欧州関連

戦闘機を廃止したアイルランド、ロシアの脅威に対抗するため戦闘機導入を検討

戦闘機を廃止して65年が経過するアイルランドは最近、ロシアの脅威に直面しているため迎撃戦闘機の導入を検討し始めたと報じられている。

参考:Government considering purchase of military jet aircraft

レシプロ戦闘機シーファイア以来の迎撃戦闘機導入は実現するか?

アイルランドは他の欧州の国とは異なり、1955年に空軍の戦闘機「シーファイア(海軍向けのスピットファイア)」が退役して以降、領空を守るための戦闘機を1機も保有していない状況が続いているが、最近発表された国防軍に関する文書の中で迎撃戦闘機の導入に触れており、国防軍の広報担当者も「アイルランドに対する脅威評価に基づいて迎撃戦闘機導入を検討中だが、まだ予算の割り当ては受けていない」と語った。

出典:Public domain 英国の戦闘機シーファイア

ただアイルランド空軍にとっての戦闘機運用経験はレシプロ機止まり、軍用ジェット機の運用経験は訓練機の英国のデ・ハビランド製「バンパイアT.55」とフランスのフーガ製「CM.170 マジステール」止まりなので、経験的にも技術的にもギャップが大きく、現代のジェット戦闘機を扱う事ができるのか不安視されている部分でもある。

それにも関わらずアイルランドが迎撃戦闘機の導入を検討し始めたのは欧州がロシアの脅威に直面していることと、ロシア機がアイルランドの領空を侵犯し始めたことが関係しているのかもしれない。

昨年3月、ロシア軍の爆撃機Tu-95がアイルランドの領空に侵入してきたが、アイルランド空軍には高高度を飛行するTu-95を迎撃する戦闘機が存在しないため、英国の基地から緊急発進した戦闘機タイフーンがTu-95迎撃に向かい進路を変更させることに成功したが、欧州が直面しているロシアの脅威はアイルランドにも向けられていると実感したのだろう。

出典:Sergey Krivchikov / GFDL 1.2 ロシア空軍のTu-95MS

2015年までアイルランド空軍を率いていたラルフ・ジェームズ氏は「アイルランド領空を完全に守るためには16機前後の戦闘機が必要で1機あたり3人の戦闘機パイロットが必要になる」と述べており、このような戦闘機調達には10億ユーロ(約1,200億円)以上の費用が必要になると語ったが、年間国防予算が約7億ユーロしかないアイルランドにとって10億ユーロ以上の投資には覚悟が求められるはずだ。

果たしてアイルランドは、自国の領空を守るため大規模な戦闘機への投資に踏み切るのか注目される。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain グリペン

露メディア曰く、第5.5世代戦闘機相当の新型戦闘機「Su-57M」開発完了前のページ

トランプ再選ならE-737? 韓国、早期警戒管制機の追加調達を決定次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    アジアも欧州も軍事衝突寸前、中国は軍に動員をかけギリシャは戦争準備中

    アジアでは中国とインドの間で欧州ではトルコとギリシャの間で軍事的対立が…

  2. 欧州関連

    搭載するF-35Bの調達は? イタリア海軍の軽空母「カブール」でF-35B受け入れ準備完了

    イタリア海軍は今月6日、近代改修が無事完了した軽空母「カブール (C5…

  3. 欧州関連

    英国、海軍にはクイーン・エリザベス級空母を2隻運用するだけの能力がない

    英国の会計検査院(NAO)が公表した報告書の中で、60億ポンド以上の費…

  4. 欧州関連

    米国の排除宣言はブラフか?トルコからのF-35部品供給が中断されていない理由

    トルコはNATOの防空システムと互換性のないロシア製防空システム「S-…

  5. 欧州関連

    グリペンの後継機開発へ、スウェーデンが次世代戦闘機の開発に着手

    スウェーデンのフルトクヴィスト国防大臣は16日、NATOのミッションフ…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 6月 28日

    予算もさることながら、人員揃えるのが大変だろう
    5年後に導入できてたら相当早い部類でないか

      • 匿名
      • 2020年 6月 28日

      駄目だな、米食って人口増やさんと

    • 匿名
    • 2020年 6月 28日

    イギリスにお金だして頼んだ方が早くね?

