英空軍は2040年代までに有人戦闘機を操縦するパイロットを段階的に削減していくと主張して注目を集めている。
参考:BOT GUN RAF set to phase out pilots by 2040s in favour of robots & drones
無人戦闘機ランカと第6世代戦闘機テンペストでパイロット削減を目論む英国
米空軍は自律的に飛行や戦闘が可能なAI制御の無人戦闘機プログラム「Skyborg(スカイボーグ)」を進めておりF-22やF-35といった有人戦闘機との共同運用を目指しているが、第6世代戦闘機「テンペスト」開発を進めている英国でも無人航空機開発プログラム「モスキートプロジェクト」が進行中で、米空軍と同様に自律的に飛行や戦闘が可能なAI制御の無人戦闘機「Lanca(ランカ)」を開発中(既に極秘試験場で飛行テスト中らしい)だ。
この無人戦闘機ランカは米空軍が開発を進めている無人戦闘機よりもハイエンドな性能を備えた機体を目指しており、敵レーダー妨害や脅威排除のための迎撃能力に加え「超音速飛行能力」を要求中で、英空軍は2040年代までに有人戦闘機を操縦するパイロットを段階的に削減していくと主張して注目を集めている。
では、なぜ無人戦闘機ランカを導入することで有人戦闘機を操縦するパイロットを削減することが出来るのか?
無人戦闘機ランカの実用化はテンペストに先駆けて行われる予定なので、当面はF-35Bやタイフーンと共同で任務をこなすことになる=つまり無人戦闘機ランカの実用化によって1任務にあたりに必要な有人戦闘機の出番が減るという意味でパイロット余りの状態が生まれるという意味だ。
一般的にパイロットの数は保有する航空機の2倍以上(実際にはパイロット不足で実現困難)が理想と言われており、有人戦闘機の出番が減れば1機あたりの戦闘機に確保しておくパイロットの数を減らしても運用に支障がなくなると考えているのかもしれない。
ただ本格的なパイロット削減は2035年頃に実用化される無人運用が前提(有人運用はオプション扱い)のテンペストが登場してからになるだろう。
テンペストは無人状態でも無人戦闘機を制御できることが可能なので、ますます有人運用の出番が減ることが予想される。そのためタイフーンと入れ替える形で配備されるテンペスト運用のために必要なパイロット数は限りなく機体数と同数(流石に機体数を下回ることはないだろう)に近づくのかもしれない。
1人の戦闘機パイロットを新しく養成するに5億円必要だと仮定した場合、新人パイロット養成を年間10人削減するだけで50億の養成費用を節約することが出来る。さらに比較的高額なパイロットの人件費や訓練コストなどの削減効果まで含めれば相当額の予算を節約することに繋がるはずで、予算不足に悩む英国軍にとって無人戦闘機ランカや無人運用前提のテンペスト実用化は必要不可欠と言える。
果たしてAI制御の無人戦闘機ランカとテンペストの無人運用が実用レベルとして完成するのかは不明だが、過去にも「戦闘機無用論」や「ミサイル万能論」と言った主張が夢破れたことを踏まえると、この手の話は今ひとつ信用することができない。
それとも新しい技術に身構えてしまうのは考え方が古くなってしまったからだろうか?
※アイキャッチ画像の出典:BAE Systems 第6世代戦闘機「テンペスト」
昔、大石英司さんの著書で2020年頃は、足軽ロボットが陸海空に導入されて潜水艦や空母は足軽ロボット導入前提で設計された・・・なんて読んでたんだけど。
ロボット導入はまだ遠い未来だね。
新世紀日米大戦ですね?懐かしい。ちょうど2020年頃を想定した小説でレールガンとか歩行ロボット出てきましたね。
まだまだほど遠いですが。
方向性は間違っていなくても、その時の技術面が追いついているかは判りませんから。
ミサイルがこれほど進化し、ちゃんと命中する時代になったからとて、未だ戦闘機無用論には結びついてないし。
純粋に航空の理想形として生まれたプランでなく、人手不足が背景じゃあね、
ますますエースコンバットじみてきたなぁ
特にF-35がまるでゲームといっていいほどの火器管制の統合が凄くて、すごい時代だなーと思いましたね
そして、まさかウィングマンまで無人機になるとは…
まぁそうすぐには無人戦闘機が使い物になることはないでしょうが
いつの日か無人機が主流になって「これが最後の有人戦闘機」という時代が来るかもしれません
無人戦闘機の肝は『絶対に乗っ取られない』システムの構築が出来るか否かだろうね。
無人兵器の普及に伴って当然それを無効化する研究も活発化するだろうからやがて実戦で乗っ取られた無人機が味方を攻撃するって事件が現実化する日が来るだろう。
安いラジコン特攻機くらいならまだしも戦闘機やら戦車やらが乗っ取られては堪らない。
下手に無人機を主力にしてパイロットを削減した後に無人機が無効化されたら目も当てられない。
こういうのは先進性が仇になる可能性もあるから慎重に行った方が良いと思う。
AIは絶対に騙されないのか、という疑問ですね。
現在構想されている自律型無人機は、暗号化されてるとはいえネットワークに接続し運用されるわけでスタンドアロンではないですからね。
有人機もネットワーク下で運用されるんで判断するのが人か機械かの違いだけなのかもですが。
外部侵入が不可能なネットワークシステムを構築できるか否かがカギなんでしょう。
それでも工作員やミスによって内部から汚染されたらアウトだと思います。
パイロットを減らすにしたって限度があるよ。
無人機だけで対領空侵犯措置なんてさせられないのだから。
パイロットが減った代わりに、AI部分やセンサー類の整備負担が増加しました
AI制御の専門整備士を増やす必要が発生しましたとか、そんなオチでは?
