ナゴルノ・カラバフ地域を巡るアゼルバイジャンとアルメニアの戦いでアルメニア軍が戦術弾道ミサイルを使用したと報じられている。
参考:Armenia has used tactical ballistic missile system “Tochka-U”
参考:Armenia MOD: If Azerbaijan uses Tochka-U missile system, Armenian side’s response will be instantaneous and powerful
アルメニア軍が戦術弾道ミサイルを使用したとアゼルバイジャン国防省は発表
アゼルバイジャン国防省は9月30日、アルメニア軍がナゴルノ・カラバフ地域でアゼルバイジャン軍の部隊に向けてロシア製戦術弾道ミサイル「OTR-21トーチカ-U」を使用したと発表、ただ発射された弾道ミサイルの内3発はアルメニア軍の不適切な扱いのせいで爆発しなかったらしい。
この弾道ミサイルは旧ソ連が開発した自走式の弾道ミサイルシステムでアルメニア軍が保有する弾道ミサイル(他にもスカッドBとイスカンデルを保有している)中で最も数が多いのだが、導入から20年近く経過しているためアゼルバイジャン国防省の発表が正しいのなら弾道ミサイル本体の保管状態が良くなかったのだろう。

出典:KarenWunderkind / CC BY-SA 4.0 アルメニア軍のOTR-21トーチカ-U
ただアゼルバイジャン国防省の発表に対応してアルメニア国防省もコメントを発表しており、アルメニア軍が「OTR-21トーチカ-U」を使用したというのは明らかに虚偽であり事実と一致しないと弾道ミサイルシ使用を否定、さらに「このような動きはアゼルバイジャン軍が弾道ミサイルを使用するための口実づくりだ」と指摘、これを口実にアゼルバイジャン軍が弾道ミサイルを使用すればアルメニア軍は即座に対応して、その報復は非常に破壊的なものになるとアゼルバイジャンに警告している。
これとは別にアルメニアはトルコがアゼルバイジャン支援のためF-16C/Dを派遣すれば短距離弾道ミサイル「イスカンデル」を使用すると宣言しており、30日にトルコ空軍のF-16C/Dがナゴルノ・カラバフ地域上空を飛行していた記録を持っていると発表したため、こちらが原因で短距離弾道ミサイルの使用に踏み切ってくる可能性も否定できない。

出典:Jerry Gunner / CC BY 2.0 トルコ空軍F-16C
どちらにしても両国の争いはナゴルノ・カラバフ地域に限定された局地戦の様子を呈しているが、両国とも弾道ミサイルを保有しているため口実やきっかけさえあれば敵の象徴的な場所や拠点(=敵の首都)を懲罰攻撃だと称して直接叩くことができる。
もしそうなれば民間人にも被害が及び、戦いは泥沼化していくことになるだろう。
アルメニアへの補給ルートとしてイランを疑うアゼルバイジャン
余談だがアゼルバイジャンメディアは30日、イラン経由でアルメニアに武器が輸出されていると報じており注目を集めている。
ナゴルノ・カラバフ地域を巡るアゼルバイジャンとアルメニアの戦いで重要なのは消耗される武器の補充で、アゼルバイジャンは国境を接するトルコ経由で武器の補充を受けている可能性が高いが、アルメニアは最大の支援国ロシアと物理的に隣接していないため武器を運び入れるには他国を経由する必要があり、考えられるルートはたった2つしかない。
1つ目はロシアとアルメニアの間に位置するジョージア(旧グルジア)経由で、このルートはもっと距離が短いのだがソ連崩壊後に独立したジョージアは一貫して反露親欧米政策を採っていることと、今年7月に発生した軍事衝突の影響でアルメニア向けの軍事品通過を基本的(セルビアがアルメニアに輸出した武器がジョージア経由で移送されたと今年8月に報じられジョージア国内では大問題になっている)に認めていない。2つ目のルートはイラン経由なのだが、イラン政府も軍事衝突を助長するアルメニアへの武器移送を認めていないため事実上アルメニアへの武器移送は完全に遮断されていることになっている。
しかしソーシャルメディアや動画サイト上にロシア製の武器がイラン経由でアルメニアに運び込まれる様子を撮影した動画が多数アップされ拡散中で、イラン外務省は29日「いかなる武器の移送も許可していない」と発表したがアゼルバイジャン側はイランがアルメニアへの武器供給ルートになっていると疑いを深めている。
※アイキャッチ画像の出典:ВладиславФальшивомонетчик / CC BY-SA 3.0 OTR-21トーチカ
アゼルバイジャンのダムを攻撃するとか、アルメニアの原発を高精度で攻撃できる等とお互い言っていたが、流石にハッタリだろう…そうだよね?
