インド太平洋関連

F-16E/F開発費用はUAE負担、発注が相次ぐF-16V開発費用を負担したのは誰?

多くの国から発注が相次ぐF-16の最新バージョンBlock70/72、通称F-16Vの開発費を台湾側が一部負担しているためロッキード・マーティンからロイヤリティを受けっているという話がある。

台湾は韓国のKF-16アップグレードで金を稼ぐことができるという主張の根拠はF-16V開発への出資

ジェネラル・ダイナミクス(現ロッキード・マーティン)が開発した戦闘機F-16は初期型のA/B(Block1~20)と発展型のC/D(Block25~52)までは米空軍が費用を負担することで開発が行われたのだが、アラブ首長国連邦(UAE)が発注したF-16はBlock52をベースに大きな改良が加えられたためF-16E/F Block60と呼ばれており、UAEはBlock60開発のため約30億ドル(約3,150億円)の開発資金を全て負担している。

そのためUAE以外からBlock60の受注があった場合、ロッキード・マーティンはUAEに対してロイヤリティを支払う契約になっているのだが、残念ながらUAE以外からの受注がないためロイヤリティを受け取れていない。

出典:public domain UAE空軍のF-16E

では、多くの国から発注が相次ぐF-16の最新バージョンBlock70/72、通称F-16Vは誰が開発費を負担したのだろうか?

そもそもF-16Vは米空軍の要請に基づいて開発されたものではなく、ロッキード・マーティンが独自に2012年シンガポール航空ショーで発表したF-16導入国向けのアップグレード仕様で、実際にF-16Vを開発するには旅客機開発で言うところの「ローンチカスタマー」を必要としていた。

これに名乗りを挙げたのが台湾だ。

台湾は保有する145機のF-16A/B Block20をV仕様にアップグレードすることを約束、さらに台湾の漢翔航空工業がF-16V開発費用の一部(Lockheed and AIDC both invested in the development of the aircraft and will share revenue from all sales and upgrades)を負担したため、ロッキード・マーティンはF-16Vの受注(アップグレード及び新造機)に応じて台湾側に配当を支払うことになっているらしい。

出典:台湾空軍

そのため幾つかの台湾メディア(Now NewsとTaiwan News)は、韓国が134機のKF-16をBlock70/72仕様にアップグレードすること決定したため台湾にロイヤリティが入ってくると報じており、これが事実ならF-16VはF-16E/Fとは異なり既存機のアップグレードと新規調達のため発注が相次いでいるので、相当額のロイヤリティが台湾側に振り込まれることになるはずだ。

参考:Taiwan earns money off Korean fighter jet purchase

さらに漢翔航空工業がアジア・太平洋地域初となるF-16専用メンテナンスセンター誘致が実現したのもF-16V開発に協力した見返りなのかもしれないが、台湾がF-16V開発に投資していた事実やロイヤリティが入ってくるという報道は数が少なく信憑性に欠けるという見方もある。

ただ2015年10月にV仕様のF-16が初飛行した際、ロッキード・マーティンが「台湾空軍向けに開発した」と発表してるため、F-16V開発をロッキード・マーティンに決意させたのは間違いなく台湾だ。

補足:因みにF-16Vの新造機を最初に発注したのは2018年に発注したバーレーン

さらにUAE向けのF-16E/Fも開発費を負担する見返りにロイヤリティが設定されていることを踏まえると、台湾側による開発費の一部負担が事実ならF-16Vにもロイヤリティが設定されているという主張は十分説得力がある。

もしこの話が本当なら、多くの国から発注が相次ぐF-16Vの状況に台湾と漢翔航空工業はニンマリしてることだろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:CC BY 2.0/ 總統府 台湾空軍のF-16

米メディア、陸軍の近距離防空システム「IM-SHORAD」はUAVの的になるだけ前のページ

英空軍、第6世代機「テンペスト」と無人戦闘機導入でパイロット削減次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    再掲載|タイ空軍に手酷くやられた中国空軍、グリペンがSu-27に圧勝

