欧州関連

英空母がNATO演習に初参加、過去20年で最も強力な欧州機動部隊が誕生

英海軍は5日、空母「クイーン・エリザベス(R08)」を中心とする英空母打撃群がNATO加盟国と共同演習を行っている様子を公開した。

参考:UK CARRIER STRIKE GROUP ASSEMBLES FOR THE FIRST TIME

過去20年で最も強力な欧州海軍の機動部隊が誕生したと豪語する英海軍

NATO加盟国との共同演習のため英海軍の空母「クイーン・エリザベス(R08)」は艦載機を満載して母港ポーツマスを先月25日に出港、随伴艦を伴い北海に向かった。

今回の演習に向かった英空母打撃群は空母クイーン・エリザベス、45型駆逐艦のダイヤモンドとディフェンダー、23型フリゲートのノーサンバーランドとケント、これに英海軍補助艦隊から給油艦のタイドフォース、補給艦のフォート・ヴィクトリアで構成されているのだが、共同演習では米海軍アーレイバーク級駆逐艦のザ・サリヴァンズ、オランダ海軍デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートのエヴェルトセンが加わり計9隻の構成となっている。

因みに構成リストに名前はないが、クイーン・エリザベスの艦長を務めるスティーブ・ムーアハウス大佐は「英空母打撃群は英国の海軍力を体現するものであり近代化された英海軍の中心に位置している。最新鋭の駆逐艦、フリゲート、潜水艦に護衛され第5世代戦闘機を搭載したクイーン・エリザベスは我々が必要とする場所を好きな時間に海上から攻撃すること可能にしてくれる存在で、空母打撃群は国際舞台で英国に選択肢と柔軟性を提供してくれる」と語っているため、アスチュート級原子力潜水艦が海中からクイーン・エリザベスを護衛しているのだろう。

演習に参加中の空母クイーン・エリザベスには英空軍第617中隊「ダムバスターズ」と米海兵隊から派遣されたF-35Bが計15機、英海軍の対戦ヘリ「マーリンHM.1」が8機搭載されている。

今回の演習を取材したBBCの動画には悪天候下でのF-35B発艦シーンが収められており、水しぶきを挙げてスキージャンプ台を駆け上がっていくシーンは圧巻だが、管理人が注目したのは今回の共同演習に参加した艦艇の総乗組員数が米空母1隻分(約5,000人)にも満たない3,000人という数字で、これは英海軍が省力化設計を積極的に取り入れているおかげだろう。

出典:Royal Navy / OGL v1.0

空母クイーン・エリザベス(満載6万7,600トン)は約700人で運行可能で航空要員をあわせても1,300人程度、45型駆逐艦(満載7,350トン)は190人で運行可能だが、1980年代に設計された23型フリゲート(満載4,300トン)の運行には185人も乗組員が必要になる。

一方の米海軍が誇るニミッツ級空母(満載約10万トン)の運行には3,200人も必要で航空要員をあわせると5,000人を超える。さらにアーレイバーク級駆逐艦(満載約9,000トン)の運行には320人の乗組員が必要で、フライトIIA以降の艦には380人の乗組員が必要だ。

果たして艦艇の省力化が正義なのかは意見が別れることで、行き過ぎた省力化は艦が被弾したり事故にあった際のダメージコントロールに影響がでるため否定的な意見も存在するが、高騰する人件費に加え少子化問題を考慮すると「艦の省力化」は避けて通れない問題なのだろう。

因みに英海軍は「過去20年で最も強力な欧州海軍の機動部隊が誕生した」と言っており、空母クイーン・エリザベスを中心とする空母打撃群にかける期待の大きさが伺える。

 

※アイキャッチ画像の出典:Royal Navy / OGL v1.0

ナゴルノ・カラバフ紛争、アゼルへの武器供給を遮断するのが難しい理由前のページ

原潜建造を進める韓国、米国に低濃縮ウラン供給を要請次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    英海軍、空母で無人航空機を運用するため電磁式カタパルト採用を検討か