お互いのハッタリ合戦(情報戦)となっているようです。
>トルコがアゼルバイジャン支援のためF-16C/Dを派遣すれば短距離弾道ミサイル「イスカンデル」を使用すると宣言しており、・・・
ならばF16を撃墜すりゃいいじゃんと考えますが防空網がダメダメなんじゃないでしょうか。
その他も同じようなら高精度の攻撃は無理と考えていいと思います。
双方が手詰まりになったところでロシアが出て手打ちになるという筋書きで。
仮に爆発してても、どれだけの戦術的効果があったろう。
トルコの本格介入を恐れての威嚇だからこそ、あえて旧式ミサイルを放ったのでしょうね
トーチカU云々はもう取り下げられてますよ
アゼルバイジャンが弾道ミサイルと言い張ったのはスメルチ300mmロケット弾ですって
情報戦も戦争のうち、か。トランプが悦びそうなウソ合戦やってるとイソップ狐の顛末になりかねんぞ
アゼルバイジャンには自力で事態を収拾する術は無い、ように見える
打開策としては、1.ナゴルノ・カラバフ地域から撤退すると通告する
2.全面戦争に突入し双方壊滅的な損害をこうむった状態でロシアの介入を促す
要するに、アルメニアは腹を括れ こうなったのは自分たちが弱かったのが悪い
横から勝ち馬に乗っかる必要あるのか
良し悪しの話いらんよ
そういう意味ですとアゼルバイジャン側にもないですね
アゼルバイジャンが何を目指しているのかが実のところまだ分かっていないのです
実効支配された紛争地域を奪取できればよいのでしょうか?
そう見るのは自然でしょうが、トルコが噛んでいる以上皆の思い込みに過ぎない可能性があります
後半の記事を読む限り、アゼルバイジャンは飛び地をアルメニアが攻撃する口実を与えたに等しい。
あとロシア連邦軍の介入についてだけど、陸軍の介入はそれほど高くないと思うけど、航空宇宙軍の介入の可能性はかなり高いと思う。アゼルバイジャンの飛び地攻略はアルメニア軍に任せて、ロシア航空宇宙軍が全力でアゼルバイジャンの軍事施設を攻撃して、アゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ州を侵略を阻止する(というか、ノゴルノ・カラバフになんて構っていられないレベルの攻撃)に発展する可能性があるかも知れない。
まあ両国とも核持ってないし、使った所で被害は限定的じゃない?ただ民間人がやられたら世論がヒートアップして収拾つかなくなりそうだけど。
お互いにダムや原発攻撃を示唆しているのですがそれは
特に、アルメニアの原発はトルコとの国境に近く、破壊されれば周辺国には堪ったものではない迷惑が
いや流石にそれはブラフだと思うんだけど。
……やんないよね?
起きないとは限らないのが怖いところ。
既に何回も言われてるんだろうけも、内外に強硬姿勢をアピールする当事国と、それらと防衛条約を結ぶ背後の大国って組み合わせがWW1感あって不吉。
原子炉格納容器が無いという欠陥設計、運転開始から40年経ち、地震多発地帯にある世界一危険なアルメニア原子力発電所。
ロシアはアゼルバイジャンに手を出さないと思う
兵器等の支援はできるけど軍隊は出さない(せいぜい義勇軍が限度)
なぜならナゴルノ・カラバフはアルメニアとアゼルバイジャンの問題であってロシアが領土を主張してる場所じゃないから
アゼルバイジャンがアルメニア国内に侵攻して来たら出張ってくると思うけどね
日本で例えると
竹島の領有をめぐって日本と韓国が軍事衝突したらアメリカの軍隊は出てくんの?って話
>導入から20年近く経過しているためアゼルバイジャン国防省の発表が正しいのなら弾道ミサイル本体の保管状態が良くなかったのだろう。
俺の弾道ミサイルは今日もピンピンしてるのに。やはり定期的に使わないとダメだなw
それはただのロケット弾だろ
「早いだけの使い捨て品」てことですね、わかります
いやいや発射台で直立できても発射できないことや着弾しても信管が作動しなくて不発ってのはあるよ。
年取るとね。
情けないけど。
下品な内容で失礼しました。
ミサイル発射は射程にかかわらず、明確な国連安保理決議違反だ。制裁を行う。
誰が?
両軍核兵器は保有してないし日本からしたら対岸の火事だわ
燃え尽きるまで燃えて新兵器の試験場になってくれ
なんかみんな弾道弾持ってんな
うちも遅ればせながら買うようだが
日本に核は必要ないと思うが
通常弾頭を搭載した車両搭載式弾道ミサイルと極超音速ミサイルが必要だと思う
敵対しそうな首都中枢と重要な軍事施設と空母をピンポイントで攻撃出来る
精度(CEP10m)と飛距離(3000km)がほしいな
出来ればモスクワも狙えればなおさらいい
やって破滅すれば反省するだろ
あーもう滅茶苦茶だよ、という言葉がこれほど似合う戦争もないな…早く停戦してマジで(懇願)