    中国空軍がロシアから導入した戦闘機「SU-27SK」と、タイ空軍がスウ…

  2. インド太平洋関連

    世界で4番目、インドがスクラムジェットによる極超音速飛翔に成功

    インドは極超音速技術実証機(HSTDV)をマッハ6以上の極超音速域で飛…

  3. インド太平洋関連

    クアッド同盟の布石、インドが日米印3ヶ国の共同演習に豪州招待を発表

    インド国防省は19日、米国が提唱するクアッド(QUAD)同盟の布石にな…

  4. インド太平洋関連

    インド、日本は数少ない友好国で自衛隊との演習は中国への圧力になる

    海上自衛隊とインド海軍がインド洋で親善訓練を実施したが、インド側にとっ…

  5. インド太平洋関連

    インドネシア、お荷物状態の戦闘機タイフーン購入をオーストリアに打診

    インドネシアはオーストリアから戦闘機ユーロファイター・タイフーンを購入…

  6. インド太平洋関連

    韓国、隠密に特殊部隊を運べない海軍の特殊浸透艇が大問題に

    韓国海軍は延坪島砲撃事件と天安沈没事件を契機に北朝鮮に特殊部隊を送り込…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    開発費負担するとロイヤリティー受け取れる仕組みは知らなかった
    米軍の要請で開発されたら米軍がロイヤリティー受け取るのだろうか?

    8
      • 匿名
      • 2020年 10月 16日

      そこ気になるね、国防費で開発して民間が生産、そして輸出の場合はどうなるか

      1
      • 匿名
      • 2020年 10月 16日

      FMSで元をとってたりして

      2
    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    エンジンとかのリスクシェアリングとは違うのかな
    単純に製造負担とかではなく配当金だけなのかな

    1
    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    コメントのしようがない
    契約見ないと

    2
    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    既存機のアップデート含めると台湾が世界最大のF−16V仕様の保有国になるのだから有り得ない話では無い。

    10
    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    これが事実だとしたら、相当なバックオーダーを抱えているから台湾は開発費の回収はおろか、儲けが出るだろうな。

    6
      • 匿名
      • 2020年 10月 17日

      さすが台湾人、商売うまいよな

      1
    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    まあ、普通に考えてそうだよな

    7
    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    台湾空軍のイラスト見間違えて『へ~っ、コンフォーマルタンクって漢字表記では『攻防一體』って書くのか』と思ってしまった。

    3
    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    今の情勢見てこの記事読むと
    「皆でF-16V買って台湾を応援しようキャンペーン」
    みたいな言葉が
    あまり考えたくないけど台湾陥落、漢翔航空工業倒産の場合ロイヤリティは何処へ…?

    1
      • 匿名
      • 2020年 10月 16日

      成都飛機工業公司がちゃっかりと引き継いだりしてw

      1
        • 匿名
        • 2020年 10月 16日

        機密ただ漏れどころじゃすまなくなりそう

        1
    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    つーてもグラスコックピット始めF-16E/Fの開発成果は
    かなりの部分がF-16Vの開発に使われてるんだろうし、
    UAEにもなんぼかロイヤリティ払ってもバチは当たらんと思うけど
    どーなんだろ。

    7
    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    実際にロイヤリティが支払われるんだとしたら
    KF-16のアップグレードが始まって作業が進んだところで韓国メディアが記事にして
    台湾に余計な金支払わなきゃならないとは何事だ!と発狂してまたぞろ一騒動起こるに100ガバス

    8
    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    「日本もF35は止めて、F16V買えば良いんだ!」なんて意見が出てくるかな?

    1
    • 匿名
    • 2020年 10月 16日

    台湾はなんだかんだいって信用できない
    いずれコピーされてあの国から似たような戦闘機が開発されるんだろう
    F35をパクられた時のように

    1
      • 匿名
      • 2020年 10月 17日

      F-16のパクリは既にあるがや

      3
    • 匿名
    • 2020年 10月 19日

    f-35をパクったのは中国で台湾ではないのだがなな

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    ようやく本領発揮、世界最強の戦闘機F-22Aが「神の視点」を味方に提供
  2. インド太平洋関連

    日米からのオファーがない? 韓国空軍、日本のF-35整備拠点利用を否定
  3. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
  4. 軍事的雑学

    リチウムイオン電池採用艦!日本のそうりゅう型潜水艦11番艦「おうりゅう」就役に世…
  5. 軍事的雑学

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
PAGE TOP