>既に極秘試験場で飛行テスト中らしい
米軍のエリア51みたいな秘密基地が英国にもあるのかな?
でたぞ秘密基地w
いいね
自衛隊も硫黄島基地ならば人目につかずに実験できそう
ボスコムダウン(トーネードGRの試験飛行やったところ)だと目立つからアセンション島空軍基地のことじゃないの?
見慣れない飛行機を見かけたアセンション島の一般島民が写真撮って投稿する等したら真偽が判明しますね。
英国防省、そんなにパイロット人件費を減らしたいなら、英パイロットを廃止して、英機に米パイロットを載せれば?
そのランカちゃんがどの程度の機体性能を持ち、中のAIがどれだけ複雑な思考をできるかだなぁ
歌えるんだよね
ご存知、無いのですか!?
「理論上の可能」と「実際の可能」は違いますから。
このところ、アメリカの開発失敗をみてきたので、半信半疑になって当たり前かと思います。
予算不足なら、タイフーンをインドネシアに売り飛ばしてもっと燃費のいいグリペンを…。
無理だけど。
現実的に考えれば考えるほど、第6世代戦闘機が越えるべきハードルは極めて高いと言わざるを得ませんね。日本のF-3がどの程度まで先進性を示せるかはわかりませんが、未完の泥沼に嵌まらないようどこかで線引きが必要になるかもしれません。
F−3に関して言えば、採用している技術自体は格別真新しいものでもなく、どうあっても最低限完成させるでしょう。
というか、開発する前から要素技術を煮詰めていますから、今更未完はありえないと思いますね。
いやいや…現状のパイロットの頭数を維持した上で無人戦闘機で補強するんじゃないのかい!?
2040年代にAI技術がどうなってるか分からんから保守的すぎる考えかもしれんけど
いざって時に無人機封じるなんらかの攻撃があったらどうするつもりなんだろ?
無人モードで飛ぶテンペストが無人戦闘機たちをコントロールして戦うって、それを可能にするのに不可欠な様々な技術がテンペスト就役までに揃うとはとても思えないな。相変わらずイギリスは現実離れしている。まあその代わりに新しいコンセプトやアイデアを打ち出すのはイギリスの国力の割に得意だが。
自立型AIが実用化するまでは、結局拠点での制御が必要で、拠点制御が有人機に劣らぬ判断力を発揮できるのか、無線という「遅い」ネットワークを介して? という点が実用性を決めると思いますねぇ。
それなりの兵装を運べる機体はそれなりに高価でしょうから、本当にコスト的にペイするのは相当先の話で、テンペストでは無理なんじゃないかと思ってますがどうなるでしょうね。
英のモスキートプログラムも米のスカイボーグプログラムと基本的に同じなわけで、ランカは当面はF-35やタイフーンを支援する僚機UAVとしてテンペストに先行して開発される計画なわけです。
その段階でのランカ搭載AIは有人機の戦術機動を支援するのに最適な群制御システムの一部を構成できれば良いのかと。
親機に対する外部センサ及び外部ウェポンベイとして機能するわけで、自律的に判断して戦闘行動を取るものではなくハードルはそう高くない。親機となる戦闘機或いは戦闘機群の能力拡張アイテムです。独自の判断で戦闘行動他をとるものではない。
有人テンペストへの適用はそのまま行えることになります。
無人テンペストも同じで、有人テンペストを中核とする戦闘ネットワークを構成するものだろうかと。無人テンペストのAIはランカを制御するネットワークノードとしても機能し、より高度なものが必要になります。
ハードルが高いのは任務戦闘機群の完全無人化だろうと思われます。
自衛隊が無人戦闘機群プランをいったん躊躇したのは正論だと思うよ
慌てて他国の真似とかでなく、運用理論確立と技術的な水準を確認してから考えないと大失敗しかねない
防衛装備庁「将来無人装備に関する研究開発ビジョン~航空無人機を中心に~」によればMQ-9のような攻撃型UAVは「当面」開発プランには載せていません。主に政治的理由でしょうね。
兵装を装備する研究開発は「第4分類」にカテゴリー分けされた、F-3と連携する戦闘支援型でロードマップ上に公表されています。
「第3分類」の「遠距離見通し外運用型」研究開発を経て着手するスケジュールで、開発完了は30年代後半を見込んでいます。
その間には技術獲得の効率化を図った共同開発が計画されるかもしれませんが、独自の技術基盤確立を前提にしているようです。喫緊に必要な情勢が生じればとりあえずの既製品購入で対応するんでしょう。