中国関連

中国初の強襲揚陸艦が就役間近、F-35も検出可能な新型駆逐艦も公開

中国初となる本格的な強襲揚陸艦「075型」1番艦の処女航海が、もう間もなく開始されると中国メディアが報じている。

参考:Maiden voyage of China’s first amphibious assault ship coming soon: report

4万クラスの強襲揚陸艦の艤装を1年で完成させてくる中国の圧倒的なスピード

中国初の国産空母「山東(5万5,000トン)」の就役や電磁式カタパルトを装備した「003型空母(推定8万5,000トン)」の建造に隠れて話題に取り上げられることは滅多にないが、中国海軍は台湾の武力統一に備えて水陸両用作戦に投入する戦力の拡充に力を注いでおり、中国初の本格的な強襲揚陸艦「075型(推定4万トン)」とドック型輸送揚陸艦「071型(2万5,000トン)」を最終的に各8隻づつ建造する予定で、中国版の海兵隊に相当する「中国人民解放軍海軍陸戦隊」の規模も2万人から10万人へと増強中で、全て計画通りに進行すれば中国海軍の水陸両用作戦能力は米国に匹敵する規模へと変貌を遂げるだろう。

引用:South China Morning Post 075型強襲揚陸艦

その水陸両用作戦能力の中核となるのが米海軍のワスプ級強襲揚陸艦に匹敵する規模の強襲揚陸艦「075型」で艤装工事中の1番艦と2番艦の動向が注目されていたが、中国メディアは強襲揚陸艦「075型」1番艦の艤装工事が間もなく終了して処女航海に出発すると報じており、4万トンクラスの艤装工事をたった1年で完了させる圧倒的なスピード(※1)に驚きを隠せない。

※1補足:昨年9月に進水した075型の1番艦は今年4月、艤装工事中の火災で確実にダメージを受けているはすなのだが・・・

さらに驚かされたのは、中国が052D型駆逐艦の改良バージョン052DL型の1番艦「淄博(船体番号:156)」の姿を公式に公開したことだ。

052DL型と052D型の大きな違いは全長が約5mほど延長されたことでヘリコプターが発着する飛行甲板が拡張されているのと、船体中央に設置されていた長距離レーダーが波長の長い極超短波(UHF)帯を使用する新型に置き換えられており、F-22やF-35といったステルス機の検出性能が向上している点だ。

海外の軍事アナリストによれば、中国海軍は052DL型に装備された新型長距離レーダーを使用してF-22やF-35をより遠方で検出し、中国の戦闘機に搭載されて運用されている長距離空対空ミサイル「PL-15」や艦艇に搭載され運用されている長距離艦対空ミサイル「HHQ-9A」を効果的に誘導して戦闘を優位に進めることを狙っていると予想している。

052DL型に装備された新型長距離レーダーが、果たしてどの程度の性能(推定約200kmの検出範囲)を備えているのかは正直未知数だが、尖閣諸島周辺海域で中国海軍との対立が予想される日本にとっては水陸両用作戦の戦力強化と合わせて非常に気がかりな部分だと言える。

 

※アイキャッチ画像の出典:星海军事 / CC BY 4.0 強襲揚陸艦「075型」

韓国メディア、日本のF-35MRO&U利用の見返りに訓練機T-50導入を提案前のページ

米海軍、航空機運用に特化したアメリカ級強襲揚陸艦「トリポリ」の就役を発表次のページ

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    これらの中国自衛力増強は対米防衛が目的です。アメリカのように他国を侵略する事を目的としておりません。ただし、一部の国が台湾分離主義勢力を明に暗に支援すれば、それらの反中国家を懲罰するために投入される事はあるでしょう。無論、そのような中国の国益をな損なうような真似をしなければ良いのです。

    4
      • 天滅中共
      • 2020年 7月 17日

      このスレッドは天才チンパンジー「アイちゃん」が言語訓練のために立てたものです。

      アイと研究員とのやり取りに利用するスレッドなので、関係者以外は書きこまないで下さい。

      京都大学霊長類研究所

      2
      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      つまり日本の軍事力増強も未だに他国へ侵略行為を続けている対中防衛用です。

      1
      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      強襲揚陸艦を防衛用だと強弁するのが逆効果だとなぜ分からないのだろう。
      一周回って反中感情を煽るための偽装工作なのかとさえ思えてくる。

      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      強襲揚陸艦を防衛目的で使うのですか?
      中国本土に米軍が上陸し、人民解放軍が逆上陸する展開など想像できませんが。
      南シナ海の埋め立て基地だって上陸占領なんてナンセンスで、ミサイル・攻撃機で廃墟にするのが常道と思います。
      結局、ターゲットは台湾・沖縄・フィリピン位でしょう。何が防衛目的なのやら。

      1
      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      日本語ヘンですよ! 気付きませんか?(笑)

      わざわざ日本人へプロパガンダしてる間に、中南海の高級共産党党員は海外脱出。資産を移転完了しましたよ!

