欧州関連

冗談のような本当の話、スイス空軍が年中無休24時間のスクランブルに本日から対応

スイス軍は29日、12月31日から領空侵犯へのスクランブルや航空交通規制に違反した航空機の取り締まりを年中無休24時間対応に移行すると発表した。

参考:print previewLuftpolizeidienst rund um die Uhr

2014年に発生した民間旅客機ハイジャック事件を契機に見直されたスイス空軍の運用体制がついに年中無休24時間対応化

一体何を言っているのか分からないかもしれないがコレは事実である。

スイス空軍は自国空域を年中無休24時間体制でレーダー監視しているものの、領空侵犯へのスクランブルや航空交通規制に違反した航空機の取り締まりについては予算と人員不足の影響で平日の午前8時~午後5時(昼休憩を除くと実質7時間半)までしか対応しておらず、2014年に発生した民間旅客機ハイジャック事件はスイス空軍は対応時間外だったため自国空域でのハイジャック機追跡をフランス空軍が肩代わり(この行為は事前に両国が結んでいた協定に基づくもの)するという惨事が発生した。

出典:Peter Gronemann / CC BY 2.0

この事件はスイス国民に衝撃を与えスイス空軍の運用体制が見直された結果、2016年に2機の武装したF/A-18Cによるスクランブルの対応時間を平日の午前8時~午後6時までに延長、2017年に年中無休化、2019年に対応時間を午前6時~午後10時までに延長、ようやく今月31日から年中無休24時間対応に移行することになったという話だ。

これで2014年のような失態を防ぐことが出来るようになったが、領空侵犯へのスクランブルや航空交通規制に違反した航空機の取り締まりを年中無休24時間対応にするため年間3,000万フラン(約35億円)の追加コストを負担する必要があり、年間国防予算(51.2億フラン)に占める割合は微々たるものかもしれないが陸軍主体で徴兵を通じて現役兵14万人(職業軍人は約4,000人)+予備役21万人を維持する必要があるスイス軍にとっては決して安くない。

ただ自国空域の管理に空白時間が存在するのは安全保障上好ましくないため「必要な出費」だと言えばそれまでだが、、、

出典:Marek Olszewski / CC BY-SA 3.0 オーストリア空軍のタイフーン

因みにお隣のオーストリア空軍は午前8時~午後4時しか領空侵犯へのスクランブルや航空交通規制に違反した航空機の取り締まりに対応していないため、同国のタイフーンは100年経過しても機体寿命が残っているだろうと揶揄されている。

関連記事:導入自体が間違い?タイフーンを導入したオーストリアの後悔

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain スイス空軍のF/A-18C

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    管理人さんも年末年始は24時間体制で更新して頂き、ありがとうございます。皆様よいお年を。

    20
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    >オーストリア空軍は午前8時~午後4時しか
    昼間戦闘機でいいんじゃないかw?

    24
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    笑ってはいけません、スイスは人類の進むべき平和な世界を先んじて実践していたのです
    戦わない軍隊という理想のためにね

    まだ速すぎたと気がついただけよ

    10
      • 匿名
      • 2020年 12月 31日

      日本のコンビニも24時間営業を見直す動きがあったから、やっぱりスイスとオーストリアは時代を先取りしてるのかもしれない?

      14
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    周りにならず者国家がいない所は平和で良いねえ~

    40
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    「スイスでは軍隊でも働き方改革が進んでいる。それに比べて日本は‥」とか言ってるメディアがあったら面白いのですが

    18
      • 匿名
      • 2020年 12月 31日

      左翼系メディアでは「スイスは永世中立で軍隊もない平和な国」という認識らしいが。

      31
        • 匿名
        • 2020年 12月 31日

        スイス海軍(民間組織)の出番ですね

        6
        • A
        • 2020年 12月 31日

        あはははは。
        今年の笑い納めですなぁ。

        1
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    オーストリアにはミグ21が似合いそうだな。
    機体はたくさんあるし、整備費も安いし、燃費は不明だが。
    地上からの誘導で迎撃するだけなら、これで十分では?

