中国関連

日本に対抗策は?中国、超極音速滑空弾「DF-17」やステルス無人攻撃機「GJ-11」初公開

中国は建国70周年を記念した軍事パレードを行い、幾つかの新兵器を世界に披露した。

音速の10倍で飛行する超極音速滑空弾を搭載した中距離弾道ミサイル「DF-17」

中国は建国70周年を記念した軍事パレードの中で、幾つかの新兵器を披露したが、その中でも注目されるのは超極音速で滑空する弾頭部分を搭載した中距離弾道ミサイル「DF-17」とステルス無人攻撃機「GJ-11」だ。

今回、初めて公開された中距離弾道ミサイル「DF-17(東風-17)」は、弾頭部分が超極音速で滑空するのに適した「リフティングボディ(機体全体で揚力を発生させることが出来る形状)」を採用しており、着弾までの飛行コースを変更(操縦)することが出来るようになるため、迎撃側にとっては対処時間が短い上、軌道予測まで困難になるため、既存の迎撃システム=防空網を貫通(迎撃不可能)することが出来ると言われている。

中国メディアでは、このDF-17について短距離~中距離の射程を持つミサイルだと報じており、ロシア系メディアでは射程が2,500km程度はあると伝えているが、この新型ミサイルは、短距離弾道ミサイルに分類される「DF-16(東風-16)」をベースに開発されたという説もあり、中距離弾道ミサイルに分類されるための射程(3,000km以上)を持っているのかについては分からない。

中国のグローバルタイムズ紙(環球時報の英字版)は、この「DF-17(東風-17)」について、音速の10倍で飛行することができ、飛行中にコースを変更することが出来るので、THAADやSM-3、パトリオットと言った米国の弾道弾迎撃システムが迎撃できる可能性は非常に小さいと伝えており、DF-17の発射をモニターし、着弾地点で事前に迎撃準備を整えられる場合に限り、迎撃のチャンスがあるとも指摘している。

ステルス性能を向上させたステルス無人攻撃機「GJ-11」

香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は先月17日、中国が現在、試験航海と改修を繰り返している国産空母「001A」は、ステルス無人攻撃機「Sharp Sword」を搭載し、2019年後半にも就役するだろうと報じていたが、それを裏付けるように今回の軍事パレードで、ステルス無人攻撃機「GJ-11」を披露した。

今回披露された「GJ-11」は、これまで中国の瀋陽飛機工業集団が開発したステルス無人攻撃機「Sharp Sword」の機体デザインと異なり、特にエンジンノズル周りの処理がステルスに適した形状へと大きく変更されているため、かなり高度なステルス性能を実現している可能性が高い。

GJ-11の詳しい性能は不明だが、これまでの情報が正しいのなら、GJ-11は国産空母(スキージャンプ方式)からの運用が可能で、機体には2つのウェポンベイを備えておりミサイルや誘導爆弾など攻撃兵器を携行することが出来るが、スキージャンプ方式での発艦では、このウェポンベイを空の状態にしておく必要があり、当面は搭載されたセンサーによる情報収集が主な任務となるだろう。

恐らく、GJ-11を前方空域(水平線下)へ飛ばし、搭載されたセンサーで目標の情報を収集、中国艦艇に搭載された長射程の各種ミサイルで、敵の射程圏外から一方的に攻撃するといった使い方だ。

中国軍関係者によれば、今回の軍事パレードに登場した兵器は、全て実戦配備された兵器であると言っているため、この話を信用するなら、すでに中国軍には「超極音速で滑空する弾頭」を備えた中距離弾道ミサイル「DF-17」や、ウェポンベイを備えたステルス無人攻撃機「GJ-11」が実戦配備されていることになる。

特に中距離弾道ミサイル「DF-17」は、射程がどの程度あるのか不明だが、少なくと日本の尖閣諸島や沖縄を射程圏に捉えていることだけは間違いないだろう。

遂に、恐れていた脅威が現実のものになった。

 