      • 匿名
      • 2020年 6月 28日

      国民感情が許さないでしょ。

    • 匿名
    • 2020年 6月 28日

    F16がちょうど良さそう

    • 匿名
    • 2020年 6月 28日

    イギリスに再併合してもらおうとか言ったら怒られるんだろうなあ

    • 匿名
    • 2020年 6月 28日

    アイルランドって国防はイギリスに丸投げしてんのかと思ってた…
    独自の国防軍持ってたんだね

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    F-16C/Dの米国退役機格安かな?
    グリペンは、BAEが関わっているからふれたくないだろうし
    後残るは、フランスからミラージュ2000あたりをいれるしかないし。
    中国から適当にってのはどう考えても米国から怒られるよね。

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    大型とはいえ、古臭い爆撃機一機で世論を揺さぶることが出来る。
    実に安上がりな嫌がらせ。
    そして迷惑。

      • 匿名
      • 2020年 6月 29日

      仰る通りかと思うけど、イギリス憎しだけで大戦中ドイツに配慮しちゃうような国をNATO側に追いやって良いことがある? 安上がりな嫌がらせはロシアに跳ね返ってませんかね

        • 匿名
        • 2020年 6月 30日

        ロシアや中国、に限らず、そこまで考えてないんじゃないかと。
        そもそもスキあらば、後先考えずに侵略してますから。

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    まずはNATOに加盟したら?
    加盟してないフィンランドとは地理的(ロシアと接してる)な条件が違う。 加盟しないのは何故だろう? 北アイルランド問題があるので、イギリスと同席しくないのかな?

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    始めは「アイスランド」と読んでしまいました。
    ロシアはアイルランドにも領空侵犯をしかけるんですね。
    でも何のために?
    間接的にイギリスへの圧力とか。
    アイルランドはNATO非加盟国なので、仲良くしておけばその方がNATOへの牽制になるのに。
    基地でも置かさせてもらえるかも。

    • oominoomi
    • 2020年 6月 29日

    西の島国アイルランドは、GDP3300億ユーロに対して国防費が7億ユーロって、東の島国も真っ青の低予算ですね。
    対GDP比(0.2%)を考えれば、まだ充分に増額の余裕はありそうですけどね。

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    殖民地を持たず、英国の植民地にされたアイルランドの歴史らしい。
    殖民地と言っても、英国は紅茶や木綿や小麦、胡椒と当時の農産品を安く仕入れたような貿易。

    そもそも、近代にかけて東欧が食料基地だったのに、
    アフリカ等の植民地で小麦などを作り、西欧人が地主として楽な生活してた。
    東欧とアイルランドは割を食ったんだろうな。
    アイルランドはじゃがいも飢饉が致命傷になったとか、そして、火山の冬に入り・・

    アイルランドは、今じゃ、米国ITの基地と化してるが、人口と産業化の課題が大きいな、それと他国同盟と外交

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    アイルランド
     2019年GDP:3849億米ドル→(108円/ドル換算)→41兆5735億円
     人口:約492万人
     国民一人当たりGDP:844万円(日本の約2倍)
    ずいぶん豊かな国なんですね
    余裕ありありでしょう

      • 匿名
      • 2020年 6月 30日

      う~ん、CN235 MPAは25年以上たってるし、空対空ミサイル装備できるようP-1哨戒機でもどうですか。

    • 匿名
    • 2020年 6月 29日

    アイルランド
     2019年GDP:3849億米ドル→(108円/ドル換算)→41兆5735億円
     人口:約492万人
    国民一人当たりGDP:844万円(日本の約2倍)
    ずいぶん豊かな国なんですね
    余裕ありすぎでしょう

    • 匿名
    • 2020年 6月 30日

    海も違法操業する南北朝鮮土人、それに似た領空侵犯する朝鮮人並の中露土人、
    海と空には、土人規制が必要だ

    • 匿名
    • 2020年 7月 09日

    北朝鮮から弾道ミサイル輸入してロシアに向けるのがいちばんだよ
    領土紛争も侵略も考えにくいから、恫喝だけやっとけ

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    打つ手なし? ドイツ軍兵士は一般的な乗用車を「プーマ歩兵戦闘車」と思い込まされ訓…
  2. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
  3. 軍事的雑学

    導入したこと自体が間違いか?戦闘機タイフーンを導入したオーストリア空軍の後悔
  4. 軍事的報道

    国産防衛装備品の海外輸出が実現!フィリピンが日本製警戒管制レーダー「J/FPS-…
  5. 軍事的雑学

    空飛ぶスナイパー? ロシアの戦闘機「Su-57」は米軍の航空支配を効果的に破壊す…
PAGE TOP