    2
      • 匿名
      • 2020年 12月 31日

      ルーマニアが今も使ってるようですね。

      1
      • 匿名
      • 2020年 12月 31日

      そのオーストリア空軍、タイフーンを導入する前はサーブ35ドラケンを1987年から2005年迄使っていたんだが、何と冷戦終結まで空対空ミサイルを持っていなかった
      理由は、1995年に政府が「空対空ミサイルを戦闘機に装備しない」と言う国防方針が有った為なんだと……
      更に言うと、1972年にサーブJ29を退役させてからドラケンを導入する迄の間、ジェット戦闘機を保有して無かったそうだ

      4
        • 匿名
        • 2020年 12月 31日

        みんなゴメン
        上の書き込みの中でオーストリアが『1995年に政府が「空対空ミサイルを戦闘機に装備しない」と言う国防方針が有った』と書いたけど、正しくは1995年では無くて1955年だった
        以上、訂正して置きます

        2
          • 匿名
          • 2020年 12月 31日

          有難う御座います。
          逆に更に驚いた!笑

          2
      • 匿名
      • 2020年 12月 31日

      信頼性の視点が抜けてる。
      パイロットに◯ねって言ってるようなもん。

      2
      • 匿名
      • 2021年 1月 01日

      ロシア製戦闘機は輸出仕様の場合、機体寿命が尽きるまでにエンジンが4〜6機必要ってデータがあるから決して安くないぞ。

      2
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    確か、今のパイロット数だと24時間対応ができないんだよな。

    1
      • 匿名
      • 2020年 12月 31日

      民間パイロットが大量に解雇されて航空需要も23か24年まで回復しないと言われてる今ならパイロット集めも比較的楽に出来そうなもんだけど。

      4
        • 匿名
        • 2021年 1月 01日

        輸送機パイロットにならともかく
        戦闘機パイロットに民間航空の余剰パイロットは…

        中には、元戦闘機乗りだったのもいるかもしれんが……

        4
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    トップ画像のF/A-18(2機とも)はスペイン空軍のものです。
    真ん中の画像はスイス空軍のものになっています。

    2
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    それで大した問題ないだろうな安保環境が羨ましいな。
    日本とか年1000回、大震災時にもスクランブル・・・。

    18
      • 防衛大臣
      • 2020年 12月 31日

      我が国で、対領空侵犯措置やミサイル破壊措置は、日出から日没までの間に限る!なんてやってみたらどうなることやら。

      1
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    今年最後のミリタリーほのぼのニュース
    来年は平和な一年でいてほしい

    12
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    こんなに呑気なスイス空軍でもF-35を欲しがるのは周辺諸国がステルス機の配備や開発を進めてるからなのかな。

    3
      • 匿名
      • 2020年 12月 31日

      複雑で、ドイツとかタイフーンだけだし。
      1.政府はグリペンに決定
      2.野党 社民党は戦闘機廃止のため国民投票に持ち込む。戦闘機は買うが、グリペンは無かったことに。
      3.再度選定開始、オフセットが合わなかったのか?失礼な態度に激怒。グリペン撤退。残るは、
      a案のラファール(万能優秀でそこそこステルスだが、数がでてないので、製造費に対して開発費割合が高く損した気分に)
      b案のタイフーン(同じ値段帯のF16の半分の寿命を目指したら、胴体の負荷設計ミスで寿命1/4。ただ、攻撃機としてはパワーがある)
      c案のFA18(高いけど優秀。そこそこステルス)
      d案のライトニングII(なんかもうこれで良いい気がしてきた。開発費割合低いし)
      という感じか。

      2
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    メーデー民なら知っている、かつてヤバい事故を起こしたスイスの会社のことを…というのは冗談として、スイス国民の対応の速さは正直羨ましいですな。日本も見習うべき。

    1
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    スイス、小さいで。大雑把に東西300キロ、南北200キロくらい。北海道の半分以下の面積。
    だから、スクランブル要撃機は2機で済むんだな。

    3
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    徴兵までして国民に負担を強いておいて空軍力が疎かって意味わかんない。
    国防のためというより通過儀礼的な意味合いを重視した社会イデオロギーなのかもしれんな

    2
      • 匿名
      • 2020年 12月 31日

      そのスイスが徴兵しているということすら知らないお花畑パヨクが我が国には多数いるw

      6
    • 匿名
    • 2020年 12月 31日

    トランプ対DSと関係があると思うとワクワクするな

    3
    • 匿名
    • 2021年 1月 01日

    周辺国が頭まともな国うらやましいなあ(´;ω;`)

    4
    • 匿名
    • 2021年 1月 02日

    レシプロ機時代なら空身でも越えるのがしんどい高さの山々に囲まれ…
    ジェット機時代だとあっという間に領空通過されてしまう狭さの国土…
    1家に1丁の自動小銃と国民皆兵の陸軍力重視でも、空軍力は軽視されているのだな

    というか、天然の防壁となる山々が邪魔して、国外から向かってくる飛行体に対する対空監視レーダーの有効範囲が狭そうだが…
    NATOにも入っていないのだし、どうしているのか…

    4
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