アルメニアのアルメン・サルキシャン大統領は5日、イスラエルのルーベン・リブリン大統領と電話会談を行いアゼルバイジャンへの武器供給を直ちに停止することを強く要求した。
参考:Բաքվին զենքի շարունակական մատակարարումը կարող է լրջորեն վտանգել հայ-իսրայելական հարաբերությունները․ Արմեն Սարգսյանը՝ Իսրայելի նախագահին Ամբողջական հոդվածը կարող եք կարդալ այս հասցեով
参考:Israel may halt its weapons sale to Azerbaijan, Armenian ambassador says
アルメニアがイスラエルにアゼルバイジャンへの武器供給を停止することを要求
サルキシャン大統領は「アゼルバイジャンに供給した武器は防衛目的だけに使用されるというイスラエルの説明とは異なり攻撃目的にも使用されている。これらの武器がナゴルノ・カラバフ地域で使用され多くの民間人犠牲者を生んでおり、今後もアゼルバイジャンに武器を供給し続けることをアルメニアは受け入れがたい。この問題はアルメニアとイスラエルの2ヶ国間関係に深刻な影響を与えるだろう」と語り、アゼルバイジャンへの武器供給を直ちに停止することを強く要求した。
この要請に対してリブリン大統領は「イスラエル政府と共に検討する」と話すに留まったが、会談直後にアルメニア駐在のイスラエル大使がメディアに対して「今後数日中にアゼルバイジャンへの武器供給が停止される可能性がある」と語ったため、アゼルバイジャンへの武器の供給停止に応じるのではないかという見方が広がっている。
イスラエルはアゼルバイジャンに対して準弾道ミサイルに分類される長距離戦術ミサイル「LORA(射程400km)」や各種無人航空機を供給しており、ナゴルノ・カラバフ紛争が勃発した先月27日以降も新型の自爆型UAV「ミニハーピー」をアゼルバイジャンに無償提供するなど武器供給を継続中だが、果たしてイスラエルはアルメニアの要請を受けて武器供給を停止するだろうか?
イスラエルは石油輸入の約40%をアゼルバイジャンから輸入している以外にも、産業関係の規制緩和と経済自由化を進めたアゼルバイジャンに多額の投資を行いイスラエル企業が多数進出しているため両国間の取引総額は2億6,000万ドル(武器やエネルギー取引を除く)に達し、逆にアゼルバイジャンはイスラエルから多額の防衛装備品を購入するなど経済と安保の結びつきが非常に強い。
さらにイスラエルはナゴルノ・カラバフ地域の独立=アルツァフ共和国(もしくはナゴルノ・カラバフ共和国)を承認していないため、アゼルバイジャン領がアルメニア系住民とアゼルバイジャンによって支配された地域という認識が強く、どちらかと言うと今回の紛争はアルメニアが主張する「アルツァフ共和国への侵略」ではなくアゼルバイジャンが主張する「ナゴルノ・カラバフ地域の解放」を支持しているように映る。
そのためサルキシャン大統領が「アゼルバイジャンに供給した武器は防衛目的だけに使用されるというイスラエルの説明とは異なり攻撃目的にも使用されている」という主張も、不当にアルメニア側がアゼルバイジャン領のナゴルノ・カラバフ地域に居座っている=祖国解放のために使用されていると解釈してくれば「攻撃目的」に該当しないと考えるかもしれない。
逆にアルメニアとイスラエルの結びつきはアゼルバイジャンほどではないが、旧ソ連崩壊後に独立を回復したアルメニアをイスラエルは経済的に支援しており、トルコとの関係を損ねるという懸念とホロコーストの独自性を守りたいという観点から公式に認めていなかったオスマン帝国時代のアルメニア人虐殺も2005年に認めるなど両国関係は緩やかに改善・強化へと向かっている。
以上のような関係を踏まえると、イスラエルがアゼルバイジャンとの関係を損なってまでアルメニアの要請を受け入れるかどうかは、今回の紛争に対する国際社会からの非難や停戦への圧力が高まらない限り難しいだろうと管理人は思っているのだが、肝心の国際社会は動きが鈍い。
米露仏の3ヶ国は共同でナゴルノ・カラバフ紛争の即時停止を呼びかけているものの、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は5日「アゼルバイジャンとアルメニアとの緊張緩和にトルコが影響力を行使することに期待する」と発言するなど紛争解決に向けた動きは鈍く、米国も議会を中心に「アゼルバイジャンへの軍事援助を即時停止して紛争に関与するトルコに制裁を行うべきだ」という意見が浮上しているが、この意見に同調する議員の数は少なく盛り上がりに欠けている。
フランスのマクロン大統領はアゼルバイジャンや紛争に関与するトルコに対して非難を繰り返しているが、これはアルメニア擁護というよりもリビア・シリア内戦や東地中海問題で対立するトルコを叩くために利用しているだけで、EU首脳会議の場でもトルコがシリア人傭兵をアゼルバイジャンに派遣していることを問題視しておりアゼルバイジャンとアルメニアの争いを積極的に調停するという雰囲気ではない。
アルメニアの後ろ盾であるロシアでさえ「必要な措置を講じる」と繰り返すのみで、特に集団安全保障条約機構の集団安全保障会議を緊急招集するといった動きは見せておらず、結局のところ誰もナゴルノ・カラバフ紛争に積極介入しようとしていないのが現実だ。
果たしてイスラエルはアルメニアの要請を受けて武器供給を停止するだろうか?
