナの行為を非難する気は毛頭ありませんが自軍の防空兵器が枯渇するタイミングで敵インフラへの攻撃を激化させてしまったのは非常にまずいと言わざるを得ません
難しい事とは思いますが意思決定の上流でその点は調整しておくべきだったかと…
鶏と卵みたいなもので、自国の防空ミサイルの枯渇が視野に入ったからドローン工場や製油(ロシア軍の活動に必要な燃料製造施設)などを攻撃してピークシフトを狙ったともいえるのでは
ウクライナにとって一番嫌なのが自国の防空ミサイルの枯渇と、ロシアの兵器生産とロシア軍の活動のピークが一致することだから
ロシア軍機が、ロケット弾攻撃を始めた事を指摘されていましたが、やはり対空ミサイルの残量切れだったのでしょうね。
フレアを吐いていたが、携行式対空ミサイルの反撃もなかったとの事なので、かなり厳しいのでしょう。
北朝鮮製ミサイルが、Youtubeやまとめサイトなどで嘲笑されていましたが、(数は力のため)侮れない効果があったのかもしれません。
ミサイルの発射ルート(キーウやリビウ)、ウクライナ中心部・ドニエプル川西部を通っていますが、ウクライナ原子力産業の集積地でもあるので気になっています。
(2017年6月 ウクライナの電力・原子力事情 日本原子力産業協会)
(2024年2月16日 ウクライナ、ロシアの北朝鮮製ミサイル使用を確認 「精度に疑問」 ロイター)
(2024.04.10 ロシア軍機が最前線でロケット弾攻撃始める 東部で新たな市街戦に突入か forbes japan)
ウクライナの防空は随分とボロボロになってますね。
キエフ以外でもオデッサやリヴィウとか色々なとこで吹っ飛ばされてるようですし。
枯渇してなくても数は少ないだろうから、全ては防げずどこからしら被害出たりもあるでしょうけど、パトリオットって前線に出して壊されたりとかもあったし、完全に枯渇したら普通に壊されそうな気もしますね。
しかしキエフが停電になると現代社会で電気使えない生活とか不便で考えたくないし、防げなかったのも合わさって国民の政府への不満も増えて厭戦感情も高まりそうな。
動員兵の除隊条項を削除して世論が反発してたから余計に。
なるほど、su-25 あたりの航空機が飛んでいるわけです。su-25 といえば、A-10みたいなものなので、重武装であり、これまでの航空機よりも地上攻撃に特化しているので、地上はより厳しくなりそうですね・・
管理人さんの記事にもある通り、
迎撃率がそれなりの数値ではあるので
迎撃ミサイルとしての手元在庫はまだあるんでしょう。
元々昨年末ごろから出てた話題ではあるので、いよいよ顕在化しつつあるんでしょうね。
西側の支援ってどうも、ワンテンポ遅れるんだよな・・・。
そもそもウクライナ発表の迎撃戦果が真となる確証がありません
これまでもウクライナ側発表で撃ち漏らしたとされる数以上の被害が地上で確認されていたことが多いので
トリピル火力発電所内からX69と言う巡航ミサイルが見つかったらしいですね。パトリオットの苦手な低空から侵入してくるタイプで、最適な迎撃方法はNASAMSかIRIS-Tだと言われてます。NASAMSは最近前線で撃破が確認された事からキエフにはあんまりいないのかな?IRIS-Tも首都にはパトリオットがあるので何処か別の都市に移動してそう。そこを突かれたと言う感じになるんですかね。フーシ派のサウジアラビア攻撃時からパトリオットは低空目標が苦手をと言う事はわかっていましたし。
kh-69ですかね、Su-57から発射できるステルス性の高い巡航ミサイルですね。
まだまだ試験段階なので目標を外したりしてますが投入は確認されてます。
レーダーは灯台と同じ原理なので、レーダーを高台に置くかブームを伸ばして送受信機の位置を高くしないと水平線による探知限界が生じる。また陸上用対空ミサイルは10m以下の飛翔体を想定していない(障害物で経路を遮られる)ので超低空目標に対応できない。文谷氏によると海軍向け対空ミサイルは特殊信管と広帯域レーダー、データリンク交戦機能によって水平線以下の超低空目標(高度1m程度)に対応している。
陸上用対空ミサイルも例えば航空機との連携若しくはレーダーや赤外線センサーを分散配置し、データリンクで結ぶことで超低空目標に対応できないものか。近年はドローンや10m以下を飛行できる高機動ミサイルなど陸上でも超低空の脅威が増している。
※電離層の反射を利用したOTH(超水平線)レーダーも存在するが、電波波長が長過ぎるので大型物体や高高度を飛行する弾道ミサイルぐらいしか探知できない。ウクライナ戦争緒戦の巡洋艦モスクワの撃破もOTHレーダーで探知したらしい。
※ロシア海軍の軍艦が対船舶ミサイルで簡単に撃破される原因は、安直に陸上用対空ミサイルを転用したからではないだろうか。海自が配備予定の国産対空ミサイルA-SAMも陸自の03式中SAMを安直に転用したもので、実戦では使い物にならないみたい。
モスクワの撃沈の件は、見通し外なのは確かですが電離層反射を利用したOTHレーダーではなく、海面上に生じやすい気象条件(逆転層)によるラジオダクトを利用した探知だったようですね。
コメントありがとうございます。
ラジオダクトという言葉を聞いたのは学生以来です。
温度条件によって大気中に光ファイバーみたいな電波の通路が作られるやつですね。
F16が来ても地上撃破されるだけだよ
Trypilʹsʹka Tesをグーグルで見ると閉業になってて悲しいね
きっとウクライナは残弾数と防衛目標の上手い勘定とかお構いなしに撃ってたんでしょうね。
使い果たして被害が出れば後援国が追加してくれると言う甘えもあったんじゃないでしょうか。
多分、残弾は調整しながら使っているものと思います。
それでも、先は見えてきたのでしょうね。
先日の記事で、ウクライナ外相がキレているとのことでしたが、
判らないでもないですね。交渉のやり方は好かれていないようですが。
私もそう思います。
ただ、被弾する付加価値の高い目標を重点的に守ることに始終して、消耗の加減が露軍に知られてしまっているんでしょうね。
かつ露軍もそれがわかった上で、弾種を変えながら波状攻撃をおこなったと。
(ここに来られる方には言うまでもないことですが)
今回の目標変更も、政治的な要因かどうかはわかりませんが、事前に決めたエスカレーションの設定にしたがったものと私は考えています。
弾切れになると防空システム本体自体が被害を受け壊される確率が高まる。
そうなると弾が到着したときには既に時遅し、今度は防空システム本体の更なる支援が必要になり…と悪循環になる。
これ西側として抜本的な手を打てないと本当に負けそう…
防空兵器はすでに弾切れ
パトリオットはすでに破壊されている
キンジャールはやっぱり落とせない
どれだろうか?
三番目がある意味一番マシというのが酷いな