    英国防省が電磁式カタパルトとアレスティングワイヤに関するRFI(情報提…

  2. 欧州関連

    英国防省、ウクライナ軍の反撃でセベロドネツク市内のロシア軍は失速

    ウクライナ軍はセベロドネツクから後退してきた部隊の再編に成功して外国人…

  3. 欧州関連

    まるでジェットコスター、戦闘機ラファールの素晴らしさを示す究極の着陸

    3年に1度開催される開催されるスイスのZigermeet航空ショーに参…

  4. 欧州関連

    英空軍、ド派手なユニオンフラッグ塗装を施したタイフーンを公開

    航空ショーなどのイベント等で飛行展示を行う英空軍のタイフーン・ディスプ…

  5. 欧州関連

    ウクライナ国防省、ロシア国家親衛隊による軍関係者の逮捕が始まった

    ウクライナ国防省情報総局は8日、国家親衛隊の精鋭と知られるジェルジンス…

  6. 欧州関連

    軍隊は予算の無駄使いではない、ポーランドは国防予算をGDP比5.0%まで増額か

    ポーランドでは与党PiSのカチンスキ党首が「最終的に国防予算をGDP比…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 10月 06日

    よかったねw
    でもさ、あんたらは誰と何のために戦う組織なのかなって。
    メンバーのお膝元すら揺らいでるのに(トルコとギリシャ)
    最も強い、否、最も静かな機動部隊って揶揄されても仕方のない状況ですよ

    5
    • 匿名
    • 2020年 10月 06日

    海外領土の為の空母だと思うけど、海外領土の為に米海兵隊は働いてくれるのかな?

    4
    • 匿名
    • 2020年 10月 06日

    よっしゃ!これでアルゼンチンがフォークランド諸島獲りに来てもボコボコにできるな

    9
      • 匿名
      • 2020年 10月 06日

      前のフォークランド紛争にNATOが何かしたっけ
      しないよ

      6
        • 匿名
        • 2020年 10月 06日

        北大西洋条約第5条の適用範囲は「北回帰線以北の北大西洋地域」ですからね。

        8
        • 匿名
        • 2020年 10月 07日

        フランスのエグゾセ追加供給を阻止しましたね。

    • 匿名
    • 2020年 10月 06日

    連合艦隊感が強い

    3
    • 匿名
    • 2020年 10月 06日

    どう見てもQEの2つの艦橋は航空機の取り回しの邪魔にしか見えない(10万トンの米空母でもできるだけ端に艦橋を寄せているのに)。何でこんな設計になったんですかね。
    煙突の流路の問題外?

    5
    • 匿名
    • 2020年 10月 06日

    インド太平洋にも遊びに来てね!歓迎します(^_^)

    7
      • 匿名
      • 2020年 10月 06日

      なんか、来年1月頃に南シナ海に来るって、そんな話があるらしい

      3
      • 匿名
      • 2020年 10月 06日

      極東に常駐したい、って言ってましたね。
      明らかにインド太平洋意識してますよ。

      7
    • 匿名
    • 2020年 10月 06日

    演習以外で足並み揃うかな?

    アメリカが兵力の50%を占めていないと、NATO軍は機能しないから。

    5
    • 匿名
    • 2020年 10月 06日

    もういっそEU諸国が防衛予算を融通し合って「ヨーロッパ連合軍」でも作ればいいじゃん。そしたらアメリカ並みの軍事力を持てるし、空母打撃郡も作れるよ!まあ、無理だろうけど。

    8
    • 匿名
    • 2020年 10月 06日

    演習のために高い予算を組んでわざわざ編成したものであって常備部隊じゃない
    一発芸を自慢するほど落ちぶれたのか……

    4
      • 匿名
      • 2020年 10月 07日

      単純に相互連携訓練とこれからのノウハウ集めでやっているだけでは?来年からはQE単独でやるって貼られている動画でも言っているし。なお、予算

    • 匿名
    • 2020年 10月 06日

    ジャンプ台使うと結構短距離で離陸するんですねぇ
    満積載だともっと下がって助走付けるんだろうか? それとも変わらないのか・・?

    • 匿名
    • 2020年 10月 06日

    流石は技術力の英国ですね
    技術力ランキングも米国に次いで第2位は伊達じゃない
    軍事分野でもロールス・ロイスやBAEシステムズを包する先進的な国

    1
      • 匿名
      • 2020年 10月 07日

      首が回らないうえに、火の車だけどね。

      5
    • 匿名
    • 2020年 10月 07日

    プリンスオブウェールズが投入されると、もう1セット艦隊が必要になるのか。
    英国は費用負担に耐えられるのだろうか?

    2
    • 匿名
    • 2020年 10月 11日

    ニミッツとミニッツって間違えますよね(笑)

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 日本関連

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
  2. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  3. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
  4. 欧州関連

    再掲載|導入自体が間違い?タイフーンを導入したオーストリアの後悔
  5. 欧州関連

    再掲載|英海軍の闇、原潜用原子炉の欠陥と退役済み原潜の処分費用
PAGE TOP