少なくとも米国がアゼルバイジャンに何らかの措置を取らない限りイスラエルは現状維持=様子見に徹するのではないかと思っている。
アゼルバイジャン国防省が公開した新しい動画:各国の駐在武官にナゴルノ・カラバフ地域での戦闘状況を説明するアゼルバイジャン国防省の国際軍事協力局
追記:アルメニア側は不必要な憶測を避けるために「軍が戦術目的でナゴルノ・カラバフ地域の一部から撤退した」と発表、この措置は不必要な損失を避け敵により多くのダメージを与えるためのもので、大きな損失を被って士気が低下しているアゼルバイジャン軍がパニックに陥る日もそう遠くないとアルメニア側は主張している。
しかしアゼルバイジャン軍はアルメニア軍が相当量の装備を捨てて後方に逃げたと主張しており、回収した無傷の戦車や軍用トラックなどを公開している。
After intensive attack of #Azerbaijan Army units #Armenian armed forces fled from battle positions and left tanks, #ARTY systems, vehicles, ammo and etc. behind.#KarabakhisAzerbaijan #StopArmenianOccupation #StopArmenianAgression #LongLiveAzerbaijan#LongLiveAzerbaijanArmy pic.twitter.com/8mJAhVLHqH
— Azerbaijan MOD (@wwwmodgovaz) October 5, 2020
After intensive attack of #Azerbaijan Army units #Armenian armed forces fled from battle positions and left tanks, #ARTY systems, vehicles, ammo and etc. behind.#KarabakhisAzerbaijan #StopArmenianOccupation #StopArmenianAgression #LongLiveAzerbaijan#LongLiveAzerbaijanArmy pic.twitter.com/RT1lRBzves
— Azerbaijan MOD (@wwwmodgovaz) October 5, 2020
さらにアルメニア国防省は米国大使と会談を行い、ナゴルノ・カラバフ地域での戦闘状況や前例のない規模で行われているトルコのアゼルバイジャン軍支援を訴え「現在の速度で状況が進展すればナゴルノ・カラバフ地域にとって壊滅的なものになる」と強調してアゼルバイジャン軍へのトルコ支援をやめさせるように要請したらしい。
前回の記事「ナゴルノカラバフ紛争で優勢なのはアゼル軍か? それともアルメニア軍か?」で触れたが、やはり現地の戦況はアゼルバイジャン軍優位で進んでいるのだろう。
※アイキャッチ画像の出典:Martin Thoeni、www.powerplanes.ch / CC BY-SA 4.0 イスラエル製無人航空機ヘルメス900
ヤクザな俯瞰だと、
プーチン組の組員と準構成員のケンカに、他の組は口出ししないし、準構成員のバックに控えるエルドアン組はイキってるだけで業界の勢力図を塗り替える力はない、で、有力組織は利害関係を再確認するのみで模様見に留まると
トランプ組は親分が療養中なんで残念(笑)
正直、国際社会はコロナ禍の上、米国は大統領選で今後の混乱が必至の情勢
EUは分裂気味の状態が今後も続くし、ロシアはアルメニアへ直接救援に行けるルートが無い
後、トルコとイスラエルはアゼルバイジャンとアルメニアの争いを上手く利用しているだけ
しかも関係各国は本音では「どっちもくたばれ」と思っているだろうから、停戦なんてどこも本気でやらないだろう
恐らく、今回の戦いは現在の戦況のままならアゼルバイジャン&トルコの作戦勝ちで終わると思う
但し…かつてのアフガニスタンの内戦も似た様な状況下で国際社会が有効な手立てを打たなかった結果、タリバンとビンラディンをつけ上がらせて9.11同時多発テロ事件へと繋がった事を考えると、今回の紛争も国際社会が何もしなかったら将来に禍根を残す可能性は高い
>ホロコーストの独自性を守りたい
マジかよwww
普段の会話に例えると
「イスラエル政府と共に検討する」≒「考えとくわー」レベル
「武器供給が停止される可能性がある」≒「行けたら行くわー」レベル
上記には書いてないがイスラエルやアメリカがイラン爆撃の際の作戦基地としてアゼルバイジャンが必要とされる可能性がありその面からも敵対は出来ない。
国際的に認められたアゼルバイジャン領(ナゴルノカラバフ)を取り戻す為の防衛戦争?と思えなくもない
冷戦時代から、いつのまにか世界の大部分が大国の縄張りで区分けされてて、中南米はアメリカ、アラブアフリカはヨーロッパ列強の草刈り場、ロシアとその周辺国、中国とお箸文化圏とかなってて、それでキューバだのベトナム、朝鮮半島が揉めた一因にもなってるし。
今回はロシアの存在こそアゼルバイジャンアルメニア紛争を難しくしているとも言えるし、中華のアジア域拡張理論の正当化にはアメリカの中南米支配が利用もされている。
ここでも力による支配を正当化する意見がちらちら出るけどさ、それはこれから大中華との対峙を避けられない我が国にとってマイナスでしかないって、わかってますか?
国際法の観点から言えばナルゴノ·カルバノフの独立を認めた国家はない。
認めようが認めまいが、アルメニア自らが進んでアゼルに返還する見込みはないよな
それはロシアが認められなくてもクリミア半島を返す見込みのないのと、尖閣をいちど奪われたら世界が認めようが認めまいが中国は絶対に手放さないって論旨なんですが?
力による正当化を認めてる諸君は、自分の首を絞めてるアホですよ
ナルゴノカルバノフ自体がアルツェフ共和国として独立を宣言してるがアルメニアはアルメニア領土と主張しアゼルバイジャンはアゼルバイジャン領土と主張してる。
そして国際的には独立は最初からアルメニア含めて誰も承認していない。
クリミアはソ連時点でウクライナ領土と決めておりそれ以前はロシア領土だった。
ウクライナ領土と確定後にロシアが取ったケースで今回と話が違う。
違うケースの話で他に適応出来ない。
そうやって現実から目をそらすのがダメダメですよ、他人事で済まないから
誰に質問してんの?
わかんないふりをするひとたちにだよ
なるほど、教えたがり屋さんなんだね。
おとぼけさんをいじってるの(笑)
わからないふりをして現実を見ないおバカたちを
リアルが不満なんだろ(笑)
そうなんだー。
情報戦と言う脅しあいで収まればそのまま停戦だろうが、このままアゼルバイジャンへの武器供給が続けばロシア対アゼルバイジャンの懲罰戦争が始まる。
ロシアにとって直接的な旨味の少ない戦争になるだろうけど、カスピ海の油田を掌握できればトルコストリームを管理下に置くことが出来る。これが何を意味するか情弱以外なら誰でも理解できる。
トルコもイスラエルも火傷しないうちにアゼルバイジャから手を引かないと頭が禿げるぞ。脅しがうまいプーチンの戦略としてはこれくらい言ってて当然。
そんなことすればグルジアに続いてアゼルバイジャンを失うはめになるな。
ロシアが脅かされてないのにアゼルバイジャン失ってどうする。
アゼルバイジャンは親イスラエルだが反ロシアではない。
ベラルーシに対するロシアの態度みても同じ事が言えるのか? 親ロシアと言ってもアゼルバイジャンがロシアと防衛協定関係に在るアルメニアを攻撃した時点で状況は戦争準備に向かっている。 安全保障において友好国は同盟国ではなく潜在的な敵国でしかない。
今回の戦争にロシアが使用する戦力は総軍の一割程度だが、占領さえしないならシリアの様に航空戦力だけで事足りる。懲罰戦争だろうと電気と通信を抑えられたら小国なんて二日も保たない。降伏するか解体されてそのままロシアの経済と司法管轄下に収まる。
繰り返すが安全保障に大義は無いので、今回偶然隣国が戦争中のジョージアにも何かが飛び火すると思うよ。
近年はロシアとイスラエルが極めて親睦であることをどう理解するかですな、両国の対立は冷戦時代の昔話ですから
その通り。
ついでに言うとアゼルバイジャンとイランとロシアの絡みもある。
いずれにせよアゼルバイジャンとはアルメニア以外に簡単には敵対出来ない事情がある。
アゼルバイジャンの鹵獲映像は本物かもしれないが、似たような兵器で構成されてるアゼルバイジャン軍やミリタリーサイトの映像を加工した物かもしれないし判別出来ない。
お互い元ソ連だと見抜きづらい
トルコストリームと書いたら投稿できない?