※アイキャッチ画像の出典:JeanLuc / stock.adobe.com

陸上自衛隊が英国へ初派遣、英陸軍との共同訓練「ヴィジラント・アイルズ19」実施へ前のページ

新兵器ラッシュの中国、ロケットエンジン搭載の超音速無人偵察機「WZ-8」を初披露次のページ

関連記事

  1. 中国関連

    J-20複座型に続き今度はJ-31艦載機バージョンの実機、飛行中のJ-35を収めた写真が登場

    数日前に中国が開発を進めていると噂されたJ-20のツインシート(複座)…

  2. 中国関連

    中国国営企業の発行物に登場したステルス爆撃機「H-20」のCG画像、但し機関紙が即否定

    中国国営の防衛産業企業「中国兵器工業集団有限公司」が発行する月刊誌「现…

  3. 中国関連

    中国の極超音速兵器に弾み、米国にもないM30対応の風洞設備が完成

    中国の環球時報は4日「建設していた極超音速風洞設備が受け入れテストに合…

  4. 中国関連

    4隻目までは通常動力空母? 中国海軍、技術的問題で「原子力空母」建造計画を保留

    中国海軍は、通常動力式の国産空母を建造後、早い段階で「原子力空母」建造…

  5. 中国関連

    中国がサウジアラビアとFC-31輸出交渉、技術移転と現地生産を提案

    MENA地域における防衛市場の分析を行うTactical Report…

  6. 中国関連

    中国が無人潜水艦プログラムの機密を解除、UUVによる模擬潜水艦への魚雷攻撃に成功

    中国は1990年代に研究・開発が始まった無人潜水艦プログラムの機密を解…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 10月 02日

    これら新兵器の実際の性能がどうであれ対策は進めなければならないだろう
    防衛予算のさらなる増額が求められる

    • 匿名
    • 2019年 10月 02日

    結局そうなると、護衛艦や沿岸部に高出力光学兵器(光速で迎撃できる=高速性や機動性が意味をなさない)を配備するという流れになりそうだけど、光学兵器はアメリカですら完成させられてないし、そもそもそれを捕捉するためのレーダーがねぇ……

    • 匿名
    • 2019年 10月 02日

    日本がもうお手上げになるのも近いか
    こっちがどんなに金を積んでも向こうの足元にも及ばない以上どうしようもないとは思ってたが、やはりこうして窮地に立たされるのな
    日本の唯一の仮想敵国だけあるわ(東アジアにもう2つ国が有るって?あんなおもちゃの兵隊気にしてどうするんや

      • 匿名
      • 2019年 10月 02日

      日本も高速滑空弾や極超音速対艦ミサイルなど同様の装備を開発中なので、普通に相手に追従する兵器開発は進んでいる
      お手上げには程遠いよ
      我々に出来るのは、今の自民党を支持して公明党に頼らずとも単独で政権を維持する事が出来るようにする事。そうすれば改憲も実現し、自衛隊を縛る余計な枷も無くなる。現在開発中の12式地対艦ミサイル(改)の様な長射程のミサイルなど、自主規制が無ければとっくの昔に保有出来ていた

    • 匿名
    • 2019年 10月 02日

    X-47Bのパクリに見えるGJ-11無人機はともかく、DF-17高速滑空弾の形状が玩具臭いのはどう言う事だろう…まさか、あの全部が「只のハリボテ」と言う事は無いだろうな?

      • 匿名
      • 2019年 10月 02日

      ロシアの極超音速滑空弾もあんな形状のCGだったから、中身は兎も角外形は極超音速滑空弾として標準的ですね
      米軍があれだけビビっている以上、中身も相応の物があると見た方が良いのでは?

    • 匿名
    • 2019年 10月 03日

    DF-17が飛行中にコースを変更できる仕組みがよくわからない。尾翼が動くのかな
    高度的には成層圏の上あたりか?大気も薄いだろうに機敏に動けるんだろうか
    Pac-3ならともかくTHAADで迎撃が難しいと言うのがよくわからん。高度的には足りそうだが
    速度自体は弾道ミサイルの大気圏突入前よりよほど遅いと思しなあ
    そもそも通常弾頭の弾道ミサイルは正確に施設目標に当てられるのか?

      • 匿名
      • 2019年 10月 18日

      DF17は大気圏から出ないよ。。認識されから着弾まで20秒しかない

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  3. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  4. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP