フランス海軍の原子力潜水艦ペルルで発生した火災は出火から14時間後に鎮火したと発表されたが、船体構造に修復不可能なダメージを被ったかもしれない。
参考:l’heure à l’estimation des dégâts après l’incendie du sous-marin Perle
リュビ級原潜6番艦「ペルル」が受けたダメージは深刻で廃艦は避けられないか?
地中海に面したフランス南東部トゥーロンで大規模なオーバーホールを受けていたリュビ級原子力潜水艦6番艦「ペルル」は6月12日午前10時35分頃に船体の前部区画で火災が発生、当時40人ほどの作業員が艦内で作業中だったが全員がゲガをすることなく避難が完了後、消防士やペルルの乗組員約100人と消火作業を支援する造船所のスタッフ150人が約14時間をかけて火災を消し止める事に成功したと現地メディアが報じている。
[#InterventionSNAToulon] Suite remplissage des fonds en tranche avant SNA Perle par de la mousse, et intervention équipes de marins-pompiers, le feu est maîtrisé.
Recherche éventuels d’autres foyers se poursuit, compartiments de propulsion n’ont pas été touchés. pic.twitter.com/BKpRk7Vw2m— Préfecture maritime de la Méditerranée (@Premarmed) June 12, 2020
補足:リュビ級原子力潜水艦は基本排水量2,300トンと他国の原潜に比べて非常に小さく推進方式の非常に珍しい原子力タービン・エレクトリック推進(原子炉で発生させた蒸気でタービンを回して発電した電力で電動機を回してプロペラを回転させるため静寂性に優れるが推進システムが複雑になる)を採用しているなど独自色の強い設計が特徴の攻撃型原潜。
フランス海軍にとって幸運だったのは火災が発生した原潜からは原子炉、核燃料、全ての武器、魚雷発射管、ソナー、バッテリー、ほとんど電子機器が取り外された状態だったので、放射能汚染や高価な機器が失われることを避けることができたのだが、船殻に使用されている高張力鋼(80HLES)や耐圧殻が火災によって14時間も高温に晒されているので、海軍関係者は現地メディアに「船体が変形して歪みが発生しているかもしれない」と語っており仮にペルルが修復不可能なダメージを被っていた場合、海軍は潜水艦戦力の構成を再考しなければならないと仏新聞のル・モンドが指摘している。
フランス海軍の潜水艦戦力は昨年まで潜水艦発射弾道ミサイルを搭載した戦略ミサイル原子力潜水艦に分類されるル・トリオンファン級4隻、攻撃型原子力潜水艦に分類されるリュビ級6隻で構成されていたのだが、リュビ級の後継艦にあたるシュフラン級1番艦の引き渡しに合わせてリュビ級2番艦サファイアが退役しているためフランス海軍の攻撃型原潜は現在5隻しかない。
シュフラン級1番艦の引き渡しは2020年中(実際に任務に就くのは2022年頃を予定)で今後は約2年毎に1隻つづリュビ級と交換していく予定(6番艦引き渡しは2029年予定)なのだが、今回火災を起こしたリュビ級6番艦ペルルは一番最後に交換される予定(リュビ級の中で艦齢が一番若い)だったので仮にペルルを失えば予定されていたフランス海軍の攻撃型原潜運用体制に穴があくと言う意味だ。
2020年12月にはシュフラン級2番艦の引き渡しに備えてリュビ級1番艦が武装解除工事に入る予定だが、最悪これをキャンセルしてオーバーホールを行いペルルの代わりに使用し続けるという手もあるのだが同艦はペルルよりも11年艦齢が古く2回の事故(タンカー衝突と海底激突)でダメージが蓄積しているため、更に10年近く使用するのは不可能かもしれない。
以上のような事情があるのでル・モンドが「海軍は潜水艦戦力の構成を再考しなければならない」と指摘しているのだ。
本格的な火災の事故調査や損傷具合の調査もこれからなのでペルルの今後については謎だが、オーバーホールを担当しているDCNSによればペルルが火災で受けたダメージは深刻なレベルだと言っており、恐らく廃艦処分になるのではないだろうか?
もしそうなればフランス海軍の上層部は攻撃型原潜のやりくりに頭を悩ませることになるだろう。
※アイキャッチ画像の出典:public domain リュビ級原子力潜水艦5番艦「アメティスト」
ノルウェーのミニイージス艦、ヘルゲ・イングスタッドもそうだけど主力の艦艇を不慮の事故で喪失って有り得る事だけど実際に事故が起こっても影響が少ない海軍とか無いよね。
日本でも例えばあぶくま型で同様な事故が起こってもまあ何とかなるかと考えられるけどあきづき型だったら艦隊防空やミサイル防衛を見直さないといけなくなる。
海自でもしらねで火災事故が起こって、すぐ後にくらまが衝突事故、はるなは退役待ち状態で稼働できるDDHはひえい1隻のみ、なんて時期がありましたね。
くらまは衝突事故の後しばらく門司港に係留されていて見に行ったけど艦首部分が大きく損傷していた。
退役まで数年だったからこのまま前倒しで退役になっていても不思議では無かった、仮に沈没していたら浮揚・修理して復帰は無くそのまま退役だったはず。
なぜ1番艦を10年延長するのか不明、延長は残りの1、3、4、5番艦を2年ずつスライドで延長すれば事足りる。
もしくは後継機種を前倒し建造すればいい
ディーゼル式潜水艦ではなく原潜だから核燃料を2年分づつ補給するオーバーホールを4隻に行うなんて効率が悪すぎるし、2年で1隻シュフラン級を建造してんだからスケジュールの前倒しも難しいと思うよ
逆説的に通常動力艦の利点がこんなとこにもあった
原子炉搭載だとメンテの順番入れ替えてやりくりってのが短期のスパンだと効率悪すぎるな
高価な兵器を少数備えてそれで最強かって。こういう不測の事態には対処できないことを前提に。
兵器だって機械、事故もトラブルも、メンテナンスや改装もあるんだから
戦いは数だよ
つまり中華最強か
安い兵器を沢山作ることはできてもそれを動かす乗員は数限られてる
全艦を同時に運用する訳ではない(整備とか、なのでローテを考えると最低でも3艦)し、シュフラン級潜水艦の就役が2022年ってのもフランスはたったの1隻しかない空母を2年間もドックで整備してたし、NATOとしての運用ならイギリス海軍もあるし・・・
超テキトーに言えば、現在のフランス(の国際情勢)としては無問題では? って思う
でもさ6隻ってことは、オンステージは単純計算2隻だぜド・ゴールの随伴にロシア艦隊が出てきたらその監視、もちろん通常の哨戒活動もあるだろうし、たまには弾道弾載せた原潜の護衛もあるだろう。結構忙しい…というか無理があるような。
ド・ゴールの護衛がなければ通常型潜水艦にすれば倍以上の隻数稼げるのにね。