      キンペ~が香港を潰したので、下っ端党員はドルに替えられませんね。貴方たちは共産党から見放されたのですよ!

      困りますね~(笑)
      もうすぐ黄色か紅布の乱が起こりますね~。
      天安門事件は検索出来なくても、革命の乱は知ってるでしょ?

      逃げ遅れないでね(笑)

      1
      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      つまり台湾や日本 自由主義勢力を権威主義勢力から守るには軍拡が必要ということだね
      わかります

      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      ここ釣り耐性ない人多すぎん…?
      毎度毎度同じやり取りして、いい加減気付かないのかな

        • 匿名
        • 2020年 7月 17日

        みんな暇なんですよ。

      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      しょっぱなから釣りですか。
      お疲れ様です。

    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    ボノム・リシャールが焼けて米軍の戦力が低下してしまったので、バランス取って中共の075型揚陸艦も全焼して欲しい。

    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    なんかこの画像だと航空機は強襲揚陸艦のわりに積めるが、
    海兵隊員が強襲揚陸艦のわりに乗せれる人数が少なそうに見える。
    実際のところは知らんが。

      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      そこは航空万能論というところでw
      まあ意外と少子高齢化で中共も人材不足というのがあるのかもしれません。

    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    こんな海軍急拡大して大丈夫かこいつら

    1
    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    何だかWWⅡのカサブランカ級護衛空母みたいに艦艇を量産して凄いなとは思う。

    艦艇の数を増やしても乗組員の育成は間に合っているのだろうか?

    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    アメリカの多目的強襲揚陸艦数はワスプ級が8 アメリカ級が6で14ですが、ワスプの代替えがアメリカですから10+ぐらいの数字にはなる
    人民軍が「アメリカの艦数が10+ならば、数合わせで我が中国の艦数が劣っていては話にならない」と抗弁すれば軍事予算が通る
    、空母よりは安い為空母を作らない代わりに余計に予算が通りやすいのだろう

    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    あったなあ炎上した中国の揚陸艦
    写真だと派手に燃えてたけどダメージは大したことなかったのか
    まあ中国だと処女航海の話そのものが嘘とかまでありえるからなあ

    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    J-20とJ-31は簡単に検出できるだろうが、F-35も同じように検出できるとは思わないほうがいい。
    老婆心ながら忠告しておいてやる。

      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      レーダーの試験は自国の自称ステルス機に対して行っているのだろうね。
      中華ステルス機といえばレーダー探知圏外からでも余裕で目視できる国産黒煙エンジンは改善されたのかな?
      いつまでもロシア製エンジンが手に入ると思っていたら大間違い。

      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      周波数の低いUHFだからF-35でも﹙吸収体も帯域外だろうし﹚探知出来ると思いますが、
      UHFだと角度分解能力とか低いだろうから、対空ミサイルの誘導とかで意味あるのかな?、とも思ったりします。

    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    見た目はなかなかいいじゃないですか、
    ロシア系艦船の雰囲気は皆無で、米海軍の下請けをしながら盗んできたノウハウの集大成ではないでしょうかね。

    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    52DLなんだが艦載機やヘリによる空中警戒態勢が早急に構築できないので
    無理矢理にレーダー積みました、という感じを持つ。
    中国海軍は艦隊防空の構築を急ぐ理由と必要があるわけだ。
    陸上からの支援が期待できないインド洋や太平洋に休息・強引に進出するつもりかと

      • 匿名
      • 2020年 7月 18日

      早期警戒ヘリなら中国海軍はZ-18JやKa-31を運用しているよ。

      1
    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    中国系アメリカ人は、防衛企業への就職を事実上禁止することはできないのかな?

    • 匿名
    • 2020年 7月 17日

    あっち側は西側と比べて垂直離着陸ステルス戦闘機が積めないから
    どう頑張ってもただのヘリ空母揚陸艦w

      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      STOVL機の開発は中国には荷が重すぎる、指をくわえてF-35Bを見てるしかない。
      中国もそれを分っているから開発する計画もない。
      中国が開発するとしたらタービン発電機と電動モーターを持ったドローンだろうな、上昇用に4基推進用に1~2基のモーターを使ったドローンなら速度も上昇高度もヘリの3倍くらいは出せる。
      戦闘には使えないが空飛ぶレーダーにとして監視には使える。

      • 匿名
      • 2020年 7月 17日

      考え方の違いだよ。中国海軍の当面の戦場は台湾周辺海域、及び東シナ海の南沙諸島周辺だけど、
      前者は本土からの航空支援が十分に行える。
      後者は並行して整備中の空母と、不法占拠しているスプラトリー諸島の基地から航空支援を受けられる体制が完成すればいい。
      となると揚陸艦には無理に戦闘機の搭載能力を求める必要はなくて、揚陸能力に全ふりすればいいのさ。

      1
    • 匿名
    • 2020年 7月 18日

    存在の是非はともかくとして、最近の中国艦艇は結構格好良いなと思う。
    この強襲揚陸艦にしても、なかなかに格好良くて正直うらやましい。

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